JPS624230B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は化粧印刷シートおよびそれを用いた化
粧材に関するものであり、詳しく述べるとシート
表面にグラビヤ印刷機その他の通常の印刷機を用
いて単色又は多色の任意の模様印刷を行つたの
ち、さらに必要に応じてその上に前記模様印刷の
保護を目的とした表面塗膜を施こし、一方シート
裏面には任意の個所に塗料またはインキを凸状に
塗布するか、もしくはさきに施こしたシート表面
の模様印刷の模様の一部または全部に相当する個
所に表面の模様を反転した模様の版を用いてその
必要部分に塗料またはインキを凸状に塗布した化
粧印刷シートおよびこの化粧印刷シートを化粧基
材に貼着してなる化粧材を提供しようとするもの
である。

従来凹凸模様を有する化粧印刷シート或いは化
粧材としては、シートの表面または裏面に加熱発
泡タイプの樹脂またはインキを用いて凹凸模様を
つけたものが知られている。

しかしながら、このような加熱発泡タイプの樹
脂またはインキを用いる場合は、その発泡温度以
上に加熱することが条件となるために、シート基
材や化粧材基材としてはその温度で変形したり、
諸品質が劣化するような材質は使用できないとい
う欠陥があつた。

また得られた化粧印刷シート或いは化粧材の凹
凸模様もその凸部には該模様を形成する塗膜また
はインキ層内に加熱発泡による気泡が生じてお
り、このために表面から荷重がかかると凸部の立
体感の効果が損なわれやすく、また表面からの引
張強度に弱いという欠点があり、従つて化粧印刷
シート或いは化粧材の製造時、運送時さらに施工
時などの取扱いに細心の注意が必要とされてい
る。

これに対して本発明の化粧印刷シートは、表面
に任意の模様印刷を施こしたシートの裏面に表面
の模様の一部に相当する個所に部分的に塗料また
はインキを用いて凸状部を形成させたものであ
り、またこのようなシートの裏面に凸状部を有す
る化粧印刷シートを化粧材としての基材に接着剤
を介して貼着することによつて、前記化粧印刷シ
ート裏面の凸状部が表面に盛上つて凹凸感を現出
した化粧材を得るものであつて、前記シート表面
の模様印刷、あるいはシート裏面に凸状部を与え
るために用いる塗料または印刷インキは従来のよ
うな加熱発泡タイプのものを使用する必要がない
のでその乾燥も高温を要せず、従つて乾燥時に塗
膜内またはインキ層内に気泡が生じるおそれは全
くなく、また化粧基材と前記凸状部を有する化粧
印刷シート裏面を貼着して化粧材を得る際も両者
の貼着に用いる接着剤が乾燥する程度の温度をか
けるだけであるから基材の変形や品質の劣化をき
たす恐れがないのである。またシート裏面に形成
した凸状部の構成からして表面からの荷重対応力
および表面からの引張り対応力は強く、凸状部効
果の著しい化粧材を得ることができるのである。

さらに、本発明の化粧印刷シートにおいては、
化粧表面保護を目的とした塗膜の形成は、シート
表面が平滑な状態で簡単に行ないうるので従来法
のように凸状部を有する表面に均一にしかもその
凸状部の効果を損なわないようにして塗布するた
めの困難さは全くないのである。

以下本発明の詳細をその一実施例を示す図面を
参照して説明する。

本発明でいうシートとは、天然パルプより得ら
れる紙、天然パルプと合成繊維パルプとの混抄
紙、合成繊維パルプよりの紙、ポリオレフイン系
樹脂その他のプラスチツク系合成紙、透明ないし
は不透明のプラスチツクフイルム、不織布、織
布、その他シート類であり、またこれらのうち多
孔質のものについては、それに可撓性のある樹脂
を含浸せしめたものなどが含まれる。そしてこれ
らのシート１の表面にグラビヤ印刷、スクリーン
印刷など公知の方法で単色または多色模様を１液
または２液タイプの塗料またはインキを用いて模
様印刷２したのち、適宜の乾燥を行ない、次いで
前記シート表面に施こした模様印刷２の任意の個
所例えば第１図における模様印刷２のａ，ｂ，
ｃ，ｄの個所に相当したシート裏面に盛上げた凸
状部a′，b′，c′，d′を形成するように塗料または
インキを塗布し、乾燥することによつて本発明の
化粧印刷シートＡを得るのである。

この際一般のシート表面に模様印刷する場合
は、上述の通りであるが、透明な塩化ビニル樹脂
シートなどを用いて裏面に印刷を行なう場合に
は、模様印刷面の上にさらに凸状部を形成するた
めの塗装または印刷を行えばよい。

そして上記のようにして得た表面に模様印刷２
を裏面に表面の模様印刷２の一部に相当する凸状
部を設けた化粧印刷シートＡを化粧材としての基
材３に接着剤層４を介して貼着してやると、前記
化粧印刷シート裏面の凸状部例えばa′，b′，c′，
d′に相等するシート表面の模様部分ａ，ｂ，ｃ，
ｄが逆に凸状になつて現出し、その結果凹凸感の
ある化粧材Ｂが得られるのである。

なお図において５は必要に応じて化粧印刷シー
ト表面に保護として施こした表面保護膜である
が、これは本発明における必須の要件ではない。

本発明は上記のようにして得られるものであ
り、第３図のような木目模様が表面に凹凸として
現出する化粧材が得られるのである。

本発明の化粧材を構成する化粧基材としては、
木材およびその加工品、無機質などからなる板状
体、棒状体のほか、化粧印刷シートと同種のシー
ト或いはゴム、スポンジなどのクツシヨン材が使
用可能である。また凸状部を形成させるのに用い
る合成樹脂塗料としては、塩化ビニル樹脂、アミ
ノアルキツド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂などがあり、またこれらに
インキを配合して用いればよい。

以下本発明を実施例により説明する。

実施例 １ 建材用薄葉紙の表面にグラビヤ印刷機でラツカ
ー系インキを用いて木目模様を３色印刷し、その
上にウレタン樹脂塗料を20ｇ／m²塗布したのち、
この木目模様の秋材部に相当する部分の該薄葉紙
裏面にウレタン樹脂塗料を150μの厚みに凸状に
塗布して120℃で20秒間乾燥し、化粧印刷シート
を得た。

実施例 ２ 合板に接着剤として酢酸ビニル系樹脂を塗布
し、実施例１で得られた化粧印刷シートの裏面を
ラミネーターにより貼合わせ、浮き彫り調の立体
感のある化粧材を得た。

実施例 ３ 透明塩化ビニルシートの裏面に塩化ビニル系樹
脂インキを用いてオフセツト印刷機にて５色の花
柄模様を印刷し、さらに版深400μのグラビヤ版
で塩化ビニル系樹脂インキを花びらのみに同調さ
せて印刷し、花びらの個所が凸状の花柄模様の化
粧印刷シートを得た。

一方壁紙用の80ｇ／m²の厚紙に酢酸ビニル系樹
脂接着剤を塗布し、この接着剤面に上記で得た化
粧印刷シートの裏面を合わせたのち面温度80℃の
ドラム型乾燥機により、貼合体を加熱乾燥させ
て、花びらのみ凸状を呈する花柄模様の壁紙を得
た。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので第１図は
化粧印刷シートの構成を示す一部断面図、第２図
は第１図の化粧印刷シートを基材に貼着した化粧
材の構成を示す一部断面図であり、第３図はその
平面図である。 １…シート、２…模様印刷、３…基材、４…接
着剤層、a′，b′，c′，d′…凸状部、Ａ…化粧印刷
シート、Ｂ…化粧材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シート表面に単色または多色よりなる任意の
   模様印刷を施こし、さらにその上に必要に応じて
   表面塗膜を施こした後、該シートの裏面には表面
   に得られた模様の一部に相当する個所に部分的に
   塗料またはインキを凸状に塗布したことを特徴と
   する化粧印刷シート。 ２ シート表面に単色または多色よりなる任意の
   模様印刷を施こし、さらにその上に必要に応じて
   表面塗膜を施こした後、該シートの裏面には表面
   に得られた模様の一部に相当する個所に部分的に
   塗料またはインキを凸状に塗布してなる化粧印刷
   シートの裏面を化粧基材表面に接着剤を介して貼
   着したことを特徴とする凹凸感を有する化粧材。