JPS6229059B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 本発明は、わん曲した案内路を有するポンプ・
ケースの案内路に沿つて装着したチユーブをロー
ラによつて連続的に押圧しながら、チユーブ内の
薬液等の流体を給送する形式の医療用ローラ・ポ
ンプに関する。

（先行技術及びその問題点） この種ローラ・ポンプは透析血液ポンプ用とし
て血液を循還給送するとか、あるいは人体に薬液
を連続的に注入するとか、人工心肺装置用のポン
プとして用いるなど、特に医療用の分野で用いら
れている。かかるローラ・ポンプでは、一般に一
対又はそれ以上の個数の複数のローラがわん曲状
に装着されたチユーブを回転しながら圧迫する。
圧迫量が多すぎると、ポンプ負荷がかかりすぎた
り、流体が血液の場合は、溶血が生じたりする。
反対に圧迫量が少なすぎると逆流がおこり、ポン
プ吐出量が不正確となる。従つて、使用流体や使
用条件に応じて圧迫量を適宜調整する必要があ
る。この圧迫量の調整の方法としては、たとえ
ば、従来のポンプでは、各ローラの支軸を偏心軸
構成として、ローラ・ホルダに対してローラを半
径方向に移動可能としたものが見られる。

第１図及び第２図について、まず、この従来の
ローラ・ポンプを、本発明の背景として概説す
る。ローラ・ポンプのポンプケース１０に、半円
形状ないしＣ字形に形成された案内路１１に沿つ
て、可撓性のチユーブ１２が装着され、そのケー
ス中心位置に回転駆動軸１３が軸受１４を介して
ケース１０に支持され、それにはローラ・ホルダ
１５が固着され、そのホルダ上に直径方向ないし
180度離間した状態に、偏心軸１６に軸受を介し
て回転自在にローラ１７が支持されている。各偏
心軸１６の一方の心軸１８にはウオーム・ホイー
ル１９が固着され、そのホイールには、両端部が
ローラ・ホルダ１５に回転可能に支持されたウオ
ーム２０がかみ合つており、ウオーム２０の一端
に取着された調整つまみ２１を手動操作によりま
わすことにより、このウオーム・ホイール運動変
換機構を介して心軸１８が回転し、それによつて
偏心軸１６が所望の偏心位置をとり、それに支持
されたローラ１７がたとえば、第１図の実線で示
す位置より、鎖線で示すような、半径方向に更に
延出した位置に調整移動する。

このような構成において、回転駆動軸１３が図
示しない、たとえば、モータにより駆動される
と、第１図に矢印に示すように軸１３とともにロ
ーラ・ホルダ１５が反時計方向に連続的に回転
し、それに支持された一対のローラ１７がチユー
ブ１２に係合してチユーブを押しつぶすように圧
迫し、矢印で示すようにチユーブの一端より流入
した流体を矢印で示すようにチユーブの他端より
吐出させるようになつている。そして、このポン
プ吐出量は各ローラ１７がチユーブ１２を圧迫す
る度合に応じて変わるので、前記各調整つまみ２
１の操作により対応するローラ１７を移動させる
ことによつて適切な値に調整できるように構成さ
れている。

このような従来構造のローラ・ポンプでは、複
数のローラの移動調整が個々別々に行なわれるた
めに、両ローラを均一に同じ量だけ移動調整する
のが困難であり、従つて、ポンプ吐出量を所望値
に正確に設立し難いとともに両ローラの調整の不
揃いにより、チユーブ内の流体の流れがスムーズ
でなく、チユーブに対して余分の負荷を与え、バ
ツクフロー等の逆流が生じたりする不具合があつ
た。特に、かかるポンプは医療用等の、より正確
な量の流体供給を必要とする場合には、吐出量が
不安定であることは致命的な問題となるところで
あつた。

更に、調整つまみがローラ・ホルダ上に設けら
れている関係上、ポンプの作動中、すなわち、ロ
ーラ・ホルダが回転中には、調整操作ができない
不具合があり、従つて、調整する場合、逐一ポン
プ作動を停止させねばならず、きわめて操作が厄
介であるとともに、ポンプ吐出量の確認も同時に
できないので、正確な調整には相当の熟練を要す
るのであつた。

〔発明の目的〕

本発明の目的とするところは、ローラによるチ
ユーブの圧迫量の調整を同時に連動して行なうこ
とができ、ポンプ吐出量を常に正確に設定し得る
とともに、その調整操作をポンプ作動中にも自由
になし得、しかも、リモート・コントロールによ
り調整できる、コンパクトな医療用ローラ・ポン
プを提供することにある。

〔発明の構成〕

上記の目的を達成するため、この発明に係る医
療用ローラ・ポンプでは、 円弧状に形成された案内路を有するポンプケー
スと、 この案内路に沿つて装着され、一端が医療用流
体供給源に接続され、他端が医療用被供給部に接
続され、弾性変形可能であるチユーブと、 前記案内路の円弧の中心軸線と同心に回転され
る回転駆動体と、 回転駆動体内に径方向に形成された案内孔と、 前記回転駆動体の案内孔内に摺動自在に嵌合さ
れたローラ・ホルダと、 このローラ・ホルダに回転可能に支持され、前
記チユーブを圧迫可能なローラと、 前記ローラ・ホルダの径方向内面に形成され、
中心軸線に沿つて傾斜した雌テーパ部と、 前記回転駆動体内に配置され、前記ローラ・ホ
ルダの雌テーパ部に対して中心軸線方向に摺動し
てローラ・ホルダを前記径方向に移動させる雄テ
ーパ部と、 前記回転駆動体内に一端が延び、この一端に雄
テーパ部を回転可能に支持する調整軸と、 この調整軸を中心軸線方向に移動させる調整軸
移動手段とを具備することを特徴としている。

〔作用〕

上述した構成であるため、ポンプの作動中、即
ち、回転駆動体が回転しているとき、調整軸が中
心軸線方向に移動されると、雄テーパ部は、ロー
ラ・ホルダの雌テーパ部を摺動しながら中心軸線
方向に移動させられる。そのため、雌テーパ部が
ローラ・ホルダを半径方向外側に移動させる。こ
れにより、ローラのチユーブに対する圧迫量が調
整される。

このとき、雌テーパ部は、調整軸に回転可能に
支持されている。そのため、雄テーパ部は、雌テ
ーパ部に接触して回転されながら、雌テーパ部に
対して中心軸線方向に摺動される。そのため、ロ
ーラのチユーブに対する圧迫量の調整が回転駆動
体の回転とは独立してなされる。換言すると、ポ
ンプの作動中、チユーブの圧迫量が自由に調整さ
れる。

〔発明の実施例〕

以下、第３図及び第４図に従つて、本発明の実
施例を説明する。ポンプケース３０に形成された
案内路３１にチユーブ３２が装着され、チユーブ
の両端部がケース外部に導出され、第４図に示す
右側の流入側のチユーブ端部は流体供給源に、又
左側の吐出側のチユーブ端部は人体等の供給部位
に接続されている。ケース中心部に回転駆動体３
３が軸受３４によりケース３０に回転自在に支持
され、その駆動体には回転体の軸線に沿う軸孔３
５を有する中空軸部３３ａが一体に設けられ、そ
の軸部外周に前記軸受３４が係合していてその外
周に嵌め込まれたストツプリング３６により保持
されている。中空軸部３３ａのケース外方に延出
した端部には駆動歯車３７が固着され、それに
は、回転駆動源であるアクチユータとしてのモー
タ３８に取着された歯車３９にかみ合つている。
このモータ３８は、ライン４０を介して、このポ
ンプ・ケースより離間した位置におかれた制御盤
４１上のスイツチ４２に接続され、スイツチのオ
ン動作によりモータ駆動がなされる。

ケース３０内の駆動体３３にはローラ・ホルダ
４３を案内支持する案内孔４４が形成され、その
内部に、一対のローラ・ホルダ４３が互いに直径
方向ないし180度回転した状態で嵌入されている
とともに、両ホルダ４３は駆動体３３の軸線に対
し半径方向にのみ相対的にスライド移動可能に支
持されている。従つて、回転方向には両ホルダ４
３が駆動体３３と一体に回転する。

各ローラ・ホルダ４３には、ローラ軸４５が固
着され、それら各ローラ軸には軸受を介してロー
ラ４６が、それぞれ回転自在に支持されている。
なお、このローラの支持構成は、ローラ軸をホル
ダに対して軸受を介して回転可能に支持させ、ロ
ーラとローラ軸を一体回転させるようにもでき
る。なお、又、ローラ・ホルダ一対でなくそれよ
りも多い個数、駆動体の軸線に対し対称的に設
け、それら各ホルダにそれぞれローラを個別に設
ける構造も設計上容易に構成し得る。

駆動体３３の他端部には軸部３３ｂが突設され
ているが、これは単にケースに対する補助的な支
軸であり、実際は中空軸部３３ａのところで軸受
３４により駆動体３３は十分に支持されている。
又、第４図に示すように駆動体３３の側部には直
径方向に各一対のガイド・ローラ４７が取着さ
れ、これによりチユーブ３２を挾持して案内する
が、これ自体は公知である。

前記一対のローラ・ホルダ４３の間であつて案
内孔４４内において、スライド部材４８が配設さ
れ、その部材の両側には、雄テーパ状をなすとと
もに鳩尾状の突起の態様をなすテーパ係合部４８
ａがそれぞれ形成されている。これに対向するよ
うに、各ローラ・ホルダ４３の、案内孔４４に嵌
め込まれた内側面は、それぞれ雌テーパ状に形成
されるとともに、そこに前記スライド部材４８の
テーパ係合部４８ａとあり継ぎの態様でスライド
係合可能な、あり穴状の対向テーパ係合部４３ａ
が形成されている。従つて、スライド部材４８に
より、両ローラ・ホルダ４３は互いに連結されて
いる。しかも、スライド部材４８が駆動体の軸線
に沿つて移動すると、テーパ状の係合関係により
両ローラ・ホルダ４３は、同時に、かつ、同じ量
だけ軸線に対して半径方向に離れる方向ないし近
づく方向に移動し得る。これによつて各ローラ・
ホルダ上のローラ４６が移動し、チユーブ３２に
対する圧迫量が変化する。すなわち、スライド部
材４８と、一対のローラ・ホルダの対向テーパ係
合部４３ａとにより、ローラ４６の半径方向の調
整移動をなす単一調整手段が構成される。なお、
この調整手段は、この実施例においては、あり継
ぎの態様のものを提案したが、スライド部材の両
側に単に平坦なテーパ面を設け、対向するロー
ラ・ホルダの内側面には、これに当接するテーパ
面を設け、かつ、両ローラ・ホルダを適宜のばね
手段により引き合うように保持する構成でもよ
い。

前記スライド部材４８は、駆動体３３の中空軸
部の軸孔３３ａに遊びをもつて軸線に沿い挿通さ
れた調整軸４９の一端に、ニードル軸受５０を介
して回転自在に取付けられている。調整軸４９の
他端部には、軸線に沿つてねじ孔５１が形成さ
れ、これにはねじ軸５２の一端部がねじ込まれて
いて、ここに、ねじ送り機構が構成され、他端部
はカツプリング５３を介して、ねじ軸を両方向に
回転駆動可能な駆動源としての可逆モータ５４が
接続されている。このモータ５４はライン５５を
介して、制御盤４１上の調整つまみ５６に接続さ
れている。なお、ねじ軸５２が回転されるとき、
調整軸４９は、回転阻止部材５７により回転が阻
止される。前記調整軸７９、ねじ軸５２及びモー
タ５４によりスライド部材４８のための調整作動
手段を構成する。

〔発明の具体的作用及び効果〕

このように構成されているので、スイツチ４２
をオンにして回転駆動体３３を第４図に矢印で示
すように反時計方向に連続回転させてポンプ作動
を行なつている間、ローラ４６の圧迫量を調整し
ようとする場合、制御盤４１上の調整つまみを操
作すればよい。これによつて、モータ５４が駆動
され、ねじ軸５２の回転により調整軸４９が軸線
に沿つて移動し、これとともにスライド部材４８
がスライドして複数のローラ４６の半径方向の調
整移動がなされる。なお、実施例では、一対のロ
ーラのものを開示したが、それ以上の個数のロー
ラのものも同様に構成し得る。そして、調整軸４
９が軸線に沿い移動しても、スライド部材４８は
調整軸４９に対し、上述のように回転自在となつ
ているので、ローラ・ホルダとともに回転しなが
ら軸線方向にスライドし得る。すなわち、ローラ
の移動調整がローラ・ホルダの回転とは独立して
なされるので、ポンプ作動中のチユーブ圧迫量の
調整を自由になし得る。

しかして、単一のスライド部材４８が同時に両
ローラ・ホルダ４３を同じ距離、移動させるの
で、両ローラの圧迫量を常に同量にかつ適正に維
持することができ、より正確なポンプ吐出量を得
ることができる。従つて、又、チユーブに対して
余分の負荷をかけることもなく、スムーズな流体
のポンプ給送が可能とされる。

更に、調整は、制御盤上で行なうことができる
ので、いわゆるリモート・コントロールが可能と
なり、調整操作を一層簡単に行なうことができ
る。

なお、前記調整軸３９の軸移動は、実施例に示
す送りねじ機構以外にもカム機構によるなど種々
変更可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、従来のローラ・ポンプの
具体例を示すもので、第１図はその部分破断平面
図、第２図は第１図の２―２線断面図である。第
３図及び第４図は、本発明のローラ・ポンプの実
施例を示すもので、第３図はその縦断面図、第４
図は第３図の４―４線部分断面図である。 ３０……ポンプケース、３２……チユーブ、３
３……回転駆動体、４３……ローラホルダ、４４
……案内孔、４６……ローラ、４８……スライド
部材（雄テーパ部）、４９……調整軸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円弧状に形成された案内路を有するポンプケ
   ースと、 この案内路に沿つて装着され、一端が医療用流
   体供給源に接続され、他端が医療用被供給部に接
   続され、弾性変形可能であるチユーブと、 前記案内路の円弧の中心軸線と同心に回転され
   る回転駆動体と、 回転駆動体内に径方向に形成された案内孔と、 前記回転駆動体の案内孔内に摺動自在に嵌合さ
   れたローラ・ホルダと、 このローラ・ホルダに回転可能に支持され、前
   記チユーブを圧迫可能なローラと、 前記ローラ・ホルダの径方向内面に形成され、
   中心軸線に沿つて傾斜した雌テーパ部と、 前記回転駆動体内に配置され、前記ローラ・ホ
   ルダの雌テーパ部に対して中心軸線方向に摺動し
   てローラ・ホルダを前記径方向に移動させる雄テ
   ーパ部と、 前記回転駆動体内に一端が延び、この一端に雄
   テーパ部を回転可能に支持する調整軸と、 この調整軸を中心軸線方向に移動させる調整軸
   移動手段とを具備することを特徴とする医療用ロ
   ーラ・ポンプ。 ２ 前記調整軸移動手段は、 調整軸の他端部に形成された雌ねじ孔と、 この雌ねじ孔に螺合された雄ねじ軸と、 この雄ねじ軸を回転させる電動モータと、 前記雄ねじ軸が回転されるとき、調整軸の回転
   を阻止する回転阻止部材とを具備する特許請求の
   範囲第１項に記載の医療用ローラ・ポンプ。