JPS6243506Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、被服あるいは袋物などの裁断され
た生地にスライドフアスナーを縫着する際に、ス
ライドフアスナーをミシンの縫着ステーシヨンへ
案内する装置に関する。

（従来の技術） 例えば第１図に示したような隠しスライドフア
スナー１、すなわちテープ２の一側縁部を屈折
し、その屈折した側縁部にエレメント列３を縫着
してフアスナーストリンガー４を形成し、左右の
ストリンガー４，４エレメント列３，３の噛合に
より組合せ、組合した両エレメント列３，３に亘
つてスライダー５が挿通してあり、スライダー５
の引手６が両テープ２，２の接合部間より表面へ
突出してなる隠しスライドフアスナー１を被服な
どの裁断された生地９に縫い付ける場合には、第
２図に示す如く、フアスナー１をスライダー５で
開き、左右のストリンガー４，４をそのエレメン
ト部７（エレメント列３を含むその取付け部分を
指す）が互いに外側に向くように捻回し、生地９
に対してその折返し部の表面にエレメント部７が
生地の中央部寄りに向けて添えミシンによつて縫
い付けるが、その際、テープ２の屈折部を曲げ起
して、エレメント部７をエレメント噛合頭部８が
下になるように起立保持し、テープ２の屈折され
ていた部分に近接して縫い付けるものである。第
２図では片側のみを示しているが、双方のストリ
ンガー４，４を同時に前述の手段で縫い付けら
れ、以後生地の折返し部を裏側に折り畳みエレメ
ント列３，３を噛合することにより第３図図示の
如くに仕上げられるものである。

上記の縫い付け手段を実施するため、ミシン押
えにエレメント部を起立して案内する溝を設け、
更にそのミシン押えに至る以前に、エレメント部
をトンネル状をなす溝で起立しながら送ることが
提案されたが、縫い付けられる両ストリンガーは
末端部がスライダーで連結しているため、ミシン
押えの場合はこれを上昇することによりスライダ
ーの存在する部分を通過せしめ得るが、それ以前
のトンネル状の溝部分でも通過せしめ得る手段が
必要である。その手段を解決すべく種々提案され
たが、満足すべきものがなく、また縫い止め部分
は縫糸のほつれ止め処理を施す必要があるが、こ
れも手動操作に頼つているものであつた。さら
に、エレメント列が外表面に露見する普通のスラ
イドフアスナーを生地に縫い付ける場合でも、ミ
シン押えに至る以前に、ストリンガーのエレメン
ト部をトンネル状をなす溝に送ることが提案され
ていたが、この場合も、縫い付けられる両ストリ
ンガーは末端部がスライダーで連結してあるた
め、上記したものと同様に満足すべき案内装置は
なかつた。

（考案の目的） この考案は、以上の手段の解決策を更に工夫
し、ストリンガーをミシンの縫着ステーシヨンに
案内する送行路に、ストリンガーのエレメント部
を案内することが出来ると共に、スライダーで連
結されている末端部を確実に通過され、しかもそ
の末端部の通過を感知して、縫い付けの末端部処
理縫いを指令することが出来るスライドフアスナ
ーのミシンへの案内装置を提供することにある。

（考案の構成） この考案による案内装置は、スライドフアスナ
ーをスライダーで開き、左右のストリンガーを案
内する送行路に、ストリンガーのエレメント部を
案内するトンネル状のトラツクを設け、トラツク
を形成する内側壁を上下に開閉可能にしたこと、
開閉する内側壁を弾性手段で閉鎖方向に附勢して
あること、及び両トラツク間にストリンガー末端
感知触子を上下動可能に設け、該触子にその上下
動を信号発生器に伝達し得る連動手段を設けたこ
と、を特徴として構成したものである。

（実施例） 第４図にこの考案による案内装置を含む縫製装
置の大要を示しているが、基台１０上にミシン１
１を設置し、ミシン１１には２本針１２，１２、
溝１３，１３付きミシン押え１４及び糸切り用カ
ツター（図示せず）とで構成される縫着ステーシ
ヨン１５を有し、このステーシヨン１５に対する
供給側に本考案の案内装置が設けられ、排出側に
グリツプ１６で縫着された製品を掴み縫着する速
さに応じて引き出す牽引装置１７と、縫着した製
品を引つ掛けて重ね置く掛支棒１８とを設けたも
のである。

そこで、本考案による案内装置の実施例を第４
図と第５図によつて示す如く、基台１０上に縫着
ステーシヨン１５に至るに従つて低く傾斜する案
内板１９を設け、案内板１９の両側にガード２
０，２０を設けて両ストリンガー４，４を一定の
巾間隔を保つて摺動する送行路２１を形成し、送
行路２１のミシン押え１４側の先端部両側に、両
ストリンガー４，４の各エレメント部７，７を案
内するトラツク２２，２２を設け、左右の両トラ
ツク２２，２２間にストリンガー末端感知触子２
３を設け、また案内板１９の下面に、基台１０の
上面より浮上し平行する翼片２４，２４を突設
し、基台１０と翼片２４，２４間に生地９を挿通
し、生地９を縫着ステーシヨン１５へ案内するよ
うになつている。

前記トラツク２２は第５図乃至第８図に示す如
く、案内板１９の両側に送行方向に長いブロツク
２５，２５を固着し、各ブロツク２５，２５の互
いに向い合う内側の下端隅角縁部全長に亘り切欠
溝２６，２６を設け、ブロツク２５，２５上に形
成したブラケツトにヒンジ２７，２７を送行方向
と平行に架設し、各ヒンジ２７，２７に、前記切
欠溝２６，２６の内側開放口を封じる覆板２８，
２８を枢着し、各ヒンジ２７，２７に巻き付けた
弾性手段となるスプリング２９，２９で覆板２
８，２８を閉鎖方向に附勢してあり、この覆板２
８，２８でトラツク２２の内側壁を構成し、ブロ
ツク２５，２５にエレメント部７，７を案内する
トンネル状の溝を形成する。また覆板２８，２８
を閉鎖した状態において、その下端と案内板１９
上面間にストリンガー４，４のテープ２，２が通
過し得る間隔が保たれるように形成してある。

尚、この考案による案内装置を第１図に示した
ような隠しスライドフアスナーに適用する場合に
は、隠しスライドフアスナーを開いた時の状態の
ままストリンガーのエレメント部７を横にしてト
ラツクの入口より挿入し、その途中で送行するに
従つてエレメント部７を起立できるように構成す
ることが必要であり、その一つの例として第１０
図図示の如く、切欠溝２６の天井面における側壁
部側が該溝２６の入口より中間部に亘つて順次下
向きに傾斜して、切欠溝２６内に斜縁部３０を形
成しておくことにより、この斜縁部３０でストリ
ンガーのエレメント列３の噛合頭部８側部分が押
圧され、噛合頭部８を下にしてエレメント部７が
自動的に起立されるものである。また、この考案
による案内装置をエレメント列が外表面に露見す
るような普通のスライドフアスナーに適用する場
合には、トラツクにおけるエレメント部の案内切
欠溝は入口から出口迄全長に亘り同一断面形状の
ままでよい。

次に、前記ストリンガー末端感知触子２３は第
５図と第１１図と第１２図図示の如く、案内板１
９の側面にレバー３１を中心部で前後部が上下に
揺動するように枢支し、レバー３１の先端にスト
リンガー末端感知触子２３を固着し、一方案内板
１９の裏面にリミツトスイツチからなる信号発生
器３２を固着すると共に、信号発生器３２に対向
して作動杆３３をその長手方向に沿つて設けた長
孔３４に通したピン３５で支承し、前記レバー３
１の他端に作動杆３３の先端部を枢支し、更にレ
バー３１をスプリング３６でストリンガー末端感
知触子２３を下方に向つて附勢してある。

上記の案内装置に例えば隠しスライドフアスナ
ー１を供給する場合には、第４図に示す如く、フ
アスナー１をスライダー５で開き、左右のストリ
ンガー４，４を捻回して各エレメント部７を外側
に向け、送行路２１に沿つて送り且つ両エレメン
ト部７を対応する各トラツク２２に挿通してミシ
ン押え１４の溝１３，１３に誘導し、ミシン１１
を駆動して生地９に縫着する。こうして縫着する
間にスライダー５が存在するフアスナー１の末端
部がトラツク２２に近づき、第９図図示の如く末
端部が平面上から見て略Ｖ字状に開いているた
め、スライダー５の部分が進行するに従つて覆板
２８，２８が開き上げられ、左右のストリンガー
４，４の各エレメント部７，７が両トラツク２
２，２２より離脱し、更にスライダー５の部分が
進むと、第１２図図示の如くストリンガー末端感
知触子２３の下を潜り、スプリング３６の附勢力
に抗じて該触子２３を上昇する結果、レバー３１
が傾動して作動杆３３を送行方向に引き付け、信
号発生器３２が作動されて信号を発生するもので
ある。その信号はミシンの駆動を一担停止してか
ら逆動し、縫着の末端処理縫いが行なわれるもの
である。尚、上述したトラツクおよびミシン押え
が普通のスライドフアスナー用のものに置き変え
れば、普通のスライドフアスナーを生地に縫い付
けることが出来る。

（考案の効果） この考案によるスライドフアスナーのミシンへ
の案内装置は、ミシンの縫着ステーシヨンに向う
送行路の両側に左右のストリンガーの各エレメン
ト部を案内するトラツクを設け、両トラツクの互
いに相対向する内側壁を開閉自在に及び弾性手段
で閉鎖する方向に附勢してあり、且つ両トラツク
間にストリンガー末端感知触子を上下動可能に設
け、その触子に上下運動を信号発生器に伝える連
動手段を設けたものであつて、左右のストリンガ
ーはトラツクによつてエレメント部を案内し、ス
トリンガーの末端部に至り、その末端部がスライ
ダーによりＶ字状になつているのでトラツクの内
側壁が押し開かれ、両ストリンガーの各エレメン
ト部が送行するに従つてトラツクより離脱される
もので、その離脱作用が確実となり、縫着ステー
シヨンへの送りに淀みがなく円滑に供給されるも
のである。また前記の離脱とほぼ同時に感知触子
でフアスナーの末端がスライダーによつて感知さ
れ、次工程の信号が発生されるため、末端処理縫
いが自動的に所定位置に確実に行なわれ、縫製の
作業能率を向上し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は隠しスライドフアスナーの一部を示す
斜視図、第２図は一方のストリンガーを生地に縫
着する状態を示す断面図、第３図は生地にフアス
ナーを縫い付けた状態を示す断面図、第４図はこ
の考案によるスライドフアスナーのミシンへの案
内装置を備えた縫製装置を示す斜視図、第５図は
案内装置を示す斜視図、第６図はトラツクの部分
を示す平面図、第７図は第６図−線矢視の断
面図、第８図はトラツクの内側壁が開いた時の状
態を示す断面図、第９図はストリンガーの末端部
付近のエレメント部がトラツクより離脱した時の
状態を示す平面図、第１０図はトラツクのブロツ
クを示す斜視図、第１１図はストリンガー末端感
知触子とその連動手段を示す側面図、第１２図は
ストリンガーの末端を感知した時の状態を示す側
面図である。 １……隠しスライドフアスナー、３……エレメ
ント列、４……ストリンガー、５……スライダ
ー、７……エレメント部、９……生地、１０……
基台、１１……ミシン、１４……ミシン押え、１
５……縫着ステーシヨン、２１……送行路、２２
……トラツク、２３……ストリンガー末端感知触
子、３１……レバー、３２……信号発生器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スライドフアスナーを開きその両ストリンガー
   をミシンの縫着ステーシヨンに案内する送行路中
   に、各ストリンガーのエレメント部を案内するト
   ンネル状をなすトラツクを設け、両トラツクを形
   成する各相対向した内側壁を全長に亘り上下方向
   に開閉すると共に弾性手段で閉鎖方向に附勢して
   あり、且つ両トラツク間にストリンガー末端感知
   触子を上下動自在に設け、該触子にその上下運動
   を信号発生器に伝達する連動手段を備えているこ
   とを特徴とするスライドフアスナーのミシンへの
   案内装置。