JPS623260B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は繊維メツシユの製造方法に関する。繊
維メツシユは防虫網、防水シート、或は断熱シー
ト、FRP、GRC等の強化材料として多用されて
いる。

一般に繊維メツシユは織機を用いて目間隔を置
いて製織したる後にコーテイング処理剤で目止め
加工を施す方法により製造するが普通織機の打込
回数が100回未満程度では生産性が低く又緯糸準
備工程、更には目止め処理工程が複雑であり、極
めて非能率的でコストを増大せしめるものであ
る。繊維メツシユの製織効率は糸の集束性、摩擦
係数等に支配される面が多く、経糸は通常糊付工
程を必要とし、又追撚が必要な場合もある。

特に追撚はコストアツプの主要因となる他、撚
縮みによる見掛け上の伸度は補強用繊維としての
性能を低減するものである。

製織に依らない方法としては、並列に定間隔を
有する糸条群にあらかじめバインダーを緯方向に
糸状に散布して簾状に形成せしめた後、該糸条を
緯糸として、別に走行する整経糸条に接着せしめ
て目止めせる繊維メツシユの製造方法がある。

該方法に於いては糸条をバインダーにより簾状
に接着固定する工程が複雑でありコストを増大せ
しめ又工程中糸条の毛羽或は糸切が多発するため
適用原糸に可成りの制約がある。

又塗布せるバインダーの剛性が小さく簾状にせ
る糸条が緯方向に伸縮性を有するためメツシユ間
隔の不均一、製品製造時の幅出し及び寸法の不安
定等問題点を有している。

本発明者等は斯様な状況に鑑み鋭意研究を行な
い本発明を完成したものでありその目的は繊維メ
ツシユを構成する緯糸となる糸条の撚数及び集束
状態に関係なく又繊維メツシユ製造時に糸条の毛
羽或は糸切れの発生がなく、更に糸条にバインダ
ーを散布して簾状に形成せしめる複雑な工程を採
用することなくメツシユ間隔を均一にして強固に
目止めせる繊維メツシユの製造方法を提供するに
ある。

即ち、本発明は離型紙に付着せる熱可塑性ラン
ダムウエブに整経糸条を固定せしめ、かかる熱可
塑性ランダムウエブを離型紙より剥離せしめて一
定長に切断した後、該切断フイルムを別の整経せ
る糸条に交叉するように載置して両整経糸条の交
点を熱融着することを特徴とする繊維メツシユの
製造方法である。

本発明方法に用いる糸条とは綿、麻、羊毛等の
天然繊維、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポ
リエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ア
クリル、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル
等の化学繊維、ガラス、炭素、金属等の無機繊維
等のフイラメント糸、紡績糸、合撚糸、スプリツ
トヤーン、テープヤーンである。

又、本発明に示す一定間隔で整経せる該糸条を
離型紙面上で固定せしめる熱可塑性ランダムウエ
ブはビニル系重合体或はポリアミド系重合体であ
り、特にビニル系重合体は抵温で熱融着性に優れ
好適である。ビニル系重合体としては例えばアク
リル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマール酸、アコニツト酸、ビ
ニル酢酸、該カルボン酸類のエステル、アミド、
ニトリルであるアクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸クロロエチル、イタコン酸ジメ
チル、マレイン酸モノメチル、フマール酸モノメ
チル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メ
タクリルアミド或は酢酸ビニル、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、スチレン、ビニルアルコール、等
の如きビニル系単量体の単独重合体又は該単量体
の共重合体及び該ビニル系単量体とオレフイン例
えばエチレン、プロピレン、１―ブテン、２―ブ
テン、イソブチレン、１―ペンテン、２―ペンテ
ン、２―メチル―１―ブテン、３―メチル―１―
ブテン、２―メチル―２―ブテン、１―ヘキセ
ン、２―ヘキセン、４―メチル―１―ペンテン、
２，３―ジメチル―２―ブテン、５―メチル―１
―ヘキセンの如きモノオレフイン或はブタジエ
ン、イソプレン、１，３―ペンタジエン、１，４
―ペンタジエン、１，５―ヘキサジエンの如きジ
オレフイン等の共重合体である。又、これ等重体
に耐熱剤、離型剤等を含有せるものである。

前記ビニル系或はポリアミド系重合体からラン
ダムウエブを形成せしめるには該重合体を溶融も
しくは均一な溶液に調製してスリツト或はノズル
から吐出せしめる方法により容易に作成できる。

又本発明に示す離型紙とはクラフト紙、上質
紙、ロール紙、コート紙、或は該紙表面にパラフ
イン離型性シリコーン、ワツクス更には合成樹脂
例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオ
レフイン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリ
カ―ボネート系樹脂、等の熱可塑性樹脂、或はフ
エノール系樹脂、メラミン系樹脂、アミノアルキ
ツド樹脂、尿素系樹脂等の熱硬化性樹脂の薄膜を
有するもの、更にはポリエチレン、ポリプロピレ
ン等から製造せる合成紙等である。

本発明に示す離型紙に付着せる熱可塑性ランダ
ムウエブに固定せる整経糸条を作成する方法とし
ては例えばエクストルーダー、ホツトメルトコー
ター、或はワツクスコーター等により前記ビニル
糸重合体或はポリアミド系重合体を溶融して走行
する離型紙面に吐出してランダムウエブを形成せ
しめ該ランダムウエブが固化する以前に予め整経
せる糸条を供給して糸条を接着固定せしめるか、
又は前記重合体を溶融もしくは溶液に調製してス
リツト或はノズルから吐出せしめるに際し整経せ
る糸条を同時に供給して合体せしめ、走行する離
型紙面に付着させて形成するか或は離型紙面に予
め形成せる熱可塑性ランダムウエブを溶融もしく
は軟化点温度に保持せしめた保温帯域或は加熱ロ
ーラを通過せしめながら、整経せる糸条を供給し
て必要に応じてローラを圧接して接着せしめるか
更には離型紙面に付着せる熱可塑性ランダムウエ
ブ面にバインダーを付着せしめた整経糸条を供給
して必要に応じてローラー或は加熱ローラーによ
り圧接する等の方法により形成せしめられる。

斯様にして形成せる熱可塑性ランダムウエブに
固定した整経糸条は離型紙を剥離せしめて熱可塑
性ランダムウエブに固定された糸条を所定長に切
断し、別に整経せる糸条と交叉するように載置し
た後前記熱可塑性ランダムウエブの少なくとも軟
化点温度好ましくは溶融温度に加熱せるローラ或
は該温度雰囲気中で圧接せしめて糸条の交叉部を
融着して強固に目止めして繊維メツシユが得られ
る。

本発明の実施態様を第１図及び第２図により以
下詳細に説明する。

第１図は本発明に示す離型紙に付着せる熱可塑
性ランダムウエブに固定せる整経糸条を離型紙よ
り剥離せしめて一定長に切断する好適な一具体例
を示す。

第１図Ａ及びＢに於て１は離型紙に付着せる熱
可塑性ランダムウエブ面に固定せる整経糸条が巻
込まれた供給パツケージであり、２は駆動ローラ
３は剥離防止押えローラ、４はランダムウエブ面
に固定せる整経糸条、５は離型紙、６は吸引装
置、７はローラ、８はカツター、９は巻取り用駆
動ローラである。

駆動ローラ２，９は間歇的に駆動して供給パツ
ケージ１は押えローラ３を起点として吸引装置に
よりランダムウエブ面に固定せる整経糸条を吸引
して離型紙５より剥離せしめて第１図Ｂに示す如
く吸引装置の後端をカツター８の位置まで平行移
動すると同時にカツター８が作動してランダムウ
エブ面に固定せる整経糸条４を切断し、吸引装置
６を所定位置へ移動せしめて吸引せる該整経糸条
４を直接或は一旦積層せしめた後、別の整経糸条
に交叉するように載置すべく往復移動する。

駆動ローラ２，９はカツターの作動後吸引装置
６が移動している間は停止する。

第２図は本発明に示す一定長に切断したランダ
ムウエブ面に固定せる整経糸条を予め整経せる糸
条と交叉すべく載置した後、融着せしめて繊維メ
ツシユを得る好適な一具体例を示す。

供給糸条１０はローラ１１，１２及びテンシヨ
ン装置ガイドコーム１３により整経せる糸条１４
を移送し、予め熱可塑性ランダムウエブに固定せ
る整経糸条４を吸引装置６により供給して、前記
整経糸条１４と交叉する如く載置した後、距離ａ
を間歇移送せしめながら別の供給糸条１０′をガ
イドコーム１３′、ローラ１２′及び圧接ローラ１
５を通過せしめた整経糸条１４′を供給し目的と
するメツシユ間隔に調整した後前記熱可塑性ラン
ダムウエブの溶融温度に保持せる加熱ローラ１６
と圧接せしめて該ランダムウエブの溶融により糸
条１４，１４′と４の交点を融着せしめ更に冷却
ローラ１７を圧接して糸条の交点を強固に目止め
された繊維メツシユ１８をローラ１９に巻取り製
品が得られる。この際冷却ローラー１７の後に繊
維メツシユの耳除去用カツターを設けてもよい。
又ローラ１２，１２′は必要に応じてサイジング
ローラを適用してもよい。

ローラ１５，１６，１７は表面を弗素系樹脂被
覆等を施した離型性の優れたローラが好ましい。

更に整経糸条１４が目的とする所定の間隔を有
する場合は後に供給する整経糸条１４′を省いて
もよい。

本発明に係る繊維メツシユの製造方法は適用す
る糸条が集束性、撚数、摩擦係数、偏平糸の如き
繊維形状等に関係なく如何なる状態にある糸状も
容易に使用可能であり安価に効率よく繊維メツシ
ユを製造することができる。本発明方法により得
られる繊維メツシユは合成樹脂製品及びセメント
製品等の補強材として有用である。

以下実施例により本発明を説明する。

実施例 クラフト紙の両面をパラフインワツクス仕上げ
処理せる厚み0.8mmの離型紙面にエチレン―酢酸
ビニル共重合体（融点90℃）に少量のパラフイン
ワツクス、酸化防止剤、ブロツキング防止剤を添
加せる溶融混合物を噴射装置のノズルより糸状に
散布してランダムウエブ（28ｇ／m²）を形成せし
めると同時に耐アルカリ性ガラス繊維糸条（鐘紡
(株)製150Tex撚数0.5S／インチ）を10mm間隔で30
本整経して供給し離型紙に付着せる熱可塑性ラン
ダムウエブ（エチレン―酢酸ビニル共重合体）で
固定せる糸条を得た。

次に前記耐アルカリ性ガラス繊維糸条を５mm間
隔で200本整経せる糸条に、前記離型紙に熱可塑
性ランダムウエブで固定せる糸条を第１図及び第
２図の方法に従つて長さ１ｍに切断して前記整経
糸条（200本）に対して緯糸となるように載置し
た後100℃に加熱せるローラで圧接せめることに
より熱可塑性ランダムウエブを溶融して糸条の交
点を融着せしめ続いて室温に保持せるローラで冷
却して強固に目止めせる繊維メツシユを製造する
ことができた。

又、比較対照として前記耐アルカリ性ガラス繊
維糸条を使用してガラス繊維用織機により同様の
繊維メツシユの製造を行なつた結果糸切が多発し
て製織不能であつた。

更にこの耐アルカリ性ガラス繊維糸条を使用し
て繊維メツシユの製造を可能にする条件を探索し
た結果追撚数3.8ケ／インチ及び酢酸ビニル重合
体を主体とする糊剤を糸条に対して４％付着せし
め更に合成樹脂接着剤により目止め加工を施すこ
とにより製造が可能となつた。

本発明方法は比較例と対比して明らかな如く、
作業性、工程の簡略化、コスト面で著しく優れて
いる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の実施例を示す説明
図である。 １……供給パツケージ、４……熱可塑性ランダ
ムウエブ固定整経糸条、５……離型紙、６……吸
引装置、８……カツター、１０，１０′……供給
糸条、１４，１４′……整経糸条、１６……加熱
ローラ、１７……冷却ローラ、１８……繊維メツ
シユ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 離型紙に付着せる熱可塑性ランダムウエブに
   整経糸条を固定せしめ、かかる熱可塑性ランダム
   ウエブを離型紙より剥離せしめて一定長に切断し
   た後、該切断フイルムを別の整経せる糸条に交叉
   するように載置して両整経糸条の交点を熱融着す
   ることを特徴とする繊維メツシユの製造方法。 ２ 熱可塑性ランダムウエブがビニル系重合体で
   ある特許請求の範囲第１項記載の繊維メツシユの
   製造方法。