JPS6241809Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、印字のある部分のみインクシート
を使うようにした、低ランニングコスト化を可能
にした熱転写記録装置に関する。

第１図に熱転写記録を、多数の発熱体列を有す
るマルチスタイラスライン記録サーマルヘツド
（以下サーマルヘツドと称す）を使つて行なう従
来の装置構成を示す。

ここで、１はインクシートでありソリツドイン
ク層２がベースフイルム３の上に塗布されてい
る。インクシート１のベースフイルム３側にはサ
ーマルヘツド５が、またソリツドインク層２側に
は普通紙４がステツピングモータにより駆動され
るプラテンローラ６により各々圧接されている。
１３は供給ローラ、１４は巻取ローラである。

印字の動作は次のようにして行なう。インクシ
ート１および普通紙４を等速で移動させながら、
サーマルヘツド５の発熱抵抗体７を所定の印字パ
ターンに応じて通電加熱し、加熱部のソリツドイ
ンク層２が普通紙４側に溶融転写される。このよ
うな従来の方法では、普通紙４とインクシート１
とが常に一体化して搬送されるため、インクシー
ト１は印字データに関係なく普通紙４と同一の長
さだけ消費されることとなる。これを避けるに
は、印字データのないラインについては普通紙４
のみを矢印方向にスキツプするのがよいが、ソリ
ツドインク層の溶融転写を行なうものでは、溶融
転写を行つた部分はソリツドインク層２により普
通紙４とベースフイルム３が貼合わされた状態と
なり、その接着力が強いためスキツプできなく、
普通紙４と同一長さのインクシート１を消費する
ことになつていた。この考案は、以上のような従
来のものの欠点を除去するためになされたもので
あり、スキツプ機能の使用を可能にして無駄にイ
ンクシートを消費することのない熱転写記録装置
を与えるものである。

第２図はこの考案の熱転写記録装置の代表的な
一実施例を示す構成図である。ここで、第１図と
同一符号のものは同一又は相当品を示す。８はス
キツプ機能を付加するために追加されたインクシ
ート送りローラ、１１は同じく分離ローラであ
る。サーマルヘツド５はシヤフト９を介してロー
タリソレノイド１０に接続されており、制御信号
によつて与えられる所定時間だけサーマルヘツド
５をプラテンローラ６から分離できるようになつ
ている。

この考案の熱転写記録装置の印字動作は次のよ
うにして行なわれる。印字は、サーマルヘツド５
の発熱抵抗体７へ所定の印字パターンに応じて通
電して加熱し、インクシート１上のソリツドイン
ク層を普通紙１上に溶融転写させて行う。

今、印字の終えたラインの次のラインからＮラ
インだけ印字データのないライン（以下白ライン
と称す）が続く場合のスキツプ動作は次のように
行う。従来の溶融転写では、溶融転写の結果、普
通紙４とインクシート１のベース紙３とがソリツ
ドインク層２により接着されているため普通紙４
のみを白ライン分だけスキツプさせることはでき
ない。

この考案では、（白ラインの長さに関係なく）
インクシートの面に普通紙４とインクシート１の
溶融転写による接着を分離する垂直方向の分離力
が働くようにした分離ローラ１１を設け、これに
よつて発熱抵抗体７の近傍の位置Ｌまで、（ドツ
トライン数Ｋの分に相当する。）普通紙４とイン
クシート１とを共に印字時の搬送方向（以下正方
向と称す。又これと反対方向の送りを逆方向と称
す）に送りその先でインクシート２と普通紙４と
の接着を解除する。

次に、普通紙をインクシートと共に行数Ｎだけ
スキツプする。スキツプ部分は溶融転写をしてい
ないのでインクシート１と普通紙４とは接着して
いない。従つて前記スキツプにより分離ローラ１
１で溶融転写部分の接着を分離したのちは普通紙
とインクシートは独立に移動できる。そこでイン
クシート１をスキツプ前の印字ラインの次ライン
の印字位置にもどす。その方法は次の３つに大別
される。

Ｋ＞（Ｎ＋１）の場合には、インクシートと普
通紙の双方を逆方向に、普通紙４はＫ−（Ｎ＋
１）だけ、インクシート１は（Ｋ−１）ライン分
だけ搬送し次の印字動作を開始する。

Ｋ＝（Ｎ＋１）の場合には、普通紙４はその位
置で待機させ、インクシート１のみを（Ｋ−１）
ライン分逆方向に搬送し、次の印字動作を開始す
る。

Ｋ＜（Ｎ＋１）の場合には、普通紙は正方向に
（Ｎ＋１−Ｋ）だけインクシートは（Ｋ−１）ラ
イン分だけ逆方向に搬送した後次の印字動作を開
始する。

以上の動作は、普通紙の正逆搬送はフリクシヨ
ンローラ１２の追加により、インクシートの逆搬
送はステツピングモータに駆動されるインクシー
トローラ８により各々独立して行なえる。インク
シート１と普通紙４とを互に逆方向に搬送する際
に生じる両者間の摩擦力を弱めるため、ロータリ
ソレノイド１０によりインクシート１と普通紙へ
のサーマルヘツド５の押圧を緩めもしくは解除さ
せる。

この考案の実施にあたつては、次に示すように
多くの変化が可能である。上記のインクシートお
よび普通紙の送り量の関係は最終的な位置関係を
示すものであり、例えば、機構部正逆搬送時のバ
ツクラツシユを避けるため逆方向送り時には一担
オーバランさせた後所定の位置に正方向送りで設
定する方法が極めて有効である。又、インクシー
トの送り量に関してはスキツプ時にＫライン分だ
け送り、（Ｋ−１）ラインだけ逆方向に戻すとし
たが、逆方向送り量に関しては（Ｋ−１）ライン
より小さな値ならインクシートの無駄量を許容す
る場合なら自由に選べる。又、ラインピツチの整
数倍である必要はなく（Ｋ−１）ラインより小さ
な実数なら自由に選んでよい。

第２図のフリクシヨンローラ１２はプラテンロ
ーラ６の位置につける必要はなく、実効的にプラ
テンローラ６が普通紙４の搬送に必要なフリクシ
ヨンを生じる機構、例えばスプリング等で代用し
てもよい。

又、インクシート送りローラ８はプラテンロー
ラ６と供給ローラ１３の間に位置した例を第２図
で示したが、供給ローラ１３のバツクテンシヨン
を強くし、インクシート送りローラ８を緩めると
サーマルヘツド５の位置で普通紙４とインクシー
ト１との間でスリツプできるようにすれば、巻取
ローラ１４の側に設置することもできる。

又、以上の例では単色印字の場合について示し
たが、インクシート上に黄、マゼンタ、シアンの
３色あるいは他の色の組合せからなる複数色のソ
リツドインク層を領域を分けて塗布したインクシ
ートを用いることにより、多色あるいはカラープ
リンタとして使うこともできる。

又、ソリツドインクを塗布するベースフイルム
は特定の材料に限定するものでなくポリエチレン
テレフタレート、ポリエステル、ポリイミド等の
プラスチツクフイルムあるいはコンデンサ紙、薄
葉紙、グラシン紙等の紙を用いてもよい。又、ソ
リツドインク層の一部のみを一度の記録で使う多
数回使用インクシートに対しても同様に適用でき
る。

以上詳述したようにこの発明によれば普通紙の
白地の部分のインクシートの消費をなくすること
ができ、特に計算機用のプリンタとして使用した
時には約1/3程度までインクシートの消費量の節
減を行なうことのできることが確認された。この
ため、従来の熱転写記録の欠点であつたインクシ
ートの使用によるランニングコストが高くなると
いう欠点を除去できる効果を有するものであり、
プリンタだけでなく普通紙記録を要するフアクシ
ミリ等にも用いることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す図、第２図はこの考案の
一実施例を示す図である。ここで、図中の記号は
各々次のものを示す。 １……インクシート、２……ソリツドインク
層、３……ベースフイルム、４……普通紙、５…
…サーマルヘツド、６……プラテンローラ、７…
…発熱抵抗体、８……インクシート送りローラ、
９……シヤフト、１０……ロータリソレノイド、
１１……分離ローラ、１２……フリクシヨンロー
ラ、１３……供給ローラ、１４……巻取ローラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベースフイルム上に形成されたソリツドインク
   層を有するインクシートと、このインクシートの
   ソリツドインク層に接して配置された記録用の普
   通紙と、印刷信号に応じ、ソリツドインク層と逆
   の側面からインクシートを加熱してソリツドイン
   クを熔融し前記普通紙に転写することによつて印
   刷を行うサーマルヘツドと、インクシートの搬送
   路中に設けられ溶融転写によつて接着した普通紙
   とインクシートの接着を分離させる分離ローラ
   と、必要に応じ普通紙とインクシートとをそれぞ
   れ独立又は一体で正方向又は逆方向へ搬送する搬
   送手段と、印刷を連続して行う部分については普
   通紙とインクシートを重ね同方向に同量シフトし
   ながら印刷を行う一方、印刷を行わない部分につ
   いては、インクシートと普通紙とを分離するまで
   の距離をＫドツトラインとすると、印刷を行わな
   い行数をＮとする場合においてＫドツトライン分
   だけ普通紙とインクシートを同一方向（正方向と
   称す）スキツプ搬送した後Ｋ＞（Ｎ＋１）の場合
   には、インクシートと普通紙の双方を印刷時の搬
   送方向と逆方向に搬送し、Ｋ＝（Ｎ＋１）の時は
   インクシートのみを逆方向に搬送し、Ｋ＜（Ｎ＋
   １）の時は普通紙は正方向に（Ｎ＋１−Ｋ）だけ
   インクシートは所定のＫより少ない数だけ逆方向
   に搬送するようにしたことを特徴とする熱転写記
   録装置。