JPS623250Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、印刷装置の原紙係止装置に係り、更
に詳細には孔版印刷装置の版胴の外周面に孔版印
刷用原紙の端部を係止する原紙係止装置に係る。

転式印刷装置に於ける印刷用原紙の取付けは、
印刷用原紙の始端を版胴の外周面にその一つの母
線方向に沿つて係止し、この状態にて印刷用原紙
を版胴の外周面に巻き付けることにより行われて
いる。

この印刷用原紙の始端の版胴に対する係止と離
脱を自動化する原紙係止装置が本願出願人と同一
の出願人による特願昭57−039670号（特開昭58−
155958号）に於て提案されている。この原紙係止
装置は、強磁性のクランプ片を版胴に取付けられ
た磁石板と版胴の周りの一箇所に設けられた支持
体に取付けられた磁石装置のいずれか一方に選択
的に吸着させて前記クランプ片により印刷用原紙
の始端を版胴に係止し、またその係止を解除する
ようになつている。この原紙係止装置に於ては、
クランプ片は印刷用原紙の係止と解放に際して磁
石板と磁石装置との間を移動し、その移動に際し
て案内装置等による機械的な拘束を受けないた
め、クランプ片が磁石板或いは磁石装置に繰返し
その正しい位置に吸着されるためには、印刷用原
紙の係止及び解放時に磁石板が磁石装置に対向す
る所定の回転位置に版胴が正しく停止されなけれ
ばならず、さもないとクランプ片の磁石板或いは
磁石装置に対する吸着位置が版胴の回転方向に沿
つて偏倚し、所謂位置ずれが生じ、それの繰返し
により位置ずれが累積すると、クランプ片が磁石
板或いは磁石装置の磁場より外れ、脱落する可能
性がある。

版胴を所定の回転位置に正しく停止させること
はブレーキ装置を用いることにより具現される
が、しかしブレーキ装置が用いられると、版胴の
停止の度に機械的衝撃が生じ、装置全体の耐久性
が低下する原因になる。このため印刷装置の耐久
性の観点からは版胴の停止は該版胴を駆動する電
動機の電流制御のみにより緩やかに行われること
が好ましい。しかしこの場合には版胴の停止位置
に或る程度の誤差が生じることが避けられない。

本考案は版胴の停止位置に或る程度の誤差があ
つてもクランプ片の磁石板或いは磁石装置に対す
る吸着位置が大きく変動しないよう改良された印
刷装置の原紙係止装置を提供することを目的とし
ている。

かかる目的は、本考案によれば、印刷用版胴の
周面に該版胴の一つの母線に沿つて設けられた磁
石装置と、前記版胴が所定の回転位置にある時に
前記磁石装置に対向し前記磁石装置より遠去かつ
た第一の位置と前記磁石装置に近接した第二の位
置との間で移動可能な支持部材と、前記支持部材
に取付けられ前記磁石装置との対向面を磁気的吸
着面とされた電磁石と、前記磁石装置と前記電磁
石に選択的に磁気的に吸着される強磁体材料製の
クランプ片と、前記電磁石の側方位置にて前記支
持部材に取付けられた第一の永久磁石片と、前記
第一の永久磁石片に対向整合する位置にて前記ク
ランプ片に取付けられ前記第一の永久磁石片と磁
気的に互いに吸引し合う第二の永久磁石片とを有
し、前記電磁石は通電時には前記クランプ片に及
ぼす磁力に於て前記磁石装置の磁力より大きい値
に磁化し、前記第一の永久磁石片と前記第二の永
久磁石片との間の吸着力は前記磁石装置と前記ク
ランプ片との間の吸着力より小さく、前記クラン
プ片が印刷用原紙を挾んで前記磁石装置に吸着さ
れることにより該印刷用原紙の一端を前記版胴に
係止するよう構成されている印刷装置の原紙係止
装置によつて達成される。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図は本考案による原紙係止装置の一つの実
施例を一部断面にて示す正面図、第２図は第１図
の線−に沿う断面図である。これらの図に於
て、１は孔版印刷用版胴を示しており、該版胴１
は自身の軸線周りに回転可能に設けられ、その外
周面にて孔版印刷用原紙Ｓを担持するようになつ
ている。版胴１の外周部には該版胴の一つの母線
に沿つて帯状の磁石板２が固定装着されている。
この磁石板２は第２図によく示されている如く、
版胴１の外周部に形成された取付溝３内に嵌込ま
れ、その平らな表面４は版胴１の外周面に連続し
た面となつている。磁石板２は多極構造のゴム磁
石の如く適度の柔軟性を備えた永久磁石により構
成されている。

版胴１の上方には該版胴の軸線方向に延在する
支持フレーム５が固定配置されている。支持フレ
ーム５にはギヤボツクス６が取付けられており、
該ギヤボツクスはピニオン７を備えた水平な軸８
を回転自在に挿持している。またギヤボツクス６
はラツク９を上下動自在に支持しており、該ラツ
クはピニオン７と噛合して、ピニオン７の回転に
伴い上下方向に駆動されるようになつている。

ラツク９はその下端にて磁石板２の延在方向に
沿つて延在する帯状の支持プレート１０を担持し
ている。支持プレート１０には二つの電磁石１１
が取付けられており、それら電磁石１１は各々支
持プレート１０を貫通して磁石板２の表面に対向
する下底面部（磁気的吸着面）１３を備えた一対
の磁極板１２を有している。、電磁石１１は、選
択的に通電され、通電時には磁極板１２の下底面
部１３に於ける磁力が磁石板２の表面４に於ける
磁力より大きい値に磁化するようになつている。

また支持プレート１０の両端部には、即ち電磁
石１１の外側方位置には、第３図に良く示されて
いる如く、各々小型円板状の比較的弱い永久磁石
片１４が取付けられている。

前記軸８は、支持フレーム５に取付けられた電
動機１５に駆動連結され、この電動機によつて回
転駆動され、支持プレート１０を、第１図及び第
２図に示されている如く磁極板１２の下底面部１
３が磁石板２の表面４より充分遠去かつた上昇位
置と、下底面部１３が磁石板２の表面に近接した
降下位置との間に駆動するようになつている。

１６はクランプ片を示している。クランプ片１
６は、ステンレス鋼の如き強磁性金属薄板により
帯状に構成され、磁石板２の延在方向に沿つて配
置されて磁石板２の表面４と磁極板１２の下底面
部１３に選択的に磁気的に吸着されるようになつ
ている。またクランプ片１６の上面にはこれが永
久磁石片１４の各々に対向整合する位置に小型円
板状の比較的弱い永久磁石片１７が固定されてお
り、この永久磁石片１７は永久磁石片１４に近接
したとき磁気的に互いに吸着するようになつてい
る。永久磁石片１４と１７の磁力はその相互磁気
吸着力が磁石板２とクランプ片１６との吸着力よ
り小さくなるよう設定されている。

尚、電磁石１１及び電動機１５の通電制御は一
般的なシーケンス制御装置により行われればよ
く、このシーケンス制御装置は所期のシーケンス
作動が行われるよう周知のシーケンス制御技術に
従つて構成されればよいものであるので、そのシ
ーケンス制御装置の説明は省略する。

次に上述の如く構成された原紙係止装置の作用
について説明する。

先ず、版胴１に新しい印刷用原紙Ｓを取付ける
場合、即ち給版時について説明する。給版時の初
期状態時に於ては、支持プレート１０は上昇位置
にあり、また電磁石１１は消磁された状態にあつ
てクランプ片１６は永久磁石片１４と１７の相互
磁気吸着により磁極板１２の下底面部１３に接触
した状態にて支持プレート１０に保持されてい
る。また版胴１は図示されている如く磁石板２が
支持プレート１０に対応する所定の回転位置に停
止している。上述の如き状態にて印刷用原紙Ｓが
版胴１上に供給され、磁石板２上にその印刷用原
紙Ｓの端部が載せられる。このことが図示されて
いないセンサにより検出されると、電動機１５が
正転し、支持プレート１０がその上昇位置より降
下し、クランプ片１６が印刷用原紙Ｓを隔てて磁
石板２に接近するようになる。永久磁石片１４と
１７の相互磁気吸着力は上述の如く磁石板２とク
ランプ片１６との吸着力より小さいから、支持プ
レート１０の降下に伴つてクランプ片１６が磁石
板２に接近或いは印刷用原紙Ｓに当接すると、ク
ランプ片１６は磁石板２の表面４から大きい磁力
を及ぼされ、これにより永久磁石片１４と１７の
相互磁気吸着が離れ、クランプ片１６は、支持プ
レート１０より離れ、印刷用原紙Ｓを挾んで磁石
板２の表面４に磁気的に吸着される。これにより
印刷用原紙Ｓの端部は、磁石板２とクランプ片１
６とにより挾持され、版胴１に係止される。

この後に電動機１５が逆転し、支持プレート１
０が上昇して上昇位置に戻る。上述の如く一端を
版胴１に係止された印刷用原紙Ｓは、その後に版
胴１が回転することに伴いその外周面に巻き付け
られる。これにより印刷用原紙Ｓの給版が終了す
る。

次に上述の如く版胴１の外周面に取付けられて
いる印刷用原紙Ｓを取外す場合、即ち排版時につ
いて説明する。排版時に於ても版胴１は磁石板２
が支持プレート１０に対応する所定の回転位置に
停止される。版胴１の停止後に電動機１５が正転
し、支持プレート１０がその上昇位置より降下
し、磁極板１２の下底面部１３が印刷用原紙Ｓの
端部を挾んで磁石板２に吸着されているクランプ
片１６の上面に接近するようになる。このとき電
磁石１１に通電が行われ、これが励磁し、磁極板
１２の下底面部１３が磁石板２の表面４の磁力よ
り大きい磁力にて磁化される。このため下底面部
１３がクランプ片１６に接近或いはこれの上面に
当接すると、クランプ片１６は磁石板２からより
も磁極板１２の下底面部１３から大きい磁力を及
ぼされ、この結果、クランプ片１６は磁石板２よ
り離れて磁極板１２の下底面部１３に磁気的に吸
着される。そしてこの後に電磁石１１がクランプ
片１６を吸着した状態にて支持プレート１０が上
昇し、上昇位置に戻る。これにより印刷用原紙Ｓ
の係止が解除され、その後に版胴１が回転するこ
とにより、その印刷用原紙Ｓは図示されていない
原紙剥がし爪により版胴１より剥ぎ取られる。こ
れにより印刷用原紙Ｓの排版が完了する。

支持プレート１０が上述の如く上昇位置に戻る
と、電磁石１１に対する通電が停止され、これが
消磁する。この時にはクランプ片１６は永久磁石
片１４と１７との相互磁気吸着力によつてのみ支
持フレーム１０に保持される。このとき、版胴１
の停止位置の誤差等からクランプ片１６が電磁石
１１に対し版胴１の回転方向に偏倚していたり、
或いは版胴１の母線に対し傾いていると、永久磁
石片１４と１７との相互磁気吸着力により、クラ
ンプ片１６が磁極板１２に対しその下底面部１３
に沿つて滑り、これにより一回のアンクランプの
毎にクランプ片１６の偏倚や傾きが修正される。

またクランプ片１６が支持フレーム１０に保持
されているときに停電或いは誤つて電源が切れて
も永久磁石片１４と１７との相互磁気吸着により
クランプ片１６が支持フレーム１０より脱落する
ことがない。

以上に於ては本考案を特定の実施例について詳
細に説明したが、本考案はこれに限定されるもの
ではなく、本考案の範囲内にて種々の実施例が可
能であることは当業者にとつて明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による原紙係止装置の一つの実
施例を一部断面にて示す正面図、第２図は第１図
の線−に沿う断面図、第３図は第１図の拡大
Ａ矢視図である。 １……孔版印刷用版胴、２……磁石板、３……
取付溝、４……表面、５……支持フレーム、６…
…ギヤボツクス、７……ピニオン、８……軸、９
……ラツク、１０……支持プレート、１１……電
磁石、１２……磁極板、１３……下底面部、１４
……永久磁石片、１５……電動機、１６……クラ
ンプ片、１７……永久磁石片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 印刷用版胴の周面に該版胴の一つの母線に沿つ
   て設けられた磁石装置と、前記版胴が所定の回転
   位置にある時に前記磁石装置に対向し前記磁石装
   置より遠去かつた第一の位置と前記磁石装置に近
   接した第二の位置との間で移動可能な支持部材
   と、前記支持部材に取付けられ前記磁石装置との
   対向面を磁気的吸着面とされた電磁石と、前記磁
   石装置と前記電磁石に選択的に磁気的に吸着され
   る強磁体材料製のクランプ片と、前記電磁石の側
   方位置にて前記支持部材に取付けられた第一の永
   久磁石片と、前記第一の永久磁石片に対向整合す
   る位置にて前記クランプ片に取付けられ前記第一
   の永久磁石片と磁気的に互いに吸引し合う第二の
   永久磁石片とを有し、前記電磁石は通電時には前
   記クランプ片に及ぼす磁力に於て前記磁石装置の
   磁力より大きい値に磁化し、前記第一の永久磁石
   片と前記第二の永久磁石片との間の吸着力は前記
   磁石装置と前記クランプ片との間の吸着力より小
   さく、前記クランプ片が印刷用原紙を挾んで前記
   磁石装置に吸着されることにより該印刷用原紙の
   一端を前記版胴に係止するよう構成されている印
   刷装置の原紙係止装置。