JPH0357879B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、印刷装置の原紙係止装置に係り、更
に詳細には孔版印刷装置の版胴の外周面に孔版印
刷用原紙の端部を係止する原紙止装置に係る。

輪転式印刷装置に於ける印刷用原紙の取付け
は、印刷用原紙の始端を版胴の外周面にその一つ
の母線方向に沿つて係止し、この状態にて印刷用
原紙を版胴の外周面に巻き付けることにより行わ
れており、この印刷用原紙の始端の係止は、従来
一般には、その始端に設けられた一般に耳部と呼
ばれている補強紙片部に穿設された係合開口と版
胴の外周面に設けられた係止ピンとを嵌合させ、
更に版胴に取付けられた機械式のクランプ片によ
り前記補強紙片部を版胴に押え付けることにより
行われている。

また改良された印刷用原紙の係止装置として、
補強紙片部に穿設された係合開口又は版胴に設け
られた係止ピンの形状を修正してその両者の嵌合
が逆止的に行われるようにし、これによつて前記
係合開口と前記係止ピンとの嵌合が不用意に離脱
することを回避し、機械式のクランプ片を省略し
たものが知られている。

いずれに於ても従来は、印刷用原紙の取付けに
際し、印刷用原紙に設けられた係合開口を版胴に
取付けられた係止ピンに嵌合させるという比較的
繊細な手作業が必要である。この嵌合作業を機械
的に自動化することは難しく、このことが印刷用
原紙の給版及び排版の自動化を阻害している。ま
た、上述の如き係止構造にて版胴に係止される印
刷用原紙はその始端に係合開口を有する補強紙片
を取付けられていなければならず、このためその
印刷用原紙のコストが高くなり、また印刷用原紙
を連続シートとして供給することが難しい。

印刷用原紙の給版及び排版の自動化を可能にす
る印刷用原紙の係止装置の一つとして、版胴に空
気吸引口を有し、この空気吸引口にて印刷用原紙
を流体圧的に吸引して該印刷用原紙を版胴に係止
するよう構成されたものが知られている。

この原紙係止装置は印刷用原紙の給版及び排版
を自動化することができるが、しかし、空気ポン
プ等を必要とし、装置が比較的大掛りで複雑なも
のになり、実用性に乏しいものである。

本発明は、輪転式孔版印刷装置に於ける印刷用
原紙の給版及び排版を自動化することを可能に
し、しかも印刷用原紙の始端に取付けられる補強
紙片を省略することを可能にし、又これによつて
印刷用原紙を連続用紙として供給することを可能
にする新しい原紙係止装置を提供することを課題
としている。

かかる課題は、本発明によれば、印刷用版胴の
周面に該版胴の一つの母線に沿つて設けられた第
一の磁石装置と、前記版胴が所定の回転位置にあ
るとき前記第一の磁石装置に対向する第二の磁石
装置と、前記第一の磁石装置と前記第二の磁石装
置に選択的に磁気的に吸着されるクランプ片とを
有し、前記第二の磁石装置は前記クランプ片に及
ぼす磁力に於て他方の磁石装置の磁力より大きい
値と小さい値との間で可変であり、前記第二の磁
石装置は前記版胴が前記所定の回転位置にあると
き前記第一の磁石装置に近接した位置と前記第一
の磁石装置より遠去かつた位置との間で移動自在
であり、前記クランプ片が印刷用原紙を挟んで前
記第一の磁石装置に吸着されることにより該印刷
用原紙の一端を前記版胴に係止するよう構成され
ている印刷装置の原紙係止装置によつて達成され
る。

以下に添付の図を参照して本発明を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図は本発明による原紙係止装置の一つの実
施例を一部断面にて示す正面図、第２図は第１図
の線−に沿う断面図である。これらの図に於
て、１は孔版印刷用版胴を示しており、該版胴１
は自身の軸線周りに回軸可能に設けられ、その外
周面にて孔版印刷用原紙Ｓを担持するようになつ
ている。版胴１の外周部には該版胴の一つの母線
に沿つて帯状の磁石板２が固定装着されている。
この磁石板２は第２図によく示されている如く、
版胴１の外周部に形成された取付溝３内に嵌込ま
れ、その平らな表面４は版胴１の外周面に連続し
た面となつている。磁石板２は多極構造のゴム磁
石の如く適度の柔軟性を備えた永久磁石により構
成されている。

版胴１の上方には該版胴の軸線方向に延在する
支持フレーム５が固定配置されている。支持フレ
ーム５にはギヤボツクス６が取付けられており、
該ギヤボツクスはピニオン７を備えた水平な軸８
を回転自在に担持している。またギヤボツクス６
はクラツチ９を上下動自在に支持しており、該ラ
ツクはピニオン７と噛合し、ピニオン７の回転に
伴い上下方向に駆動されるようになつている。

ラツク９はその下端にて磁石ユニツト１０を担
持している。磁石ユニツト１０は強磁性の一対の
半円筒状部材１１ａと該一対の半円筒部材１１ａ
の両上下端を各々互いに接続した常磁性の接続部
材１１ｂとにより構成されたスリーブ１１を有し
ており、該スリーブは、第３図及び第４図に示さ
れている如く、その内部に軸１２によつて円柱状
の永久磁石１３を回転自在に支持している。永久
磁石１３はその中心部を隔てて一方の側にＳ極
を、また他方の側にＮ極を有し、第３図に示され
ている如くその磁極方向が略水平になる第一の回
動位置にあるときスリーブ１１の下底面部１４に
磁石板２の表面４に於ける磁力より大きい第一の
値の磁力による磁場を生じ、第４図に示さている
如くその磁極方向が傾斜した第二の回動位置にあ
るときスリーブ１１の下底面部１４に磁石板２の
表面４に於ける磁力より小さい第二の値の磁力に
よる磁場を生じるようになつている。

軸１２はその一端にてスリーブ１１の外方に突
出しており、この突出部にはレバー１５が設けら
れている。磁石ユニツト１０にはブラケツト１６
によつてソレノイド装置１７が取付けられてお
り、このソレノイド装置のプランジヤロツド１８
はピン１９によつてレバー１５に駆動連結されて
いる。ソレノイド装置１７は非常電時にはばね２
０のばね力によつてプランジヤロツド１８と共に
操作レバー１５を第２図に示されている如き位置
にもたらして永久磁石片１３を前記第二の回動位
置に位置させ、これに対し通電時にはばね２０の
作用に抗してプランジユロツド１８が第２図にて
左方へ移動することによりレバー１５を回動させ
て永久磁石片１３を前記第一の回動位置に位置さ
せるようになつている。

また前記軸８は支持フレーム５に取付けられた
電動機２１に駆動連結され、この電動機によつて
回転回動され、磁石ユニツト１０を、第１図及び
第２図に於て実線で示さている如くスリーブ１１
の下底面部１４が磁石板２の表面４より充分遠去
かつた上昇位置と、第２図に於て仮想線で示され
ている如く下底面部１４が磁石板２の表面に近接
した降下位置との間に駆動するようになつてい
る。

２２はクランプ片を示している。クランプ片２
２はステンレス鋼の如き強磁性金属薄板により帯
状に構成され、磁石板２の延在方向に沿つて配置
されて磁石板２の表面とスリーブ１１の下底面部
１４に選択的に磁気的に吸着されるようになつて
いる。

尚、ソレノイド１７及び電動機２１の通電制御
は一般的なシーケンス制御装置により行われれば
よく、このシーケンス制御装置は所期のシーケン
ス作動が行われるよう周知のシーケンス制御技術
に従つて構成されればよいものであるので、その
シーケンス制御装置の説明は省略する。

次に上述の如く構成された原紙係止装置の作用
について説明する。

先ず、版胴１に新しい印刷用原紙Ｓを取付ける
場合、即ち給版時について説明する。給版時の初
期状態時に於ては、磁石ユニツト１０は上昇位置
にあり、また永久磁石片１３は第二の回動位置に
あり、クランプ片２２はスリーブ１１の下底面部
１４に磁気的に吸着されている。また版胴１は図
示されている如く磁石板２が磁石ユニツト１０に
対応する所定の回転位置に停止している。上述の
如き状態にて印刷用原紙Ｓが版胴１上に供給さ
れ、磁石板２上にその印刷用原紙Ｓの端部が載せ
られる。このことが図示されていないセンサによ
り検出されると、電動機２１が正転し、磁石ユニ
ツト１０がその上昇位置より降下し、クランプ片
２２が印刷用原紙Ｓが隔てて磁石板２に接近する
ようになる。この時には永久磁石片１３は第４図
に示されている如き第二の回動位置にあり、スリ
ーブ１１と下底面部１４に磁石板２の表面４に於
ける磁力より小さい第二の値の磁力による磁場が
生じているから、磁石ユニツト１０の降下に伴つ
てクランプ片２２が磁石板２に接近或いは印刷用
原紙Ｓに当接すると、クランプ片２２はクリーブ
１１の下底面部１４からよりも磁石板２の表面４
から大きい磁力を及ぼされ、この結果、クランプ
片２２はスリーブ１１より離れ、印刷用原紙Ｓを
挟んで磁石板２の表面４に磁気的に吸着される。
これにより印刷用原紙Ｓの端部は磁石板２とクラ
ンプ片２２とにより挟持され、版胴１に係止され
る。

この後に電動機２１が逆転し、磁石ユニツト１
０が上昇して上昇位置に戻る。上述の如く一端を
版胴１に係止された印刷用原紙Ｓは、その後に版
胴１が回転することに伴いその外周面に巻き付け
られる。これにより印刷用原紙Ｓの給版が終了す
る。

次に上述の如く版胴１の外周面に解付けられて
いる印刷用原紙Ｓは取外す場合、即ち排版時につ
いて説明する。排版時に於ても版胴１は磁石板２
が磁石ユニツト１０に対応する所定の回転位置に
停止される。版胴１の停止後にソレノイド装置１
７が通電が行われ、これにより永久磁石片１３が
第３図に示されている如き第一の回動位置にもた
らされ、またこれと同時に電動機２１が正転し、
磁石ユニツト１０がその上昇位置より降下し、ス
リーブ１１の下底面部１４が印刷用原紙Ｓの端部
を挟んで磁石板２に吸着されているクランプ片２
２の上面に接近するようになる。この時には永久
磁石片１３が第一の回転位置にあつてスリーブ１
１の下底面部１４に磁石板２の表面４の磁力より
大きい第一の値の磁力による磁場が生じているか
ら、下底面部１４がクランプ片２２に接近或いは
これの上面に当接すると、クランプ片２２は磁石
板２からよりもスリーブ１１の下底面部１４から
大きい磁力を及ぼされ、この結果、クランプ片２
２は磁石板２よ離れてスリーブ１１の下底面部１
４に磁気的に吸着されるようになる。そしてこの
後にスリーブ１１がクランプ片２２を吸着した状
態にて磁石ユニツト１０が上昇し、上昇位置に戻
る。これにより印刷用原紙Ｓの係止が解除され、
その後に版胴１が回転することにより、その印刷
用原紙Ｓは図示されていない原紙剥がし爪により
版胴１より剥ぎ取られる。これにより印刷用原紙
Ｓの排版が完了する。

第５図は本発明による原紙係止装置の他の一つ
の実施例を示している。尚、第５図に於て第１図
に対応する部分は第１図に付した符号と同一の符
号により示されている。かかる実施例に於ては、
ラツク９の下端部に磁石ユニツト１０に代えて磁
石板２の延在方向に沿つて延在する帯状の支持プ
レート３０を担持している。支持プレート３０に
は二つの電磁石３１が取付けられている。電磁石
３１は支持プレート３０を貫通して磁石板２の表
面に対向する下底面部３３を備えた一対の磁極板
３２を有している。電磁石３１はこれに供給され
る電流の変化により各々磁極板３２の下底面部３
３に於ける磁力が磁力板２の表面４に於ける磁力
より大きい第一の値にて磁化する第一の励磁状態
と下底面部３３を磁石板２の表面に於ける磁力よ
り小さい第二の値にて磁化する第二の励磁状態に
選択的に励磁されるようになつている。

また支持プレート３０の両端には各々錠剤形の
比較的弱い永久磁石片３４が取付けられている。
この永久磁石片３４はクランプ片２２が電磁石３
１に吸着されているとき該クランプ片を補助的に
磁気的に吸着し、停電時或いは誤つて電源が切れ
た際にクランプ片２２が脱落することを回避する
ようになつている。

この実施例に於ては、給版時には電磁石３１の
各々が前記第一の励磁状態にて励磁された状態に
て支持プレート３０が降下し、そして所定の降下
位置にて電磁石３１の励磁状態が前記第一の励磁
状態から前記第二の励磁状態に切換わることによ
り、磁極板３２の下底面部３３及び永久磁石片３
４に吸着されていたクランプ片２２がこれより離
れて磁石板２の表面４上に載せられている印刷用
原紙Ｓの端部を挟んで磁石板２に磁気的に吸着さ
れ、その後に支持プレート３０が上昇することに
より印刷用原紙Ｓの端部が版胴１に係止される。

また排版時には電磁石３１の各々が前記第二の
励磁状態にて励磁された状態にて支持プレート３
０が降下し、そして所定の降下位置にて電磁石３
１の励磁状態が前記第二の励磁状態より前記第一
の励磁状態に切換わることにより磁石板２に吸着
されているクランプ片２２が磁石板２より離れて
下底面部３３及び永久磁石片３４に磁気的に吸着
され、その後に支配持プレート３０が上昇するこ
とにより印刷用原紙Ｓの係止が解除される。尚、
この場合、クランプ片２２は永久磁石片３４によ
り支持プレート３０に支持されるから、この時に
は電磁石３１に対する通電が停止されて該電磁石
が消磁されてもよい。

上述したいずれの実施例に於ても、本発明によ
る原紙係止装置によれば、給版及び排版を自動化
することができる。

またこの原紙係止装置に適用される印刷用原紙
は従来の一般的な印刷用原紙の如く、係合開口を
有する補強紙片を備えていなくてよく、逆にクラ
ンプ片が磁石に強力に磁気的に吸着されるよう補
強紙片が設けられていなくて印刷用原紙の係止部
が薄い方が好ましい。一般に使用される孔版印刷
用原紙は数十ミクロンの厚さであるから、これが
直接磁石板とクランプ片とによつて挟持されるこ
とが好ましく、印刷用原紙は補強紙片を備えてい
なくてよいので、この印刷用原紙の低廉化を図る
ことができ、更に印刷用原紙を連続シートとして
構成することが可能になる。

以上に於ては本発明を特定の実施例について詳
細に説明したが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、本発明の範囲内にて種々の実施例が可
能であることは当業者にとつて明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による原紙係止装置の一つの実
施例を一部断面にて示す正面図、第２図は第１図
の線−に沿う拡大断面図、第３図及び第４図
は各々第１図及び第２図に示された磁石ユニツト
の内部を示す縦断面図、第５図は本発明による原
紙係止装置の他の一つの実施例を一部断面にして
示す正面図である。 １……孔版印刷用版胴、２……磁石板、３……
取付溝、４……表面、５……支持フレーム、６…
…ギヤボツクス、７……ピニオン、８……軸、９
……クラツク、１０……磁石ユニツト、１１……
スリーブ、１２……軸、１３……永久磁石片、１
４……下底面部、１５……レバー、１６……ブラ
ケツト、１７……ソレノイド装置、１８……プラ
ンジヤロツド、１９……ピン、２０……ばね、２
１……電動機、２２……クランプ片、３０……支
持プレート、３１……電磁石、３２……磁極板、
３３……下底面部、３４……永久磁石片。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 印刷用版胴の周面に該版胴の一つの母線に沿
   つて設けられた第一の磁石装置と、前記版胴が所
   定の回転位置にあるとき前記第一の磁石装置に対
   向する第二の磁石装置と、前記第一の磁石装置と
   前記第二の磁石装置に選択的に磁気的に吸着され
   るクランプ片とを有し、前記第二の磁石装置は前
   記クランプ片に及ぼす磁力に於て他方の磁石装置
   の磁力より大きい値と小さい値との間で可変であ
   り、前記第二の磁石装置は前記版胴が前記所定の
   回転位置にあるとき前記第一の磁石装置に近接し
   た位置と前記第一の磁石装置より遠去かつた位置
   との間で移動自在であり、前記クランプ片が印刷
   用原紙を挟んで前記第一の磁石装置に吸着される
   ことにより該印刷用原紙の一端を前記版胴に係止
   するよう構成されている印刷装置の原紙係止装
   置。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載された原紙係止
   装置に於て、前記第二の磁石装置は永久磁石片を
   含み、該永久磁石片は、前記クランプ片に前記大
   きい値の磁力を及ぼす第一の方向姿勢と前記クラ
   ンプ片に前記小さい値の磁力を及ぼす第二の方向
   姿勢との間で方向姿勢が可変であることを特徴と
   する印刷装置の原紙係止装置。 ３ 特許請求の範囲第１項に記載された原紙係止
   装置に於て、前記第二の磁石装置は電磁石により
   構成され、前記電磁石に与えられる電流の変化に
   より前記クランプ片に前記大きい値の磁力と前記
   小さい値の磁力を選択的に及ぼすよう構成されて
   いることを特徴とする印刷装置の原紙止装置。 ４ 特許請求の範囲第３項に記載された原紙係止
   装置に於て、前記第二の磁石装置は前記クランプ
   片に及ぼす磁力に於て前記第一の磁石装置の磁力
   より弱い永久磁石片を含んでいることを特徴とす
   る印刷装置の原紙係止装置。