JPS6236495B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はコラーゲン含有物またはゼラチンを無
機酸で加水分解して得られた加水分解物をイオン
交換樹脂で処理することにより、ペプタイドから
抗原性を除去する方法に関する。

従来、動物の皮、骨、腱などを無機酸、有機
酸、アルカリ及び酵素で部分加水分解を行ない、
得られたオリゴペプタイドを界面活性剤として化
粧品あるいは洗剤等に利用することが知られてい
る。特に化粧品分野における天然アミノ酸群から
構成されたペプタイドがしばしば利用される理由
は人体に直接接触したときに皮膚刺激性が少ない
という点にある。

更に、栄養価の高い各種の蛋白含有飲食品、特
に果汁製品等の酸性飲食品に添加しても濁りを生
ずることなく、酸性食品本来の爽快味を保つとい
う優れた特色を有している。又、食品改良剤、特
に食品用起泡性基材として有用である。

一方、臨床用デキストラン（分子量７万）、低
分子デキストラン（分子量４万）、ヒドロキシエ
チルスターチ（HES）等とともに代用血漿剤と
してゼラチンを用いる試みがなされてきたが、ゼ
ラチンの抗原性、細菌汚染性、凝固性等の問題か
ら実用化に至らなかつた。

本発明は、コラーゲン含有物質およびゼラチ
ン、特にゼラチンの持つ欠点である抗原性を解決
して、臨床用ペプタイドを与える方法を提供する
ものである。

本発明に用いられるコラーゲン含有物質はコラ
ーゲンを含有するものであれば何でも良いが、動
物の皮、骨、腱等一般的に廃棄物とされているも
のが安価な原料として使用できる。またゼラチン
は市販されている工業用、食品用等のどのような
等級のものでも良い。

本発明の方法を説明する。ゼラチン又はコラー
ゲン含有原料をそのままあるいは好ましくは細断
した後、水に浸漬あるいは懸濁する。この際の水
の量は特に制限はないが原料容積の２〜３倍量の
水を加えることが好ましい。この懸濁液に無機酸
例えば塩酸、硫酸を加えた後、加熱すると、ゼラ
チン又はコラーゲンは容易に溶解する。例えば、
塩酸濃度を0.5ないし2.0％となるように添加した
溶液においては加熱温度は70〜80℃、処理時間は
３〜５時間で容易に所定の均一な加水分解された
溶液が得られる。次いでこの水溶液を陽イオン交
換体と陰イオン交換体からなる混床に通過させる
ことによつて、抗原性を除去することができる。

本発明において使用できる陽イオン交換樹脂は
スルホン酸型であればいずれでもよく例えばダウ
エツクス50W、IR−120B等である。又陰イオン
交換樹脂は第４級アンモニウム型であればよく例
えば、ダウエツクス１、２、21K、IRA−400等
があげられる。抗原性物質がどのようなものか今
の所不明であるが、リジン、アルギニンに富み、
分子量が比較的小さい抗原性物質を含む成分が混
床に吸着、除去される為と思われる。

上記の樹脂処理によつて得られた抗原性の除去
されたペプタイドは、コラーゲンのいわゆる結晶
部分を形成しているプロリン及びヒドロキシプロ
リンに富み、リジン及びアルギニン含量が少ない
ペプタイドである。

このようにして得られた抗原性を除去されたペ
プタイドは、上述した代用血漿剤の他に静脈内注
射用の稀釈剤または安定剤として広く使用できる
ものである。

ペプタイドの分子量は用途によつて異なるが、
600〜50000が適当である。

次に本発明を実施例より更に説明する。

実施例 牛骨より製造されたゼラチン12ｇを水40mlに溶
解し、更に35％塩酸１PH加えて70〜80℃で３時間
加熱分解して得た加水分解液を陽イオン交換樹脂
IR−120B（Ｈ型）20ml、陰イオン交換樹脂IRA
−400（OH型）40mlからなる混床を通した。こ
のペプタイドの分子量は10000であつた。

また、吸着部分を1N塩酸で溶出し、次いでIR
−45で脱酸して溶出液を得た。

実施例 抗原性の確認 免疫方法 実施例で得た透過液及び溶出液をそれぞれ５
mg／mlの濃度なる様に燐酸緩衝生理食塩水に溶解
し、等量のフロインド コンプリート アジユバ
ンド（Freund complete adjuvant）と共によく
乳化した。各々のサンプルについてウサギ、及び
モルモツトを２匹づつ用い、ウサギにはその２ml
を0.5mlづつ背部皮下４ケ所に注射し、モルモツ
トには１mlを0.5mlづつ２ケ所に注射することに
より感作した。

週１回、３週感作し、最終免疫注射の３週間後
に採血し、透過液、溶出液に対する抗体の出現を
検討した。

抗体の検索方法 被験血清をそれぞれ、５倍、10倍、20倍、40倍
に生理食塩水で稀釈し、それぞれあらかじめ背部
を剃毛したモルモツトの皮内に0.1mlづつ皮内注
射し、その５時間後にそれぞれ感作に使用された
抗原性を２mg／ml含む１％エバンスグルー液１ml
を静脈内投与した。

15〜30分後に、そのモルモツトをエーテルによ
り麻酔死させ、背部皮膚を剥ぎとり、抗原抗体反
応による色素の皮内への漏出を肉眼的に観察した
（受身的局所アナフイラキシー試験−PCA反
応）。

実験結果 溶出液を免疫した２羽のウサギのうちの１羽に
ついて５倍稀釈血清で陽性の反応を認めた。しか
し、透過液については、ウサギ、モルモツトとも
に抗体の産生は認められなかつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コラーゲン含有物またはゼラチンを無機酸で
   加水分解し、得られた加水分解液を陽イオン交換
   樹脂と陰イオン交換樹脂からなる混床を透過させ
   ることにより、ペプタイドから抗原性を除去する
   方法。 ２ 陽イオン交換樹脂がスルホン酸型である特許
   請求の範囲第１項記載の方法。 ３ 陰イオン交換樹脂が第４級アンモニウム型で
   ある特許請求の範囲第１項記載の方法。