JPS622893B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は自動車の駆動力伝達軸等に使用され
る等速ジヨイントの外輪成形装置に関するもので
ある。

この種等速ジヨイントは、第１図に示す様に２
軸に対応付けられた内輪ａと外輪ｂの間にトルク
伝達用のボールｃがボールケージｄを介して第２
図の如く内外輪に等配形成されたボール溝ｅ，ｆ
に嵌め込まれた状態で保持されている。

上記内輪ａの外周面、外輪ｂの内周面及びボー
ルケージｄは、第１図に示す様にジヨイント中心
Ｏに中心をもつ同一球面とされ、内輪ａのボール
溝ｅと外輪ｂのボール溝ｆは同図に示す様にジヨ
イント中心Ｏより左右に等距離だけずらされた点
Ａ，Ｂに中心をもつ曲線状とされ、これによりボ
ールｃを常に２軸のなす角の２等分面上に配向せ
しめて等速性を維持するようになされている。

従来、上記等速ジヨイントの外輪ｂは、冷間又
は熱間により第３図イ，ロに示すように、内周球
面ｇ及びボール溝ｈが共にストレートな状態に鍛
造されており、そのため、材料歩留の低下、ボー
ル溝、内周球面の旋削加工及び研削加工が必要と
なり、コスト高となる欠点があつた。

この発明は上記欠点に鑑み、これを改良除去し
たもので、外輪内周面及びボール溝を所定の球面
に成形させ、これによつて後加工を削減し、材料
歩留を向上させ、トータル製造コストを安価にで
きるようになしたものである。

以下、この発明の詳細を図面に示す実施例につ
いて説明すると次の通りである。

第４図はこの発明の外輪成形装置の一例であつ
て同図において、１，２は外輪素材Ｗの絞り込み
用ダイス、３は組合せパンチ、４はノツクアウト
ピンである。

ダイス１，２は機台５に固定され、組合せパン
チ３はプレススライド６に取付けられ油圧又は機
械的手段により駆動される。

組合せパンチ３は、割型パンチ７、先端パンチ
８、テーパーベース９、先端パンチ引上保持手段
１０及び割型パンチ保持手段１１とからなつてい
る。

割型パンチ７は外輪素材Ｗの内面の曲面成形用
部材であり、第５図に示す如く、外輪素材Ｗの円
周方向に複数個に分割され、この分割片はテーパ
ーベース９の周囲に間隙をもたせ、かつ、所定の
傾斜角をもつたまま上下方向にスライド可能に配
置されている。

上記割型パンチ７を構成する分割片の形状は、
第６図に示す如く、割型パンチ保持手段１１の内
周面に案内される外周円弧面７ａを有し、内周面
７ｂ及び両側面７ｃ，７ｄは、テーパーベース９
のガイド溝１２に案内される形状をもち、外周円
弧面７ａの先端部には、外輪素材Ｗの内面のボー
ル溝Wbを成形する膨隆部７ｃを有し、かつ、こ
の膨隆部７ｅの両側には、外輪素材Ｗの内周球面
Waを成形する膨隆部７ｆ，７ｇを有する。

テーパーベース９はその上端がプレススライド
６に固定され、先端側に向けて小径とされ、その
外周面に前記割型パンチ７の分割片を間隙をもた
せてスライド可能に保持するためのガイド溝１２
を複数個有し、且つ中央に貫通穴１４を有してい
る。

先端パンチ８は外輪素材Ｗの内径曲面底部We
を成形保持すると同時に割型パンチ７の下端を掛
止する働きを有するもので、第７図に示すよう
に、逆傘形状の頭部８ａを有し、頭部８ａの周囲
には外輪素材Ｗの内面のボール溝Wbの奥側逃げ
部を形成する膨隆部８ｂを有し、更に、上面中央
に一体にガイド軸１３を有し、このガイド軸１３
がテーパーベース９の中央貫通穴１４に上下方向
に摺動可能に挿通され、弾機からなる先端パンチ
引上保持手段１０により上方に引上げ保持されて
いる。

割型パンチ保持手段１１は、割型パンチ７を円
周外側より保持するもので、テーパー円筒形状を
なし、その上端がプレススライド６に固定されて
いる。

外輪素材Ｗは第４図の左半部に示す様にダイス
１上に図示の如く位置決めセツトされる。この場
合、外輪素材Ｗは、鍛造により第４図の左半部に
示す様に粗成形されており、その内周面の球面
Wa及びボール溝Wbは、その最大直径部分より開
口端Wcに向けて中心軸線と平行なストレート面
又はやや外方に拡開した形状に粗成形され、且つ
開口部外周縁にはダイス１による絞り込みを助長
する張り出し部Wdが形成されている。

上記セツト状態において、プレススライド６を
介して組合せパンチ３全体が降下せしめられ先端
パンチ８が外輪素材Ｗの内径曲面底部Weに当接
し、かつ、割型パンチ７の分割片が各ボール溝
Wbに嵌合する。

この状態でプレススライド６を介して組合せパ
ンチ３全体が第４図の右半部に示す位置まで降下
せしめられ、この降下過程において、外輪素材Ｗ
はダイス１により外側から絞り作用を受け、且
つ、内側からは割型パンチ７とテーパーベース９
とが形成する輪郭形状に沿うように拘束支受され
て所期する形状に成形される。この場合、先端パ
ンチ８は外輪素材Ｗが上記成形作用を受ける間、
外輪素材Ｗの内径曲面底部Weに当接して、外輪
素材Ｗに直接降下力を伝達すると共に、外輪素材
Ｗの内径曲面底部Weの自由変形を拘束し、最終
的にダイス２と協同して外輪素材Ｗの内径曲面底
部Weを所定形状に成形〔据込〕する役割を果す
ものである。

上記のように成形した後、プレススライド６は
上方に引き上げられるが、この過程において初期
の段階では、プレススライド６と一体のテーパー
ベース９及び割型パンチ保持手段１１のみが先端
パンチ引上保持手段である弾機１０を圧縮しなが
ら上昇し、先端パンチ８と割型パンチ７とは、ダ
イス１，２内の外輪素材Ｗ内に残る。そしてテー
パーベース９と割型パンチ保持手段１１の上記上
昇により、割型パンチ７の各分割片は次第に縮径
するようにガイドされて間隙をせばめ、やがて、
割型パンチ７の曲面成形用膨隆部７ｅ，７ｆ，７
ｇの最大形部分が、成形後の外輪素材Ｗの開口端
における内周直径より縮小された時点で、前記弾
機１０の蓄勢復元弾力により、先端パンチ８と一
体に上方の原位置へ復帰し、外輪素材Ｗより完全
に抜け出す。

その後、ダイス１，２内に設置されたノツクア
ウト手段により外輪素材Ｗをダイス１，２から押
し出し、次の成形の準備が行われる。

尚、以上は組合せパンチ３をプレススライド６
に、ダイス１，２を機台５に固設した実施例につ
いて説明したが、本発明は逆の構成であつてもよ
い。また、以上は外輪素材Ｗをノツクアウトピン
で機台５の上方に排出させる場合を示したが、ダ
イス１，２の下方に通過排出されるようにしても
よい。又、上記実施例では割型パンチ７の型割面
を隣接する内径球面のボール溝Wbの間の中央部
で分割した場合を示しているが、これは第８図に
示すように各内径ボール溝Wbの中央で分割して
もよい。更に、上記各実施例では割型パンチ７を
６分割とした場合を示したが、これに制限される
ものではなく、要するに型抜き性を考慮して例え
ば３分割等、適当な分割数とすることが可能であ
る。

以上説明したようにこの発明は、外輪部材が球
面状内周面と曲線状のボール転動軌跡を有するボ
ール溝を備えた等速ジヨイントの外輪成形装置で
あつて、先端側に向けて小径とされ、且つ、その
外周面等配位置に割型パンチがスライド可能に支
持されているテーパーベースと、素材内面の曲面
形成用部材であり、上記テーパーベースの周囲に
テーパーベースの軸線に対して所定の傾斜角をも
つたままスライド可能とされ、かつ、間隙をもた
せて配設された複数の分割片からなる割型パンチ
と、上記テーパーベースの軸線部の貫通穴を通し
て上下動可能とされ、その上下動により上記割型
パンチも従動するようにされた先端パンチと、上
記割型パンチの分割片を間隙をもたせて円周方向
に保持する、上記テーパーベースと同一テーパー
の内面を有するテーパー円筒とよりなる組合せパ
ンチと、絞り込みダイスを有するダイセツトから
なり、予め用意された外輪素材をプレス動作によ
り成形するに際し、上記割型パンチと上記先端パ
ンチとで外輪素材の内周面の略全面を形成するよ
うになした等速ジヨイントの外輪成形装置に係
り、簡単なプレス絞り加工で、外輪内周面及び底
面、更にはボール溝を所定の球面に精度よく成形
でき、後加工を削減し、材料歩留りを向上させ、
トータル製造コストを安価にすることができるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本発明が適用される等速
ジヨイントの主要部の縦断側面図とジヨイント中
心における縦断正面図であり、第３図は従来の外
輪素材の粗成形状態の説明図であつて、イは縦断
側面図、ロは開口側端面図である。第４図は本発
明装置の実施例を示す全体の縦断正面図であつ
て、左半部は成形前、右半部は成形時の関係位置
を示すものである。第５図は第４図の―線の
横断平面図、第６図は割型パンチの分割片の形状
を示す斜視図、第７図は先端パンチの形状を示す
斜視図、第８図は割型パンチの分割面を内径ボー
ル溝の中央とした場合の実施例を示す第５図と同
一位置での横断平面図である。 Ｗ…外輪素材、１，２…ダイス、３…組合せパ
ンチ、４…ノツクアウトピン、５…機台、６…プ
レススライド、７…割型パンチ、８…先端パン
チ、９…テーパーベース、１０…先端パンチ引上
保持手段〔弾機〕、１１…割型パンチ保持手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外輪部材が球面状内周面と曲線状のボール転
   動軌跡を有するボール溝を備えた等速ジヨイント
   の外輪成形装置であつて、先端側に向けて小径と
   され、且つ、その外周面等配位置に割型パンチが
   スライド可能に支持されているテーパーベース
   と、素材内面の曲面形成用部材であり、上記テー
   パーベースの周囲にテーパーベースの軸線に対し
   て所定の傾斜角をもつたままスライド可能とさ
   れ、かつ、間隙をもたせて配設された複数の分割
   片からなる割型パンチと、上記テーパーベースの
   軸線部の貫通穴を通して上下動可能とされ、その
   上下動により上記割型パンチも従動するようにさ
   れた先端パンチと、上記割型パンチの分割片を間
   隙をもたせて円周方向に保持する、上記テーパー
   ベースと同一テーパーの内面を有するテーパー円
   筒とよりなる組合せパンチと、絞り込みダイスを
   有するダイセツトからなり、予め用意された外輪
   素材をプレス動作により成形するに際し、上記割
   型パンチと上記先端パンチとで外輪素材の内周面
   の略全面を形成するようになしたことを特徴とす
   る等速ジヨイントの外輪成形装置。