JPS6230272B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は銀を含む廃液の電解処理装置に係り、
特に銀化合物を含む廃液から電解によつて銀を回
収すると共に廃液を再生する電解処理装置に関す
る。

写真定着液、現像液、鍍金液等の銀を含む工業
廃液から銀を回収すると共に廃液を再生する方法
は省資源および環境汚染の防止の見地から近年特
に注目されており、その効果的な一つの手段とし
て電解による方法が種々提案されている。

たとえば写真定着廃液中に含まれている銀を電
解により回収し、同時に定着液を再生する一つの
方法として電解槽中で陽極に対向して設けたドラ
ム状の銅陰極の周面に銀を電解析出させることが
知られている。

しかしこの方法では電流密度を増加させると分
極によつてチオ硫酸ナトリウム溶液からのイオウ
イオンに起因するAgSが著しく生成されて回収銀
に混入しかつ析出する銀が粒状化してドラム上に
適正な電着が得られないので電流密度を低い値に
制限せねばならない。したがつて電解速度を上げ
ることができず迅速な廃液の処理を行うことがで
きないという欠点があつた。またこのような低電
流密度では銀がドラム上に密着して析出するので
これを剥離する作業も容易ではない。

本発明の目的はこのような従来技術の欠陥を解
消して銀を含む廃液から電解によつて効率的に銀
を回収しかつ同時に廃液を再生することのできる
銀を含む廃液の電解処理装置を提供することにあ
る。

本発明は銀を含む廃液から電解によつて銀を回
収しかつ廃液を再生するようになされた電極処理
装置において、上方に廃液注入部を下方に再生液
排出部を有する竪形の電解槽と、前記電解槽内に
垂直方向に沿つて設けられた長円筒状の陽極と、
前記電解槽の内部において前記円筒状の陽極の内
周壁に対する同心的な環状域に沿つて高速で回転
駆動されるように設けられかつ前記長円筒状の陽
極の円筒軸方向の長さにほぼ等しい長さと前記陽
極の表面積に比較して充分に小さな表面積とを有
する細長な棒状の陰極と、前記排出部の下流側に
難脱可能に取付けられた回収部とを備えたことを
特徴とする。以下本発明の一実施例を図面に基い
て詳細に説明する。

本発明を写真定着浴廃液中の銀の回収に適用し
た場合の一実施例の原理を示す図中、竪形の電解
槽１中には長円筒状のステンレス製の陽極２が設
けられ、この陽極２の内方には二本のステンレス
製の撹拌棒の形態をなす陰極３が配置されてい
る。陰極３の二本の撹拌棒はその長さが前記陽極
２の円筒軸方向の長さにほぼ等しくその表面積が
前記陽極２の表面積に比較して充分小さい細長な
形状をなし、図中上端部を導電性の結合部４でま
た下端部を絶縁性の結合部４で夫々互いに結合さ
れている。前記導電性の結合部には陽極２の円筒
の軸心位置において回動軸５が固着され回転駆動
部６によつて陰極３の撹拌棒を陽極２の内周壁に
対する同心的な環状域に沿つて高速で回転駆動さ
せるようになされている。電解槽１の上部には写
真定着浴廃液の貯槽７からの注入口８が設けられ
ており、また底部には電解処理後の液を排出する
排出口９が設けられこの排出口には回収部１０が
フランジ１１，１１を介して取り外し可能に取付
けられている。

その他図中、１３は排出口９に設けられた液流
バツフル板、１４は陽極２および陰極３に電解電
圧を印加するための電源であり、１５は回収銀濾
過後の液を循環路１６を介して貯槽７に返却する
ための吸引ポンプである。

本実施例においては写真定着処理後における銀
を含む通常のチオ硫酸ナトリウム定着浴の廃液が
貯槽７から注入口８を介して電解槽１に供給さ
れ、ここで陽極２および陰極３間で電解された
後、排出口９を通して電解槽１の底部の回収部１
０に沈降し、フイルタ１２によつて銀粒子を濾過
され、再生液としてポンプ１５で吸引されて貯槽
７に再循環される。

この場合陽極２の円筒状の周壁に対向する環状
域に沿つて回転駆動部６によつて回転される陰極
３の２本のステンレス棒の回動域の周辺では電解
によつて廃液中の銀イオンが電荷を失つて金属銀
として析出する。しかし、これらステンレス棒の
表面積が陽極面積よりも著しく小さいために、析
出した銀に対しては充分な電着面積が与えられず
しかも陰極電流密度が極めて高くなるので、銀は
粒状形態で析出されステンレス棒にほとんど電着
しないでそのまま槽中を沈降し、回収部１０のフ
イルタ１２上に蓄積される。尚本実施例では陽極
電流密度は陰極電流密度に比較して極めて低いた
め分極によつてAgS等の不純物が析出するおそれ
は少ないが、さらに前記ステンレス棒が電解液中
を高速で回転されるため液中の分極生成状態が撹
乱されてAgS等がほとんど発生しないことが確認
された。またこの高速回転によつて廃液全体が常
に撹拌されるので電解および析出銀の回収分離は
効率よく進行する。廃液は竪形の電解槽１中を回
転撹拌されながら流下するが、その流路において
漸次電解を受け、排出口９付近では廃液中に溶け
こんでいたほとんどの銀が析出して液は調整時の
組成に近いものとなる。

析出銀は前記のようにフイルタ１２上に蓄積さ
れるが、この場合回収部１０の上方の排出口９に
設けたバツフル板１４によつて回収部１０中の銀
が液流で撹乱されることが防止される。

再生液はポンプ１５を介して貯槽７に環流され
再び注入口８から電解槽１に循環されて前記電解
が反復される。貯槽７中の再生液の組成が実用上
定着液として使用可能なものになつたところで液
の循環を停止し、電解槽１中の廃液を抜いてから
フランジ１１，１１を暖めて回収部１０を取り出
し、銀をフイルタ１２から回収する。

このように本発明の実施例によれば、電解電極
を長円筒状の陽極２とその内部の同心的な環状域
に沿つて高速で回転駆動される棒状の陰極３とに
よつて形成してあるので、陰極電流密度が著しく
増大し、廃液中の銀を粒状物として沈降させてフ
イルタ１２上に回収することができる。この場合
陽極電流密度は陰極と陽極との面積比によつて制
限されるのでAgSの有害な分極物質が形成される
ことはなく、また陰極３としてステンレス棒の高
速回転駆動によつて廃液が激しく撹拌されるので
電解を効率良く均一に行なうことができかつ陰極
に電着した析出銀を容易に剥離させることができ
る。

尚本実施例では再生液を貯槽７に循環させる方
式としてあるが、電解槽１を竪形としまた電解液
は回転流下されるようになされているので廃液は
排出口付近まで流下する間にほとんど脱銀され
る。したがつてここで電解槽の高さ、電流密度、
陰極回動速度等を夫々適宜に設定すればバツチ方
式としても充分実用に適した再生液を得ることが
できる。さらに、比較的小型の装置では前記回収
部のフランジ緊締に代えてフイルタを回収部にス
プリングで係留しワンタツチで係脱するようにし
てもよい。この回収部はもとより貯槽７側に取付
けることもできる。

尚前記実施例においては写真定着廃液の電解処
理について説明したが、本発明は電解によつて析
出可能な銀を含む全ての工業廃液からの銀の回収
および廃液の再生に適用することができる。

叙上のように本発明によれば銀を含む廃液中か
ら電解により高能率で銀を回収しかつ廃液を再生
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明実施例の概要を示す説明図であ
る。 図中、１……電解槽、２……陽極、３……陰
極、８……注入口、９……排出口、１０……回収
部、１２……フイルタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 銀を含む廃液から電解によつて銀を回収しか
   つ廃液を再生するようになされた電解処理装置に
   おいて、 上方に廃液注入部８を下方に再生液排出部９を
   有する竪形の電解槽１と、 前記電解槽１内に垂直方向に沿つて設けられた
   長円筒状の陽極２と、 前記電解槽１の内部において前記円筒状の陽極
   ２の内周壁に対する同心的な環状域に沿つて高速
   で回転駆動されるように設けられかつ前記長円筒
   状の陽極２の円筒軸方向の長さに対応する長さと
   少なくとも前記陽極２の表面積よりも小さな表面
   積とを有する細長な棒状の陰極３と、 前記排出部９の下流側に離脱可能に取付けられ
   た回収部１０とを備えたことを特徴とする前記銀
   を含む廃液の電解処理装置。