JPS6239693Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は乗用車等の車両に適したシートベル
ト用バツクルに係り、特にスライド式のシートベ
ルト用バツクルに関する。

一般に、乗用車等の車両に取付けられるシート
ベルト用バツクルはロツクが確実であり、かつ小
さな押圧力でロツク状態を解除するようにしたも
のが望まれている。

従来、この種のシートベルト用バツクルはプツ
シユ式のものが多く、プツシユボタンを押圧操作
することにより、タングを解放させるようになつ
ている。このバツクルは小型化かつ薄肉化が図れ
るという特徴がある。

しかしながら、衝突事故等でシートベルトに荷
重が付加された場合、従来のプツシユ式バツクル
ではプツシユボタンを押圧操作することができな
かつたり、また、プツシユボタンを押圧してもタ
ングを解放することができないという欠点があつ
た。

この考案は上述した点を考慮し、タングを確実
にロツクするとともに小さな操作力で容易に解放
し、小型化、薄肉化を図ることができるシートベ
ルト用バツクルを提供することを目的とする。

以下、この考案に係るシートベルト用バツクル
について添付図面を参照して説明する。

第１図はこの発明のスライド式シートベルト用
バツクルの分解斜視図を示し、図中符号１０はシ
ートベルト用バツクルのバツクル本体である。バ
ツクル本体１０はプレート状基板１１と、この基
板１１に装着されるラツチ装置１２およびリンク
プレート１３を有する。ラツチ装置１２はラツチ
プレート１４と、ラツチプレート１４の後端部に
係合する押圧スライダ１５と、この押圧スライダ
１５を前方にばね付勢する押圧スプリング１６と
から構成される。また、バツクル本体１０は上カ
バー１７および下カバー１８により覆われ、内部
に収容される。カバー１７および１８はプラスチ
ツク樹脂等の樹脂材料を成型加工することにより
形成される。

一方、符号２０はバツクル本体１０に出し入れ
可能にロツクされるタングを示す。このタング２
０はシートベルト（ウエビング）取付用開口２１
とタング係止用開口２２とを有する。シートベル
ト取付用開口２１には図示しないシートベルトの
一端部が装着される。また、タング係止用開口２
２はラツチプレート１４の係止舌片２３と係合可
能となつており、タング２０の挿入時、上記係止
舌片２３が係止用開口２２に係合してタング２０
をロツクするようになつている。

また、バツクル本体１０は第２図に示す構成を
有する。基板１１は両側が切り起され、側板２４
ａ，２４ｂが形成される。両側板２４ａ，２４ｂ
の対応位置にほぼ扇形にくりぬかれた取付孔２５
が形成され、この取付孔２５にラツチプレート１
４が介装され、揺動自在に支持される。ラツチプ
レート１４は後部に一対の爪体２６を有する。基
板１１は長手方向に延びる一対のガイド溝２７を
有し、このガイド溝２７に押圧スライダ１５が摺
動自在に係合される。この押圧スライダ１５の後
方に押圧スプリング１６が介装され、この押圧ス
プリング１６によりスライダ１５は前方にばね付
勢される。押圧スプリング１６の後端部はリンク
プレート１３の中間連絡部２８のばね受けに支持
される。

リンクプレート１３は中間連絡部２８と、この
中間連絡部２８の両端部から前方に延びる波状ば
ね部２９と、このばね部２９の自由端側で接続さ
れた側方プレート部３０とを有する。側方プレー
ト部は外方に突出するトラニオン軸３１を中央部
に有し、このトラニオン軸３１が側板２４ａ，２
４ｂの軸受孔３２に軸装される。前記側方プレー
ト部３０の前端にはラツチプレート１４の後端と
噛合する係合溝３３が、またトラニオン軸３１の
後方には内側に突出する係合突起３４がそれぞれ
形成されている。しかして、リンクプレート１３
のばね部２９は、係合溝３３を介してラツチプレ
ート１４の後部を基板１１側に押圧しており、基
板１１とラツチプレート１４との間で挿入される
タング２０を挟みつけている。タング２０が所定
位置まで挿入されると、タング２０の係止用開口
２２内にラツチプレート１４の係止舌片２３が係
合し、タング２０をロツクする。係止舌片２３は
ラツチプレート１４より基板１１側に突出してい
る。

基板１１の後部にはシートベルト（ウエビン
グ）取付用開口３５が形成される一方、その両側
板２４ａ，ｂ後方には係合フツク３６が形成さ
れ、この係合フツク３５に作動プレート３７の基
部が介装され、支持される。作動プレート３７は
第１図に示すように全体としてほぼコ字状をな
し、基部の両端部より前方に突出片３８が突出し
ている。また、作動プレート３８の基部は中央部
から分岐されて側方に延びるばね片３９を有し、
このばね片３９により、作動プレート３７は突出
片３８が基板１１から離れる方向に常時ばね付勢
される。

作動プレート３７の突出片３８はリンクプレー
ト１３の係合突起３４に係合可能な接触部を中間
に有する一方、その自由端部はなめらかに折曲さ
れ、この折曲部にスライドボタン４０のテーパ面
４１が係合可能になつている。

スライドボタン４０は上カバー１７内に摺動自
在に収容され、押圧スプリング４２により前方に
ばね付勢される。押圧スプリング４２はスライド
ボタン４０後部のばね受孔４３とばね受座４４と
の間に介装される。ばね受座４４は上カバー１７
の内部所定位置に装着される。スライドボタン４
０の前方への飛び出しは、ストツパ４５により規
制される。

スライドボタン４０のテーパ面４１は、第３図
に示すように、スライドボタン４０の挿入側が基
板１１から順次離れる方向に傾斜しており、上記
テーパ面４１は傾斜角度αの大きな第１テーパ部
と傾斜角度βの小さい第２テーパ部とを有する。
このように、スライドボタン４０のテーパ面４１
は２段階（３段階以上であつてもよい。）に傾斜
しており、その挿入先端側に向つて大きな傾斜角
度を順次有するようになつている。スライドボタ
ン４０は最初に第１テーパ部４１ａが作動プレー
ト３７の突出片３８に係合し、続いて第２テーパ
部４１ｂが係合するようになつている。第２テー
パ部４１ｂが作動プレート３７と係合するとき、
作動プレート３７の突出片３８の中間部がリンク
プレート１３の係合突起３４に係合し、この係合
突起３４をばね部２９のばね力に抗して押圧する
ようになつている。

次に、この考案の作用について説明する。

第４図に示すように、シートベルト用バツクル
の基板１１とラツチプレートとの間にタング２０
を挿入する。このタング２０の挿入により、タン
グ２０先端が押圧スライダ１５の前方突出面１５
ａと係合し、このスライダ１５を押圧スプリング
１６のばね力に抗して後方に押圧する。

押圧スライダ１５が所定位置（ロツク位置）ま
で押圧されると、ラツチプレート１４の爪体２６
と押圧スライダ１５の係合面１５ｂとの係合が解
除され、ラツチプレート１４は支点Ａを中心にし
て時計方向に回動せしめられ、第５図に示すロツ
ク状態に入る。ラツチプレート１４の支点Ａ回り
の回動はリンクプレート１３のばね部２９のばね
力により行なわれる。

前記ラツチプレート１４の回動により、その後
部は基板１１側に押圧され、ラツチプレート１４
の係止舌片２３がタング２０の係止用開口２２に
係合する。これにより、タング２０の飛び出しが
規制され、タング２０はバツクル本体１０にロツ
クされる。このロツク状態時には、押圧スライダ
１５は後退位置に保たれ、リンクプレート１３は
第４図に示す位置から反時計方向に回動して第５
図に示す位置に保たれ、リンクプレート１３の係
合突起３４は基板１１から離れた位置（第５図に
おいて上方位置）に保たれる。

このロツク状態からタング２０を解放する場合
には、スライドボタン４０を操作する。第５図に
おいて、スライドボタン４０を矢印Ｂの方向にス
ライドさせると、テーパ面４１は作動プレート３
７の突出片３８の自由端部に係合する。テーパ面
４１は初めに傾斜角度の大きな第１テーパ部４１
ａが突出片に係合して、この突出片３８を作動プ
レート３７の基部回りの反時計方向（第５図参
照）に大きく回動させる。この状態でさらにスラ
イドボタン４０のスライド操作を続けると、作動
プレート３７はリンクプレート１３の係合突起３
４に係合するようになる。このとき、作動プレー
ト３７の突出片３８にはテーパ面４１の第２テー
パ部が係合するようになる。スライドボタン４０
をさらに摺動させると、第２テーパ部のくさび作
用および作動プレート３７のてこの作用により、
リンクプレート１３はそのばね部２９のばね力に
抗して時計方向に回動され、第６図に示す状態ま
で持ち来たされる。

リンクプレート１３が、第６図に示す状態に入
ると、その係合溝３３がラツチプレート１４の後
部を押上げる。この押上げにより、ラツチプレー
ト１４の爪体２６と押圧スライダ１５との係合が
解除されるとともに、ラツチプレート１４の係止
舌片２３とタング２０の係止用開口２２との係合
が解除される。このため、押圧スライダ１５は押
圧スプリング１６のばね作用で前進し、押圧スラ
イダ１５の係合面１５ａはタング２０の後部を前
方に押圧する。これにより、タング２０はバツク
ル本体１０から飛び出し、タング２０のロツク状
態が解放される。

この解放状態でスライドボタン４０から手を離
すと、スライドボタン４０は押圧スプリング４２
のばね作用で原位置に復帰し、第４図に示される
状態に戻る。

なお、この考案の一実施例の説明においては、
カバーを二分割構造とし、内部にバツクル本体を
収容する例について説明したが、必ずしも下カバ
ーを必要としない。バツクル本体の基板底面に、
化粧材を直接装着しても、樹脂加工により樹脂材
を一体的に付着させるようにしてもよい。

以上に述べたようにこの考案に係るシートベル
ト用バツクルにおいては、スライドボタンのテー
パ面のくさび作用と、作動プレートのてこの作用
との両方を利用することによりリンクプレートを
介してタングのロツク状態を解放するようにした
から、スライドボタンを小さな操作力でスライド
させるだけで、タングを確実に解放することがで
きる。また、バツクル内に挿入されたタングはそ
の係止用開口内にラツチプレートの係合舌片が確
実に係合するとともに、ラツチプレートはリンク
プレートのばね力および押圧スライダの押圧力を
受けてその係合状態にサポートされるので、タン
グは確実にロツク状態に保持される。

また、シートベルト用バツクルをスライド式と
しても、スライドボタンは、従来のプツシユ式の
シートベルト用バツクルのデツトスペースを有効
に利用してスライドさせることができるので、ス
ライドボタンをスライドさせるために新しいスペ
ースを必要としない。このため、シートベルト用
バツクルの小型・薄肉化を図ることができる等の
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るスライド式のシートベ
ルト用バツクルの一実施例を示す分解斜視図、第
２図は上記シートベルト用バツクルに組み込まれ
るバツクル本体の分解斜視図、第３図は上記シー
トベルト用バツクルに組み込まれるスライドボタ
ンの断面図、第４図はこの考案のシートベルト用
バツクルにタングを挿入する前の状態を示す図、
第５図はシートベルト用バツクルのロツク状態を
示す図、第６図はシートベルト用バツクルのタン
グ解放状態を示す図である。 １０……バツクル本体、１１……基板、１２…
…ラツチ装置、１３……リンクプレート、１４…
…ラツチプレート、１５……押圧スライダ、１６
……押圧スプリング、１７，１８……カバー、２
０……タング、２２……タング係止用開口、２３
……係止舌片、２４ａ，２４ｂ……側板、２５…
…取付孔、２９……ばね部、３１……トラニオン
部、３３……係合溝、３４……係合突起、３６…
…係合フツク、３７……作動プレート、３８……
突出片、３９……ばね片、４０……スライドボタ
ン、４１……テーパ面、４１ａ……第１テーパ
部、４１ｂ……第２テーパ部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 係止用開口を有するタングと；プレート状の
   基板と；この基板に装着され、上記タングの係
   止用開口と係合可能な係止舌片を形成したラツ
   チプレートを有するラツチ装置と；前記基板の
   両側板に支持されたトラニオン軸と；このトラ
   ニオン軸前方に形成され、ラツチプレートの後
   端を噛合する係合溝と、トラニオン軸より後方
   に形成されて内方に突出する係合突起と、上記
   ラツチプレートを基板側に押圧するばね部とを
   有するリンクプレートと；前記基板の両側板に
   弾性支持され、リングプレートの係合突起と係
   合する作動プレートと、この作動プレートの両
   側突出端部と係合可能なテーパ面を有し、常時
   前方にばね付勢されたスライドボタンと；この
   スライドボタンをスライド自在に収容する一
   方、前記基板に装着されるカバーとを有し、上
   記スライドボタンをばね力に抗して摺動させる
   ことにより、そのテーパ面が作動プレートを基
   板側に押圧し、リングプレートを介してラツチ
   装置を解放させるようにしたことを特徴とする
   シートベルト用バツクル。 ２ 作動プレートはコ字状をなし、その基部が基
   板の両側板に形成された係合フツクに装着され
   るとともに、作動プレートは基部の両端部から
   前方に突出する突出片を有し、上記突出片の自
   由端部がスライドボタンのテーパ面と、突出片
   の中間部がリンクプレートの係合突起とそれぞ
   れ係合可能に構成された実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のシートベルト用バツクル。 ３ 作動プレートの基部は、その中央部から分岐
   されて側方に延びるばね片を有し、このばね片
   により、作動プレートの突出片が基板から離れ
   る方向にばね付勢されている実用新案登録請求
   の範囲第２項記載のシートベルト用バツクル。 ４ スライドボタンのテーパ面は挿入方向側が基
   板から離れる方向に傾斜しており、上記テーパ
   面の傾斜度は挿入方向側が大きくなるように形
   成された実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   シートベルト用バツクル。 ５ スライドボタンのテーパ面は挿入方向側の第
   １テーパ部とこれに続く第２テーパ部とからな
   り、第１テーパ部は第２テーパ部より大きな傾
   斜度を有する実用新案登録請求の範囲第４項記
   載のシートベルト用バツクル。 ６ ラツチ装置はラツチプレートと、タングの挿
   入端と係合可能な押圧スライダを前方にばね付
   勢する押圧スプリングとを有する実用新案登録
   請求の範囲第１項記載のシートベルト用バツク
   ル。