JP2524040Y2 - 鍵ガイド構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ この考案は、電子ピアノ等の鍵盤楽器の鍵盤シャーシ
に押鍵操作可能に支持された鍵の鍵ガイド構造に関す
る。

［従来技術とその問題点］ 第2A図及び第2B図は従来の鍵ガイド構造を示してい
る。第2A図に示される鍵ａは、鍵盤シャーシ上に第2B図
に示すように、一定間隔を置いて多数並設されており、
該各鍵ａは、基部ｃ側を鍵盤シャーシｂに支持杆ｄによ
り回動自在に支持させることにより押鍵操作可能に設け
られている。

そして、各鍵ａの押鍵操作側の先端部ｅを引張コイル
ばねｆのばね力に逆らって押鍵操作したときの該鍵の下
動及び離鍵時の復帰（上動）動作を、異音を生じること
なく円滑に行わせるとともに、鍵の並設方向におけるガ
タツキをなくすために鍵ガイドが設けられている。

ところで，従来の鍵ガイド構造は、第2A図及び第2B図
に示すように、鍵ａから下方に向けて突出された縦断面
形状のガイド用ケースｇ内に、下方から鍵ガイド部材
ｈを嵌入させるとともに、このガイド用ケースｇ内の鍵
ガイド部材ｈ上にグリースｉを収容して構成され、この
グリースｉを、前記ガイド用ケースｇの内側面ｊと前記
鍵ガイド部材ｈの側面ｋとの間に介在させて、前記ガイ
ド用ケースｇを上下に摺動自在に案内していた。

しかしながら、上述の鍵ガイド構造では、グリースｉ
がガイド用ケースｇと鍵ガイド部材ｈとの間から流れ落
ちるという問題があった。すなわち、グリースｉは、ガ
イド用ケース内側面ｊと鍵ガイド部材側面ｋとの間、及
びガイド用ケースｇと鍵ガイド部材ｈとの間に鍵ａの押
鍵操作を支障なく行わせるために形成された隙間ｍを通
って流出する。この流出により、ガイド用ケースｇ内に
収容されたグリースｉが失われると、グリースｉによる
所期のガイド機能を安定して維持できなくなるととも
に、鍵の周辺がグリースで汚損されるという不都合が生
じる。

［考案の目的］ この考案は上述した実情に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、潤滑材の流出を確実に防止し、
所期のガイド機能を長期にわたって安定して維持できる
ようにした鍵のガイド構造を提供することにある。

［考案の要点］ この考案は、上記の目的を達成するため、鍵の先端部
下面に形成されたガイド用突出杆と対向する位置に設け
られた鍵ガイド部材に、鍵の押鍵操作の際にガイド用突
出杆を摺動自在に案内する上端開口のガイド凹部と、ガ
イド用突出杆の摺動の際に、該ガイド用突出杆の摺動を
円滑にするためにガイド凹部内に封入された潤滑材とを
備えるようにしたことを要点とする。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を第1A図及び第1B図を参照
して説明する。

第1A図に示される鍵１は、例えば電子ピアノの鍵盤シ
ャーシ上に第1B図に示すように一定間隔を置いて多数並
設されている。そして、これら各鍵１は、基部1a側を鍵
盤シャーシ２に支持杆３により回動自在に支持させるこ
とにより、押鍵操作可能に設けられている。すなわち、
鍵１の基部1aと、例えば鍵盤シャーシ２との間には、引
張コイルばね５が張接されていて、この引張コイルばね
５のばね力により、前記鍵１は、例えば鍵盤シャーシ２
上に一体に設けた上限規制部材６に当接する上限位置に
付勢偏倚されている。この状態から、鍵１の押鍵操作側
の先端部1bを前記引張コイルばね５のばね力に逆らって
矢印方向に押鍵操作すれば、該鍵１で指定される所定の
音高の楽音発生信号が当該電子ピアノの楽音発生装置に
入力されるようになっている。

そして、前記鍵１の先端部1b下側に本考案の鍵ガイド
Ａが設けられている。この鍵ガイドＡは、鍵１の先端部
1b下面に、該鍵１から下方に向けてガイド用突出杆７を
一体形成するとともに、該ガイド用突出杆７と対向する
位置に鍵ガイド部材８を設け、前記鍵１の押鍵操作時
に、前記ガイド用突出杆７を前記鍵ガイド部材８のガイ
ド凹部９内で上下に摺動自在に案内させるようにしたも
のである。すなわち、前記ガイド用突出杆７は、鍵１の
先端部1bの下面中央部から下方に向けて一体に突出形成
されている。なお、このガイド用突出杆７は、横断面形
状が矩形状で、鍵１の長手方向に沿って側面7b、7bが形
成されている。そして、このガイド用突出杆７の直下の
該ガイド用突出杆７と対向する位置に、前記鍵ガイド部
材８が例えば鍵盤シャーシ上に固定配置して設けられて
いる。この鍵ガイド部材８の上部には、上面のみが開口
する縦断面凹形状のガイド凹部９が形成されており、該
ガイド凹部９内には潤滑材10を封入させた状態で前記ガ
イド用突出杆７の下端側（先端側）7aが嵌入されてい
る。そして、該ガイド凹部９の鍵１の長手方向に沿う内
側面9b、9bと、前記ガイド用突出杆７の側面7b、7bが前
記潤滑材10を介在して対面された状態で、ガイド用突出
杆７が前記ガイド凹部９内で上下に摺動自在に案内され
るようになっている。なお、潤滑材10をガイド凹部９内
に収容する量は、鍵１の押鍵操作によりガイド用突出杆
７がガイド凹部９内の下限位置まで没入された状態で、
ガイド凹部９の上面開口部9aから潤滑材10が溢出しない
ように予め規制されている。

しかして、上記実施例によれば、ガイド用突出杆７の
側面7b、7bが潤滑材10を介在させてガイド凹部９の内側
面9b、9bに上下に摺動自在に案内されるので、ガイド用
突出杆７は、異音を発することなく円滑にガイド凹部９
内を上下に摺動するとともに、鍵１の並設方向における
ガタツキをなくすことができる。しかも、ガイド用突出
杆７及び潤滑材10は、上面のみが開口するガイド凹部９
内に収容され、このガイド凹部９内においてガイド用突
出杆７が摺動案内されるので、潤滑材10がガイド凹部９
から流出することがない。このため潤滑材10はガイド凹
部９内に常に安定して確保され、潤滑材10による所期の
ガイド機能を長期にわたって安定して維持できる。

なお、潤滑材10は、上述のグリース以外に、他の適宜
の潤滑材を使用することができる。

また、この考案は、押鍵操作するようにした各種楽器
の鍵のガイドに適用できる。

［考案の効果］ この考案は以上説明したように、鍵の押鍵操作の際に
前記ガイド用突出杆を摺動自在に案内する上端開口のガ
イド凹部内に、ガイド用突出杆の摺動を円滑にするため
の潤滑材を封入した構成としていることから、従来の場
合と異なり、鍵の押鍵操作に伴うガイド用突出杆の鍵ガ
イド部材に対し摺動案内された際に、鍵ガイド部材に塗
付されている潤滑材が流れ落ちるというような事態を未
然に防止し、従来の場合のように、鍵ガイド部材の周辺
が潤滑材で汚損するのを未然に防止することができる。
また、そればかりでなく、常時、ガイド凹部内に封入さ
れている潤滑材の潤滑作用により、所期の鍵ガイド機能
を長期間にわたって安定して維持することができる。

【図面の簡単な説明】

第1A図及び第1B図はこの考案の一実施例を示し、第1A図
は側面図、第1B図は第1A図のＩ−Ｉ線に沿う縦断面図、
第2A図及び第2B図は従来例を示し、第2A図は側面図、第
2B図は第2A図のII-II線に沿う縦断面図である。 １……鍵、２……鍵盤シャーシ、７……ガイド用突出
杆、８……鍵ガイド部材、９……ガイド凹部、10……潤
滑材、Ａ……鍵ガイド。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鍵盤シャーシに押鍵操作可能に支持された
   鍵と、 この鍵の先端部下面に、該鍵から下方に向けて形成され
   たガイド用突出杆と、 このガイド用突出杆と対向する位置に設けられた鍵ガイ
   ド部材とを備え、 前記鍵ガイド部材には、前記鍵の押鍵操作の際に前記ガ
   イド用突出杆を摺動自在に案内する上端開口のガイド凹
   部と、前記ガイド用突出杆の摺動の際に、該ガイド用突
   出杆の摺動を円滑にするために前記ガイド凹部内に封入
   された潤滑材とを備えている ことを特徴とする鍵ガイド構造。