JPS6235048Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は合焦用レンズやズーミング用レンズを
移動するレンズ移動機構に関する。

合焦用レンズやズーミング用レンズをカム筒を
用いて光軸に沿う方向に移動制御する機構は知ら
れている。

又、これらの機構を有するレンズ鏡筒の各構成
部材に新材料を用いる試みも多く行われている。
例えば従来においてはレンズ鏡筒の主要構成部材
の固定筒、レンズ枠、カム筒、中間ヘリコイド
筒、距離リング、ズーム操作リング等はアルミニ
ウム系金属又は真鍮等の金属材料が使われてい
た。これらの金属材料は高価で、加工コストがか
なり製品価格に材料費、加工費の比重が多く影響
を及ぼしていた。

上記金属材料の問題点を解消する目的でプラス
チツク材料をレンズ鏡筒の構成部材の一部に採用
する試みも多く行われはじめている。レンズ鏡筒
の構成部材に金属材料とプラスチツクス材料を併
用する場合、両材料の温度変化による線膨張率の
違いにより歪等が生じレンズ等の光学部材の光軸
上の移動量が設計計算値より狂い光学性能への悪
影響や機械的強度への悪影響を及ぼす恐れを有す
る。本考案はレンズ鏡筒に異種材料を使つた場合
温度等の使用環境条件の変化による悪影響を排除
することを目的とするものであり、特にレンズ枠
の移動をカム曲線を有したカム筒によつて制御す
る機構においてカム曲線を形成するカム溝と該カ
ム溝に係合するカムフオロワーを有し上記従来の
問題点を解消し得る好適な構造を提供することを
目的とする。

以下に図を参照して本考案の一実施例を詳述す
る。図において、符号１は全体をＬで表わすレン
ズ鏡筒の固定筒を示す。

２は前記固定筒１にビス４にて固定され撮影レ
ンズの一部を構成するレンズl₁〜l₄を保持するレ
ンズ保持筒。

６は絞り羽根・羽根作動部材等から成る絞りユ
ニツト。

８は絞りユニツト６と不図示のカメラ側の露出
信号の伝達を行なう信号部材である。

１０は前記固定筒１の外周に嵌装し、光軸O₁
−O₂まわりに回動可能光軸に沿う方向への移動
を阻止されたカム筒。

１２は結像用レンズl₅，l₆を保持するレンズ枠
で固定筒１の内側に嵌装される。該レンズ枠１２
の外周上には光軸と垂直方向に孔１２ａが設けら
れ、該孔１２ａはその径が大径部と小径部から構
成する。１４は前記レンズ枠１２とカム筒１０と
の係合を図る係合ピンであり該係合ピン１４は前
記孔１２ａの小径部に嵌入する小径部と大径部に
嵌入する大径部を有し、ピン１４の頭部は円錐形
又は角錐形に形成する。前記係合ピン１４は一端
がレンズ枠１２の前記孔１２ａに嵌入し、固定筒
１に設けた直進溝１ａを貫ぬきその頭部１４ａは
前記カム筒１０に設けたカム溝１０ａに嵌入し、
更にレンズ枠１２の前記孔１２ａ内に挿入したバ
ネ１６によつてカム筒方向に附勢されている。

前記カム筒１０の前記カム溝１０ａはカム筒１
０に螺旋状に形成し、その側面は傾斜面を有して
いる。前記カム筒１０には前記カム溝１０ａとは
別に光軸まわり方向に円周状の溝又は開口孔１０
ｂを設け、該孔１０ｂに偏心コロ１８調芯ビス２
０を挿通し、該ビス２０は前記固定筒１にネジ止
めする。

２２は前記カム筒の外側に取り付けた操作部
材。２４はカム筒の回転ストツパー。

上記構成のレンズ鏡筒において、固定筒１をア
ルミニウム等の金属材料にし、又、カム等をポリ
カーボネイト等のプラスチツク材料にした場合、
アルミニウムとポリカーボネイトの両者の線膨張
率の大きさの違いによりカム筒１０を固定筒１上
に嵌装し光軸寸法及び光軸まわりの径方向寸法を
余裕なく設計すると使用環境の温度上昇により各
部材の寸法が伸びたり、又温度下降により縮んだ
場合に各部材間に歪を生じ結像レンズl₅，l₆が所
定の正しい設定値に移動しなくなる。

又、カム筒のカム溝は螺旋状に形成しているの
でカム筒の光軸方向の伸びの影響と光軸まわりの
径方向の伸びの影響を受けることになる。

本考案は上述問題に対処するため第１図に示す
ようにカム筒１０の光軸方向の寸法の一端側に見
込み伸び量だけ又はそれ以上の余裕寸法を固定筒
１との間に設ける。この余裕寸法の隙間を１０Ａ
として示す。更に固定筒１とカム筒１０の間に両
者の各部材の温度変化による伸び又は縮みを吸収
するため隙間を設ける。

この隙間を設けるためにカム筒１０の開口端内
側表面に該カム筒１０をモールド成形する際に複
数個所に突起１０l₁，１０l₂……を形成する。前
記カム筒１０の螺旋状カム溝の温度変化による影
響はカム筒の光軸方向の影響と光軸まわりの径方
向の両方向の伸び又は縮みの影響を受ける。

仮りに使用環境の温度変化によりカム溝の溝巾
寸法が縮まる影響を受けた場合、本考案はカムフ
オロワーピン１４の頭部１４ａがカム溝の傾斜に
等しく又は近似の傾斜に成形してあり、かつバネ
１６によつてカムフオロワー１４は常にカム溝の
傾斜面に当接するよう構成してあるのでカムフオ
ロワー１４がカム溝に締め付けられることがな
い。又逆にカム溝の溝巾寸法が拡大する影響を受
けた場合にもカムフオロワー１４の頭部１４ａは
常にカム溝の傾斜面に当接するように作用する。

以上のように本考案はカム筒のカム溝にガイド
されて光軸方向の移動量を制御するレンズ鏡筒に
おいて該カム溝の両側面を傾斜面にし、かつカム
フオロワーの係合部をカム溝の傾斜面と同様又は
近似の傾斜面とすることにより使用環境の温度変
化によつてレンズ枠の移動量の精度を狂うことな
く正確な制御を行い得る。

又、本考案は金属の固定筒とプラスチツクのカ
ム筒との光軸方向及び径方向に隙間を設けて、温
度変化によるカム筒の伸び縮みに対処したと共
に、該カム筒の内径面には複数個の突起を設けて
回動特性を悪くすることを防いでいる。

本考案の実施例の説明は合焦用レンズを移動す
るカム筒１０として説明したが、ズームレンズ鏡
筒のズーミング用レンズ（バリエーター、コンベ
ンセーター）のレンズ枠を移動するズーム用カム
筒のカム溝及びカムフオロワーに本件考案を適用
することにより使用環境温度変化の前述問題点を
解決できることはもとよりである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例のレンズ鏡筒の軸方向
断面図。第２図は第１図のレンズ鏡筒の主要構成
部材の展開図。 １……固定筒、１０……カム筒、１４……カム
フオロワー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 固定筒の内径側に可動レンズ枠を配置し、該固
   定筒の外径側にカム筒を配置し、前記可動レンズ
   枠に保持されたカムフオロワーを前記固定筒の直
   進溝を貫通させて、先端部を前記カム筒の内径に
   形成されたカム溝に嵌入させ、該カム筒の回動に
   より該可動レンズ枠を光軸方向に移動させるレン
   ズ鏡筒において、 前記固定筒を金属にて成形すると共に、前記カ
   ム筒を該固定筒とは温度変化による膨張率が異な
   るプラスチツクにて成形し、 前記カム筒は光軸両端位置に他部材との隙間を
   設けると共に、内径側の前記固定筒との間にも径
   方向の隙間を設け、更には該カム筒の内径面に複
   数個の突起を設け、 前記カム溝の光軸方向の両側面を傾斜面として
   形成し、 前記カムフオロワーの前記先端部を前記カム溝
   の傾斜面の傾斜角に近似又は同一の傾斜面とし更
   に、前記カムフオロワーは光軸直交方向に移動可
   能に前記レンズ枠に保持すると共に、外径方向に
   バネ付勢したことを特徴とするレンズ鏡筒。