JPH0122502Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は車両緊急時の乗員保護用シートベルト
装置に用いられるバツクル装置に関する。

〔従来技術〕

一般的バツクル装置では、乗員拘束用ウエビン
グの端部に固着されたタングプレートがバツクル
ボデイに挿入され、バツクルボデイ内のロツクレ
バーがタングプレートの開口部に係合してタング
プレートの抜出しが阻止され、乗員はウエビング
装着状態となるように構成されている。

また乗員がウエビングの装着を解除する場合に
は、バツクルボデイに設けられたレリーズ用ボタ
ンを押圧することにより、ロツクレバーをタング
プレートの開口から離脱させてタングプレートの
抜出しを可能とする。

これに対し、ロツクレバーの背後へロツクピン
を設けてタングプレートのロツク力を支持する間
接ロツク方式にあつては、ロツクを解除するとき
レリーズボタンを押すと、このロツクピンが外れ
る構造となつている。

ところがこのような従来のバツクル装置だと、
レリーズボタンの操作方向とロツクピンの解除方
向が同じであるため、ロツクレバーにロツクピン
の逃げを形成しなければならず、これがロツクレ
バーの形状を複雑にしている。

また、各種のバツクル装置では、操作性を考慮
してレリーズ時の操作力を小さくすることが考え
られている。

しかし、上述の一般的なバツクル装置にあつて
は、レリーズボタンの操作により直接ロツクレバ
ーをタングプレートとの係合を解く位置に揺動す
る構成であるため、レリーズ時の操作力を小さく
するためには、タングプレートのロツク力を小さ
くしなければならず、実際にはレリーズ時の操作
力を小さくすることができない。

一方、上述の間接ロツク方式のものにあつて
は、タングプレートのロツク状態でロツクレバー
がロツクピンによつて固定されるので、タングプ
レートのロツク状態でロツクレバーをタングプレ
ートとの係合を解く方向にばね等により付勢すれ
ば、タングプレートのロツク力とは無関係にレリ
ーズ時の操作力を小さくすることができる。しか
し、別途ばね等の付勢手段を設けたのでは、コス
ト高となる。

〔考案の目的〕

本考案はこの問題を解決するためになされたも
ので、その目的は前述のロツクピンをレリーズボ
タンの操作方向と逆方向に移動できるバツクル装
置を提供してロツクレバーの形状を簡単にすると
ともに、別途特別な部品を設けることなくレリー
ズ時の操作力を小さくして操作性を向上すること
にある。

〔考案の概要〕

このため本考案では、レリーズボタンとロツク
ピンとの間に反転用のアームを介在させ、レリー
ズボタンの押圧方向を180゜転回させてからロツク
ピンに力を伝達させる構造であり、ロツクピンは
ロツクレバーから完全に離脱できるようにしてい
る。

また、レリーズ時にタングプレートを押し出す
イジエクトスプリングによりロツク状態でロツク
レバーをタングプレートとの係合を解く方向に付
勢し、特別な部品を用いることなくレリーズ時の
操作力を小さくできるようにしている。

〔考案の実施例〕

このバツクル装置では、本体であるバツクルボ
デイ１０が設けられており、このバツクルボデイ
１０は底板１２と両側板１４，１６から成り、全
体として断面コ字状に形成されている。側板１
４，１６の内側には一対の突起１８が設けられて
いて、タングプレート２０を挿入する際ガイドの
役割を果たす。タングプレート２０には乗員拘束
用のウエビング（図示せず）が係止され、ウエビ
ングの他端部は車体に係止されている。底板１２
には長孔２２が穿設され、長孔２２はロツクレバ
ー３０の爪３６を受容する。長孔２２にはこれと
直交する長溝２３（第１図参照）が形成され、イ
ジエクトピース２４がこの溝内をタングプレート
抜差方向へスライドする。イジエクトピース２４
の後端にはイジエクトスプリングとしての圧縮コ
イルばね２６が装着され、このためイジエクトピ
ース２４はタングプレート２０をバツクルボデイ
１０から抜出す方向に付勢されている。

側板１４，１６に穿設された孔２８には、ロツ
クレバー３０の後端に形成された軸プレート３２
が挿入され、孔２８を支点としてロツクレバー３
０はボデイ１０内で旋回できる。ロツクレバー３
０の中間部には長手方向に伸びる長孔３４が形成
され、先端にはフツク状の爪部３６が設けられて
いる。この爪部３６は、タングプレート２０がボ
デイ１０内に挿入されたとき、旋回してタングプ
レート２０の開口３８に挿入され、ロツク状態を
保持する。この爪部３６はタングプレート３８の
ロツク状態で第２図に示される如くタングプレー
ト２０の開口３８を斜めに貫通し、圧縮コイルス
プリング２６の付勢力を受けてタングプレート２
０の開口３８から抜き出される方向に付勢される
ようになつている。

側板１４，１６の前方にも一組の長孔４０が穿
設されこの中にロツクピン４２が支持されてい
る。ロツクピン４２は、第２図から分るようにロ
ツク時においてロツクレバー３０を上方から押え
る役割を果たし、このためタングプレート２０に
大きな引張力が作用しても、ロツクレバー３０の
爪部３６がタングプレート２０の開口３８から離
脱することはない。長孔４０の上方外側には小軸
４４が各々穿設され、各小軸４４にはアーム４６
が回転可能に軸支されている。

アーム４６は略Ｌ字形で、レリーズ時に旋回し
てロツクピン４２をロツクレバー３０から離脱さ
せる。アーム４６に旋回力を付与するのがレリー
ズ用のスライドボタン４８で、このボタン４８は
バツクルボデイ１０の上方を覆うように嵌合す
る。スライドボタン４８の後端内側には一組の小
軸５０が穿設され、これらの小軸５０がバツクル
ボデイ１０の長孔５２に各々嵌合している。従つ
てスライドボタン４８は長孔５２の長手距離だけ
スライドが可能である。更にスライドボタン４８
の中間部には一組の空洞５４が形成されていて、
この空洞５４内にアーム４６の上端が受容され
る。このためスライドボタン４８が押圧される
と、アーム４６は時計方向に旋回し、ロツクレバ
ー３０上のロツクピン４２をスライド方向と逆向
きに移動させることとなる（第２図参照）。

従来品にあつてはロツクピン４２の移動方向が
スライドボタン４８のスライド方向と同一のた
め、ロツクレバー３０上にピン４２の逃げを設け
ていたが、本考案ではロツクピン４２が逆方向に
移動するからロツクレバー３０の形状は簡単なも
のにできるわけである。尚、図面では省略してあ
るが、スライドボタン４８は後方からばねによつ
て付勢されており、ロツクピン４２をロツクレバ
ー３０から離脱させた後はアーム４６と共に元の
位置に復帰する。またロツクピン４２もばねによ
つて図上右方向に付勢されており、ロツク時には
自動的に右へ移動してロツクレバー３０を固定す
る。

レリーズ時のロツクピン４２は、第１図から判
るようにイジエクトピース２４によつて押上げら
れたロツクレバー３０の爪３６に当接し、右側へ
の移動を阻止されている。ロツクレバー３０はば
ね（図示せず）によつて下方に常時付勢されてい
る。但しこの付勢力はイジエクトピース２４の押
出力より小さい。このため、バツクルボデイ１０
内にタングプレート２０が挿入されると、イジエ
クトピース２４が後方に押されてロツクレバー３
０は下方に旋回し、タングプレート２０の開口３
８及びボデイ１０の長孔２２に嵌入する。

また、前述のアーム４６を成形する場合支点
（小軸４４）とスライドボタン４８の作用点との
距離、支点とロツクピン４２の受容部との距離、
即ちてこ比を変えることによつてレリーズ時の操
作力を軽減することができる。使用時にバツクル
ボデイ１０後端の孔５６に接続板が連結され、接
続板の他端は車体の床に係止される。

次に本考案バツクル装置の作動について説明す
る。第１図はタングプレート２０を挿入する前の
バツクル装置で、説明の都合上スライドボタン４
８とアーム４６を手前で縦断し、他の部分は中央
から縦断して示してある。この状態でロツクレバ
ー３０はイジエクトピース２４によつて上方に押
上げられ、ロツクピン４２はロツクレバー３０の
爪３６に当接している。続いてバツクルボデイ１
０内にタングプレート２０を挿入するとこれによ
つてイジエクトピース２４は押し戻され、ロツク
レバー３０は前述したばね（図示せず）の付勢力
によつて下方に旋回し、タングプレート２０の開
口３８及びボデイ１０の孔２２に嵌入する。

これと同時にロツクピン４２はばねの付勢力に
よつて右方に移動し、ロツクレバー３０の浮上が
りを阻止する。このためウエビングに高負荷が加
わつても、タングプレート２０はバツクル内から
容易に離脱しない。これが第２図に示すロツク状
態である。

ロツク状態を解除するときの作動は次のように
行なわれる。スライドボタン４８を矢印方向に押
圧するとアーム４６が時計方向に旋回してロツク
ピン４２を左方に移動させる。ロツクピン４２の
係止を解かれたロツクレバー３０は、圧縮コイル
ばね２６の付勢力を受けて上方に押上げられる。
これにより、タングプレート２０の開口３８から
ロツクレバー３０の爪部３６が抜き出される。し
たがつて、レリーズ時にタングプレート２０の開
口３８からロツクレバー３０の爪部３６を抜き出
すための操作力が不要で、レリーズ時の操作力を
軽減できる。タングプレート２０の開口３８から
ロツクレバー３０の爪部３６が抜き出されると、
これと同時にタングプレート２０はイジエクトピ
ース２４に押圧されて外部に押出される。

スライドボタン４８及びアーム４６はばねの付
勢力によつて元の位置に復し、第１図の状態に戻
る。

〔考案の効果〕

叙上の如く本考案のバツクル装置においては、
レリーズ時にロツクピンをスライドボタンの押圧
方向と逆方向に移動させる構造にしたから、ロツ
クレバーにロツクピンの逃げを設ける必要がなく
なり、ロツクレバーの形状を簡単にすることがで
きる。また、レリーズ時にタングプレートを押し
出すためのイジエクトスプリングによりロツクレ
バーをロツク状態でタングプレートとの係合を解
く方向に付勢するようにしたので、特別な部品を
用いることなくレリーズ時の操作力を軽減でき
る。さらにロツクピンの方向転換を旋回アームに
より行なつているから、アームのてこ比を変えれ
ばレリーズ時の操作力をより軽減することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案バツクル装置の作動
を示す簡略断面図、第３図は展開斜視図である。 １０……バツクルボデイ、２０……タングプレ
ート、３０……ロツクレバー、３６……ロツクレ
バーの爪、４８……レリーズ用スライドボタン、
４２……ロツクピン、４６……アーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バツクルボデイと、バツクルボデイに揺動可能
   に軸支され一部に設けられた爪部がタンブプレー
   トに係合してタングプレートをロツク状態に保持
   しレリーズ時にこの係合を解いて元の位置に復帰
   するロツクレバーと、タングプレートのロツク状
   態でロツクレバーを固定するロツクピンと、押圧
   操作されてロツクピンをロツクレバーを固定する
   位置からロツクレバーの固定状態を解除する位置
   に移動させるレリーズボタンと、タングプレート
   のロツク状態でタングプレートを押し出す方向に
   付勢しレリーズ時にタングプレートを押し出すイ
   ジエクトスプリングと、を有するバツクル装置で
   あつて、ロツクピンとレリーズボタンとの間にレ
   リーズボタンの押圧操作でロツクピンをレリーズ
   ボタンの操作方向と反対の方向に移動させるアー
   ムを設けてロツクピンをレリーズ時にレリーズボ
   タンの操作方向と反対の方向に移動させるととも
   に、ロツクレバーの爪部をタングプレートのロツ
   ク状態でタングプレートの押圧方向に対して傾か
   せてイジエクトスプリングの付勢力によりロツク
   レバーをタングプレートのロツク状態でタングプ
   レートとの係合を解く方向に付勢したことを特徴
   とするバツクル装置。