JPS6228429Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は塩化ビニルのシートを貼り付けた化粧
板等と芯材とを貼り合せる造作材製造用ローラー
プレスに関する。

近年、桧や杉等の価格の上昇によつて、窓枠、
扉枠、腰板或いは廻線等の造作材に、安価な合板
等を芯材とし該芯材に、木目模様等を印刷した塩
化ビニル等のシート、該シートを貼着した合板、
或いは天然木の薄板等の化粧板にＶ字状の溝を設
け、該溝部にて該化粧板を折曲げて芯材を包囲
し、化粧板と芯材とを貼付けたものが多く用いら
れている。塩化ビニルのシートを直接芯材に貼付
けたものは、芯材の表面を円滑にしておかなけれ
ばならない、角部において該シートが切れて剥離
しやすい等の欠点がある。化粧板を芯材に貼付け
たものには上述した欠点はないが、芯材との接着
方法に問題がある。従来この種の接着には酢酸ビ
ニル系接着剤か合成ゴム系接着剤が用いられてい
るが、酢酸ビニル系接着剤を使用した場合には接
着後必要強度に達するまでにかなりの時間を必要
とするので、接着後のプレス工程に時間がかか
る、或いはプレス工程を省略してタツカー等を打
つて化粧板と芯材とを固定するので製品の表面に
傷がつくといつた問題がある。しかもタツカー等
で固定した場合は勿論プレス工程を採用して接着
する場合でも、接着した面を総て同時にプレスす
ることは出来ないので、接着の不充分な面が出来
易い。また、合成ゴム系接着剤を使用した場合に
は、プレス工程は短時間で済むが、接着する化粧
板と芯材との両方に接着剤を塗布する為に、接着
剤塗布面が作業者の手等に貼着して扱いにくく、
しかも耐熱性、耐候性に乏しく火災の際に有害物
質を発生する等の問題がある。これに対して、最
近使用され始めた速乾性の酢酸ビニル系接着剤は
上述した問題点を解決するものであるが、この先
着剤の特徴を活かすことのできる生産機械は未だ
開発されていない。

本考案は、上述した問題を解決する為になされ
たものであり、速乾性の酢酸ビニル系接着剤を用
いて芯材とＶ字状の溝部で折曲げられ該芯材を包
囲する化粧板とを短時間に且つ充分な強度で接着
することの出来る造作材製造用ローラープレスを
提供するものである。

以下、添付図面に示す望ましい実施例に従い、
本考案を詳述する。

第１図は本考案の一実施例を示す正面図、第２
図は同実施例を示す平面図、第３図は同実施例を
示す側面図である。本考案にかかるローラープレ
スは、下面ローラー１と、上記下面ローラー１に
対向する２本の上面ローラー２，３とを設け、互
いに対をなす２本の側面ローラー４，５を各々下
面ローラー１の両端部付近に下面ローラー１に対
して鉛直方向に上面ローラー２，３へ向かつて設
ける。

下面ローラー１及び上面ローラー２，３からな
るローラーの組と、対をなす２本の側面ローラー
４，５の組とを、交互に近接して各々複数組配置
し、各下面ローラー１、上面ローラー２，３、側
面ローラー４，５の少なくとも何れかを回動する
駆動装置によつて、上記ローラー１，２，３，
４，５の間を、被接着物である造作材が通過する
間に各ローラー１，２，３，４，５によつて、接
着剤が充分な強度になるまでの間順次連続的に、
被接着物である芯材と化粧板とを、下面ローラー
１と上面ローラー２，３とを接近すべく付勢する
ばね１６の弾性力と、対をなす２本の側面ローラ
ー４，５を互いに接近すべく付勢するばね３６の
弾性力とによつて押圧するものである。ローラ
１，２，３，４，５の表面はゴム等の弾性材で覆
つてあるが、これは、その弾性力を被接着物の押
圧に利用する、化粧板の表面に傷をつけない、駆
動の際にローラーと化粧板とが滑りにくい等の理
由からである。以下各ローラーについて説明す
る。

下面ローラー１は、複数本を平行に主枠体６上
に軸支し、各下面ローラー１の端部に歯車７を取
付け、駆動装置として主枠体６の下部に設けたモ
ータ８と歯車７とをチエーン９によつて連結し、
モータ８によつて下面ローラー１を駆動する。モ
ータ８には無段変速プーリーを組込むことによつ
て、下面ローラー１の速度、即ちローラープレス
の送り速度を調節可能としている。

上面ローラー２，３の取付けは、第３図及び第
４図に示すように、先ず主枠体６上に設けた上部
枠体１０に支柱１１を取付ける。支柱１１は上部
枠体１０から垂直に下面ローラー１に向つて取付
けられ、支柱１１に支持体１２を摺動可能に嵌装
し、支持体１２に形鋼１３を固着する。形鋼１３
にはロツド１４から突出したアーム１５を揺動可
能に取付け、弾性部材としてばね１６を形鋼１３
とアーム１５とに張設し、アーム１５を第４図中
下方に付勢している。ロツド１４の下端には、上
面ローラー２，３を回動自在に取付けた軸１７を
揺動可能に軸着し、本実施例では固定部材として
ウオーム歯車を用い、ロツド１４下端部にはウオ
ームギヤ１８を、軸１７の端部にはウオームホイ
ール１９を各々取付け、ウオームギヤ１８とウオ
ームホイール１９との螺合によつてロツド１４に
対する軸１７の傾きを固定し、該傾きはウオーム
ギヤ１８を回動することによつて容易に変えるこ
とが出来る。上面ローラー２，３には被接着物の
厚みに合わせて上面ローラー２，３全体を上下に
移動させる為に螺条孔２０を刻設した突出部１２
ａを支持体１２に設け、螺条孔２０と螺合する螺
条を外周に刻設した上下ロツド２１を上部枠体１
０に軸支し、上部枠体１０に取付けたモータ２２
がシヤフト２３及びはすば歯車２４，２５を介し
て上下ロツド２１を回動し、上下ロツド２の回動
によつて上下ロツド２１と螺合している螺条孔２
０即ち支持体１２が上下する。他に被接着物の幅
に合せて上面ローラー３を下面ローラー１の軸線
方向に移動させる為に、上面ローラー３を取付け
た上部枠体１０をガイドバー２６に対して摺動可
能とし、上部枠体１０に螺条孔を設けた突出部２
７と該螺条孔に螺合する螺孔を外周に刻設したロ
ツド２８をモータ２９、シヤフト３０及びはすば
歯車３１，３２によつて回動し、突出部２７即ち
上部枠体１０を移動させる。なお、本実施例で
は、上記モータ２９等電動装置の他にロツド２８
にハンドル３３を取付け、手動による移動操作も
可能としている。

側面ローラー４，５の取付けに関しては、第１
図乃至第３図、第５図乃至第７図に示すように、
下面ローラー１の下側の主枠体６上に設けた形鋼
３４に、側面ローラー４または５を回動自在に取
付けた軸３５を取付ける。第１図上、下側にある
側面ローラー４の系統は軸３５と形鋼３４とを固
定するが、第１図上、上側にある側面ローラー５
の系統は、第７図に示すように軸３５を形鋼３４
に対して揺動可能とし、形鋼３４と軸３５との間
に弾性部材として張設したばね３６によつて側面
ローラー４の側に付勢する。また、被接着物の幅
に合せて側面ローラー５を移動させる為、第５図
乃至第７図に示すように、側面ローラー５の系統
の形鋼３４に螺条孔を設けた突出部３７を設け、
該螺条孔と螺合する螺条を外周に刻設した、ロツ
ド３８をハンドル３９またはモータ４０によつて
駆動し、形鋼３４を移動させる。上記の移動装置
は、円滑な作動を得る為に形鋼３４の２個所に設
け、各々のロツド３８，３８をシヤフト４１及び
はすば歯車４２，４３によつて連結してあるの
で、一方のハンドル３９を操作するだけで常に両
方のロツド３８，３８が回動し、モータ４０も、
シヤフト４１に連結させて１個設置すれば済む。
また、側面ローラー４のいくつかをモータ４４で
駆動し、ローラー１の駆動による被接着物の送り
を助けている。

本考案に係るローラープレスによれば、被接着
物の寸法に合せて上面ローラー２，３及び側面ロ
ーラー４，５の位置を調節し、下面ローラー１及
び側面ローラー４を駆動し、芯材と化粧板とを合
せて上記ローラーの間に挿入する。芯材及び化粧
板からなる被接着物はローラーの回転力によつて
対向するローラー間にはさみこまれていくが、ロ
ーラーの回転に伴なつて被接着物がローラーの間
に入り、ローラーを押し分けるのでローラーに設
けたばね１６，３６が蓄勢され、第８図に示すよ
うに、蓄勢されたばねの復元力によつて化粧板４
５が芯材４６に押圧される。被接着物の移動につ
れて連続的に、ローラーによつて近接した点が押
圧を受けるので、化粧板が有する剛性によつてロ
ーラーと当接していない部分にもある程度押圧力
が働き、交互に配置した、上下面のローラー１，
２，３と側面ローラー４，５とによつて造作材の
各面に押圧力が働き、化粧板４５と芯材４６とを
充分に接着する。また上面ローラー２，３の傾き
或いは各上面ローラー２，３の各々の高さを変え
れば、面に段差を設けたものや四角形の一角を切
断したような五角形のもの等或る程度の異形材に
ついても機械によつて大量に接着することが可能
である。

本考案に係るローラープレスによれば、上面、
下面に対するローラーの組と、両側面に対するロ
ーラーの組とを短い間隔で交互に複数組設け、造
作材が該ローラー間を通過する際に連続的に押圧
され、速乾性の酢酸ビニル系接着材を塗布した芯
材と化粧板とが装着される。従つて、接着の工程
において、乾燥の為の時間を必要としないので、
作業を他の工程から連続して行うことが可能とな
り生産性が高く、しかも、合成ゴム系接着材を使
用した場合と異なり、耐候性、耐火性等にも問題
がなく、タツカー等を使用しないので、造作材の
表面に傷がつくこともない。更に、化粧板と芯材
とを合せた時に間に空気が溜まつても、上記ロー
ラー間通過時に該空気が搾り出されるので、化粧
板と芯材との間に空気が残り接着不良となること
がない。加えて、各面を交互に押圧して接着する
ので、各面の接着強度にばらつきが生じにくい。
また上面ローラーを２系統設けたもの、上面ロー
ラーの取付角度を調節可能にしたもの等は、断面
が矩形をしていない異形材の接着も或る程度可能
である等の利点がある。また、前述した速乾性の
酢酸ビニル系接着材は二液性なので、例えば主剤
を芯材に硬化剤を化粧板に各々塗布しておけば、
接着剤の塗布後にやたら粘着することもなく取扱
いが簡単であり、貼り合せの作業をあわてて行う
必要もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す正面図、第２
図は第１図Ａ−Ａ線における横断平面図、第３図
は側面図、第４図は上面ローラーを示す一部切欠
拡大側面図、第５図は側面ローラーの移動装置を
示す平面図、第６図は同装置を示す側面図、第７
図は第６図の側面ローラーを示す拡大側面図、第
８図は押圧時の各ローラーと被接着物とを示す説
明図である。 １……下面ローラー、２，３……上面ローラ
ー、４，５……側面ローラー、６……主枠体、１
０……上部枠体、１１……支柱、１２……支持
体、１４，２８，３８……ロツド、１６，３６…
…ばね、１７，３５……軸、２３……シヤフト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 下面ローラーと、上記下面ローラーに対向する
   上面ローラーとを設け、互いに対をなす２本の側
   面ローラーを各々下面ローラーの両端部付近に上
   記下面ローラーに対して鉛直方向に上記上面ロー
   ラーへ向かつて設け、 上記下面ローラー及び上記上面ローラーからな
   るローラーの組と、対をなす２本の側面ローラー
   の組とを、交互に近接して各々複数組配置し、 上記各下面ローラー、上面ローラー、側面ロー
   ラーの少なくとも何れかを回動する駆動装置を設
   け、 上記下面ローラーと上記上面ローラーとを接近
   すべく付勢するばねを、少なくとも上記下面ロー
   ラー、上記上面ローラーの何れか一方に設け、 上記対をなす２本の側面ローラーを互いに接近
   すべく付勢するばねを、少なくとも一方のローラ
   ーに設けた 造作材製造用ローラープレス。