JPS6236776Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、飲食物などを密封減圧状態で収容
する場合に使用する罐に関するものである。

現在市場には、食品等をパツクした製品が多数
出回つている。これらの製品は、開封後、残つた
内容物は樹脂フイルムあるいはアルミ箔などで再
パツクし、冷蔵庫に入れて保存している。しか
し、この方法は、完全パツクでないために、鮮
度、湿度、香り等を維持する必要から、数日間以
上の保存は不可能である。また、そこで使用した
アルミ箔や樹脂フイルム等は再使用が不可能で、
省資源の要請に応じることが出来ないし、また特
に重要なこととして、バキユームパツクが不可能
である。

この考案は、上記のごとき事情に鑑みてなされ
たものであつて、食品などの鮮度、湿度、香りな
どを維持しつつ長期間の保存に必要なバキユーム
機能を具備させ、繰返し再使用が可能で、かつ、
構造が簡単で取扱いが容易であり、しかも価格の
低廉なバキユーム罐を提供することを目的とする
ものである。

以下、この考案の詳細を一実施例を示す図面に
ついて説明する。

第１図及び第２図において、１は簡易バキユー
ム罐である。簡易バキユーム罐１は本体２と蓋体
３と栓体４とを備えている。本体２は円筒状の胴
壁５と底壁６とを有する上端開口の金属製の容器
で、上端部７は、カールされている。底壁６は弧
状に下方に膨出しているが、弾性復元力を持つて
本体２の内容積が減少する方向に（内側に）撓み
変形可能な構造となつている。蓋体３は円筒形の
側壁８と天板９とからなつており、側壁８の下端
部１１はカールされている。側壁８と天板９との
連接部には本体２の上端部７との間で挾圧して気
密を保ちうるゴムパツキン１２が配設されてい
る。天板９は周縁近傍を内側に落し込ませた凹陥
部と前記凹陥部から中央に行くにしたがつて外側
に膨出した形状をなす中央部とからなるが、この
中央部には、蓋体３が本体２に装着した場合に、
本体２と蓋体３が共働して形成する内部空間１０
を減少させる方向に（内側に）、弾性復元力を持
つて変形可能な構造になつている。天板９の中央
部には通気口１３が貫通形成されている。通気口
１３の縁部１４はカールされている。この通気口
１３は挿入された栓体４によつて気密に閉じられ
る。栓体４は通気口１３に対して装着可能で、後
述する突出裾部１６や栓体４自体の弾性により、
一度装着すると不用意に離脱しないように構成さ
れている。栓体４は、第３図、第４図、第５図お
よび第６図に示すように、弾性及び可撓性を有す
るプラスチツクまたはゴムからなり、通気口１３
を覆いうる形状を有する基板１５と、基板１５か
ら下方に突出する未広がり状の裾部１６と、及び
摘持部１７とを有する。基板１５はほぼ皿状をな
し周縁部１８に至るまでの肉厚を次第に薄くして
おり、その周縁部１８の下面は、蓋体３の上面に
気密に密着可能としてある。裾部１６は、中央に
凹部１９が形成されて可撓性を与えられており、
かつ裾部１６の壁を切欠する通気孔２１が形成さ
れている。裾部１６は下端部の径が中間部の径よ
り大きい未広がり状をなしている。摘持部１７
は、基板１５とほぼ同一平面内において基板１５
と一体的に連接されており、必要に応じて指を掛
ける穴２２を形成してある。

このように構成された簡易バキユーム罐１にお
いて、内容物を減圧状態で収容使用するときは、
次のように操作する。すなわち、通気口１３に栓
体４を装着して閉じた状態の蓋体３と本体２とを
準備し、本体２内に内容物を充填し、しかる後
に、蓋体３を嵌着または螺着によつて本体２に装
着する。この場合には、本体２と蓋体３とが周縁
部においてゴムパツキン１２を挾んで気密に圧接
し、また、蓋体３の通気口１３が栓体４によつて
気密に閉じられているから、本体２と蓋体３によ
つて区画される内部空間１０は気密の密封状態と
なる。次に第８図および第９図に示すように蓋体
３を指で内側に押すと、蓋体３は内側に撓んで内
部空間１０の容積を減少させ、この際、内部空間
１０内の空気は通気口１３から、栓体４の通気孔
２１を通り、蓋体３と密着している基板１５を押
し上げ外気中に逃げる。空気の通過が終わると基
板１５は再び蓋体３に密着して内部空間１０の気
密を保持する。この状態で指を放すと、蓋体３は
弾性復元力によつて元の状態に戻ろうとし、内部
空間１０の容積が増加することによつて内部空間
１０が減圧する。この状態において、第１０図お
よび第１１図に示すように、内容物の減圧状態で
の貯蔵が完了する。この貯蔵された内容物を取出
す場合には、第１２図および第１３図に示すよう
に、栓体４の摘持部１７を摘みあげると、周縁部
１８の密着状態が解除され蓋体３と栓体４とのあ
いだに間隙が生じ、通気孔２１から空気が流入し
て内部空間１０の減圧状態が解消し、本体２から
蓋体３を容易に取外すことが出来る。

このように、この考案の簡易バキユーム罐によ
れば、減圧状態で内容物を貯蔵することができ、
特に内容物を加熱状態のまま収納した場合内容物
の冷却に伴い一段と減圧状態が高まり、また常温
の内容物を収納した場合でも、それを冷蔵庫に入
れることによつて良好な減圧状態となり、かつ、
その減圧を利用して本体と蓋体とを密着させ空気
の流入を防ぐので、鮮度、湿度、香りなどを維持
した長期間の保存が可能である。従来の瓶詰め用
の瓶や樹脂製容器は、外気の温度変化により内部
のエアーが膨脹すると、内部のエアーは外気中に
押出され、また、収縮すると、外気が流れこみ、
この繰返しにより、実際は防湿などは不可能であ
るが、この考案の簡易バキユーム罐によればその
様な呼吸を完全に防止することができる。また、
罐詰や樹脂フイルムと異なつて特別な利器を使用
しなくても開封可能であり、また、頻回の繰返し
使用が可能であるから、省資源の要請に応えるこ
とが出来る。

また特にこの考案の簡易バキユーム罐において
は蓋体の天板が周縁近傍に環状に凹陥部を有し中
央部が外側に膨出する形状とすることによつて、
蓋体の変形前と変形後の内容積の差を大きくする
ことができるため、弾性復元力により効果的な減
圧状態を生成することができる。しかも蓋体の通
気口に嵌着する栓体の裾部を未広がり状とし、そ
の周囲に通気孔を形成し、また中央部に下方に開
口する凹部を形成することによつて、通気口への
取付が容易となり、均一で安定した密着圧力を得
ることができ、減圧状態の生成、維持が容易であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例にかかわる簡易バ
キユーム罐の部分縦断面正面図、第２図は本体と
蓋体との係合部を示す縦断面部分図、第３図は蓋
体の平面図、第４図は蓋体の側面図、第５図は蓋
体の底面図、第６図は第５図におけるＡ−Ａ部断
面図、第７図は蓋体と栓体との係合状態を示す断
面拡大部分図、第８図は脱気時の操作を示す断面
説明図、第９図は脱気時の栓体の状態を示す断面
拡大部分図、第１０図は貯蔵時の状態を示す断面
説明図、第１１図は貯蔵時の栓体の状態を示す断
面拡大部分図、第１２図は内容物取出し時の操作
を示す断面説明図、及び第１３図は内容物取出し
時の栓体の状態を示す断面拡大部分図である。 １：簡易バキユーム罐、２：本体、３：蓋体、
４：栓体、１３：通気口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端開口の容器状の本体と、前記本体に取外し
   可能に装着して前記開口を閉じうる蓋体と、およ
   び前記蓋体に装着して前記蓋体に形成された通気
   口を気密に閉じ得る栓体とを備え、前記蓋体の天
   板は周縁近傍を内側に落し込ませた凹陥部と前記
   凹陥部から中央に行くにしたがつて外側に膨出し
   た形状をなす中央部とを有し前記本体に装着した
   状態において前記本体と前記蓋体とで区画する密
   封空間の容積を減少する方向に弾性復元力を持つ
   て撓むことが可能に構成され、前記栓体は前記通
   気口を覆い得る基板と前記基板から下方に突出し
   ている裾部を有し、前記裾部は下端部の径が中間
   部の径よりも大きく前記通気口に密接し得る外形
   寸法を有するとともに中央部に下方に開口する凹
   部を有し、かつ前記裾部の外面に上下方向に溝状
   の通気孔を有することを特徴とする簡易バキユー
   ム罐。