JPS6243546Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は上肢、即ち腕部の浮腫治療用緊縮
体、特に乳癌術後に生ずる上肢浮腫の治療および
予防に用いられる弾性緊縮体に関する。

乳癌の根治手術後においては、かなり高い発生
頻度で患側上肢にリンパ浮腫が現われるが、この
ような上肢浮腫の予防および浮腫に伴う腕部の機
能障害、疼痛等の諸症状の緩和、治療には、腕部
を外側から弾力的に締めつけることが効果的であ
ることが知られている。

従来、このような用途、目的のために、弾性包
帯や種々の医療用サポーターの類が用いられてい
るが、弾性包帯は巻付け取脱しに手間がかかり厄
介であるうえ、緊縮力にむらが生じやすく、また
サポーター類の多くは腕の一部に部分的に着用す
るものであるため、局部的効果しかなく、かえつ
て他の部分に高度の浮腫を生じ易い等の欠点があ
つた。

この考案は、上記欠点を解消して、手の甲部か
ら肩までの腕部全体を均等に締め付けることがで
き、上肢の運動に支障を与える欠点がなく、かつ
着脱が容易でしかも当初の装着状態を安定良く保
持でき、使用感も良好な上肢浮腫治療用緊縮体を
提供しようとするものである。

以下この考案を図示実施例に基づいて説明す
る。

この考案に係る上肢浮腫治療用の緊縮体Ａは、
手首部から上肢付け根（肩関節部）までの範囲イ
を覆いうる長さの円筒状に編成された弾性緊縮力
を有する筒状主体部１と、その下端から連続して
編成され手の親指を出した状態で手の甲部及び掌
部の全体を被覆しうるように形成された弾性緊縮
力を有する甲掌被覆部２と、上記筒状主体部１の
上端から連続状に編成されて肩部を被覆するよう
に形成された肩当部３と、該肩当部３の先端部に
取付けられ患側とは反対側の腋下をめぐつて身体
に巻き止めうるものとなされた肩ずれ防止用の止
め紐４とを具備する。

上記筒状主体部１及びその上下端から連続する
甲掌被覆部２及び肩当部３は、弾性糸をもつて一
連に編成されたものである。ここに弾性糸として
は、吸湿性に優れかつ弾力を可及的永時にわたつ
て保持しうるようなものを使用すべきであり、好
適には例えば、ポリウレタン系弾性繊維をコアと
してこれに綿粗糸を捲絡してなるコアスパイン糸
のようなものを用いうる。この場合においても、
柔軟性、適度の伸縮性、仕上り面の滑らかさ、従
つて着用時の肌ざわりの良さ等の点から、２本あ
るいはそれ以上の細い弾性糸を手き揃えて用いて
編成することが望ましい。例えば76デニール程度
のポリウレタン弾性繊維に40番手の綿粗糸を捲回
し絡ませたコアスパイン糸を２本揃えて編成した
場合、好適な結果が得られる。

筒状主体部１は、手首部、上腕部等の太さの違
いに応じて、例えば編成の度目を変えることによ
り、部分的に若干実質的な太さを異にしたものと
することが好ましい。

甲掌被覆部２は、図示実施例においては、主体
部１から連続して編成した筒状部の円周の一部を
略Ｕ字状に切欠くことにより、この切欠部５から
親指を出しうるようになされると共に、切欠部５
の両側縁部を、そこに取付けられた面フアスナー
６により分離自在に係着連結しうるようになされ
たものである。もつとも甲掌被覆部２は、指の付
け根部分から手首までの全体を緊縮状態に被覆し
つつ、親指を外に出しうるようになされたもので
あれば良いから、該部２を主体部１に続く円筒状
のものとし、その一部に透孔を穿設して親指を出
しうるようにしても良い。

肩当部３は、上肢の自由な運動、特に肩関節の
自由性を阻害しないように比較的大きな緩い伸縮
力を有するものとすることが望ましい。斯る事項
に鑑み、実施例では該部がゴム編組織に編成され
ている。而して実施例の該肩当部３は、筒状に編
まれたゴム編部分の下側部をＵ字状に切欠くこと
により、該切欠部７を患側の脇に具合良く沿わせ
て、肩部の全体を被覆しうるものとなされてい
る。もつとも、肩当部３は、主として緊縮体Ａ
が、装着後下方にずれ動いたりしないように、肩
部に当てがつて装着状態を安定に保持させるため
のものであるから、その形状は任意のものでよ
く、例えば筒状部分を斜めに切断して三角形状に
形成したものとしても良い。

止め紐４は、肩当部３が運動によつて腕側にず
り落ちるのを防止し、安定装着状態を保持するた
めのものであり、伸縮性を有する細帯状のものと
し、図示のように患側と反対側の腋下で結び止め
るものとするのが一般的であるが、伸縮性のバン
ド部材をもつて実質状ループ状に形成しても良
い。

上記実施例の緊縮体Ａは、先端部の面フアスナ
ー６をはずした状態で主体部１を腕部に嵌め、第
１図に示すように肩当部３を肩部に当てて止め紐
４を患側と反対側の腋下で結び止めると共に、切
欠部５から親指を出した状態で甲掌被覆部２の両
側部を重ね合わせて面フアスナー６で接合して装
着使用するものである。

この考案に係る腕部緊縮体Ａは、上述のように
構成されているから、従来の弾性包帯などに比べ
着脱が容易であることは勿論、手の甲部、掌部か
ら上肢付け根までの腕部全体を覆つて、これを均
一に締め付けることができるから、従来の局部用
サポーター類と異なり、上肢全体の浮腫の予防お
よび治療に優れた効果を発揮しうるものであり、
特に乳癌術後のリンパ浮腫の治療および予防に好
適なものである。特に、手首部から上肢付け根部
までを覆う筒状主体部１の下端に、これに連続し
て手の甲部及び掌部を覆う甲掌被覆部２が形成さ
れていることにより、上肢を緊拍することによつ
て手甲部等に高度の浮腫が集中的にあらわれて手
指の運動障害や激して疼痛を生じるというような
欠点がなく、しかも該甲掌被覆部２は親指を出し
うるものとなされているから、手指の運動に支障
をきたすおそれがない。更に、筒状主体部１の上
端には肩当部３が連続され、これに患側と反対側
の腋下をめぐつて身体に巻き止めうる止め紐４が
取付けられているから、上肢の比較的激しい運動
によつてもずれ落ちることがなく、常に当初の装
着状態を安定に保持し得て、結果的に上肢の全体
を常にむらなく均一に締め付けることができ、著
しく有害な局部浮腫の発生を防止し得ると共に着
用感も良好に保持しうる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は装着状態を示す斜視図、第２図は装着しない状
態時における斜視図である。 １……筒状主体部、２……甲掌被覆部、３……
肩当部、４……肩ずれ防止用止め紐、５……切欠
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 手首部から上肢付け根（肩関節部）までの範囲
   イを覆いうる長さの円筒状に編成された弾性緊縮
   力を有する筒状主体部１と、その下端から連続し
   て編成され手の親指を出した状態で手の甲部及び
   掌部の全体を被覆しうるように形成された弾性緊
   縮力を有する甲掌被覆部２と、上記筒状主体部１
   の上端から連続状に編成されて肩部を被覆するよ
   うに形成された肩当部３と、該肩当部３の先端部
   に取付けられ患側とは反対側の腋下をめぐつて身
   体に巻き止めうるものとなされた肩ずれ防止用の
   止め紐４とを具備してなる上肢の浮腫治療用緊縮
   体。