JPS6232817Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は射出成形機におけるノズル後退防止装
置、特に改良した油圧回路を使用するノズル後退
防止装置に関する。

射出成形機に使用されるノズル移動シリンダ
は、ノズルを移動させる以外に、射出行程中にノ
ズルを金型に押し付けることにより、スクリユー
シリンダから金型内へ射出される樹脂が金型とノ
ズルの接触面より洩れることを防止する作用をす
る。

射出行程においては、通常、射出圧力を一次圧
から途中で一次圧より圧力の低い二次圧へ変化さ
せて成形を行なうが、一次圧より二次圧への圧力
の切換時に主回路の圧力が第２図に示すようにリ
リリーフ弁特性により瞬間的に降下をする。

従来は、ノズル移動シリンダを駆動させる圧油
を射出回路と同じ主回路から導入しているため、
射出行程中主回路の圧力が上記の一次圧より二次
圧に下がる時点で、ノズル移動シリンダの押力が
弱くなり、樹脂圧力により発生する力がノズルの
押力より大きくなり、ノズルが一時的に後退し
て、金型とノズルとの接触面の間隙より樹脂洩れ
をおこすことがあつた。その結果樹脂の射出量お
よび射出圧力が不安定となり成形品の外観、寸法
精度等に悪影響をおよぼすという欠点があつた。

本考案の目的はノズル移動シリンダの油圧回路
にパイロツトチエツク弁を設ける事により従来の
欠点であつた射出一次圧から二次圧への油圧切換
時のノズル後退による樹脂洩れを解消した新規な
射出成形機のノズル後退防止装置を提供するにあ
る。

つぎに本考案について図面を参照しつつ説明す
る。第１図は本考案の一実施例の油圧回路を示す
図であつて、ポンプ１の吐出側の主回路２には一
次圧用のリリーフ弁３が接続され、リリーフ弁３
には圧力切換用の方向切換弁４と一次圧より低圧
に設定された二次圧用のパイロツトリリーフ弁５
が接続されている。

主回路２の圧力は、通常、リリーフ弁３によつ
て設定された一次圧であるが、方向切換弁４のソ
レノイドａが作動されるとポートが切換えられ、
パイロツトリリーフ弁５の設定圧力である二次圧
となる。

主回路２より分岐してノズル移動シリンダ６に
通ずる管路２ａがあり、該管路２ａにはノズル前
後進用の方向切換弁７と、この方向切換弁７のＢ
ポートからノズル移動シリンダ６のヘツド側の室
８への管路２ｃには、圧油が室８へ自由に流れる
ようパイロツトチエツク弁９が設置される。パイ
ロツトチエツク弁９のパイロツト回路１０は方向
切換弁７のＡポートとノズル移動シリンダ６のピ
ストンロツド側の室１１を結ぶ管路２ｄに接続さ
れる。パイロツトチエツク弁９は通常、ノズル移
動シリンダ６から方向切換弁の方向には油を通さ
ないがパイロツト回路１０に圧力が作用すると通
路が開かれる。

また主回路２の射出シリンダ１２に通じる管路
２ｅには射出用の方向切換弁１３および流量調整
弁１４が設置される。

以下、本考案装置の作動状況を説明する。まず
ノズル１５を前進させるには方向切換弁７のソレ
ノイドａが作動するとポートＰとポートＢとが連
通し、主回路２より圧油がパイロツトチエツク弁
９を通り、ノズル移動シリンダ６のヘツド側の室
８に流れノズル１５は金型１６の方へ前進してノ
ズル１５を金型１６に押圧しその状態を保つ。つ
ぎに方向切換弁１３のソレノイドａが作動すると
ポートＰとポートＢが連通し、主回路２より圧油
が流量調整弁１４を通り射出シリンダ１２に流
れ、スクリユーシリンダ１７内の樹脂を金型１６
内に射出する。このとき金型１６およびスクリユ
ーシリンダ内の樹脂は高圧であるため、ノズルを
後退させようとする力が働く。樹脂が金型１６内
にほぼ充填された時点で、方向切換弁４のソレノ
イドａが作動し、方向切換弁４のポートＰとポー
トＢと連通し二次圧用のパイロツトリリーフ弁５
が働いて、主回路の圧力は一次圧から一次圧より
低圧の二次圧に切り換えられる。この圧力切り換
え時にリリーフ弁の特性により主回路の圧力が、
前述のごとく第２図に示すように瞬間的に低下す
る。

従来の油圧回路では、主回路の圧力が低下する
と、それがそのまま影響して、ノズル移動シリン
ダ６内の圧力も低下し、ノズルの金型への押力が
弱くなり、ノズルが樹脂圧により発生する力に負
けて一時的に後退することがあつたが、本考案の
油圧回路ではパイロツトチエツク弁９が設置され
ているので、ノズル移動シリンダ６のベツド側の
室８の圧油が主回路に逆流して圧力が低下するの
を防止しておりそのためノズル移動シリンダ６の
押圧力は一次圧のまま保持され、ノズル１５が後
退することなく、従つてノズル１５と金型１６と
の接触面より樹脂が漏洩することはない。

また、ノズル１５を後退させるには方向切換弁
７のソレノイドａを作動させポートＡとポートＰ
を連通させると、主回路２からの圧油は管路２
ａ，２ｄを通つてノズル移動シリンダ６のピスト
ンロツド側の室１１に流れる。同時にパイロツト
回路１０にも圧油が流れパイロツトチエツク弁９
が開きノズル移動シリンダ６のヘツド側の室８の
油がポートＢ，Ｔを通つてタンク１８に戻りノズ
ルが後退する。

上述のごとく本考案装置によれば従来ノズル移
動シリンダの射出一次圧から二次圧への油圧切換
等の油圧別動時におこる圧力低下のためのノズル
後退による金型とノズルとの接触面よりの樹脂漏
洩が防止され、樹脂の射出量および射出圧が安定
し、外観や寸法精度の良い成形品を得ることがで
きた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の１実施例の油圧回路図、第
２図は射出行程中の主回路の圧力変化を示す図で
ある。 １：ポンプ、２：主回路、３：リリーフ弁、
４：方向切換弁、５：パイロツトリリーフ弁、
６：ノズル移動シリンダ、７：方向切換弁、８：
室、９：パイロツトチエツク弁、１０：パイロツ
ト回路、１１：室、１２：射出シリンダ、１３：
方向切換弁、１４：流量調整弁、１５：ノズル、
１６：金型、１７：スクリユーシリンダ、１８：
タンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 射出成形機の主回路２よりノズル移動シリンダ
   ６および射出シリンダ１２へ圧油を供給する油圧
   回路において、前記ノズル移動シリンダ６に圧油
   を供給する管路２ａに方向切換弁７を設置し、該
   方向切換弁７の一方のポートＢとノズル移動シリ
   ンダ６のヘツド側室８とを結ぶ管路２ｃに前記方
   向切換弁７から前記ノズル移動シリンダ６へ自由
   に流れるようにパイロツトチエツク弁９を設け、
   該パイロツトチエツク弁９のパイロツト回路１０
   を前記方向切換弁７の他方のポートＡと前記ノズ
   ル移動シリンダ６のピストンロツド側の室１１と
   を結ぶ管路２ｄに接続したことを特徴とする射出
   成形機のノズル後退防止装置。