JPS624161Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はスパイク付靴底に関する。

従来の合成樹脂製スパイク付靴底（サツカーシ
ユーズ、野球用スパイクシユーズ）は靴底にスパ
イクを一体に成形すると共に踏付足部及び踵部の
肉厚を厚くして補強し、これによつて捩れ及び曲
げ剛性を高めると共にスパイクを固定する基板と
している。

而しながら上述の構成の靴底に置いては、比較
的軟質（剛性が低い）な合成樹脂を用いて一体成
形している為、他の部と比べて特に強固にしたい
部分である踏付足部及び踵部の肉厚部分まで軟質
樹脂によつて形成されるので靴底自体の剛性が低
く成りがちである。又、ランニングの際などにス
パイクに外力が加わるとスパイクの付根部周縁に
は局部的に集中荷重が掛かる。

而して、この部分は上述のごとく軟質な樹脂で
出来ている為撓んでしまいスパイクを十分に保持
出来ず、従つて力強く地面を蹴ることが出来な
い。さらに地面と強く擦れ合う踵部後端及び爪先
部が早く摩耗していた。

尚、剛性や耐摩耗性を高める為に硬質樹脂（剛
性が高く固いが重い）を用いて一体成形すると重
量が嵩み、靴底としては致命的な欠点となる。

そこで本考案はスパイク付靴底の剛性や耐摩耗
性を必要とする部分、例えばスパイクが突設する
踏付足部及び踵部に靴底やスパイクより剛性の高
い材料を用いて補強し、これによつて従来の同一
樹脂を用いた一体成形靴底の欠点である剛性や耐
摩耗性不足を解消し、さらにスパイクを靴底に強
固に固定させ、地面をより確実に蹴ることが出来
る様にしたものである。

以上の目的を達成する本考案のスパイク付靴底
における補強板本体は合成樹脂製スパイク付靴底
本体より剛性の高い材料を用いて平面略靴底形状
に形成し、更にスパイクの貫通穴を適宜対応する
部分に開設し、且つ上面に多数の食い込み脚部を
突設させたものであり、該補強板本体を上記合成
樹脂製スパイク付靴底本体の底面に貫通穴を介し
て固着したことを要旨とする。

本考案の一実施例を図面に基づいて説明する
と、 運動靴は、胛被Ａとスパイク付靴底Ｂとからな
り、その胛皮Ａは布地、合成樹脂皮革等で縫製す
るものである。又スパイク付靴底Ｂは、合成樹脂
製スパイク付靴底本体b₁と補強板本体b₂とより構
成せしめる。更に該合成樹脂製スパイク付靴底本
体は靴底基板b₁′とスパイク脚部b₁″とを一体に成
形するものとし、その靴底基板の下面には踏付足
部６と、土踏まず部の間に靴巾方向に伸びる屈曲
溝b₁を数本並設する。又、靴底基板b₁′の上面
は、胛皮Ａの底面部と適合するように断面湾曲状
に成形する。且つ又スパイク脚部b₁″の形状は略
円錐台形状として、前半部の周縁に沿つて馬蹄形
に８本連接し、さらにその馬蹄形の中心部に１本
突設させる。又踵部７には４本のスパイク脚部
b₁″を並設する。

補強板本体b₂は、上述の合成樹脂製スパイク付
靴底本体b₁より硬質（剛性の高い）な材料、例え
ば硬質ウレタン樹脂を用いて形成し、合成樹脂製
スパイク付靴底本体b₁の爪先部８から踏付足部６
までを被う前補強板b₂′と、踏付足部６から踵部
７までを被う後補強板b₂″とに分割する（第４
図）。

前補強板b₂″は、屈曲溝b₁より前方の周縁部
を被う様に平面略馬蹄形を呈し、前半分周縁に沿
つて連設する８本のスパイク脚部b₁″のうち、屈
曲溝b₁より前の６本が貫通する貫通穴３を穿設
すると共に上面外周縁部及び上記貫通穴３の周縁
部に、合成樹脂製スパイク付靴底本体b₁に食い込
んで接合性を高める食い込み脚部５を多数立設す
る。又、本実施例の場合貫通穴３の周縁部に突設
する食い込み脚部５を他のものに比べて長くして
いる。

後補強板b₂″は屈曲溝b₁から後方を被う形状
として屈曲溝b₁の後方に突設する２本のスパイ
ク脚部b₁″と踵部７の４本のスパイク脚部b₁″が貫
通する貫通穴３を穿設すると共に土踏まず部に肉
抜き穴１２を開設し、且つ、後補強板b₂″の上面
の外周及び貫通穴３の周縁部に食い込み脚部５を
前補強板b₂′の場合と同様に立設させ、前補強板
b₂′と共に合成樹脂製スパイク付靴底本体b₁の強
度的要所を補強する様に所定の位置に固着する。

尚、実際に合成樹脂製スパイク付靴底本体b₁を
製作する際には、前、後補強板b₂′，b²″を予め靴
底型内にセツトし、さらに完成した胛皮Ａを合成
樹脂製スパイク付靴底本体b₁の肉厚分だけ上方に
浮かせて固定した後に樹脂を型内に流し込む方法
で製作するか又は、前、後補強板b₂′，b₂″を予め
靴底型内にセツトし、さらにダミーモールドを合
成樹脂製スパイク付靴底本体b₁の肉厚分だけ上方
に浮かせて固定した後に樹脂を型内に流し込む方
法で製作するので、合成樹脂製スパイク付靴底本
体b₁に食い込み脚部５嵌合する穴を穿けたり、前
後補強板b₂′，b₂″の固着に接着剤を使用する必要
はない。

本実施例の場合、補強板本体b₂を前後補強板
b₂′と後補強板b₂″に二分割してその間に屈曲溝b₁
を設け、この部分で合成樹脂製スパイク付靴底
本体b₁を積極的に屈曲させて靴の運動性を高めて
いる。又、後補強板b₂″の肉抜き穴１２も上述の
理由をもつて開設したものであるが、肉抜き穴１
２の両側に連結部１３を残し、靴底として必要な
剛性を保たせている。

上述の実施例は補強板本体b₂を２枚に分割しそ
の間に屈曲溝を設けたものであるが、この構成
は、靴に要求される条件や特性に応じて変わるも
のであり、１枚ものとして（第８図）、（第９
図）、若しくは３枚以上（図示せず）に分割する
のも任意である。又、スパイク脚部b₁″及び屈曲
溝b₁も上述の理由によつて設けられる位置や数
が変わるものである。

次に合成樹脂製スパイク付靴底本体b₁と補強板
本体b₂との作用について説明すると、第６図は補
強板本体b₂を貼設した合成樹脂製スパイク付靴底
本体b₁の断面を簡略化して示したものである。こ
の靴底本体をランニング時などに相定して第７図
の様に変形させると、中立面Ｎから上の部分は圧
縮され、下の部分は伸びることになり、而も合成
樹脂製スパイク付靴底本体b₁の表面及び裏面に近
づくほどその変形量が増す。これは表面及び裏面
に近づくほど大きな力を受けていること示し、本
考案の合成樹脂製スパイク付靴底本体b₁はこの最
も力の掛かる部分に剛性の高い補強板本体b₂を固
着して効率良く剛性を高めている。又、その靴底
本体b₁の上面側は胛皮Ａの中底を接着するのでこ
れが補強部材として働くので新たに補強板本体b₂
を設ける必要は無い。

そして補強板本体b₂は、スパイク脚部b₁″の付
根部の周縁を被覆し、さらに貫通穴３周縁に突設
する突起物５を建築物の基礎に使用するくいの如
く比較的軟質な合成樹脂製スパイク付靴底本体b₁
に食い込ませてその付近を強固なものとし、スパ
イク脚部b₁″を確実に固定する。従つて食い込み
脚部５は、その作用目的に対応して、第５図、第
１０図に示す様に長さや、太さを変化させて効果
を高めるものである。

尚、本考案の補強板本体b₂に用いた剛性の高い
材質とは、変形に抵抗する性質の他に耐摩耗性を
含むものである。

本考案のスパイク付靴底を用いたスパイク付運
動靴は以上の如き構成としたものであるから、靴
底に固着した補強板によつて従来の一体成形靴底
が有していた剛性不足を解消出来る。

又、スパイクの付根周縁を補強板にて被うこと
と、その補強板の固着面に突設する食い込み脚部
を付根周縁部周辺に埋没することの相乗効果によ
つて付根部を強固なものとしてスパイクを確実に
固定し、力強いフツトワークを可能にする。

さらに地面と擦れ合うことが多い踵部や爪先部
なども硬質な補強板で被つているので摩耗が少な
くなり、従つて耐久性の高いスパイク付靴底を提
供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は本考
案の靴底を示す斜視図、第２図は第１図のＹ−Ｙ
線断面図、第３図は第１図のＸ−Ｘ線断面図、第
４図は補強板本体を示す斜視図、第５図は補強板
本体の貼設面を示す斜視図、第６図、第７図は靴
底断面を簡略化して示す作用図、第８図、第９図
は１枚（単体）形成した補強板本体を示す斜視
図、第１０図は食い込み脚部を太くした実施例を
示す斜視図である、第１１図は従来の一体成形靴
底を示す斜視図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 補強板本体を合成樹脂製スパイク付靴底本体よ
   り剛性の高い材料を用いて平面略靴底形状に形成
   すると共に、スパイク貫通穴を開設し、且つ上面
   に多数の食い込み脚部を突設させて補強板本体を
   構成せしめ、該補強板本体の貫通穴に合成樹脂製
   スパイク付靴底本体下面のスパイク脚部を貫挿し
   固着して成るスパイク付靴底。