JPS6237111Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は加熱炉熱処理炉等工業炉に於いて、炉
温変更時の炉壁温度の敏感な応答性と炉休止時の
短時間での昇温降温性能を有する炉床耐火物構造
に関するものである。

（従来技術） 近年加熱炉熱処理炉等工業炉に要求される性能
は、エネルギー事情の悪化並びに製品の高品質
化、多様化に伴ない、炉壁からの放散熱量の低
減、製品に応じた加熱温度に炉内温度を即時変更
する為に不可欠な炉壁温度の敏感な応答性並びに
操業率低下により頻繁になつた炉休止時の省エネ
及び稼働率向上を目的とした短時間での昇温降温
性能である。

この様な要求に対し、天井及び側壁は、低熱伝
導率且つ低密度即ち単位体積当りの熱容量が極め
て小さいセラミツクフアイバー（以下CFと略
称）を採用したライニング構造により前記性能を
満足している。しかし天井及び側壁のみでは、工
業炉としての性能を満足するものではない。殊に
炉床は、操業中に堆積する高温スケールとの反応
侵食や炉内作業時の外部荷重に耐える構造が要求
される為、天井及び側壁の様なCFライニング構
造は、CFのスケールに対する耐食性及び外部荷
重に対する支持強度がない為、炉床には採用でき
なかつた。

そこで応急的な手段として第１図に示す様に、
鉄板１上の従来炉床２の稼働面に炉内作業時の外
部荷重を支持する目的で耐火レンガ３を格子状に
配し、その間にCFブロツク４を敷き、該CFブロ
ツク４をスケールや外部荷重から保護する目的で
CFブロツク４の稼働面にセラミツク質の炉床板
５を耐火レンガ３乗せ掛けて置く、炉床耐火物構
造が提案されている。

しかし、この様な炉床耐火物構造では、炉床か
らの放散熱量の低減なCFブロツク４の断熱性の
みに期待する為十分ではなく、又、炉床耐火物の
熱容量は、従来の炉床と変らず極めて大きい。こ
の為、炉温変更時は炉床壁の蓄熱又は熱放散に時
間を要する為、即時に炉温を変更することは難し
い。又炉休止時に於いても、昇温時は炉床壁の蓄
熱に多大の燃料と時間を要し、一方降温時は炉床
壁の熱放散に多大の時間を要する為、短時間での
昇温降温は難しい。

この様な問題点を有する炉床耐火物構造では、
工業炉に要求される前記性能を満足できず、更に
燃料使用量の増大稼働率の低下等の欠点を有して
おり、従つて天井や側壁に採用しているCFライ
ニングと同等な性能を有する炉床耐火物構造が要
求されていた。

（考案の目的） そこで本考案は、セラミツク質の円形又は多角
形の中空筒６を、炉床鉄皮１又は炉床耐火物上に
筒軸方向が炉床鉄皮１に垂直となる様に千鳥状に
複数段積層し、該中空筒６で形成された空間に
CF８を充填すると共に、中空筒６の最上面にセ
ラミツク質の炉床板５を配置した炉床耐火物構造
により、炉床の放散熱量及び熱容量を大巾に低減
すると共に、スケール及び外部荷重に十分耐用で
きる炉床を提供するものである。

（考案の構成および作用） 本考案に関する一実施例を第２図〜第４によつ
て説明する。

セラミツク質の円形又は多角形の中空筒６は、
第２図に示す様に中空円筒６ａ、中空四角柱６
ｂ、中空六角柱６ｃ等様々な形状の中空筒６を使
用してよい。ここでは中空円筒６ａでの実施例を
示す。

先ず、該中空円筒６ａの中空部７にバルク状又
はシート状のCF８を圧縮して充填する。該中空
円筒６ａを炉床鉄皮１の上に中空円筒６ａの軸方
向が炉床鉄皮１に垂直となる様に配列する。一段
目の中空円筒６ａを配列した後、隣接する中空円
筒６ａの外筒面で形成された空間９にCF８を圧
縮して充填する。

次に、二段目の中空円筒６ａを、第４図に示す
様に軸ピツチの半分の寸法だけずらして配列し、
空間９にCF８を圧縮して充填する。同様にして
所定の段数の中空円筒６ａを配列した後、中空円
筒６ａの最上面即ち稼働面にセラミツク質の炉床
板５を全面に設置する。

第４図は、中空円筒６ａを千鳥状に三段重ねた
例であるが、中空円筒６ａの一段の高さ及び積み
重ね段数の選択により種々の炉床厚の設計ができ
る。又、稼働面から炉床鉄皮１までの温度勾配に
応じた耐熱性を有する中空円筒６ａ、炉床板５、
及びCF８を選択すればよい。

（考案の効果） この様にして、炉床鉄皮１までCF８を採用
し、中空筒６で支持することにより、炉床の放散
熱量及び熱容量の大巾な低減が図れた。例えば、
第１図に示す従来炉床と第４図に示す本考案によ
る炉床を同一の炉床厚みとして比較すると、１m²
当りの重量は前者は400Kg／m²、後者は100Kg／m²
であり、炉床の熱容量は、重量比と同様に、従来
炉床に比べ本考案炉床は４分の１に低減できた。

この結果、本考案による炉床を採用して天井及
び側壁にCFライニングを採用することにより、
従来より要求されていた炉温変更時の炉壁温度の
敏感な応答性並びに炉休止時の短時間での昇温降
温性能を有する工業炉が実現できた。

又、本考案により製品品質、熱原単位並びに稼
働率の向上はもとより、炉床耐火物の軽量化によ
る設備費の削減並びに構造の簡略化による工事費
の削減が図れた。即ち、本考案により加熱炉、熱
処理炉等工業炉の省エネ面、操業面、コスト面で
多大のメリツトをもたらすものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の炉床耐火物構造を示す断面説明
図、第２図は本考案において用いる各種中空筒の
単品図、第３図は中空円筒を採用した本考案によ
る炉床耐火物構造を示す平面図であり、第４図は
そのＡ−Ａ線断面図である。 １……炉床鉄板、２……炉床、３……耐火レン
ガ、４……CFブロツク、５……炉床板、６ａ，
６ｂ，６ｃ……中空筒、７ａ，７ｂ，７ｂ……中
空部、８……CF。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工業炉の炉床上にセラミツク材で成形した複数
   個の中空筒を立設し、該中空筒の内外周で形成す
   る空間にセラミツクフアイバーを充填して断熱層
   を構成し、該断熱層を複数段中空筒の上下の関係
   において軸心をずらして千鳥状に積層し、最上段
   に配置した断熱層の上面側にセラミツクの炉床板
   を配設してなることを特徴とする炉床耐火物構
   造。