JPS6235415Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、床面に敷設したレール上に移動棚を
その間口と直角方向に走行自在となるように載置
し、移動棚の間口と直角方向の側面に設けた手動
ハンドルの回転操作にて、移動棚を移動する装置
の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

この種の移動棚に関する先行技術として、実公
昭51−9310号公報では、移動棚の二重に作られた
側壁のうち、側壁外面に、作業者が立ち姿勢で操
作し得る位置に手動ハンドルを設け、前記側壁内
面に前記手動ハンドルと共軸一体に設けた伝動輪
を手動ハンドルの回転半径より小さくし、移動棚
の底部に軸装された車輪がレール上を転動するよ
うに構成し、この車輪を駆動する伝動輪を前記伝
動輪より大径に形成し、両伝動輪を伝動紐にて巻
掛けした構成を提案している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

これにより、手動力にて重量のある書架等の移
動棚を軽く移動できる。

しかし、レール端には移動棚の底部が接当する
ストツパを設けて、最側端の移動棚がレールから
外れないようにすることが行われているから、最
側端の移動棚をその手動ハンドルの回転によつて
移動棚する途中において、当該移動棚がストツパ
に接当して移動棚が停止したとき、手動ハンドル
を握つた手には大きな反動が作用して、手を傷め
たり、車輪への回転伝達機構を破損したりするこ
とになるばかりか、手に作用する前記反動によつ
て移動棚の高い手動ハンドル箇所をストツパに向
かつて押圧するので、当該移動棚には偶力が発生
して、転倒するおそれがあり、また、最側端以外
の移動棚においても、その移動中に隣接の移動棚
に接当したときに前記と同様に大きな反動が生じ
るという問題があつた。

本考案は、前記の問題を解決することを目的と
するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

このため本考案では、移動棚の下端部に装着す
る一対の車輪を、移動棚の間口と直角に配設した
レールの長手方向に沿つて適宜間隔隔てて設け、
該一対の車輪をレール上に載置して走行するよう
に構成し、該移動棚における前記レールと平行な
側面には、その適宜高さ位置に突出させたハンド
ル軸に手動ハンドルを設け、該手動ハンドルの回
転を前記一対の車輪のうちの一方の車輪に伝達す
るにおいて、移動棚の下端部には、前記ハンドル
軸の下方であつて前記一対の車輪間に中間軸を設
け、ハンドル軸から中間軸へ、該中間軸から前記
一方の車輪へ各々回転を伝達するチエン等の回転
伝達機構を設ける一方、前記中間軸には、伝達力
が一定値を越えると回転伝達を遮断するようにし
たトルクリミツタを設ける構成としたものであ
る。

〔考案の作用・効果〕

本考案では、手動ハンドルの回転力を一旦中間
軸に伝達し、この中間軸から一対の車輪のうちの
一方の車輪に動力伝達するものであり、この中間
軸にトルクリミツタを設けることにより、手動ハ
ンドルの回転力にて移動棚を移動中にストツパに
衝突したり隣接する移動棚に接当する等して停止
するときには、トルクリミツタ箇所において手動
ハンドルからの回転力が、いわゆる空回りするこ
とになり、手動ハンドル箇所に発生する反動を皆
無にできるから、手を傷めたり、回転伝達機構を
破損したり、移動棚が転倒することを確実に防止
することができる。

また、各移動棚の間に人を挾んだ場合にも、ト
ルクリミツタの作用により人を強く挾むことが防
止されて安全である。

さらに、一般に回転伝達機構において、減速比
率を大きくして手動ハンドルを軽い力で回転でき
るようにするには、従動側の伝動輪の直径を駆動
側の伝動輪の直径より大きくするものである。

この場合先行技術におけるように、ハンドル軸
の伝動輪から一方の車輪軸の伝動輪に無端帯を直
接巻掛けるときには、一方の車輪が移動棚の側面
において片側に偏つているのに、手動ハンドル位
置は移動棚の側面の略中央であることから、無端
帯が上下に垂直状でなく、傾斜状に配設されてい
ることになり、当該無端帯の占める空間が、移動
棚の側面において大きくなる。

本考案においては、中間軸をハンドル軸の下方
であつて、前記一対の車輪が装着される移動棚の
下端部において、その一対の車輪の略中間箇所に
設けたものである。

従つて、ハンドル軸から中間軸への回転伝達機
構は略垂直状となり、移動棚の側面幅方向の占め
る空間を少なくできる。しかも、中間軸から一方
の車輪の軸への回転伝達機構は略水平状となるか
ら、移動棚の下端部における無駄な空間を前記一
方の回転伝達機構により有効利用できる。

さらに、前記トルクリミツタを設けることによ
り当該トルクリミツタが取付く軸の長さ寸法も大
きくする必要がある。このトルクリミツタをハン
ドル軸の箇所に設けると、移動棚の上下高さ寸法
の中途部において移動棚の内側に大きく突出する
ことになり、その部分及び無端帯の部分を移動棚
の内側から覆うカバー体のためさらに無駄な空間
が大きくなる。

本考案では、トルクリミツタを移動棚の一対の
車輪が配置されている下端部の中間軸に設けるの
で、当該下端部は一般に移動棚の最下段の棚より
下位置の底部分となり、移動棚の棚空間を狭める
ことがなくなるのである。

このように、本考案では、移動棚を手動ハンド
ルの回動にて移動させる装置において、トルクリ
ミツタの作用により、不意に停止する場合の移動
棚の転倒や作業者等の人の安全を確保できるもの
であり、しかも、トルクリミツタを装着すること
による移動棚の無駄空間を極力少なくすることが
できるという効果も奏するのである。

〔実施例〕

次に本考案の実施例を説明すると、符号１は下
面に４つの車輪２を有する移動棚を示し、該移動
棚１は床面３上のベース盤４に敷設した２条のレ
ール５，５上に各車輪２が載つてレール５，５の
長手方向に沿つて移動自在となるように構成さ
れ、両レール５，５の両端部にはストツパ６が
各々設けられている。

前記各移動棚１の側面には、適宜高さ位置に手
動ハンドル７とスプロケツト９とを有するハンド
ル軸８を軸支し、該ハンドル軸８の下方であつ
て、移動棚の下端部における前記一対の車輪２，
２の略中間位置に２つのスプロケツト１０，１１
を有する中間軸１２を軸支する。

前記ハンドル軸８に取付くスプロケツト９と中
間軸１２のスプロケツト１０との間、及び該中間
軸１２上の他方のスプロケツト１１と前記一方の
車輪２における車軸１３に取付くスプロケツト１
４との間に各々チエン１５，１６を巻掛けして、
手動ハンドル８の回転を車輪２に伝達するにおい
て、前記中間軸１２に装着したトルクリミツタを
介して一方のスプロケツト１０を装着する。

即ち、中間軸１２に嵌着したトルクリミツタに
おけるフランジ１８付きボス１７に回転自在にス
プロケツト１０を被嵌し、該スプロケツト１０の
表裏両面にはコルク板等の摩擦板１９，１９を接
当し、この両摩擦板１９，１９をボス１７の一端
に螺合したナツト２０の締付にて皿型ばね２１及
び座金２２を介してスプロケツト１０に押圧する
ことにより、このスプロケツト１０に一定値以上
の回転力が作用すれば、当該スプロケツト１０が
空転するように構成するものである。

この構成において、移動しようとする移動棚１
がストツパ６または隣接の移動棚１に接当しいて
いない状態では、中間軸１２における一方のスプ
ロケツト１０に過負荷が作用しないので、当該移
動棚１はこの側面に装着した手動ハンドル７の回
転によつて左右方向に移動することができ、手動
ハンドル７の回転中において、当該移動棚１がス
トツパ６または隣接の移動棚１に接当して移動が
停止すると、中間軸１２における一方のスプロケ
ツト１０に過負荷が発生してトルクリミツタの箇
所にてスプロケツト１０が空転し、手動ハンドル
７は空回りの状態になる。

従つて、手動ハンドル７には移動棚１の停止時
に反動が発生しないと共に、従来のように手動ハ
ンドル７箇所に発生する反動によつて移動棚１を
更に移動方向に押圧することも防止されるのであ
る。

なお、本考案のトルクリミツタは、前記実施例
の摩擦式に限らず、傾斜爪を有する噛合クラツチ
式等他の形式にしても良く、更に本考案はレール
と平行の固定ラツクに噛合するピニオン歯車等へ
の回転伝達機構に対しても適用できることはいう
までもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は移動棚
装置の正面図、第２図は第１図の平面図、第３図
は回転伝達機構の図である。 １……移動棚、２……車輪、４……ベース盤、
５……レール、７……手動ハンドル、８……ハン
ドル軸、１２……中間軸、１３……車輪、９，１
０，１１，１４……スプロケツト、１５，１６…
…チエン、１７……ボス、１８……フランジ、１
９……摩擦板、２０……ナツト、２１……皿型ば
ね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 移動棚の下端部に装着する一対の車輪を、移動
   棚の間口と直角に配設したレールの長手方向に沿
   つて適宜間隔隔てて設け、該一対の車輪をレール
   上に載置して走行するように構成し、該移動棚に
   おける前記レールと平行な側面には、その適宜高
   さ位置に突出させたハンドル軸に手動ハンドルを
   設け、該手動ハンドルの回転を前記一対の車輪の
   うちの一方の車輪に伝達するにおいて、移動棚の
   下端部には、前記ハンドル軸の下方であつて前記
   一対の車輪間に中間軸を設け、ハンドル軸から中
   間軸へ、該中間軸から前記一方の車輪へ各々回転
   を伝達するチエン等の回転伝達機構を設ける一
   方、前記中間軸には、伝達力が一定値を越えると
   回転伝達を遮断するようにしたトルクリミツタを
   設けて成る移動棚における移動装置。