JPS6242935Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はきのこの包装容器に関し、一層詳細に
は、気中菌糸の繁殖は抑止されるが、きのこを死
滅させない程度の空気透過性を有し、特に気中菌
糸の発生が多く荷傷みし易い本しめじ類に用いて
好適なきのこの包装容器に関する。

本しめじの包装容器に木箱等のように空気の流
通のよいものを使用すると、収穫後消費者に渡る
までの間に、きのこに寄生している気中菌糸が繁
殖しきのこの表面に白いわた状の物が成長し、食
用には支障がないがかびと間違えられて商品価値
が著しく低下してしまう。

又、発泡プラスチツクを成形して成る皿にきの
こを入れ、皿ときのこ全体をストレツチフイルム
で包むようにしたものもあるが、この場合にも、
気中菌糸の繁殖に充分な空気がストレツチフイル
ムを透過流入するので、前述の場合と同様の結果
となるとともにストレツチフイルムで全体を包む
ため、その包装機械は極めて高価なものであり、
一般には包装の自動化が図りにくい欠点もある。

本しめじ類は気中菌糸の発生が多く、又きのこ
自体も極めてもろいため、仮にその包装容器とし
て気密性の高いプラスチツクシート材を箱状に成
形したものを用い、きのこを詰めた後に容器を密
閉し、気中菌糸の繁殖を抑止した場合には、プラ
スチツクシートは比較的厚いため、密閉されたプ
ラスチツク容器内には空気がほとんど透過流入せ
ず、気中菌糸の繁殖は完全に抑止できるが、きの
こ自体の呼吸作用をも不能となり、きのこは死滅
してしまう。さらにきのこが発する水分によつて
容器内に腐敗菌が繁殖し、荷傷みの進行が著しく
促進され、流通過程における大きな問題となつて
しまう。

本考案は上記問題点に鑑みてなされたものであ
り、本考案の考案者は鋭意、実験および検討を重
ねた結果、プラスチツク容器に通気孔を設け、該
通気孔をポリエテレンフイルムで覆つたものを用
いれば、容器内の気中菌糸の繁殖は抑止できると
ともに、きのこは死滅せず、又きのこから発生す
る蒸気をも容器外へ透過排出することを見い出し
た。

すなわち、本考案の目的とするところは、容器
内のきのこは死滅することがなく、気中菌糸の繁
殖は抑止できる程度の空気が透過流入し、荷傷み
を防止することができるとともに従来普及してい
る自動シール機でのヒートシールが可能となり、
簡単に自動化を図れ、包装の際の作業性が向上す
る、きのこの包装容器を提供するにあり、その特
徴とするところは、通気性のほとんどない密閉容
器に通気孔を設け、該通気孔開放部を覆うべく、
高圧ポリエチレンフイルムと同程度の空気透過性
を有するプラスチツクフイルムを前記密閉容器に
貼着して成るきのこの包装容器にある。

以下、本考案の好適な実施例を添付図面に基づ
いて詳細に説明する。

１はプラスチツクシート材を成形して成る密閉
容器の箱であり、側壁の上端縁は外側に向けて水
平に曲折され鍔２が形成される。

３は箱１と一体に成形される蓋であり、鍔２の
上面に向けて折り返したとき、鍔２の上面に当接
して箱体１の上方を覆い、蓋３を鍔２に溶着して
密閉容器と成る。

４は箱１、蓋３に穿設された通気孔であり、そ
の数と大きさは箱１の容積によつて異なるととも
に、包装され出荷されるときの温度、あるいは包
装されるきのこの種類、水分の含有量等によつて
異なるものである。このため複数個の通気孔４の
一部をミシン目状に穿設しておき（図示せず）、
必要に応じてミシン目に沿つて破り通気孔４を透
孔としてもよい。

５は箱１、蓋３の内壁面に貼着されるプラスチ
ツクフイルムであり、高圧ポリエチレンフイルム
が好適に用いられるが、これに限らず高圧ポリエ
チレンフイルムと同程度の空気透過性を有する他
のプラスチツクフイルムでもよく、又通気孔４の
みを覆うようにして貼着してその作用効果は同じ
である。

本考案は以上の如く構成したので、その使用に
際して、きのこを箱１内に詰め蓋３をして、蓋３
を鍔２に接着すれば容器内は密閉される。

なお、プラスチツクフイルム５が通気孔４部だ
けでなく、鍔２と蓋３の当接面にまで貼着されて
いれば、ヒートシールによつて極めて簡単かつ短
時間で蓋３を鍔２に溶着し密閉することができ
る。

しかして、きのこが詰められ、密閉された箱１
内へは、通気孔４を覆うプラスチツクフイルム５
を透過してのみ微量の空気が流入することとな
り、きのこは死滅せずかつ成長しない程度に呼吸
作用をし、箱詰出荷時の品質を維持するものとな
る。又箱１内への流入空気が微量であるので箱１
内の気中菌糸が繁殖することができず、きのこに
白いわた状の成長物が付着することがない。さら
に、きのこから発生する水蒸気もプラスチツクフ
イルム５を透過して箱１外へ流出し、箱１内には
余分な水分が無く、きのこが死滅しないことと相
俟つて、腐敗菌の繁殖を押え、荷傷みしないよう
になる。

なお、上述の実施例において、箱１と蓋３とを
一体に形成したが、これに限るものでなく、別々
に形成してもよく、又形状も図示するものに限ら
ず適宜形状としてもよい。

このようにして本考案によれば、通気孔にプラ
スチツクフイルムが貼設された箱にきのこを詰め
箱を密閉するので、きのこの荷傷みがなく、品質
の低下を防止し得るとともに、箱の大きさを規格
化して、きのこの箱詰、容器の密閉等の作業の自
動化が容易に図れ包装の際の作業性が向上するな
どの著効を奏するものである。

以上本考案につき好適な実施例を挙げて種々説
明したが、本考案はこの実施例に限定されるもの
ではなく、考案の精神を逸脱しない範囲内で多く
の改変を施し得るのはもちろんのことである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の好適な実施例を示し、第１図は斜
視図、第２図は側面断面図である。 １……箱、２……鍔、３……蓋、４……通気
孔、５……プラスチツクフイルム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 通気性のほとんどない密閉容器に通気孔を設
   け、該通気孔開放部を覆うべく、高圧ポリエチレ
   ンフイルムと同程度の空気透過性を有するプラス
   チツクフイルムを前記密閉容器に貼着して成るき
   のこの包装容器。