JPS6229832Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は熱交換器における伝熱管群中に配置さ
れ、熱交換器の気柱振動数を調節する防振バツフ
ルの改良に関するものである。

従来、排ガスボイラ等に用いられている多管式
熱交換器は第１図ａ，ｂにモデル的に示されてい
るように、中空管０１の内側中空部０２の中を管
内流体が流れている。そして、多管式熱交換器で
は一般に中空管０１が多数配置され、第１図ａ，
ｂに示されているような管群が形成されている。
この管群は側壁０４により外部と仕切られてお
り、管外で側壁内の領域０３の部分を矢印の方向
に管外流体が流れている。そして、管０１の壁を
介して管内外流体間で熱交換が行われる。

第１図ｂは管０１の長手方向の形状を示したも
のであり、第１図ａのＡ−Ａ断面矢視図である。
即ち、管０１は上下ドラム０５を結ぶ形で側壁０
４の内側に互いに相当長さの並行部分をもつて設
置されている。

上記のような管群に第１図ａの矢印で示した方
向に外部流体を流すと管後流に渦が発生すること
は知られている。第２図はこれらの関係をモデル
的に示すものであり、流れの中に円柱状の物体が
あると円柱の後流にいわゆるカルマン渦と呼ばれ
る渦群を生じる。

ボイラの伝熱管も円形であり、且つ伝熱管が高
温ガス流中に置かれるため、カルマン渦が生じ、
これが管外流体の物性で決まる固有振動である気
柱振動と一致すると共振して、いわゆる共鳴状態
となり、激しい音を発生する。これはカルマン渦
振動と呼ばれる。

上記のような振動を防止する方法として、従
来、第３図に示すように、防振バツフル０６を伝
熱管群０１の中に挿入配置している。

しかしながら、ガスタービンコンバインドプラ
ント用の大形排ガスボイラでは、低温度のガスか
ら熱エネルギを回収するため、膨大な伝熱面積を
要するので、伝熱管にフイン付管を密集配置す
る。それゆえ、伝熱管の間に平板状バツフルを挿
入すること不可能である。また、伝熱管の上下に
は管寄せが配設されているので、伝熱管を左右に
拡げて防振バツフルを挿入することもできない。

本考案は、上記の従来の欠点を解消するもので
あり、排ガスボイラの伝熱管群中に配置される防
振バツフルを複数個に分割し、且つ組立後は従来
の平板状防振バツフルと同じ性能を有するものを
得ることを目的とする。

ところで、上記のように防振バツフルを一枚の
平板の代りに分割構造にしただけでは分割した部
分に製作誤差による隙間が生じる。しかし、僅か
な隙間でも上記共振現象のため、わずかな加振力
で共振し、防振効果がなくなる。長期テストの結
果では、防振バツフルの全面積の５％が開いただ
けで殆んど防振効果がなくなつた。

それゆえ、本考案では、上記ガス流れ方向に複
数板に分割した防振バツフルにおいて、隣接する
防振バツフルの一方の縁部にフレキシブルメタル
シールを装着し、隣接する防振バツフル同志をフ
ルキシブルメタルシールを介して押圧接触させた
点に特徴を有し、上記のように構成することによ
り従来の一枚の防振バツフルと同様の防振効果を
得ることができる。

以下本考案の一実施例を図面と共に説明する。

第４図に本考案のフルキシブルメタルシール付
分割構造の防振バツフルの概略を示す。高温ガス
流れの中に配置された伝熱管１にバンド２により
複数板に分割した防振バツフル３を取付ける。そ
して、第５図におけるフルキシブルメタルシール
の拡大斜視図に示すように、防振バツフル３に隣
接する防振バツフル４の端部にフルキシブルメタ
ルシール５を取付け、防振バツフル３の端部に押
圧することにより両防振バツフル３，４を接触さ
せ、防振バツフル３，４間の隙間をなくす。な
お、フルキシブルメタルシール４には切れ込み６
を設け、防振バツフルが変形した際、これに追従
してフルキシブルメタルシールが接触するように
して接触不良をなくす。この際、追従タイミング
遅れによりフルキシブルメタルシールと隣接する
防振バツフルの間に隙間が多少できても、防振バ
ツフルの全面積の約0.01％程度であり、この程度
では発振しないことが実験で確実されている。ま
た、上記フルキシブルメタルシールの隙間は音波
の進行方向と直角方向にあり共振作用は弱いの
で、十分防振効果を有する。

防振バツフル、フルキシブルメタルシールは例
えば鉄板等の金属板の他、必要に応じて他の材料
も適宜使用でき、特に防振バツフルにはセラミツ
ク、コンクリート等の非金属板も使用される。

上記の場合、第４図において、防振バツフル３
に対して右方の隣接する防振バツフル４との関係
についてフルキシブルメタルシールの配設位置を
説明したが、防振バツフル３の左方の隣接する防
振バツフル７との関係についても同様であり、対
称的に防振バツフル３の縁部にフルキシブルメタ
ルシール８を装着するのがよい。

上記のように、分割形防振バツフルの一方の縁
部にフルキシブルメタルシールを装着して隣接す
る防振バツフル同志をフルキシブルメタルシール
を介して押圧接触させることにより、防振バツフ
ル間に隙間をなくし防振効果を得る。そして、従
来の一枚による防振バツフルが使用不可能な熱交
換器においても、上記本考案のフルキシブルメタ
ルシール付分割形防振バツフルを用いることによ
りカルマン渦を回避することができ、熱交換器を
コンパクトに設計することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来の多管式熱交換器の断面概略
図、第１図ｂは第１図ａのＡ−Ａ断面矢視図、第
２図はカルマン渦が発生する状態を示す模式図、
第３図は従来の防振バツフルを挿設した多管式熱
交換器の断面概略図、第４図は本考案の一実施例
を示すフルキシブルメタルシール付分割形防振バ
ツフルの断面概略図、第５図はフルキシブルメタ
ルシールの拡大斜視図である。 １……伝熱管、２……バツド、３，４，７……
防振バツフル、５，８……フルキシブルメタルシ
ール、６……切れ込み。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱交換器の伝熱管群中に配置されて前記熱交換
   器の気柱振動数を調節する防振バツフルをガス流
   れ方向に複数板に分割し、隣接する防振バツフル
   の一方の縁部にフレキシブルメタルシールを装着
   し、前記隣接する防振バツフル同志をフレキシブ
   ルメタルシールを介して押圧接触させたことを特
   徴とする防振バツフル装置。