JPS6234402Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は直接冷却式の電磁コイルに関するもの
である。

磁性体の周囲に電磁コイルを巻き、当該電磁コ
イルに直流電流を通じると磁性体が磁気を帯びる
が、このような電磁石を利用する工業製品に種々
のものがあり、たとえば電磁フイルタもそのひと
つである。

電磁フイルタは水中の磁性懸濁物を過塔の内
部に充填した磁性体に吸着させることにより除去
するもので、たとえば発電所の復水中に含まれて
いる酸化鉄のような磁性懸濁物を除去する用途な
どに用いられる。電磁フイルタは磁性体を充填し
た過塔の外側に電磁コイルを周設するととも
に、当該電磁コイルに直流電流を供給するための
整流器を設置し、原水中の磁性懸濁物を除去する
にあたつては、交流電流を整流器によつて直流電
流に変換し、当該直流電流を電磁コイルに供給し
て磁束を発生させ、過塔内部の磁性体を電磁石
化するとともに原水を過塔の上部あるいは下部
から通し、当該磁性体に磁性懸濁物を磁力により
吸着させ、また当該磁性体にある程度磁性懸濁物
を吸着させた後に通水を止め、電磁コイルに通じ
た直流電流の供給を止めて磁性体を消磁し、水や
空気を用いて磁性体に吸着していた磁性懸濁物を
洗浄して塔外に除去するもので、この通水と洗浄
を交互に行なうものである。

このような用途に用いる電磁コイルは電気導電
性の大きい金属、たとえば銅、銀、アルミニウム
などをコイル状に巻いたものであるが、当該電磁
コイルに電流を通じると一般に発熱する。

したがつて当該電磁コイルを冷却しながら用い
る必要があるが、電磁フイルタに用いられるよう
な大電流を通じる電磁コイルにおいては発熱量が
大きいので、以下のような直接冷却方式が採用さ
れる。すなわちコイル自体を中空チユーブとし、
当該中空チユーブ内に冷却水を通流して直接的に
冷却するのである。しかしながら従来の直接冷却
方式の電磁コイルには以下のような欠点がある。
すなわち直接冷却方式の電磁コイルはチユーブ内
に冷却水を通流して電磁コイルを冷却するのであ
るから、たとえばチユーブ内にスケールが付着し
て冷却水の通流が阻害されると、たちまち電磁コ
イルが異常に発熱し、電磁コイル内に付設されて
いる絶縁物などが熱破壊する恐れがある。したが
つてこのような場合は電磁コイルへの通電を中断
せねばならない。

しかし電磁コイルへの通電を中断するというこ
とは電磁フイルタなどの当該電磁コイルを用いる
装置の運転が中断されることとなり運転管理上は
なはだ不便であつた。

また従来の電磁コイルは極めて長い中空チユー
ブをコイル状に巻いているため、当該チユーブ内
に冷却水を通流する場合、比較的圧力の高いポン
プが必要であつた。

本考案は従来の電磁コイルにおけるかかる欠点
を除くことを目的とするもので、電磁コイルを多
数に分割し、当該分割した電磁コイルの異常を簡
単に検出できるようにするとともに、それぞれの
電磁コイルを容易に電気的に切りはなすことがで
きるようにすることによつて、たとえ１個の電磁
コイルが異常を呈しても、電磁フイルタなどの装
置の運転を中断させることがないような電磁コイ
ルを提供するものである。

すなわち本考案は電気導電性の大きい金属の中
空チユーブを磁性体の周囲にコイル状に巻いて、
当該コイル内に冷却水を通流するとともに当該コ
イルに直流電流を通じてコイルを直接冷却しなが
ら磁性体を磁化する電磁コイルにおいて、磁性体
の周囲に電磁コイルを多数に分割して巻き、それ
ぞれの電磁コイルの端子を溶接することなく、連
絡バーを用いて電気的に直列に接続して電磁コイ
ルに直流電流を通じるとともに、それぞれの電磁
コイルを冷却水の入口母管と出口母管に分岐して
接続して冷却水を電磁コイルに並列に通流し、さ
らに各電磁コイルの冷却水の出口側に温度検出器
を付設して各電磁コイルから流出する冷却水の温
度を検出するようにしたことを特徴とする電磁コ
イルに関するものである。

以下に本考案を図面を参照して詳細に説明す
る。

図面は本考案の実施態様の一例を示し、第１図
は分割した１個の電磁コイル１の斜視図であり、
第２図および第４図は第１図におけるＡ−A′線
の横断面一部拡大説明図であり、第３図は本考案
の電磁コイルのフローを示す説明図である。なお
第２図、第４図に図示したボルト、ナツト、およ
び連絡バーは第１図では省略した。

第１図に示したごとく断面が円形あるいは角形
の電気導電性の大きい金属の中空チユーブ、たと
えば銅チユーブ２を幾重にも巻き１個の電磁コイ
ル１を形成する。当該電磁コイル１の銅チユーブ
２の両端に端子３および３′を付設し、またその
両先端に冷却水のチユーブコネクタ４を付設す
る。そして第２図および第３図に示したごとく電
磁コイル１を多数個重ね、１個の電磁コイル１の
端子３と他の電磁コイル１の端子３′とを順次連
結バー５を用いて、ボルト６、ナツト７により結
線し、各電磁コイルを整流器８を介して電気的に
直列に接続する。

一方当該電磁コイル１，１′，１″，……１に
近接して冷却水の入口母管９および出口母管１０
を立設し、両母管９，１０に付設したチユーブコ
ネクタ４′と前記のチユーブコネクタ４とをたと
えばテフロン製の絶縁チユーブ１１および１１′
で連結する。また各電磁コイル１の冷却水が流出
する側の銅チユーブ２に温度検出器１２を取りつ
け、さらに入口母管９の冷却水の入口側に導電率
計１３を取りつけるとともに出口母管１０の出口
側にフロースイツチ１４を取りつける。

このような本考案の電磁コイルを稼動させる場
合、入口母管９の入口側から冷却水として比較的
高純度の水を通流し、各電磁コイル１，１′……
に冷却水を並列に通水し、各電磁コイル１，１′
……を一巡した冷却水を出口母管１０に集水し、
出口母管１０の出口側から排出する。一方整流器
８に交流電流Ｓを通じて直流電流に変換し、当該
直流電流を各電磁コイル１，１′……に直列に通
じる。このような操作により直流電流の電流値と
銅チユーブ２の巻き数の総和に応じて各電磁コイ
ル１，１′……の集合体である電磁コイルから磁
束が発生する。したがつて当該電磁コイルが電磁
フイルタのものである時はその内部に立設した
過塔内の磁性体が磁気を帯び、過塔に通水する
被処理水中の磁性懸濁物が磁性体に吸着される。

なお冷却水として比較的高純度の水を用いる理
由は、当該冷却水の経路から電流が漏洩するのを
防止するためである。したがつて当該冷却水の導
電率を常に監視する必要があり、たとえば冷却水
の導電率が10μＳ／cm以上となつたら前述の導電
率計１３から警報を発するようにしておく。

また各電磁コイル１，１′……を冷却するため
に一定流量以上の冷却水が必要であるから、出口
母管１０の出口側に付設したフロースイツチ１４
により水量を常に監視し、冷却水の流量が一定の
流量以下となつた際に同じように警報を発するよ
うにしておく。

なお導電率計１３の取りつけ箇所は入口母管９
でも出口母管１０でも、どこでもさしつかえない
が、フロースイツチ１４は出口母管１０の出口側
に取りつけることが望ましい。

というのはフロースイツチ１４を出口母管１０
の出口側に取りつけておくことにより、いずれか
の電磁コイル１あるいは絶縁チユーブ１１からの
漏水を流量の低下として確実に検出することがで
きる。

また各電磁コイル１，１′……に冷却水が一巡
することにより冷却水の温度が上昇するが、当該
冷却水の温度を前述の温度検出器１２で監視し、
冷却水の温度が規定の温度以上に上昇したら警報
を発するようにしておく。

本考案の電磁コイルは以上説明したような構成
からなり、各電磁コイル１，１′……が正常に稼
動している場合は、各電磁コイル１，１′……か
ら流出する冷却水の温度はほぼ一定の値を示す。
ただしいずれが１個の電磁コイル１の銅チユーブ
２にスケールが発生し、冷却水の流量が低下した
場合は当該電磁コイル１の流出側の冷却水の温度
が上昇し、当該異常を温度検出器１２が検出する
ので、即座に警報を発する。

したがつて本考案の電磁コイルにおいては多数
ある電磁コイルの内、異常な電磁コイル１を容易
に見い出すことができる。

またこのような温度検出器１２からの警報によ
り、異常な電磁コイル１を発見したら一時電流の
通電を中断し、第４図に示したように異常な電磁
コイル１の端子３および３′から連結バー５を外
し、当該電磁コイル１をバイパスして電気的に切
りはなし、その前後の電磁コイル１を連結バー
５′で結線し、ふたたび電流を通じることにより
電磁コイル全体としての運転を続行することがで
きる。

なお当該電磁コイルが電磁フイルタのものであ
る場合は、前述した電磁フイルタの洗浄時に当該
操作を行なえばよい。

また電気的に切りはなした電磁コイル１は、た
とえば定期点検時などに修理、修復を行なうとよ
い。

本考案の電磁コイルの運転は以上説明したよう
に行なうので電磁コイル１の分割数は多ければ多
い程よく、分割数を増加することによつて、ひと
つの電磁コイルをバイパスした時の影響を小さく
することができる。たとえば本考案の電磁コイル
を電磁フイルタに応用する場合はすくなくとも10
個以上に分割することが望ましい。

以上説明したように本考案の電磁コイルは電磁
コイルを多数に分割し、それぞれに温度検出器を
設けているので、分割した電磁コイルの異常を簡
単に検出することができ、かつ各電磁コイルを溶
接することなく、連結バーによつて接続している
ので、当該異常な電磁コイルを電気的に容易に切
りはなすことができ、したがつて１個の電磁コイ
ルが不良となつても電磁コイル全体としての通電
を続行することができる。したがつて電磁コイル
を用いる装置の運転を中断する必要がないので運
転管理上極めて好ましいものである。

また電磁コイルを多数に分割してこれらに冷却
水を並列に通水するので、分割した１個の電磁コ
イルの圧力損失を小さくすることができ、よつて
冷却水通流用のポンプもそれほど高圧力のポンプ
を必要としないという利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はいずれも本考案の電磁コ
イルの実施態様を示すものであり、第１図は分割
した１個の電磁コイル１の斜視図であり、第２図
および第４図は第１図におけるＡ−A′線の横断
面一部拡大説明図であり、第３図は本考案の電磁
コイルのフローを示す説明図である。 １……電磁コイル、２……銅チユーブ、３……
端子、４……チユーブコネクタ、５……連結バ
ー、６……ボルト、７……ナツト、８……整流
器、９……入口母管、１０……出口母管、１１…
…絶縁チユーブ、１２……温度検査器、１３……
導電率計、１４……フロースイツチ、Ｓ……交流
電流。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電気導電性の大きい金属の中空チユーブを磁性
   体の周囲にコイル状に巻いて、当該コイル内に冷
   却水を通流するとともに当該コイルに直流電流を
   通じてコイルを直接冷却しながら磁性体を磁化す
   る電磁コイルにおいて、磁性体の周囲に電磁コイ
   ルを多数に分割して巻き、それぞれの電磁コイル
   の端子を溶接することなく、連絡バーを用いて電
   気的に直列に接続して電磁コイルに直流電流を通
   じるとともに、それぞれの電磁コイルを冷却水の
   入口母管と出口母管に分岐して接続して冷却水を
   電磁コイルに並列に通流し、さらに各電磁コイル
   の冷却水の出口側に温度検出器を付設して各電磁
   コイルから流出する冷却水の温度を検出するよう
   にしたことを特徴とする電磁コイル。