JPS6236147B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、リング地帯に２つのリング溝が設け
られ、このうちのピストンヘツド側のリング溝に
は圧縮リングが備えられ、又ピストンスカート側
のリング溝には油かきリングが備えられているピ
ストン機関用ピストンに関するものである。

このようなピストンでは、リング地帯の高さ方
方向の幅を短く出来、従つてそれだけピストンの
全長が短くなるという利点があるが、従来、潤滑
剤の消費やガス漏れに関しては必ずしも満足する
に足るものではなかつた。

本発明はこのような問題点に鑑みてなされたも
のであつて、冒頭に述べたピストン機関用ピスト
ンにおいて、 (1) 斜めに面取りされた内側面取り部を有する平
面型の前記圧縮リング（Plain internally
bevelled compression ring）が、 (a) 0.003〜0.013mmだけ中高に膨出した滑動面
と、 (b) 0.1±0.05mmまでの大きさで面取りされた
ピストンスカート側の縁と、 (c) 45゜の角度で少なくとも0.4±0.1mmだけ面
取されるか、或いは少なくとも0.2mmの曲率
半径で丸みをつけられたピストンヘツド側の
縁とを夫具備し、 (2) ばね作用を有する固定部材を具備した溝付き
の前記油かきリング（Slotted oil control
ring）が、 (d) 0.5〜3.0mmの高さ方向厚みを有し、 (3) 前記圧縮リング用溝と前記油かきリング用溝
との間にあるランドの高さ方向の幅がピストン
直径の少なくとも５％に相当しており、 (4) 前記ランドとシリンダとの冷間間隙が前記ピ
ストン直径の0.35％よりも小さいことを特徴と
するピストンに係るものである。このように構
成することによつて、滑動部材の潤滑を十分に
維持しながら潤滑油の消費並びにガス漏れを抑
えることが出来る。

本発明による構成の圧縮リングは、シール効果
に加えて潤滑油の消費量を調節するのにも役立
つ。圧縮リングに内側面取り部を設けたことによ
り次のような効果が生じる。即ち、この内側面取
り部の為に、圧縮リングはそれが嵌込まれた状態
で捩れて、その潤滑油のピストンスカート側の比
較的鋭い縁がシリンダの滑動面に対して圧着し、
これによりピストンの下方への移動に際して潤滑
油のかき落し効果が生じる。

他方、滑動面のピストンヘツド側の縁を大きく
面取りするか又は丸めたことにより、ピストンの
上昇時に圧縮リングが潤滑油を移動させるのを防
ぐことが出来る。油かきリングは高い形状適応性
を有し、又比較的薄い厚さに形成してあるので、
シリンダ滑動面と最適に接合し、従つて優れた潤
滑油かき落し効果を奏する。又両リング溝間にあ
るランドの高さ方向の幅が比較的大きく、且つ冷
間間隙が狭いことは、ガス漏れを減少させ且つ潤
滑油の消費に好影響を与える。

本発明による好ましい構成においては、油かき
リングは鋳造による一体リングか又は鋼製の複合
体リングから成る。

本発明による好ましい構成においては又、ラン
ドの外周面が、そのピストンスカート側の縁を含
み且つこのランドの高さ方向の一部においてピス
トンの半径方向に陥没している。このランドの陥
没は、そのランドの高さ方向の多くとも60％迄と
するのが好ましい。更に、ランドのピストンスカ
ート側の縁における陥没の深さはピストンの直径
の少なくとも0.35％とするのが好ましい。この陥
没を形成するために通常は、ランドの外周面に、
ほぼ長方形の断面を有する凹部が形成される。

一方、凹部としてランドの外周面に、そのピス
トンヘツド側の縁を底面側とするような円錐台面
を形成することも出来る。

本発明においてランドの外周面に凹部を形成し
た場合、ピストンとこれに対向するシリンダ滑動
面との間の環状間隙容量が拡大されるので、油か
きリングのピストンスカート側の縁付近における
動作流体のガス圧を低下させる効果がある。同時
に又この環状間隙は膨張空間を形成して、油かき
リングのかき落し作用によつて生じる潤滑油の圧
力を低下させることが出来る。

次に、本発明の詳細を実施例による添付図面を
参照して説明する。

第１図は内燃機関用ピストン１の両リング溝
２，３の付近を図示した部分縦断面図で、ピスト
ンヘツド側のリング溝２には大きく斜めに面取り
された内側面取り部５を具備するほぼ長方形断面
の圧縮リング４が配されている。このリング４の
滑動面６は0.005mmだけ中高に形成されている。
又、この滑動面６のピストンスカート側の縁７は
45゜の角度で0.1mm面取りされるか、或いはこれ
と同程度の丸みをつけられており、いわゆる角取
りされている。又ピストンヘツド側の縁８はやは
り45゜の角度で0.3mm面取りされている。尚、例
えば45゜の角度で0.3mmの面取りとは、縁の先端
からこの縁を形成する２つの平面に向かつて夫々
0.3mmの位置迄面取りすることを意味している。
ピストンスカート側のリング溝３には、２個の環
状薄板９，１０とばね作用を有する固定部材１１
とから成る軸方向、即ち高さ方向の幅が３mmのい
わゆる溝付きの油かきリングが配されている。ラ
ンド１２には、ピストン直径の5.5％に相当する
ランド高さの更に60％に亘つて、ピストンの半径
方向に陥没する凹部１３が形成されている。

第２図は第１図のピストンの変形例を同様の部
分縦断面図として図示したものである。ランド１
４の外周面は、そのピストンヘツド側の縁１６を
底面側とする円錐台面に構成され、これにより凹
部１５が形成されている。

本発明による利点は、ピストンのリング地帯及
びピストンリングを夫々特別な構成とすることに
より、比較的少ない潤滑油消費量でもつて十分な
潤滑を行い得ると共に、燃焼室と動力伝達室との
間に良好なシール効果が得られることにある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例によるピストンのリ
ング地帯付近の部分縦断面図、第２図は別の実施
例による第１図と同様の部分縦断面図である。 なお図面に用いた符号において、１……ピスト
ン、２，３……リング溝、４……圧縮リング、
９，１０……環状薄板、１１……固定部材、１
２，１４……ランド、１３，１５……凹部であ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ リング地帯と、ピストンスカートと、前記リ
   ング地帯に設けられた２つのリング溝と、前記リ
   ング溝のうちのピストンヘツド側の溝に設けられ
   た圧縮リングと、ピストンスカート側のリング溝
   に設けられた油かきリングとを夫々備えたピスト
   ン機関用ピストンにおいて、 斜めに面取りされた内側面取り部５を有する平
   面型の前記圧縮リング４が、 (a) 0.003〜0.013mmだけ中高に膨出した滑動面
   と、 (b) 0.1±0.05mmまでの大きさで面取りされたピ
   ストンスカート側の縁７と、 (c) 45゜の角度で少なくとも0.4±0.1mmだけ面取
   りされるか、或いは少なくとも0.2mmの曲率半
   径で丸みをつけられたピストンヘツド側の縁８
   とを夫々具備し、 ばね作用を有する固定部材１１を具備した溝
   付きの前記油かきリングが、 (d) 0.5〜3.0mmの高さ方向厚みを有し、前記圧縮
   リング用溝２と前記油かきリング用溝３との間
   にあるランド１２，１４の高さ方向の幅がピス
   トン直径の少なくとも５％に相当しており、 前記ランド１２，１４とシリンダとの間の冷間
   間隙が前記ピストン直径の0.35％よりも小さいこ
   とを特徴とするピストン。 ２ 前記油かきリングが鋳造による一体リング又
   は鋼製の複合体リングであることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項に記載のピストン。 ３ 前記ランド１２の外周面が、そのピストンス
   カート側の縁を含み且つこのこのランド１２の高
   さ方向の一部においてピストンの半径方向に陥没
   していることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   又は第２項に記載のピストン。 ４ 前記ランド１２の外周面が、そのピストンス
   カート側の縁からそのランド１２の高さ方向の幅
   の多くとも60％迄が陥没していることを特徴とす
   る特許請求の範囲第３項に記載のピストン。 ５ 前記ランド１２の外周面が、そのピストンス
   カート側の縁においてピストン直径の少なくとも
   0.35％だけ陥没していることを特徴とする特許請
   求の範囲第３項又は第４項に記載のピストン。 ６ 前記ランド１２の外周面に、ほぼ長方形の断
   面を有する凹部１３を形成したことを特徴とする
   特許請求の範囲第４項〜第６項のいずれか１項に
   記載のピストン。 ７ 前記ランド１４の外周面に、そのピストンス
   カート側の縁からピストンヘツド側の縁１６にか
   けて円錐台面となるようにピストンの半径方向に
   陥没した凹部１５を形成したことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項〜第３項のいずれか１項に記
   載のピストン。