JPS6228023Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は電子楽器の鍵盤装置に関し、特に鍵
スイツチを押鍵に応じて作動させるための駆動機
構の改良に関する。

一般に電子ピアノ等の電子楽器においては、鍵
を操作することにより、音源の開閉、音色形成、
効果付加等を電気的に行なつて演奏音を発生させ
るものであるから、各鍵毎に鍵スイツチを設け
て、押鍵に応じてその鍵スイツチをタイミング良
く、しかも確実に動作させるようにしなければな
らない。

そこで、従来のこの種の鍵盤装置としては、例
えば第１図および第２図に示すように、鍵１の後
端部にＬ字形の駆動板２を後方に突出するように
設け、この駆動板２の先端にアクチエータ３を固
着して、押鍵に応じて上下するようにし、一方鍵
盤フレーム４上の鍵１の後方部に鍵スイツチ５を
配置して、その可動接片６の先端をアクチエータ
３の摺動傾斜面に当接させるようにしたものが用
いられていた。このような鍵盤装置において、ア
クチエータ３が押鍵により上昇したとき、可動接
片６を押上げて固定接片７に接触させ、鍵スイツ
チ５がオンとなる。鍵１はほぼ中央部を鍵盤フレ
ーム４に設けられた筬８上にフエルト９を介して
載置され、筬８に植設されたピン１０が鍵１に設
けられた長孔１１に係合され、筬８を支点とし
て、シーソー式に回動されるようになつている。

また、鍵１の後端部にはおもり１２がねじ１３
によつて螺着されていて、鍵１の後端部を常時降
下するよう付勢しており、鍵盤フレーム４に設け
られたストツパ１４，１５によつて上下の移動範
囲を規制されている。そして、鍵１の前端部が矢
示Ａ方向に押圧されるとその後端部が上のストツ
パ１５に突き当るまで上昇され、同時にアクチエ
ータ３も上方に移動し、鍵スイツチ５をオン状態
とする。離鍵により鍵１はもとの位置に復帰さ
れ、鍵スイツチ５をオフ状態に維持するものであ
る。

しかしながら、押鍵、離鍵に対応して各鍵毎に
設けられた鍵スイツチ５を正確且つ均一に作動さ
せるようにするためには、アクチエータ３と鍵ス
イツチ５の可動接片６との左右、上下の微妙な位
置調整が必要である。したがつて、組立て、調整
作業が極めて困難であるばかりでなく、鍵の延び
縮み、摩耗等の経時変化によりアクチエータの位
置が変ることもあつて、アクチエータと鍵スイツ
チの可動接片との相対的位置関係が狂つてしまう
恐れがあり、その場合には再び困難な調整作業を
繰返さなければならなかつた。

この考案は上記のような点に鑑みてなされたも
のであつて、鍵スイツチを駆動するアクチエータ
を鍵盤フレームに固定されたガイドに沿つて上下
方向に移動可能に設け、鍵の後部に固着されて後
方に突出する駆動板の突出端縁を、このアクチエ
ータに互いに左右方向および前後方向に滑動可能
で上下方向には同動するように緩嵌させ、このア
クチエータの上下方向の移動により鍵スイツチの
可動接片が駆動されるようにして、組立調整作業
を容易にすると共に、経時変化による悪影響が軽
減されるようにした電子楽器の鍵盤装置を提供す
るものである。

次に、添付図面を参照してこの考案の実施例を
説明する。

第３図はこの考案による電子楽器の鍵盤装置の
一実施例を示す後部側面図であつて、一部切欠い
て断面を示してあり、第１図および第２図と同一
部分には同一符号を付してある。２０は鍵１の後
部におもり１２を取付けるとき、ねじ１３によつ
て共締めされ、一端を鍵１の後端部より後方に突
出して鍵１に固着された駆動板、２１は可動接片
６を介して鍵スイツチ５を駆動するアクチエータ
であつて、左右両側面には縦方向の溝２１ａ（第
４図参照）が設けられ、また前側面には駆動板２
０の突出端縁に緩嵌される凹状の横方向の溝２１
ｂが設けてある。２３はアクチエータ２１の左右
両側面の溝２１ａに挿入され、アクチエータ２１
を上下方向に案内するガイドであつて、アクチエ
ータ２１の上下方向の移動によつて鍵スイツチ５
が駆動されるような関係位置を保つて、鍵スイツ
チ５と共にねじ２４によつてＬ金具２５に取付け
られている。また、このＬ金具２５は駆動板２０
の端縁がアクチエータ２１の前面の溝２１ｂに挿
入されるように、ねじ２６によつて位置決めさ
れ、鍵１の後方部の鍵盤フレーム４上に配置され
ている。駆動板２０の後端縁にはクツシヨン２７
が被せられ、アクチエータ２１の溝２１ｂに緩嵌
されている。

第４図はアクチエータ２１とガイド２３との関
係位置を示す平面図であつて、ガイド２３は隣接
するアクチエータ間に配置されている。したがつ
て、アクチエータ２１はその両側面の溝２１ａ，
２１ａが左右別々のガイド２３，２３に挿入され
て案内される。

このようにすれば、アクチエータ２１は駆動板
２０に固着されず、別体とされ、互いに左右方向
および前後方向に滑動可能に、上下方向には同動
するように緩嵌されており、さらにアクチエータ
２１はガイド２３によつて上下方向の移動経路が
規正され、可動接片６との相対位置関係は不変で
あるから、常に確実に鍵スイツチ５を駆動する。

したがつて、例えば駆動板２０の後方突出部を
曲げて上下位置を調整するだけで、押鍵および離
鍵時の鍵１の後端部の上下運動を駆動板２０を介
してアクチエータ２１にタイミング良く伝えら
れ、駆動板２０とアクチエータ２１との前後ある
いは左右の相対的位置関係を厳密に調整する必要
がなくなる。すなわち、駆動板２０を鍵１に固着
しておいても、組立・調整作業は容易であつて、
しかも鍵１等に経時変化があつても、アクチエー
タ２１に影響を与えず、アクチエータ２１と鍵ス
イツチ５との相対位置関係はガイド２３によつて
確保されており、狂うことがない。

第５図は、この考案に用いられるアクチエータ
の他の例を示す平面図であつて、アクチエータ２
１′の中央部分にガイド２３′の断面形状に対応す
る縦方向の貫通孔２１a′を設け、ガイド２３′を
この貫通孔２１a′に挿通し、隣接のアクチエータ
と関連させることなく、各アクチエータ毎に設け
たガイド２３′によつて案内されるようにしたも
のである。

以上説明してきたように、この考案によれば、
鍵の後方部に固着されて後方に突出する駆動板を
介して、鍵盤フレームに固定された鍵スイツチを
駆動するタイプの鍵盤装置において、鍵スイツチ
駆動部の組立・調整作業が容易になり、しかも永
年に亘り安定で確実に鍵スイツチを駆動し得るの
で、その実用上の効果は極めて大きいものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電子楽器の鍵盤装置の一例を示
す側面図、第２図は第１図における鍵の後端部を
示す一部断面にした側面図、第３図はこの考案の
一実施例を示す第２図と同様な側面図、第４図は
第３図の実施例におけるアクチエータとガイドと
の関係を示す平面図、第５図はこの考案の他の実
施例を示す第４図と同様な図である。 １……鍵、２，２０……駆動板、３，２１，２
１′……アクチエータ、４……鍵フレーム、５…
…鍵スイツチ、２３，２３′……ガイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鍵盤フレーム上に配設された鍵と、この鍵の後
   方部に固着されて後方に突出する駆動板と、この
   駆動板の突出端縁を互いに左右方向および前後方
   向に滑動可能で上下方向には同動するように緩嵌
   して該駆動板により上下方向に移動されるアクチ
   エータと、このアクチエータの上下方向の移動経
   路を規正するガイドと、このガイドと共に前記鍵
   フレーム上に固定配置され、前記アクチエータの
   上下方向の移動によつて可動接片が駆動される鍵
   スイツチとを備えたことを特徴とする電子楽器の
   鍵盤装置。