JPS6233341B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、異ループ長をもつ経編地の編成方法
に関する。

〔従来の技術とその問題点〕

従来の複列のニードル列を有する経編機を使用
して編成してなる経編地は、ニードルループが前
後両面に存在するが、前記ニードル列は交互に上
下ストローク運動を行なうので、ニードルループ
は、順次前後１コース毎に形成される。従つて経
編地は前後両面とも同じループ長のニードルルー
プによる編ウエール列をもつものしか編成でき
ず、このため経編地として全体的に編地外観の斯
新さに欠けるものしか得られなかつた。

〔発明の解決課題〕

本発明は上記欠点を解消して、編地外観のみな
らず機能面においても、特に衣料用として優れた
効果を発揮できるように、経編地の前後面のウエ
ールとして異ループ長をもつニードルループを構
成することができる経編地の編成方法を提供せん
とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、異ループ長をもつ経編地の編成方法
として、少なくとも２種の編糸をフロントニード
ル列とバツクニードル列に対し作用させて、経編
地を編成する方法であつて、前記ニードル列のう
ちの一方のニードル列の上下ストローク回数を、
他方のニードル列に対し少なくとも２倍とし、編
糸を、一方のニードル列にてニードルループを形
成させる編コースで他方のニードル列でもニード
ルループを形成させ、かつ他方のニードル列の上
下ストロークを休止するコースでも一方のニード
ル列ではニードルループを形成させるようにし
て、他方面のニードルループ長を一方面のニード
ルループ長の少なくとも２倍になるように編成す
ることとしたものである。

〔作用〕

上記した編成方法によれば、一方面のニードル
ループ長に対し他方面のニードルループ長が少な
くとも２倍のものが得られ、両面に異ループ長を
もつ経編地が編成される。

〔実施例〕

次に本発明を、実施例に基づいて詳しく説明す
るが、編成にあたり使用する経編機は、ダブルニ
ードル列経編機とし、少なくともどちらか一方の
ニードル列が所望のコースだけ運動を休止できる
構造を備えたものとする。

第１図は本発明の一実施例編成方法により編成
するための経編地の編組織図であつて、左方に示
すＦはフロントニードルに対する編成位置を表わ
し、Ｂはバツクニードルに対する編成位置を表わ
す。フロントニードルＦのうちはニードルの上
下運動位置を示し、Ｆはニードルの停止位置を示
している。１〜４は異なるガイドバーに通糸し編
成してなる編糸であつて、編糸１はニードルに対
し２本入４本抜により通糸し、編糸２は４本抜２
本入により通糸してなり、又編糸３および編糸４
は総詰に通糸を行ない、編糸３，４は一方側のニ
ードルにのみ作用してニードルループによる編ウ
エール列からなる基布組織（ハーフ）を形成して
なる。又編糸１は、まずフロントニードルによ
りニードルループを形成したのち、該フロントニ
ードルより右側３番目のバツクニードルに対し移
行して後面にニードルループを形成し、次のコー
スのフロントニードルＦは休止しているのでニー
ドルループは形成せず、その次にフロントニード
ルＦにもどつて前面にニードルループを形成して
いる。これに対し編糸２は編糸１と反対方向に対
称なラツピング運動を行なつてなる（図中●印は
ニードルの位置を示す）。

以上の編成方法により編成された経編地を第２
図に示すと、５はバツクニードルにより編成して
なる編ウエール列であり、図中は直線で略す。編
ウエール列５は編糸３，４によるニードルループ
の連結によつて構成され、各編ウエール列５はニ
ードルループに連接してなるシンカーループとと
もに基布６を形成している。７，８はフロントニ
ードルにより編成してなる編ウエール列であり、
編ウエール列７を構成する編糸１，１と、編ウエ
ール列８を構成する編糸２，２は前述のとおり、
一定の編コースにおいてフロントニードルＦより
バツクニードルＢへ移行する際、互いに交叉状で
しかも数編ウエール列左又は右に交互に移行する
もので、編ウエール列７，８は交叉部Ｘにおいて
互いに引き寄せられる結果、網目Ｍが形成され
る。

このように基布６に対し第３図に示すように編
糸３，４による編ウエール列７，８が数コース毎
にシンカーループ９によつて止められ、ニードル
ループ１０によつて基布６に絡みついた構成とな
つており、本実施例の場合、他方面の編ウエール
列７，８を形成するニードルループ１１の長さ
は、一方面の基布９におけるニードルループ１０
の長さの２倍になつている。

又第４図は本発明の別実施例の編成方法による
編組織であり、編糸１はニードルに対し１本入３
本抜により通糸し、編糸２はニードルに対し３本
抜１本入により通糸し、編糸３および編糸４は総
詰に通糸を行なつてなるもので、本例は第１図と
同様な構成であるが、この場合は編糸１，２を単
列のウエール列とし、編糸１，２に嵩高な太糸加
工糸を使用することによつてベツドスプレツド等
の用途に好適なものとなる。

更に第５図は他の実施例編成方法による経編地
であつて、この場合編糸１，２より編糸３，４の
糸の太さを２倍〜５倍とし、かつ互いに異種また
は異色のものを使用してなり、前部の編糸１，２
がバツクニードルＢに作用し、後部の編糸がフロ
ントニードルＦに対して作用しニードルループを
形成するために、周知のとおり前後ニードルルー
プ１０，１１をつなぐシンカーループ１２，１３
は第６図のように中間で互いに引き合つた状態と
なり、基布面６は編糸１，２により構成され、後
面は編糸３，４により各々構成されることにな
り、１，２，３，４を各々総詰とすることによつ
て完全リバーシブルでかつ一方は密な風合、他方
はバルキー性ある風合をもつ斬新な経編地が得ら
れる。

更に第７図は別の実施例編成方法による経編地
の編組織図であり、編糸１を１本抜１本入、編糸
２も１本抜１本入とし、フロントニードルに対
し網目組織を編成するとともに、編糸４ａを１本
入１本抜、編糸４ｂも１本入１本抜とし、バツク
ニードルＢに対し網目組織を編成し、両網目組織
を総詰の編糸３によつて前後に接結させることに
より経編地に構成するものである。この場合、編
糸１，２のフロントニードルに対する作用位置
をかえることにより前後編ウエール列が背中合せ
となれば孔あき状の網目組織となり、又１ニード
ルずれた位置に編成すれば網目組織は１ニードル
分ずれて、第８図のように両面において凹凸のあ
らわれた形状となり、ニードルループの大なる側
の編糸１，２に吸湿性糸例えば綿糸等を使用し、
編糸３，４ａ，４ｂをナイロン等の加工糸を使用
することによつてアンダーシヤツに好適なものが
得られ、従来の網目の外観を残し、かつ肌当り面
において吸汗性および保温性にすぐれ、かつ柔軟
な風合を有するものが提供できる。なお、上記実
施例はいずれも他方面のニードルループのループ
長が一方面のニードルループのループ長の２倍に
編成して異ループ長とするものを示しているが、
むろん一方面のニードルループのループ長に対し
他方面のニードルループ長を３倍ないしそれ以上
のものとして異ループ長とすることも実施可能
で、更に表裏の外観、風合が異なり、フアツシヨ
ン的にも機能的にも従来にない経編地を提供でき
るものである。

次に上記以外の編成方法により得られる経編地
の実施態様の形状、構成について説明すると、第
９図の〔〕は一方面の編ウエール列５からなる
基布６に対し、他方面の編ウエール列７，８が互
いに抱き合せの形で連結しつつ、基布６にシンカ
ーループ９によつて接結している例を示し、この
編ウエール列７，８を構成する糸を色糸として、
しかも基布６上の編方向で蛇行した状態で基布６
に接結すれば一層意匠的に優れたものとなり、凹
凸効果を発揮できる。又〔〕は基布６に対し編
ウエール列７よりのシンカーループ９ａとシンカ
ーループ９ｂを前後面間で斜方向に走らせ、三角
形状の構成としたもので、編ウエール列７を構成
する糸本数は基布６を構成する糸の半数とし、ニ
ードルに対し１本入１本抜としており、〔〕は
編ウエール列７を基布６と同じウエール密度と
し、編ウエール列７を５列連続したのち１列抜い
で更に次に５列続け、これを交互に繰り返すとと
もに、シンカーループ９ａ，９ｂを基布６上の一
つの編ウエール列に絡ませたものであり、〔〕
および〔〕はいずれも基布６に対する表面の斬
新な柄効果として得られる。〔〕は編ウエール
列５を３列連結し、１ニードル分あけて更に編ウ
エール列３列連結しこれを繰り返して配列してな
るもので、この経編地の特徴は前後両面に凹凸部
分が生じ、衣料用として使用の場合保温性、断熱
効果を高めるとともに、表面の装飾効果も得るこ
とができる。〔〕は基布６に対して編ウエール
列を数本づつあけて配置し、直線状あるいは蛇行
状としシンカーループ９によつてある程度間隔を
もつて基布６に接結してなるもので、編ウエール
列７を構成する編糸を太番手でかつ色糸を使用す
れば、衣料用として頗る好適なものとなる。
〔〕は前面の基布６を網目組織とするととも
に、後面も編ウエール列７，８により網目組織と
し、更に左右端の編ウエール列相互をシンカール
ープ９にて連結することによつて円筒状となし、
一方面における密な網目と他方面には紡績糸を用
いることによる粗い毛羽状の網目組織を重ね合わ
せることにより、フイルターとして好適なものが
得られる。〔〕は前面の編ウエール列５と後面
の編ウエール列７を前後方向でジグザグ状にシン
カーループ９によつて接結してなるもので、又
〔〕は前面の編ウエール列５を複数列、実施例
の場合４列を連続して接結し、前面の連結された
生地と後面の連結された生地をシンカーループ９
によつて接結してなるもので、〔〕および
〔〕はいずれも異なるニードルループ長により
生地がウエール方向で連結されたものとなり、従
来にない外観を呈する経編地となり、衣料用とし
て好適なものが得られる。

〔発明の効果〕

以上のように本発明は、編糸を、一方のニード
ル列にてニードルループを形成させる編コースで
他方のニードル列でもニードルループを形成さ
せ、かつ他方のニードル列の上下ストロークを休
止するコースでも一方のニードル列ではニードル
ループを形成させるように編成するため、このよ
うにして得られる経編地は他方面のニードルルー
プ長が一方面のニードルループ長の少なくとも２
倍の長さとなつているので、一方面の外観、風合
に対し、他方面が著しく相違した状態を呈した従
来にない斬新な表面効果、柄効果を有する経編地
となるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例編成方法により編
成するための経編地の編組織図であり、第２図
は、第１図実施例編成方法により編成された経編
地の概略平面図であり、第３図は、第２図に示さ
れた経編地のｌ−ｌ線における部分概略縦断面図
であり、第４図は、本発明の別実施例編成方法に
より編成するための経編地の編組織図であり、第
５図は、本発明の他の実施例編成方法により編成
するための経編地の編組織図であり、第６図は、
第５図に示された経編地の部分概略断面図であ
り、第７図は、本発明の更に別の実施例編成方法
により編成するための経編地の編組織図であり、
第８図は、第７図の実施例編成による経編地の概
略横断面図であり、第９図の〔〕〜〔〕は、
前記実施例以外の編成方法により得られる経編地
の形状及び構成の実施態様を示す概略横断面図で
ある。 符号の説明、１，２，３，４……編糸、５……
編ウエール列、６……基布、７，８……編ウエー
ル列、９……シンカーループ、１０，１１……ニ
ードルループ、１２，１３……シンカーループ、
Ｆ……フロントニードル、Ｂ……バツクニード
ル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 少なくとも２種の編糸をフロントニードル列
   とバツクニードル列に対し作用させて、経編地を
   編成する方法であつて、前記ニードル列のうちの
   一方のニードル列の上下ストローク回数を、他方
   のニードル列に対し少なくとも２倍とし、編糸
   を、一方のニードルにてニードルループを形成さ
   せる編コースで他方のニードル列でもニードルル
   ープを形成させ、かつ他方のニードル列の上下ス
   トロークを休止するコースでも一方のニードル列
   ではニードルループを形成させるようにして、他
   方面のニードルループ長を一方面のニードルルー
   プ長の少なくとも２倍となるように編成すること
   を特徴とする異ループ長をもつ経編地の編成方
   法。 ２ 一方のニードル列により平編組織を編成し、
   他方のニードル列により網目組織を編成すること
   を特徴とする上記特許請求の範囲第１項記載の異
   ループ長をもつ経編地の編成方法。 ３ 一方及び他方のニードル列により、ともに平
   編組織に編成することを特徴とする上記特許請求
   の範囲第１項記載の異ループ長をもつ経編地の編
   成方法。 ４ 一方及び他方のニードル列により、ともに網
   目組織に編成することを特徴とする上記特許請求
   の範囲第１項記載の異ループ長をもつ経編地の編
   成方法。 ５ 一方面を構成する編糸を総詰に、他方面を構
   成する編糸を糸抜きに配置して、編成することを
   特徴とする上記特許請求の範囲第１項〜第４項記
   載の異ループ長をもつ経編地の編成方法。 ６ 一方面を構成する編糸と他方面を構成する編
   糸を異編糸で、かつ異種又は異色の糸として編成
   することを特徴とする上記特許請求の範囲第１項
   〜第５項記載の異ループ長をもつ経編地の編成方
   法。 ７ 一方のニードル列と他方のニードル列の各左
   右端相互に対し編糸を作用させて、円筒上の経編
   地に編成することを特徴とする上記特許請求の範
   囲第１項〜第６項記載の異ループ長をもつ経編地
   の編成方法。 ８ 一方のニードル列と他方のニードル列に対
   し、編糸を適宜ニードル位置で作用させて、単一
   及び／または複数の編ウエール面を交互に連結し
   た状態で編成することを特徴とする上記特許請求
   の範囲第１項〜第６項記載の異ループ長をもつ経
   編地の編成方法。