JPS6241655Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は自動車の座席シートのヘツドレスト
や自動車のドア内側に設けられるアームレスト等
の上張り（トリムカバー）の止め具に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

一般に例えば第１図、第２図に示す如くヘツド
レスト１は、まくら状のクツシヨン材からなる本
体２と、この本体２の内部に設けた芯金（図示せ
ず）らが該本体２下側方に長く突出された左右一
対のステイ３，３と、布地や合成皮等より袋状に
縫製されて上記本体２外周に被せられた上張り
（トリムカバー）４とからなり、そして上記左右
両ステイ３，３を図示しないが座席シートの背凭
れ上部に設けた受口に差し込み係合することで全
体が取付けられる構成となつている。

こうしたヘツドレスト１において本体２の外周
に被せた上張り４の下部開口縁部の止め具として
は、従来第１図に示す如きボタン５…や第２図に
示す如きワイヤー６を用いて行なつていた。その
前者の第１図に示すボタン５…を用いる場合は、
上張り４の下部前側開口縁部４ａをこれにステイ
３，３の逃げのための切欠４a′，４a′を形成して
後方へ引き寄せ、その外側（下側）に後側開口縁
部４ｂを重ねるようにして、その重合状態の両縁
部４ａ，４ｂをボタン５…により止め付けてい
る。この為にそのボタン止めが非常に面倒で且つ
確実な止め付けが困難で、仕上り具合が一定せ
ず、開口縁部４ｂが波打つたりボタン５…が見え
たりで体裁もよくない問題があつた。一方後者の
第２図に示すワイヤー６を用いた場合は、上張り
４の下部前側開口縁部４ｃをこれにステイ３，３
の逃げのための切欠４c′，４c′を形成して後方へ
大きく引き寄せ、又折返して縫製することで細長
い袋状とした後側開口縁部４ｄをこれにステイ
３，３の逃げのための切欠４d′，４d′を形成して
上記前側開口縁部４ｃの外側（下側）に重ねるよ
うにして前方へ引張り、その引張つた状態でその
開口縁部４ｄの細長袋状部内に一本の直真なワイ
ヤー６をこれが上記切欠４d′，４d′部でステイ
３，３の前側を通るように挿入して止め付けてい
る。この為に開口縁の止め付けの確実性及びその
仕上り状態の体裁は前者のボタン方式に比し良好
であるが、しかしながら開口縁部４ｄの細長袋状
部内へのワイヤー６の挿入作業が、該縁部４ｄを
引張りながらしかも該ワイヤー６が切欠４d′，４
d′部においてステイ３，３の前側に通るように入
れなければならないので非常に面倒で手間がかか
り、作業者の熟練を要する上に非能率的であつ
た。

〔考案の目的〕

この考案は上記事情に鑑みなされたもので、そ
の目的とする処はヘツドレストやアームレスト等
の本体を覆う上張りの開口縁部の止め付けが誰れ
にでも非常に簡単且つ確実にしかも能率的に体裁
よく行い得るようになる止め具を提供することに
ある。

〔考案の概要〕

この考案はヘツドレストやアームレスト等の本
体外周に被せた上張り開口縁部の折り返し縫製さ
れた細長袋状折返し部内にこの途中の前記各ステ
イと対応して形成された切欠を介して挿入するこ
とで長手方向に亘り取付けられる一本のワイヤー
状又は細長帯板状をなすと共に、本体より突出す
る複数のステイの外径より各々巾狭な口部を有し
て前記ステイに対し弾性的に又は該ステイに形成
したくびれ部を介して係止する複数の略Ｃ形状屈
曲部又は切欠凹部を有した止め具であつて、前記
第２図の長所を活かしてその短所である作業性の
改善を図れるようにしたものである。

〔考案の実施例〕

以下この考案の一実施例を第３図乃至第６図に
より説明する。なお、図中第１図、第２図と同一
構成をなすものは図面の同一個所に同一符号を附
して説明の簡略を図るものとする。ここでヘツド
レスト１の本体２外周を覆う上張り４の下部開口
縁部４ｅ，４ｆは両者とも第５図に示す如くそれ
ぞれ長手方向に亘つて細長く折返し縫製されて袋
状とされ、しかも各々にステイ３，３を逃げる切
欠４e′，４f′が形成されている。そしてその上張
り４の両開口縁部４ｅ，４ｆの細長袋状折返し部
内にこの考案の止め具７がそれぞれ一本づつ該開
口縁部４ｅ，４ｆの折返し縫製する際に予め挿入
されている。この止め具７は第６図に示す如く一
本のワイヤー状のもので、両端方寄り途中２個所
にＣ字状の屈曲部７ａ，７ａがその口部７a′，７
a′を同一方向に向けて形成されている。なお各々
のＣ字状屈曲部７ａ，７ａは内径がステイ３の外
径Ｄと等しい寸法で且つ略円周の４分の３程度に
亘る円弧とされていることで、各口部７a′，７
a′の巾ｌがステイ３の外径Ｄより小さく構成され
ている。

而して、上記止め具７，７は本体２外周に被せ
た上張り４の下部両開口縁部４ｅ，４ｆの細長袋
状折返し部内に予め一本づつ挿入しておき、そし
てその前側の開口縁部４ｅを後方へ引き寄せて、
その切欠４e′，４e′のところでステイ３，３に対
し止め具７のＣ字状屈曲部７ａ，７ａの口部７
a′，７a′を強く押し付けて弾性拡開させて、該屈
曲部７ａ，７ａをステイ３，３外周に嵌合する如
く係止させる。次に後側の開口縁部４ｆを上記前
側の開口縁部４ｅの外側（下側）に重なるように
前方へ引き寄せて、その内部に挿入してある止め
具７を前記同様にしてステイ３，３に係止させ
る。これにて上張り４の前後開口縁部４ｅ，４ｆ
は困難な作業を必要とせずにそれぞれワンタツチ
的に確実に止め付けることができ、しかも止め具
７であるワイヤーが開口縁部の切欠からほとんど
表出せず、又上張り４の前後開口縁部４ｅ，４ｆ
に止め具７の挿入のための切欠を設けなくて済む
ので、非常に体裁の良い仕上がりが得られるよう
になる。

なお、この考案は上記実施例のみに限定される
ことなく、例えば第７図に示す如く一本のワイヤ
ーに巾狭口部８a′を有するあり溝形状の屈曲部８
ａ，８ａを形成してなる構成の止め具８でも上記
同様の効果が得られる。又第８図、第９図に示す
如く一枚の帯状金属板或いは合成樹脂板を用い
て、これにＣ字状或いはあり溝状の切欠凹部９
ａ，９ａを形成した構成の止め具９でもよい。こ
の場合ステイ３の外径Ｄより巾ｌが小さい口部９
a′，９a′が弾性拡開不能の時は該ステイ３に切欠
３ａ，３ａを形成してくびれ部を作り、そのくび
れ部のところから切欠凹部９ａを嵌め込んでステ
イ３の長手方向にずらすことで抜け外れないよう
に係止すればよい。

また、上記実施例では上張りの前後両開口縁部
４ｅ，４ｆ両者に止め具を取付けてそれぞれステ
イ３，３に止め付けたが、互に重複することで内
側となる開口縁部は止め具を設けないで外側の開
口縁部内側に深く引き込んでおくだけでもよい。
又開口縁部に設けたステイ逃げのための切欠４
e′，４f′は単なる切込みでもよい。

更にはこの考案の止め具は上記ヘツドレスト１
以外にもステイ３，３により差し込み式にて取付
けられる例えばアームレスト等の上張り（図示せ
ず）の止め付けにも適用可である。

〔考案の効果〕

この考案は以上詳述した如くなしたから、ヘツ
ドレストやアームレスト等の本体に被せた上張り
の開口縁部の止め付けが熟練者でなくてもワンタ
ツチ的に非常に簡単且つ確実にしかも体裁よくで
きると共に、作業能率の向上によりコストダウン
にも効果的となる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来例を示し、第１図はボタ
ンを用いて上張りを止めたヘツドレストの斜視
図、第２図は一本のワイヤーを用いて上張りを止
めたヘツドレストの斜視図、第３図乃至第６図は
この考案の一実施例を示すもので、第３図はこの
考案の止め具を用いて上張りを止めたヘツドレス
トの斜視図、第４図は同要部の拡大斜視図、第５
図は同要部の断面図、第６図は止め具とステイと
の関係を示す平面図、第７図はこの考案の止め具
の他の実施例を示す平面図、第８図はこの考案の
止め具の更に他の実施例を示す平面図、第９図は
第８図の止め具とステイとの関係を示す部分的斜
視図である。 １……ヘツドレスト、２……本体、３……ステ
イ、３ａ……切欠、４……上張り、４ｅ，４ｆ…
…開口縁部、４e′，４f′……切欠、７，８，９…
…止め具、７ａ，８ａ……屈曲部、９ａ……切欠
凹部、７a′，８a′，９a′……巾狭口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ヘツドレストやアームレスト等の本体外周に被
   せた袋状の上張りの開口縁部を該本体より突出し
   た複数本のステイに対して止め付ける止め具にお
   いて、前記上張り開口縁部の折り返し縫製された
   細長袋状折返し部内にこの途中の前記各ステイと
   対応して形成された切欠を介して挿入することで
   長手方向に亘つて取付けられる一本のワイヤー状
   又は細長帯板状をなすと共に、前記ステーの外径
   より幅狭な口部を有して前記各ステイに対し弾性
   的に又は該ステイに形成したくびれ部を介して係
   止する複数の略Ｃ形状の屈曲部又は切欠凹部を有
   したことを特徴とするヘツドレスト等の上張り止
   め具。