JPS6237558Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 引込み自在な刃を備えたナイフは古くから知ら
れている。例えば1907年３月５日付のルーサー・
Ｅ・ジエンキンズの米国特許第845792号、1953年
６月２日付のクラレンス・Ｅ・テイラその他の米
国特許第2640260号、1962年３月20日付のワレ
ン・Ｉ・ニツセンの米国特許第3025598号を参照
されたい。これらのナイフはいずれも本考案のナ
イフが克服した欠点を持つている。ジエンキンズ
の場合には、ハンドル内に巻付けたばねの一端に
ナイフが固定されていて、ばねを作動させると、
このばねで刃がハンドルの一端から外へ突出す
る。刃をハンドル内へ押し戻すと、ばねは縮む。
ジエンキンズのナイフではコイルバネがだめにな
り易く、ナイフが使用できなくなることが難点で
あつた。

テイラその他が発明した引込め刃型ナイフはジ
エンキンズのコイルばねをなくしてばねが後でだ
めになる危険性をなくしている。彼等のナイフは
刃をハンドルから出した位置で、または引込めた
位置で動かなくしておく何等の手段も備えていな
い。

ばねに代つて、ばね押圧作動のボタンの圧力で
摩擦抵抗を出して摩擦的に刃を所望位置に保持す
るようにしている。これは刃が何かにひつかかつ
て動かなくなると刃がはずれる事故がおこる恐れ
があつて危険である。

ニツセンの特許はハンドル内の支持体と案内を
利用して開き位置と閉じ位置に選択的に移動させ
る引込み刃を備えている。。このニツセン特許で
は、使用者が刃をつかんで本考案のごとく開き位
置と同じ位置間に所望どおりに移動させることが
できる以上に面倒で当てにならないのは刃を動か
すのに操作する支持体である。

本考案によれば、ナイフ刃はハンドル内に刃の
両側に線状に形成された全体に軸方向の軌道に沿
つて移動する一対の案内ピンで支えられている。
この軌道は両端が適当な形に形成されて止め位置
を画成し、この位置が枢着板ばねと共動して刃を
閉じ位置、即ち非動作位置に正確に固定し、また
動作位置、即ち伸長位置に正確に固定する。ナイ
フは案内ピンの一方を止め位置からとび出させる
に足る程度にばね力を克服して確動止め位置を脱
出させて軌道内に入れることによつて選択的に両
端位置間を移動するので、刃を反対端位置へ手で
移動させることができ、この位置にくると使用者
が注意しなくともばねで他方の案内ピンが自動的
に偏倚されて止め位置につく。

本考案の目的は刃が両端位置間を自由に移動で
き、両端位置のいずれかに所望どおりに確実に固
定されて刃の隅発的変位を防止するようにした引
込み刃を備えたナイフを提供することにある。

本考案の別の目的は最少限の加工部品および最
少限の運動部品で簡単に確実に機能してナイフ刃
をハンドルに対し所望位置に位置決めし使用者が
注意しなくても刃を自動的に所望位置に確実に固
定するようにした上記形式のナイフを提供するこ
とにある。

さて図について詳述すると、符号１０はハンド
ル１１および刃１２を備えたナイフを全体的に示
す。第４図に明示のごとく、ハンドル１１は二つ
の成形材料片１１Ａおよび１１Ｂで形成され、成
形材料１１Ａおよび１１Ｂは各々平滑な内面１３
と望ましい手ざわりにした外側面１４とを備えて
いる。ハンドル部分１１Ａおよび１１Ｂは骨、プ
ラスチツク、木その他の所望材料で形成すること
ができる。

ハンドル部分１１Ａおよび１１Ｂはピンまたは
無頭くぎ１５，１６，１７を、各図に明示のごと
く、ナイフ１０のハンドル部分１１Ａ，１１Ｂそ
の他の各要素に通して合体されている。ピン１
５，１６はハンドル部分１１Ａ，１１Ｂの底辺、
即ち後端１８近くを横方向に貫通し、ピン１７は
ハンドル部分１１Ａ，１１Ｂのほぼ中間点の下縁
１９近くを貫通している。ピン１５，１６，１７
の各々はハンドル部分１１Ａ，１１Ｂの外側面１
４に対し適当にかしめるか、乃至は平らにしてこ
れら外側面を保持し、内側面１３を各ピン１５，
１６，１７用の透孔２３を備えた各ライナ２１，
２２に対ししつかりと圧接させる。ピン１５，１
６はさらにナイフ１０の後端、または底辺１８に
おいて衝合（abutment）２５の透孔２４を貫通
する。ピン１７は二叉ばね部材２７の透孔２６を
貫通する。ばね部材２７は基部２８とこの基部と
一体形成の板ばね３１とを含む。透孔２６はピン
１７より直径が僅かに大きいのでばね２７はピン
１７を中心にして枢動自在である。

ライナ２１，２２は鋼など任意適当な材料で形
成されその前端は例えば符号３２（第４図）にお
いて下方へ向つて曲つている同一形状をしていて
ボルスタ３４内に受入れられている。ボルスタ３
４はＵ字形の単一材料片で形成され、上端に開口
３５を備えて、刃１２がハンドル１１に対し往復
の軸運動をする間この開口３５を貫通する。

刃１２は角度が食い違う一対の透孔４１と鋸歯
状の上側面４２を備えた基部４０を含む。一対の
案内ピン４３，４４はそれぞれ透孔４１を貫通
し、ライナ２１および２２の全体的に軸方向に延
びるみぞ孔３６を貫通している。案内ピン４３，
４４はライナ２１および２２の未端面または外側
面に対しかしめるか平らにされ、刃１２の端４０
に対し固定されて、刃１２がライナ２１および２
２間をばね２７に沿つて衝合部２５の前方で摺動
できるように自在に支えられている。

ライナ２１および２２の透孔３６は図示のごと
くその各々がナイフの後部１８近くで垂直方向に
延び、垂直面となつて終り、刃１２が非動作位置
に一杯に戻つた時に案内ピン４３用停止位置４５
を画成している。みぞ孔３６はナイフ１０の縦軸
に平行の通路に沿つて座席４５から前方へ延びて
部位４６に至り、ここでみぞ孔３６は前方へ下向
きに曲り、ナイフの前端３３の近くで案内ピン４
４用の停止位置となつて終つている。衝合部２５
は透孔２４および２４間に凹陥部５０を備え、こ
の凹陥部は前方が開口し、この中に板ばね３１の
自由端が受止められている。脚５１が衝合部２５
の基部より前方へ延び、ばね２７の基部２８の後
方へ延びる突出部５２用の座席の役目をしてい
る。ばね２７の前端は例えば符号５３において前
方へ下向きに偏倚されてカム面を形成し、刃１２
が第８図の作動位置に一杯に延びると、刃１２の
端４０がこのカム面に乗り上げ、端４０の後壁５
４がこのカム面に当つて確実に固定された位置に
保持される。

ハンドル部分１１Ａおよび１１Ｂとライナ２１
および２２とは各々その底壁に対応の曲面凹陥部
を備えて開口５５を画成し、この開口５５に使用
者は指を入れてばね２７の基部２８に当て、ナイ
フを操作して刃１２を引込める。（第９図）。

さて動作について述べると、第１図および第８
図において、ナイフはその刃１２を一杯に延伸し
た位置、即ち動作位置にして示されているが、第
５図では刃１２を一杯に引込めた位置、即ち非動
作位置にした状態において示されている。第５図
に示すごとく、刃１２の下面は板ばね３１に当接
されてばねを凹陥部５０内に押し込めて端４０ま
たは刃１２を支持係合の状態にある。このように
配置された板ばね３１は案内ピン４３を通路３６
より上方へ偏倚させて、垂直に延びる停止位置４
５と確実な固定関係に入らしめ、刃１２をハンド
ル内に閉じ込める。

刃１２を第５図の閉じ位置、即ち非動作位置か
ら移動させたいとすると、使用者は先ず親指また
は指を刃１２の端の上縁に設けた鋸歯状表面４２
に乗せ下方へ押せば板ばね３１はこれに負けて案
内ピン４３を停止位置４５から抜け出させて、ピ
ン４３は縦方向に延びる通路３６内に入る。第６
図に示すごとく、ピン４３が通路３６内に移動す
ることによつて刃１２の尖端はハンドル１１に対
してある角度上昇し、ここで刃先きが簡単に使用
者の親指と他の指との間に挾持されるのでこれを
前方に引けば案内ピン４３および４４が通路３６
に沿つて移動する。案内ピン４４は通路３６が前
方へ下向きに曲りかけた部位４６を越えると、ハ
ンドル１１に対する刃１２の角度が鈍くなり始め
（第７図）、案内ピン４４が通路３６の常端の停止
位置４７に達すると、案内ピン４３の方は部位４
６に達し、ここで刃１２はハンドル１１と軸方向
に直線に延びる（第８図）。部位４６と４７との
間の通路３６が部位４６と後側停止位置４５との
間の主通路に対してなす角度は案内ピン４３およ
び４４が通路３６の主部分に対しなす角度の食い
違いに対応している。

刃１２を通路３６に沿つて前方へ引き出すと、
端４０の下面は板ばね３１に沿つて摺動し、下面
がばね２７の基部２８と板ばね３１の接合点に向
つて移動すると、板ばね３１の自由端は第６図に
示すごとく凹陥部５０の上側壁と係合する常態位
置に戻る。端４０は常にばね２７のどこかの部分
と係合状態にあつて、端４０がピボツトピン１７
より前方へ進むと、ばね２７の前側部分は押圧さ
れて、この部分がピボツトピンを中心に枢動し、
基部２８が上昇して突出部５２を衝合部片２５
（第７図）の脚５１より上に引上げる。刃１２が
ハンドル１１に対しさらに前進することによつて
前側案内ピン４４は、端４０の後壁５４がばね２
７の傾斜前壁５３より前へ進んでから、停止位置
４７に至る。ばね２７の前側部分に対する下向き
圧力が解放されると、ばね２７がピン１７を中心
に逆方向に自動的に枢動して、ばね２７の前側部
分を上昇させばね２７の傾斜前壁５３を端４０の
後壁に当接させて、ナイフの刃１２がハンドル１
１内に引き下がらないように確動する。刃１２が
第８図の一杯に延伸した位置で横方向に動くこと
は刃１２の両側にあるライナ２１および２２によ
り制限されている。

次に、刃１２を第８図の完全に延伸した位置、
即ち動作位置から第５図の閉じ位置へ移動させた
いとすると、先ず刃１２を一方の手に握り、ハン
ドルを他方の手に握つて親指かまたは別の指を凹
陥部５５に入れ、板ばねの脚３１を制して基部２
８を凹陥部５５（第９図）より上側へ動かすこと
によつてばね２７はピン１７を中心に枢動し前壁
５３は刃１２の端４０より下側に下降する（第９
図）。そうすると、使用者は刃１２が第５図の完
全着座位置に着くまで第７および６図に示した位
置を経て刃を後退させることができる。

第２図は刃がハンドルに対し出入する運動中に
ハンドルに対し刃が取る位置を示した点で第６図
に一致するものである。また第３図は刃が両端位
置を移動する場合におけるハンドル１１と刃１２
との相対位置を示す点で第７図に対応する図であ
る。

次に、第１０図に示した変型実施例につき説明
する。この場合、同一参照符号にダツシユを付け
て同様部分を示した。ライナ２１′はボルスタ３
４′と一体鋳造され、他方のライナ２２′も衝合体
２５′と一体鋳造されて製造に経済性を出すこと
も差支えない。所望により、ボルスタ３４′衝合
体２５′および両方のライナ２１′および２２′を
一体的ユニツトとして全部一緒に鋳造してもよ
い。こうして一体化された構造体はされに大きな
利点を出す。

本考案の両実施例においてはボルスタ３４また
は３４′はその頑丈な一枚岩的構造に依存してナ
イフの前部を一体保持しているが、これは在来の
ボルスタと違つて、横ピンを使つて保持してない
からである。ボルスタ３４および３４′内の空間
は刃１２が往復運動できるように自由で障害がな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図はナイフ刃をその引出した即ち動作位置
に移動させた場合のナイフの側面図、第２図およ
び第３図はナイフを閉じ位置から第１図の開放動
作位置へ移動させるため刃を手動操作するところ
を示すナイフの連続斜視図、第４図はナイフの構
成要素を組立てる方法を示す展開斜視図、第５〜
８図は本考案の刃および選ばれた部品を示すが、
図を理解し易くするためハンドルとライナの一方
を省いて、案内ピンが第５図の終局閉じ位置と第
８図の終局開き位置との間の通路を移動する時の
ばねとばねとの相互作用を示す幾分概略的連続
図、第９図は刃を引込めるに先だち完全に引出し
た停止位置から刃を解錠するため刃とばねとを操
作する状態を示す概略図、第１０図はボルスタと
一方のライナが相互に一体形成され、他方のライ
ナと衝合体が相互に一体形成された本考案の変型
実施例の展開斜視図である。 なお図において、１０はナイフ、１１はハンド
ル、１２は刃、１７はピボツトピン、２１，２
２，２１′，２２′はライナ、２５，２５′は衝合
体、２７はばね、３１は板ばね、３４，３４′は
ボルスタ、３５はライナの透孔、３６は通路、４
０は端、４３は第１案内ピン、４４は第２案内ピ
ン、４５は停止位置、５１は一対の脚である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ハンドルと、このハンドル内に装着され、ハ
   ンドルより先へ完全に引出した動作位置へ、お
   よびハンドル内に完全に引込められた非動作位
   置へ選択的に移動できる刃とよりなるナイフに
   おいて、該ナイフは前記ハンドル内に刃より下
   側に固定されナイフの長さに沿つて軸方向に延
   びるばね装置を含み、前記刃は基部と、刃を完
   全に引込めた非動作位置と完全に引出した動作
   位置との間の前記ばねと常時係合して軸方向に
   移動するための前記刃の前記基部を支える装置
   を備え、前記刃の前記基部を支える装置が該刃
   の両側に配置され、通路を画成する長手方向に
   延びるみぞ孔を有するライナと、前記刃の前記
   基部に固定され、前記ライナのみぞ孔を貫通す
   る第１案内ピンおよび第２案内ピンとよりなる
   ナイフ。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載のもの
   において、前記通路がその両端に停止位置を備
   え、前記ばねが刃を該各停止位置で確実に錠止
   された位置に偏倚させる装置を含むナイフ。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載のもの
   において、前記刃を錠止位置へ偏倚させる装置
   が前記第１案内ピンを上方へ常時偏倚させて最
   内側の停止位置につかせる板ばねを含むナイ
   フ。 ４ 実用新案登録請求の範囲第３項に記載のもの
   において、前記ばねが前側停止位置に第２案内
   ピンを拘束するため刃の後面と係合する平らな
   前面を含むナイフ。 ５ 実用新案登録請求の範囲第４項に記載のもの
   において、前記停止位置間での刃の軸方向運動
   に応じて横軸を中心に枢動するためばねを支え
   る装置を含むナイフ。 ６ 実用新案登録請求の範囲第５項に記載のもの
   において、前記枢動装置より先へ刃が軸方向に
   移動するに応じて横軸を中心に枢動するためば
   ねを支える装置を含むナイフ。 ７ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載のもの
   において、前記通路がナイフの後側に内側停止
   位置を、またナイフの前側に外側停止位置を含
   み、その内側停止位置が前記通路の鋭角的延長
   部よりなり、外側停止位置が前記通路の鈍角的
   延長部よりなり、これら二つの停止位置間に前
   記通路がナイフの軸方向に延びているナイフ。 ８ 実用新案登録請求の範囲第１項のものにおい
   て、ばねをその中間部分において横軸を中心に
   枢動させる装置と、ハンドル内にハンドルに固
   定された衝合体とを含み、この衝合体がハンド
   ルの後部に配置されハンドルの前側に向いて開
   口する凹陥部を有し、前記ばね装置が前記凹陥
   部に受止められ常時は前記凹陥部の一方の壁と
   偏倚係合されて、前記ばねの他端を常時上昇さ
   せて、完全に引出された動作位置における刃と
   対接係合状態に入らしめておく自由端を備えた
   板ばねを含むナイフ。 ９ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載のもの
   において、ボルスタがハンドルの前側を囲み、
   このボルスタは断面Ｕ字形をなし、刃がハンド
   ルを通る時に通り抜ける開口頂部を有するナイ
   フ。