JPS6241613Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は容器、特にペンシルケース等に適用し
て、最も実用的効果を発揮し得る容器の改良に関
する。

例えば筆記具ケース等についてもこれまで数多
くの製品が市販されているが、そのうち金属製の
ものにあつてはそのほとんどが容器本体とこれに
被嵌すべき蓋体とから成り、一側を支点として他
側を開閉自在とし且つ開閉部に係合突起を設けて
構成されている。

即ち、容器本体に対して蓋体を被嵌する構造と
なつているところから必然的に容器本体よりもひ
とまわり大きな開口面積を有する蓋体を使用しな
ければならないために蓋体の大きさの割には容器
本体の内容積が小さくなるという欠点を有してい
た。

またさらに金属板を使用する場合には使用上の
安全性並びに強度保持の観点から蓋体の開口部フ
ランジを外方にカールさせているためにこの傾向
は著しく、蓋体の長さおよび幅方向の寸法と容器
本体のそれとの間には可成りの寸法差があつたこ
とはいうまでもない。

本考案はかかる現状に鑑み、容器内の実質有効
面積の増大をはかるとともに外観上においても、
よりシンプルな審美的形状を施したものであり、
具体的には、周縁に立ち上がり部を有する上下一
対の蓋体の両立ち上がり部を相互に突き合わせて
開閉自在とした金属製容器において、上蓋の前側
立ち上がり部から係合舌片を延設し、少なくとも
背面側を除いた周縁の立ち上がり部およびこれに
連なる上記係合舌片の端縁を内側にカールさせる
とともに、下蓋の前側立ち上がり部であつて上記
上蓋の係合舌片に対応する位置に上記係合舌片を
受容する凹陥部を形成し、この凹陥部に上記係合
舌片の内カール部と係合可能な係合突起を突設さ
せ、さらに少なくとも背面側を除いた周縁の立ち
上がり部およびこれに連なる上記凹陥部の端縁を
内側にカールさせてなることを特徴とする金属製
容器に関するものである。

以下において本考案の具体的な内容を図示の一
実施例をもとに説明すると、１は下蓋体、２はそ
の立ち上がり部、３はカール部、４は前側立ち上
がり部に設けられた凹陥部であつてその上部には
凹陥カール部３ａを有する。さらに５は係合突
起、６は上蓋体、７はその立ち上がり部、７ａは
上蓋体６の前側立ち上がり部から延設された係合
舌片、８はカール部、８ａは弧状カール部であつ
て、背面側を除く係合舌片を含んだ開口端縁を内
側にカールさせている。９は上下蓋体の背面側を
支点とし、前側（係合舌片７ａ側）を開閉自在と
するための蝶番部である。下蓋体１の長さおよび
幅方向寸法は上蓋体６のそれと全く同様であり、
従つて両者の開口部面積も略一致するものとし、
その前側立ち上がり部であつて上記上蓋体６の係
合舌片７ａに対応する位置には、該係合舌片を受
容する凹陥部４が形成され、しかも該凹陥部４に
は係合突起５が設けられている。また両者の立ち
上がり部２および７から連設されたカール部３お
よび８についても同一方向、すなわち容器の内方
に突出して相互に対向するように設けられてい
る。そして上下蓋体６および１は、その背面側を
相互に回動自在に蝶番部９により連結され、また
前側は開閉自在となつており、さらに閉塞する場
合には下蓋体１の凹陥部４に上蓋体６の係合舌片
７ａが合致し、しかもこの場合係合突起５に係合
舌片７ａの弧状カール部８ａが多少のクリアラン
スをもつて係合する構造となつている。

本考案は上記した構成よりなるものであるか
ら、上下蓋体の外形寸法が同一であるために内容
積が従来に比して大きくとることができるほか、
上下蓋体は凹陥部４に突設した係合突起５と係合
舌片７ａの端縁である内カール部８ａで係合させ
ると共に凹陥部４内に係合舌片７ａを受容させて
表面を面一となるようにしたために外方部の突出
部がなく、従つて容器の多量にわたる運搬に際し
ても他の容器の損傷を防止できると共に空間的な
無駄がなく、さらに上下蓋体共に同一部材を使用
することができ、また正面或いは側面方向におい
ても略平滑な形状であるところから金属特有のデ
ザイン印刷性に優れた特徴を生かし、気品のある
より上等の価値を有するところの容器を得ること
ができる。

また本考案品は必ずしも第１図に示すように上
蓋体６を上方にせずとも、逆にして使用すること
も可能であるから使用する人の好みに応じて任意
に使い分けもできるという利点もある。

さらに第５図は本考案の別の実施例を示し、こ
の場合には上蓋体６の一部に透し窓Ｈを設け、さ
らに該部分に略一致して嵌合しうる透明板１０を
圧入嵌合させたものであつて、このようにすれば
内容物を容易に視認できるばかりでなく、窓の存
在如何によりペンシルケースの上下方向を容易に
認識できるので使用上きわめて至便であること、
さらにかかる透し窓を上蓋体６のみならず下蓋体
１にも同様に設けるようにすれば他の金属板部に
施した印刷効果と相俟つて審美的効果が一層向上
するばかりでなく、いずれを上方にしてもよい等
使用者の好みに応じて種々の使い分けが可能とな
る等種々の有益な効果を奏する。尚、上記は本考
案をペンシルケースに応用した場合の実施例につ
き説明したが必ずしもこれに限定されるものでは
なく、本考案の趣旨の範囲内において適宜設計変
更を施したうえ、広く多用途の容器にこれを応用
することが可能であることはいうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例であるペンシルケー
スの全体斜視図、第２図は一部を切欠した状態の
正面図、第３図は第２図Ａ−Ａ線矢視方向におけ
る断面図、第４図は上蓋体の係合舌片部分のみを
拡大した部分斜視図、第５図は本考案の別の実施
例であるペンシルケースの全体斜視図をそれぞれ
示す。 １……下蓋体、２……立ち上がり部、３……カ
ール部、４……凹陥部、６……上蓋体、７……立
ち上がり部、７ａ……係合舌片、８……カール
部、９……蝶番部、Ｈ……透し窓、１０……透明
板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周縁に立ち上がり部を有する上下一対の蓋体の
   両立ち上がり部を相互に突き合わせてその背面側
   を支点とし前側を開閉自在とした金属製容器にお
   いて、上蓋の前側立ち上がり部から係合舌片を延
   設し、少なくとも背面側を除いた周縁の立ち上が
   り部およびこれに連なる上記係合舌片の端縁を内
   側にカールさせるとともに、下蓋の前側立ち上が
   り部であつて上記上蓋の係合舌片に対応する位置
   に上記係合舌片を受容する凹陥部を形成し、この
   凹陥部に上記係合舌片の内カール部と係合可能な
   係合突起を突設させ、さらに少なくとも背面側を
   除いた周縁の立ち上がり部およびこれに連なる上
   記凹陥部の端縁を内側にカールさせてなることを
   特徴とする金属製容器。