JPS6225716B2 - - Google Patents

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JPS6225716B2
JPS6225716B2 JP59162939A JP16293984A JPS6225716B2 JP S6225716 B2 JPS6225716 B2 JP S6225716B2 JP 59162939 A JP59162939 A JP 59162939A JP 16293984 A JP16293984 A JP 16293984A JP S6225716 B2 JPS6225716 B2 JP S6225716B2
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Japan
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liquid crystal
type
formula
vth
voltage
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JP59162939A
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JPS6069188A (ja
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Tamihito Nakagome
Kazuhisa Toryama
Hisato Sato
Tadashi Arai
Katsuhiko Morita
Yutaka Fujita
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DIC Corp
Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication of JPS6225716B2 publication Critical patent/JPS6225716B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
〔発明の利用分野〕 本発明は時分割駆動液晶表示装置、特に時分割
駆動方式に好適な液晶組成物を備えた時分割駆動
液晶表示装置に関するものである。 〔発明の背景〕 電界効果液晶表示素子の一つであるツイステツ
ドネマチツク(TN形)液晶表示素子の一例を第
1図に示す。同図に示す液晶表示素子は、それぞ
れ透明なガラスなどからなる第1の基板1と第2
の基板2とが所定の間隔、例えば5〜15μmでほ
ぼ平行に配置され、その周囲は、例えばフリツト
ガラス、有機接着剤等からなる封着部材3で封着
され、これらによつて形成される内部空間にネマ
チツク相液晶4が封入されている。所定の間隔
は、例えばフアイバーガラス、ガラス粉末等のス
ペーサ5によつて得られる。なお特別にスペーサ
5を使用せず、封着部材3をスペーサとして兼用
しても良い。 上記第1及び第2の基板1,2は、それぞれそ
の対向する内面上に所定のパターンの電極6が形
成され、更に液晶に接する面は、その面付近の液
晶分子を所望の一定方向に配向させる液晶配向制
御面7,8となつている。このような配向制御面
は、電極を有する基板面上に例えばSiOをその基
板面に対して斜めの方向から蒸着させた斜方蒸着
膜あるいは前記基板面上に有機高分子薄膜又は無
機物薄膜を被着し、その表面を綿などで一定方向
にこするいわゆるラビング処理を施すことなどに
より作られる。 液晶配向方向については、第1の基板1の液晶
配向制御面7には第1の一定方向を、第2の基板
2の液晶配向制御面8には第2の一定方向をそれ
ぞれ選びそれぞれの方向を異ならせて、前記基板
1,2間に挟持されたネマチツク相液晶4の分子
は、第1の方向から第2の方向に向かつてねじれ
て配向される。第1の方向と第2の方向とのなす
角度すなわち液晶分子のツイスト角度は任意に選
ばれるが、一般には第2図に示すようにほぼ90度
が選ばれる。 基板1,2の外側には、それぞれ第1の偏光板
9及び第2の偏光板10が配置される。 この場合2枚の偏光板9,10の偏光軸のなす
角度は通常液晶分子のツイスト角度(前記第1の
方向と第2の方向とのなす角度)と同じ角度、又
は、零度(すなわちそれぞれの偏光軸が平行であ
る)が選ばれる。そして通常液晶配向面配向方向
と偏光板の偏光軸とは互いに平行もしくは直交す
るよう配置される。 このような表示素子は、第1の基板側からみた
ときに正常の表示を行う場合、第2の偏光板9の
裏面に反射体11を配置した反射形表示素子、又
は更に第2の偏光板9と反射体11との間に所望
の厚さのアクリル樹脂板、ガラス板等の導光体を
挿入し、その側面の適宜個所に光源を配置した夜
間表示用素子として広く利用されている。 ここで、ツイスト角度90度、偏光軸交差角度90
度の反射形の場合の液晶表示素子の表示動作原理
について説明する。 今、液晶層に電界が存在しないときは、外来光
(この液晶表示素子の第1の偏光板9へ入射する
周囲光)はまず第1の偏光板9を透過したときそ
の偏光軸に沿つた直線偏光光となり液晶層4へで
入射されるが、液晶分子はその層の間で90度ツイ
ストしているので液晶層を通過したときは、前記
偏光光の偏光面は90度旋光され、第2の偏光板1
0を透過する。これが反射板11で反射され、上
記と逆の順序で第2偏光板10、液晶層4、第1
の偏光板9を透過して液晶表示素子外へ放射され
る。従つて観察者には液晶表示素子に入射され、
反射板で反射されて再び液晶表示素子から出て来
た偏光光を観察することができる。 このような表示素子において所定の選択された
電極6に所定の電圧を印加し、液晶層の所定の領
域に電界を与えると、その領域における液晶分子
は電界の方向に沿つて配向される。その結果、そ
の領域においては偏光面の旋光能を失うので、そ
の領域では偏光面は旋光しないため、第1の偏光
板9で偏光された光は第2の偏光板10で遮断さ
れる。このため観察者にはその領域は暗くみえ
る。 従つて、所望の選択された電極に電圧を印加す
ることによつて、所望の表示を行なうことができ
るのである。 上記のような電界効果形液晶表示素子におい
て、用いられるべき液晶組成物には、下記に述べ
る諸特性が付与されていることが特に望ましいも
のである。すなわち、 一 配向制御面に対する適応性が良好なこと、 二 広い温度範囲において動作可能なこと、 三 広い温度範囲、とくに低温においても応答性
の良いこと、 などである。 まず第一の要請に関しては、液晶4の分子を上
板、下板の界面において平行にしかも一方向に配
列させるように制御することは、本素子の構成上
きわめて重要なことで、従来よりこの制御はSiO
の斜方蒸着膜を形成したり、あるいはラビング処
理を施すことにより行なつている。 また、第二の要請に対しては、25℃の常温付近
において液晶であることが最低の必要条件である
が、実用的には−10℃〜+60℃程度以上の温度範
囲で液晶状態を示す液晶体が必要である。 なお、本発明で述べる所の固体・液晶の転移温
度は下記の測定に基づいて決定、定義されたもの
である。個々の液晶単体物質、およびそれらで構
成される混合系組成物が過冷却現象を示す場合が
多い。その場合には十分低温(たとえば−40℃)
に冷却して結晶化を計り、しかるのちに微量融点
測定装置によつて、温度上昇時における転移温度
を測定し、これをもつて固体・液晶の転移温度と
した。この第二の要請は通常のスタテイツク駆動
については言うに及ばず、いわゆる時分割駆動方
式による駆動においてきわめて重要な意味をもつ
ている。すなわち最近、液晶表示装置、とくに情
報を多く必要とする装置、例えば電卓あるいはマ
トリツクス・デイスプレイなどにおいては、電圧
平均化法などによる時分割駆動方式を採用するこ
とを必須としている。電卓などでは低電圧駆動が
望ましく、特に電池を直列に接続して直接駆動し
うる4.5V駆動(電池1.5V用3ケ)、3V駆動(電池
1.5V用2ケ)などの低電圧駆動が採用されてい
る。この低電圧駆動は電池を直列に接続するた
め、昇圧回路を必要とせず、C―MOSと組合せ
ることにより、電池寿命時間を500時間〜2000時
間に保持しうるのが特徴である。 しかしながら、かかる時分割駆動方式を採用す
ると、スタテイツク駆動方式では生じなかつた動
作上の制約が原理的に存在することになる。すな
わち時分割表示装置では半選択点、非選択点の各
絵素におけるクロストークを防ぐ必要がある。こ
のクロストークの防止法としては最も一般的に用
いられる電圧平均化法がある。この方法はクロス
トーク電圧を平均化して選択電圧との差を大きく
することによつて動作の裕度を広げることを目的
として工夫されたものである。以下この方法を具
体例を挙げながら説明する。 クロストーク電圧を選択電圧の1/3に平均化
し、駆動波形を交流にした電圧平均化法を適用し
た例を呈示する。この方式の駆動波形は第3図の
状態図のようになる。第3図において選択状態で
は±V0の電圧が液晶に加わり、半選択状態、非
選択状態では±(1/3)V0の電圧が液晶に加わ
る。このとき液晶が表示状態になる点、すなわち
表示点に加わる印加電圧の実効値υs1は次式のよ
うになる。 ただしN:デユテイ数。 一方液晶の非表示点に加わる印加電圧の実効値
υs2は次式のようになる。 υs2=1/3Vo ……(2) ここで、表示点を表示状態にするには、液晶の
しきい電圧値Vthに対してυs1≧Vthであり、非
表示点にクロストークを生じないためには、υs2
≦VVthでなければならない。すなわち、この駆
動方式によつてクロストークを防いだ表示をする
条件は次式のようになる。 υs2≦Vth≦υs1 ……(3) (3)式に(1),(2)式を代入し、Voについて整理す
ると次のようになる。 そこでVoを変えて表示点および非表示点の輝
度を測定すると第8図のようになる。表示点およ
び非表示点それぞれについてVoに換算した液晶
のしきい電圧値、Vth1,Vth2が存在し、 Vth1≦Vo≦Vth2 ……(5) のときクロストークを防いだ表示が可能になる。
なお、(4)式によりVth1,Vth2は次式で表わせ
る。 Vth2=3Vth ……(7) (5)式について、さらに厳密に言えば、表示の可
能な電圧の下限値はVth1ではなく第8図に示す
飽和電圧Vsat1を下限とすべきである。すなわち
下記の(8)式がクロストークを防いだ表示が可能に
なる電圧範囲を決める式となる。 Vsat1≦Vo≦Vth2 ……(8) (8)式におけるVoの可動範囲が大きい装置ほど
動作マージンが広い装置であるということができ
る。以上の式の誘導ではυs1,υs2したがつて
Vth1,Vth2,Vsat1などは一定値として考えてき
たが、これらは温度(T)、素子に対する視角
(φ,θ)(第4図)などによつて変りうるもので
ある。(1)式から(8)式の説明では第4図に定義した
視角φ=0と定めて考えてきたが、現実にはφは
ある有限の範囲の値を取るものである。このよう
に動作マージンをきめる要因は種々あり、これを
以下に順をおつて説明するが、動作マージンをき
める要因を考察する上で下記の3つの因子を取り
上げると問題の本質を見通す上で便利である。 (a) 温度によるしきい電圧値の変動 (b) 角度によるしきい電圧値の変動 (c) 電圧―輝度特性のシヤープさ さて(a)〜(c)と動作マージンの関係を測定法の具
体例に則して定量的に明らかにする。 時分割駆動方式の電気光学特性は第5図に示す
方法で測定した。液晶表示素子51は輝度計52
に対して10゜〜40゜の間で傾斜させて恒温槽53
内に配置されている。そして輝度計52に対して
30゜の角度をもつて配置されたタングステンラン
プ54により熱吸収ガラスフイルター55を介し
て液晶表示素子51に光を照射し、液晶表示素子
51の輝度を輝度計52により測定する。 前記した方法で測定した時分割駆動1/3バイア
ス―1/3デユテイ、1/2バイアス―1/2デユテイの
場合のそれぞれの駆動波形は第6図、第7図のよ
うな波形で行なう。この波形で電圧と輝度特性を
示したのが第8図である。領域は点灯しない領
域であり、領域は選択点のみ点灯する領域であ
る。この領域で数字、文字等の所望の表示がで
きることになる。領域ではすべてのセグメント
が点灯する領域であり、表示機能としての役目を
なさない領域である。すなわちクロストークの生
じる領域である。 Vth1は輝度10%の選択点(ON状態)における
電圧、Vth2は輝度10%の非選択(OFF状態)点
における電圧、Vsah1は輝度50%の選択点電圧、
Vsat2は輝度50%の非選択電圧である。動作マー
ジンを次式で定義する。 M(%)=Vth(T=40,φ=40゜,=100)−Vsat(T=0,φ=10゜,=550)/V
th(T=40,φ=40゜,=100)+Vsat(T=0,φ=10゜,=550)100 ……(9) ただし、T=温度(℃) 0゜〜40℃ φ=視角(゜) 10゜〜40゜ =周波数(Hz) 100〜550Hz したがつて、広い動作マージンとは領域が広
いということと同義である。このように時分割駆
動ではある一定の電圧の幅(マージン)の中で駆
動しなければならない。 この(9)式で表わされる動作マージンMを更に分
析すると、前記した(a)〜(c)の三つの因子によつて
Mが決定されることがわかる。それぞれの因子は
次の式によつて定量的に定義される。 (a) Vthの温度特性△T △T=Vth(T=0℃)−Vth(T=40℃)
/Vth(T=0℃)+Vth(T=40℃) ×100(%) ……(10) 但し、温度Tは0゜〜40℃の範囲とし、φ=
40゜,100Hzでの値としして△Tを定義す
る。 (b) Vthの角度依存性△φ △φ=Vth(φ=40゜)/Vth(φ=10
゜)……(11) 但し、T=40℃,=100Hzでの値として△
φを定義した。 (c) 電圧―輝度特性のシヤープさγ γ=Vsat/Vth ……(12) これらの(a)〜(c)の三つが主要素であるが、この
他に周波数特性△が一般には存在する。 △=Vth(=550Hz)/Vth(=1
00Hz)……(13) 但しT=40℃,φ=40゜での値として△を定
義する。 さらに式の導出に便利なように電圧平均化法マ
ージンαなるものを定義しておく α=Vth/Vth ……(14) ここで(9)式に(10)〜(14)を代入して整理する
と、動作マージンMは次式で与えられる。 但し、A=1−△T/1+△T 一般にγ,△φ,△T,△は、γ≧1,△φ
≦1,△T≧0,△≦1の値を取る。 ここで定義された動作マージンは液晶部材によ
つて種々異なる値を取りうるものであり、より大
きいマージンMを与えうる材料が時分割駆動用に
適していることになる。(15)式より明らかなよ
うに動作マージンMを拡大するには温度特性△T
は0に近づくほど、角度依存性△φ、電圧―輝度
特性のシヤープさγおよび周波数特性△の各々
は1に近くなることが必要である。場合によつて
は温度特性△Tはその装置に温度補償回路を導入
することによつて温度特性の影響をほぼ無視して
取扱うこともでき、装置としての動作マージンを
拡大させることができる。しかし、温度補償回路
を設けることは必然的に装置を高価なものにする
ため、電卓などの普及品などではコストを下げる
ために装置にこのような余分な補償回路などを一
切つけないで広い動作マージンが取れる部品材料
(素子)を採用することがきわめて好ましいので
ある。 第三の要請すなわち“広い温度範囲、とくに低
温においても応答性の良いこと”に関しては、次
のような考察からその方法が導出される。時分割
駆動動作時のツイステツドネマチツクモードにお
ける応答は次式で与えられる。 t all∝d2η/K ……(17) ηは粘度、Kは弾性定数、dは液晶層の厚み。
Kについては(61)″式を参照のこと。 上式より、液晶の応答は液晶材料の粘度によつ
て主として決定されることが判る。この理論式は
実測値ともよい一致を見るとされており、応答性
の向上は液晶材料の粘性の低減によつて行ないう
ることは当業者であれば容易に認めうることであ
る。 すなわちこの第三の要請に対してはいかに粘性
の低い(もち論他の第一、第二の要請を満した上
で)液晶材料を見出しうるかが成否の鍵をにぎつ
ているのである。 従来から液晶表示用、とくに時分割駆動用の材
料として、シツフ塩基型、エステル型、ビフエニ
ル型、アゾキシ型など種々提案されている。アゾ
キシ型は温度特性が良好(△Tが小さい)、すな
わち温度によるしきい値電圧の変動が少ない材料
であり、さきに定義した動作マージンMは1/3バ
イアス、1/3デイテイの時分割駆動の条件で10%
以上と大きな値を取りうる。アゾキシ型液晶は次
の一般式で与えられ、 それ自身弱い負の誘電異方性を示す物質である。
通常正の誘電率異方性を有するネマチツク液晶
(Np)を混合した系で用いられる。しかしこのア
ゾキシ型の材料は可視光の一部を吸収し着色(黄
色)しており、光に対する最大吸収が350nmにあ
り、この付近の波長によつて次のような光化学反
応をともなうものである。 すなわち光化学反応によつて非液晶物質を生成
するので、この新しい生成物の出現によつて黄色
から赤色に変色し、かつ一般には液晶の電気抵抗
も急激に低下する。 上記の理由によりアゾキン系ネマテイツク液晶
を使用するに際しては、太陽光や蛍光灯による光
劣化効果をさけるために、実用上500nmのUVカ
ツトフイルターを装置(素子)に装着して使用す
る必要がある。このため装置(素子)として複雑
になる。 一方このような光劣化しやすい材料の他には、
シツフ塩基系、ビフエニル系、エステル系などの
液晶がいわゆる白色表示用材料として従来から表
示装置への応用の対象物として考慮されてきた。 ビフエニル系は光、水、酸素などによつておか
されがたく、化学的に安定であるとされている。
しかしこの物質系は主として正の誘電率異方性の
液晶系にのみ室温で液晶であるものが知られ、負
の相当物には室温で液晶のもので実用的に有用な
ものが少ない。したがつてビフエニル系のみによ
つて混合系として構成されうる液晶系の種類は少
なく、また正の誘電率異方性もとくに大きな値で
はないため、しきい電圧値の調整を広い範囲にわ
たつては行いがたいものである。また、しきい電
圧値の温度依存性が大きく(△Tが大きく)時分
割駆動には一般に不適当とされる。 エステル系の液晶は比較的化学的安定性に優
れ、また正および負の誘電率異方性の液晶単体物
質の種類も多い。しかしそのしきい電圧値の温度
依存性は比較的大きく、かつ粘度も比較的大きい
ので前記第二、第三の要請には、一般に沿いがた
いものである。 シツフ塩基に関しては、エステル系よりも良好
な物性値をもつものであるが、化学的性質として
加水分解性が強く、素子構成との整合を取らない
と使用できない場合があり、万能とは言いがたい
ものである。 〔発明の目的〕 本発明は上記従来液晶材料の欠点を克服するこ
と、すなわち広い温度範囲で安定に配向し、かつ
しきい値電圧を広い範囲における任意の電圧値に
設定し得、かつその値の温度依存性が小さく、応
答速度の早い液晶組成物を備えた時分割駆動液晶
表示装置を提供するものである。 〔発明の概要〕 このような目的を達成するために、本発明は、
時分割駆動液晶表示装置に
【式】で表わされる化 合物と、
〔発明の実施例〕
従来から前記三つの要請中の第二、第三の要請
に適したものとして、母体として誘電率の異方性
が負のネマチツク液晶(Nn型液晶)を用い、こ
れに適量の誘電率異方性が正のネマチツク液晶
(Np型液晶)および/または誘電率異方性が正の
液晶類似物(分子構造が正のネマチツク液晶に類
似している物質で以下Np型液晶類似物という)
を添加した系がシツフ塩基型液晶系の中などに存
在しうることを本発明者らは見出している。 本発明者らは新に、次の一般式 〔式中、R1はn―CmH2n+1を表し、R2はn−
CqH2q+1−Oを表す。〕(但し、m,qは1〜10と
する)の各単体液晶の複数個の混合組成から成る
母体系が上記第二、第三の要請に適した母体系で
あることを見出したものである。なお、nは炭素
が直鎖であることを意味する記号であり、以下本
明細書で用いるnは同様の意味とする。また、シ
クロヘキサン環炭素とカルボニル基炭素との結合
はイカトリアル結合であるとする。すなわち、本
発明者らは上記一般式で表わしうるたぐいの負の
誘電率異方性のネマチツク液晶及びその類似物は
これらを組合せて混合系を形成することによつて
広い液晶温度範囲の有用な母体液晶を与えること
を見出したのである。さらに本発明者は上記母体
混合系と組合せうる正の誘電率異方性のネマチツ
ク液晶(Np)及びその類似物を探策し、これを
上記母体と組合せることによりきわめて時分割駆
動用に適した液晶組成物系を見出すに至つたもの
である。さらに上記(18)式のNn型と上記探索
によつて得たNp型との混合系にさらに添加する
ことによつて時分割駆動に適した諸性質を向上さ
せうるNn型液晶およびその類似物をも見出すこ
とが出来た。 以下順をおつて実施例をまじえて本発明の詳細
な説明を行なう。 (18)式に示した構造の各液晶単体より構成さ
れる母体組成に関して、とくに好ましい構成物質
として、 (但しm,pは1〜10の整数) が良く、(19)式において(m,q)の組合わせ
としては(3,5),(4,5),(5,5),(6,
5),(4,6),(3,1),(3,2),(3,
3),(3,4),(3,9),(4,1),(4,
2),(4,3),(4,4),(4,6),(4,
8),(5,1),(5,2),(5,3),(5,
4),(5,6),(5,6),(5,7)などが好ま
しい。 第1表には主なNn単体液晶4―n―アルキル
―シクロヘキサンカルボン酸―trans―4′―アル
コシフエニルエステルの液晶温度範囲(MR)を
示した。
【表】 また、これらの化合物を混合すると第2表に示
すように広いMRの混合系が得られる。
【表】 第2表1―1の液晶は室温(25℃)において約
35センチポアズ(CP)の粘度を示す。これに対
してこれら液晶のシクロヘキサン環に置換えた分
子構造に相当する公知のエステル型液晶は約2倍
もの高い粘度を示す。 例えば、 の混合系の粘度は室温で約70センチポアズ
(CP)を与える。一般に通常のベンゼン環を二個
含むエステル系の液晶に比較して本発明になる系
は約二分の一と小さな粘度を示し、高速応答に有
利な物性を示す。上記の例からわかるように 〔式中、R1はn―CmH2n+1を表わし、R2はn
―CgH2g+1―Oを表わす〕(但しm,qは1〜10
の整数とする)の混合系から成る母体液晶
(Nn)は前記第三の要請に適した母体系であるこ
とが明らかである。 一方、これらのNn型液晶系はε〃をネマチツ
ク液晶のデイレクター(director)方向の誘電率
とし、またε⊥を液晶のデイレクターに直交する
方向の誘電率とするとき△ε=ε〃−ε⊥の値は
負でかつその絶対値は比較的小さな値を示すもの
である。例えば で示される物質は小さな誘電率をもち、そ電気的
極性が弱く、いわゆる有機化学上の概念からは、
非極性な溶媒に近いものである。このような非極
性な溶媒にNp型、たとえば
【式】などのよう な大きな誘電率をもち、かつその異方性も大きい
溶質を混合すると、当然その相互の相溶性が問題
となる。たとえば
【式】と
【式】の1:2 モル比の混合系の誘電率(22℃測定)はε〃
(1.5kHz)=25.7,ε⊥(1.5kHz)=7.3,△ε
(1.5kHz)=18.4であり(()内は測定周波数)、誘
電率も大きく、またその異方性も大きい。すなわ
ち、これらの溶質は有機化学上の概念からは極性
のグループに属するものである。このような溶媒
と溶質、すなわち非極性のNn型液晶母体系と極
性のNp型液晶/またはNp型液晶類似物とを吟味
せずに混合すれば、つぎに述べるような問題が生
じることは容易に予測しうることであり、かつま
た本発明者らはその事実の存在することを既に経
験的に認めている。 1 溶質(Np型ネマチツク液晶及びその類似
物)の比率を大きくすると相分離が生じること
がある。 2 混合系におけるネマチツク液晶の下限温度が
上昇する。 3 低温において、液晶分子の配向制御が困難と
なることがある。 これらの好ましからざる現象を示す具体例を以
下に示す。母体のNn型液晶として の混合体系(A―1)を用い、Np型液晶とし
て、 を用いた。配向制御膜としてはSiO斜方蒸着(入
射角83゜)を用いた。(26)式の物質の添加量を
種種変えたものをSiO斜方蒸着膜を内蔵するツイ
ステツドネマチツク液晶素子に封入した。この素
子を恒温槽に入れ、温度を室温から低温へと下げ
て行くと、ある素子ではある種の配向の異常性が
現われることが判つた。上、下偏光板と反射板と
を装着した素子において、表示部の一部または全
部が暗くなることが認められた。すなわち、液晶
分子の配例が正常のツイストの状態から何らかの
変化が生じ、光の制御能力が低下したと考えられ
る配向異常が生じたものである。前記のNp型液
晶(式(26))の添加量と上記配向異常との関係
を第3表に示す。この表には各組成の液晶が配向
異常を起し始める温度の上限を示す。前記Np型
液晶(式(26))の添加量が少ない領域では、低
温安定性は良好である。配向異常は、ほぼNpと
Nnを等量混合した場合に最も起りやすく、Np型
液晶(式(26))の量が少ないと起りにくい傾向
を示している。
【表】
【表】 このような配向の異常と相溶性の欠如を防ぎ、
より信頼性の高い液晶組成物を得る方法として、
本発明者らはつぎのようなきわめて一般性のある
方法を見出したのである。 すなわち、非極性なNn型母体系液晶と極性の
Np型液晶および/またはNp型液晶の類似物との
相溶性を増大させ、かつ広いMRを得るには、第
三成分として前記のNn以外の種類のNn型液晶系
を添加させると良い。とくに第三成分のNn型と
しては、その分子内に電気的に極性をもち、かつ
負の誘電率異方性をもつネマチツク液晶又は液晶
類似物であると上記の好ましい性質、すなわち混
合系の相溶性を増大させ、かつ広いMRを得るこ
とができる。たとえば前記(A―1)の系統のシ
ツフ塩基型液晶(Nn型液晶)の混合系に、前記
のNp型液晶(式(26))を加えるに際して、次の
例に示すような極性の基を分子内に含むNn型液
晶および/またはNn型液晶類似物をさらに第三
成分として加えるのである。 (但しm,qは1〜10の整数を意味する) 実例として、母体のNn型液晶としては、 を用い、これにNp型として
【式】を13wt% 加えたものに、極性のNn型物質として を加えた。この(C―2)の添加量と液晶温度範
囲(MR)との関係を第9図に示す。液晶温度範
囲(MR)は(C―2)の添加量の増加につれて
下降し、しかも液晶―液体転移温度(N―点)
の低下は比較的少なく、全体として(C―2)の
添加によつてMRが拡大するという好ましい結果
を与えている。 以上の実施例においては、母体のNn型として
シツフ塩基型液晶を対象として第三成分の有効性
を説明したが、まつたく同様なことは母体系
(Nn型)として第2表に示した4―n―アルキル
―シクロヘキサンカルボン酸―trans―4′―アル
コキシフエニルエステルの混合系(第2表の1―
1〜1〜11)を用いた場合でも生じることが明ら
かとなつた。すなわち、上記母体(Nn)系に各
種Np型液晶および/又はNp型液晶類似物を加え
るに際して、上に説明した第三成分としてNn型
液晶および/またはNn型液晶類似物を加えると
上記Np型物質との相溶性を増大させ、かつ広い
MRを得ることができることが明らかになつた。 第三成分として好ましいNn型液晶および/ま
たはNn型液晶類似物は次の通りである。 (以上、(28)〜(39)におけるmおよび/ま
たはqは1〜10の整数) ただしRはCH3―O―CH2CH2―OまたはCH3
―O―(CH23―O (mは1〜9の整数) Rは(CH22―CH―Oまたは(CH22―CH
(CH22―O (m,qは1〜10の整数) RはCH3―O―CH2―O,CH3―O―(CH22
―O,C2H5―O―(CH22―O,CH3―O―
(CH23―O,C3H7―O―(CH22―Oまたは
C2H5―O―(CH23―O Rは
【式】または
【式】
(以上(44)〜(54)のmおよび/又はqは1
〜10の整数) (mは1〜10の整数qは1〜8の整数) (mは1〜12の整数qは1〜10の整数) (m,qは1〜10の整数) (mは1〜18の整数qは1〜6の整数) (m,qは3〜8の整数) (m,qは1〜10の整数) これら(27)ないし(60)の各物質あるいはこ
れらの任意の混合系を第三成分として添加するに
際し、その添加すべき量を決定するにはつぎの一
般的事実または法則が指導原理となる。 すなわち、母体であるNn型液晶に混合するNp
型液晶および/又はNp型液晶類似物の量は、混
合系液晶の必要とする動作しきい電圧値によつて
決められるものであるが、その混合する量と動作
しきい電圧値との関係は、ほぼつぎのような考え
方に従つて決められる。そして上記第三の成分で
ある極性の基をもつたNn型液晶および/または
極性の基をもつたNn型液晶類似物の添加量も、
上記Np型液晶および/またはNp型液晶類似物の
混合量に見合つて加えられるべきものである。ツ
イステツドネマチツク液晶素子のしきい電圧値
(Vth)は次式で与えられる。 (4π)-1(ε〃―ε⊥)h2 =π・K11+(K33−2K22)φ ……(61) ただし、φはツイスト角で通常はπ/2の値を
取る。K11,K22,K33はそれぞれスプレイ
(splay)、ツイスト(twist)、ベンド(bend)の
弾性定数である。式(61)を簡単にかくと Vth=23/2・(K/△E)〓 ……(61)′ ただし△ε=ε〃−ε⊥ K=K11+1/4(K33―2K22) ……(61)″ △εの異なる値の液晶の混合により、任意の△
εの液晶を原理的には得ることができる。いま二
種の液晶AおよびBの誘電率をそれぞれε〃A
ε⊥Aおよびε〃B,ε⊥Bとし、また混合比を
A/B=X/1―Xとする。誘電率の加成性が成
り立つとすると混合系の△εはつぎのように与え
られる。 △ε=X△εA+(1−X)△εB =X(△εA−△εB)+△εB ……(62) またKについても加成性が成立つとすると、混
合液晶のKは、次のように与えられる。 K=XKA+(1+X)KB=X(KA−KB)+KB
……(63) (62),(63)を(61)′に代入すると Vth=2π3/2・√(AB)+B/ √(△A−△B)+△B ……(64) ここで各定数に具体的数値をあてはめ、しきい
電圧値の算出を例示する。 Nn型液晶の△εBを−0.3,Np型液晶
【式】 の△εAを25とする。またKB=4×10-7dyne,
A=17×10-7dyneとおくと(64)式は Vth=2π3/2・√(13+4)10-7 /√25.3−0.3 ……(64)′ となる。ここで△εA,△εB,KA,KBの値の与
え方は決して恣意的なものではなく、現実の液晶
の物性を良く反映した値であることは当業者であ
れば容易に納得し得るものである。 第10図はNp型液晶として
【式】を、また Nn型液晶として実施例4(第2表)に示した母
体1―4を用いてNpとNn両型の液晶を混合した
ときの混合比をVth(staticdrive)の値との関係
を示したものである。理論式(計算式)(64)ま
たは(64)′と実験結果はよい一致を示してい
る。 しかしながら上記の組合せのみでは既に詳しく
説明したように、その相溶性に関して十分満足し
きれない。そこで第三の成分としてのNn型、と
くに極性のNn型物質(極性のNn型液晶および/
またはNn型液晶類似物)を添加する必要があ
る。その添加量はNp型液晶および/またはNp型
液晶類似物の量に合せて種々調整すれば良い。そ
の例は後述の実施例によつて説明する。 第2表などに開示されているNn型の一般式 〔式中、R1はn―CmH2n+1を表し、R2はn―
CqH2q+1−Oを表す。〕(但しm,qは1〜10の整
数)で示される母体系に加えられるべきNp型液
晶および/またはNp型液晶類似物として下記の
物質を見出した。 ((65)〜(78)におけるmは1〜10の整数) また、下記の物質を母体系に添加し、良好な結
果を得た。 mは1〜8の整数 mは1〜8の整数 XはハロゲンF,Br,Cl,Iを表わす。 mは1〜10の整数 XはハロゲンF,Br,Cl,Iを表わす。 mは1〜10の整数 mは1〜10の整数 一般式(18)式の物質Nn型と第三の成分Nn型
物質よりなる組成系の例(実施例)としては下記
の第4表に示すものが特に好ましいことを見出し
た。
【表】
【表】 次にNn系混合系母体にNp型液晶および/また
はNp型の液晶類似物を加えた系の実施例を第5
表に示す。
【表】
【表】 実施例24ないし27,29,30,32,33に見るよう
に各混合系は室温を中心に広いMRを保持してい
る。いずれも表示装置に利用しうる良好な液晶系
を形成しているものである。 次に上記の本発明になるNn型物質とNp型物質
の混合系を表示装置に適用した場合、とくに時分
割駆動方式に適用した場合にきわめて好ましい表
示特性を示すことを実施例(第6表)によつて示
す。第6表中trは立上り応答速度を、tは立
下り応答速度を表わす。 時分割駆動を実行する上で最も必要な要件、動
作マージンについてはすでに詳細に説明した。第
6表の実施例において本発明になる組成物が大き
な動作マージン値を示し、さらにその動作マージ
ン値を決定する要因を示した。また比較のため第
7表には従来の材料についての評価データを示し
た。第7表において※1における1/3、1/3は1/3
バイアス、1/3デユテイを、※2における1/2、1/
2は1/2バイアス、1/2デユテイを意味する。 液晶を構成する各組成間の相溶性を反映する
MR、さらに表示特性として重視すべき反応性な
どについても実施例を示した。 動作マージンを決める要因はすでに示したよう
にVthの温度依存性(△T)、Vthの角度依存性
(△φ)、Vthの電圧−輝度立上り特性(γ)によ
つて決定される。これらは液晶そのものによつて
主として決定される。しかし素子界面、素子の光
学系などによつても多少変化しうるものであるが
本実施例ではすべてほぼ同一の条件において測定
を行ない液晶そのものの特性を反映させたもので
ある。 動作マージンの主要かつ液晶材料を反映する因
子として第一にはVthの温度依存性(△T)、第
二にはVthの視角依存性(△φ)であることは多
くの実験によつて明らかにされている。これらの
因子は液晶の物質値、とくに△ε(ε〃―ε⊥)
(誘電率異方性)、K(弾性定数)、△n(屈折率
異方性)などによつて支配されるもので、したが
つて液晶の分子構造と深い係りをもつものであ
る。 液晶の各成分の混合時の相溶性はMRに反映す
る。とくに結晶―ネマチツク液晶転移点(C―N
点)の値に反映すると考えられる。 したがつて、MR値を各組成系について表示
し、相溶性ひいては液晶材料としての熱力学的安
定性の判定の目安とし各実施例に付記した。さら
に表示特性として必須の応答特性を各組成系につ
いて測定し、実施例として以下に示した。 一般にNn型液晶とNp型液晶の混合系において
Npの添加量を増加するとVthは低下するが、それ
と同時に動作マージンMの値も減少する傾向があ
る。したがつて低電圧で駆動可能なこと(例えば
1/3バイアス、1/3デユテイの時分割駆動の条件で
3V駆動を可能にすること)すなわち低電圧駆動
用の液晶を見出すことは一般にきわめてむずかし
い課題である。一般に動作マージンMの値が6%
以上でないと素子の量産はきわめて困難だとされ
ている。さらに低電圧駆動の場合にはNpの添加
量を増加する必要があるが、Np型液晶自体、多
くの場合大きな粘度を持つものが多く、混合系
(NpとNn)の全体としての粘度を上昇させ、ひ
いては系の応答性を悪化させることもしばしばで
ある。 かかる困難な課題を回避する方法、手段として
本発明者らは次のような一般的な方法を見出し
た。すなわちVthの低下をはたすNpとして△εの
大きな材料と同じくNp型ではあるが混合系の粘
度を低下させ、したがつて応答性を改良するよう
な物質をNp型の添加系として併用することであ
る。Vthの低下に特に有効なNp型物質として (mは1〜10の整数) などが有効である。これらの実施例を実施例36,
37,38,39,42,43として示した(第6表)。
【式】などの式 (80)に属するエステル型Np液晶はVthの低下に
効果があり、かつその粘性も比較的低く、利用価
値が高い併用添加系である。
【式】(式(69) に属す)は△εが大きく、かつN―I点が高い
(98℃)材料であり、混合系のN―I点を高く保
つ上で有効なNp物質である(実施例42,43)。第
11図には
【式】から成る母 体系に
【式】を加えた場 合のN―I点とVth(しきい電圧)を示した。ま
た前記した粘度の低下に有効なNp型物質として
ビフエニル系が存在することが判つた(式
(74),(75),(76))。実施例34,35に示すように
応答時間trが200ms以下の値を示した。これは他
のNp物質(式(80))、実施例36,37(式(65))
実施例38,39などに比較して優れた値である。ビ
フエニル系と同様、応答性を改良しうる減粘剤で
かつNpの物質として (mは1〜10の整数) がきわめて有効であることを見出した。この点に
ついてはより詳細に後述する。 一般に非液晶性物質(液晶類似物質)の添加は
液晶―液体転移温度(N―I点)を低下させる傾
向がある(実施例37、
【式】はネマチツ ク液晶性を示さない)。このN―I点の低下は多
くの場合、△Tの悪化(増大)をもたらすもので
ある。実施例37ではN―I点が50℃と低い。これ
は他の実施例(34ないし39)に比べて明らかに低
い値である。かつ△Tが18.5であり、他の実施例
に比べて異常に大きい。△Tの増大は(15)式か
ら明らかなようにM(動作マージン)の減少につ
ながる(実施例37ではM=3.5と小さい値であ
る)。かかるN―I点の低下を防止し、△Tの増
大を防ぎ、ひいては動作マージン(M)の値を増
加させるのに有効な物質(添加剤)として本発明
者らは次の(82)式,(79)式の2つの系統の物
質を見出した。 これらの物質を実施例1ないし11(第2表)、
実施例12ないし22(第4表)に示したNn型母体
液晶、実施例23(第5表)、実施例28(第5表)、
実施例31(第5表)などの母体液晶などに添加す
るとその効果はきわめて顕著である。 その有効性は実施例40,41に示されており、
(82)式で示される一般式に属する物質の少量添
加はN―I点を高い値に保つ点、また△Tの減少
にきわめて効果的である。同様の役割を(79)式
で示される物質が果していることを実施例に基づ
いて説明する。実施例53,54(式(79)で示され
る物質が添加されている系)と実施例52(式
(79)で示される物質が添加されてない系)との
比較、実施例58(式(79)で示される物質が添加
されている系)と実施例57(式(79)で示される
物質が添加されていない系)との比較から明らか
であるようにこれらの添加剤のN―I点の上昇、
△Tの減少の効果は明らかである。実施例40にお
いてNp型物質
【式】(Vthの低 下に有効な成分)と
【式】を組合せ ることによつて広いMRを保持し、かつ動作マー
ジンM=12(%)のものを見出すに至つた。 実施例50はVthの低下に有効な と、粘度低下に有効な
【式】と上述のN ―I点の上昇、△Tの減少に有効な
【式】を組合せ た例である。 本発明者らが見出したもつとも顕著にして、応
用上効果のある新しい組成系として一般式 〔式中、R1はn―CmH2n+1を表わし、R2はn
―CgH2g+1Oを表わす〕 (但しm,qは1〜10の整数とする)で示され
る各物質を中心とする母体系に、 (但しmは1〜10の整数) を添加した系が上げられる。これを実施例によつ
て説明する。 実施例44,45,46,47は実施例23に示した母体
系に 一般式 (但しmは1〜10の整数) で示されるシクロヘキサンフエニル系及びシクロ
ヘキサンビフエニル系のNp型混合系(実施例
44参照)を加えた組成物に関するものである。
の添加量が増大するに従い応答性が良好になつて
いくことがいちじるしい特徴である。しかも動作
マージン(M)も10〜12(%)程度の高い水準を
保持している点が第二の優れた特徴である。この
高いマージンの保持は一つには△φの比較的1.00
に近い大きい値0.9〜0.88を取ることが要因とな
つていると考えられ、母体系(4―n―アルキ
ル―シクロヘキサンカルボン酸―trans―4′アル
コキシフエニルエステルを主体とするNn型母体
系)とシクロヘキサン・フエニル系とシクロヘキ
サンビフエニル系とのNn型混合系との混合系
が電気光学的特性に対して好ましい効果を示す光
学的性質(屈折率(n))屈折率異方性(△n))
を保有していることを示唆するものである。また
もう一つの高い動作マージンの保持の要因として
Np型の混合比が増大しても△Tの値が増大せず
ほぼ一定の8.0〜8.6の水準を保持していることが
上げられる。一般に他のNp型の成分の増大は△
Tの増大をもたらすことが多い(実施例34と35,
42と43が比較例と成る)。 1/3バイアス、1/3デユテイ、3V駆動に最も適
した本発明になる組成物系を実施例52ないし58に
示した。これら実施例で示した系の特徴はNp型
物質としてVthの低下に有効な
【式】(エステ ルシアノ系)と前記シクロヘキサンフエニル(式
(77))およびシクロヘキサンビフエニル(式
(79))を組合せた点にあり、駆動電圧が3V近辺
と低く、しかも動作マージンが10%前後(実施例
55,56,58)と高い水準を示し、かつ応答時間
(tr,25℃)も200ms前後と良好な値を示すこと
である。これらの総合的に優れた特性は時分割駆
動用装置への応用においてきわめて好ましいもの
である。 実施例59ないし62は母体系(4―n―アルキ
ル―シクロヘキサンカルボン酸―trans―4′―ア
ルコキシフエニルエステルを主体とするNn型母
体系)(実施例50参照)にさらにNn型液晶として
【式】
【式】
を各々加えNp型液晶として
【式】を混合した 液晶によつて広いMRのネマチツク液晶を得るこ
とができることを示したものである。特に実施例
59,60,61に示すように固体―液晶転移点(C―
N点)の低い液晶系を見出したものである。 実施例63ないし66は母体系にNp型物質 の各物質を添加することにより、広いMRと高い
動作マージンを保有する組成物を与えることを示
したものである。 実施例67,68は に関するものである。 液晶はMRが非常に広く、母体系(N―I点60
℃)に10%添加するとN―I点が17℃上昇する。
一般にベンゼン環3つ持つ液晶は粘度が大きく、
応答速度が急激に低下する。 しかし、この 液晶は粘度が他のベンゼン環3つを有する材料に
比べて粘度は低く、母体系(粘度30〜40CP
(25℃))添加においては応答に悪影響がない。し
たがつてこの母体系に添加することは非常に有
効で動作マージンも増加する傾向にある(添加す
ることによつて△Tが低下する)。 以上実施例34乃至実施例68に示した実施例に基
づいて時分割駆動特性の良好な混合液晶の案出の
一般的方法として下記のような結論を述べること
ができる。 Vthの低下をはたすNpとしてΔεの大きな材料
(これをNpsと定義する)とNpsと同様Np型では
あるが混合系の粘度の上昇をおさえるかあるいは
低下させ、したがつて応答性を改良するような物
質(これをNpwと定義する)とをNp型の添加と
してNpsと又はNpw同志併用すると得られた混合
系は時分割駆動特性が良好であり、とくにVthの
低下と応答性の良好性の両立が保たれる。 Nps型物質としては式(65)乃至式(73)、式
(80)、式(81)、式(83)が存在することを見い
出した。 またNpw型物質としては式(74)乃至式
(78)、式(82)が存在することを見い出した。 またNps及びNpwの添加はVthの低下、応答性
の良好化に有効であるが、混合系のN―I点の低
下、したがつて動作温度範囲の低下、あるいはΔ
Tの増大といつた動作特性、時分割駆動特性の悪
化につながる影響を与える可能性がある。かかる
N―I点の低下を防止し、ΔTの増大を防ぎ、ひ
いては動作マージン(M)の値を増加させるのに
有効な物質として(82)式、(79)式の二つの系
統の物質を見い出した。これらの物質は三つの
環構造を分子内にもち、その単体のN―I点が
高く、比較的弱い誘電率の正のNp型物質に属
している。これらの,,の性質をもつ物質
(これをNpwlと定義する)の少量添加は一般的に
動作マージンの改良に有効であることを見い出し
た。 以上説明した第6表(その1〜5)記載の本発
明に係る混合液晶の組成割合を整理するとつぎの
ようにまとめることができる。 A:式(19)の物質 B:A以外のNn型物質 C:Nps型物質 D:Npw型物質及びNpwl型物質 (1) 物質A,B,Cの組合せにおいて良好な時分
割駆動特性を与える組成として、 40〜90モル%のA 0〜40モル%のB 及び 10〜35モル%のC から成る混合液晶 (2) 物質A,B,Dの組合せにおいて良好な時分
割駆動特性を与える組成として、 40〜90モル%のA 0〜30モル%のB 及び 10〜40モル%のD から成る混合液晶。 (3) 物質A,B,C,Dの組合せにおいて良好な
時分割駆動特性を与える組成として、 28〜59.4モル%のA 12〜29.6モル%のB 6〜25モル%のC 及び 5〜40モル%のD より成る混合液晶。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 第7表より明らかなように従来用いられている
アゾキシ液晶は10%以上のマージンが充分にとり
うる。しかし、前記したようにこの材料系は光に
対する化学的安定性が極端に弱いことからフイル
ターを必要とし、また黄色であるため好ましくな
い。白色材料としてはビフエニール、エステルフ
エニルシクロヘキサン系の各ネマチツク液晶があ
る。これらの材料、たとえばエステル系は低電圧
駆動にはある意味では適しているが、粘度が高
く、応答が遅い。フエニルシクロヘキサン系ネマ
チツク液晶は粘度が低く高速応答の特長をもつ。 しかし第7表よりあきらかなように、いずれの
系も動作マージンが小さく、時分割駆動用の材料
としては不適である。これに対して本発明になる
材料は白色材料であり、かつ時分割駆動に必須な
動作マージンが十分に大きな材料である。 さらに実用上忘れることのできぬ液晶材料の保
有すべき特性“配向制御膜に対する適応性が良好
なこと”第1の要請に関して、本発明者らは
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかな如く、本発明における
液晶は白色であるので表示装置としては好まし
く、光に対して強く、化学的にも安定であるので
液晶材料としては信頼性の強いものであると同時
に、時分割駆動においてこれまでの白色材料に比
べて広いマージンが取れるので液晶表示装置用と
して最適なものであるなど種々の特長を有する優
れたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は液晶表示素子の一例を示す断面図、第
2図は液晶分子の配向状態を示す構成図、第3図
は電圧平均化法(1/3バイアス)時分割駆動波形
の一例を示す状態図、第4図は視角の定義を示す
図、第5図は電気光学特性測定装置の説明図、第
6図は1/3バイアス、1/3デユテイの駆動波形、第
7図は1/2バイアス、1/2デユテイの駆動波形を示
す図、第8図は時分割駆動した時の輝度―電圧特
性を示す図、第9図はシツフ塩基Nn型及びNp型
混合系のNn型物質
【式】の添加量 と液晶温度範囲との関係を示す図、第10図は本
発明に関係したNn型物質とNp型物質との混合比
と、しきい電圧値との関係の一例を示す図、第1
1図はNp型物質をNn型物質に添加した場合の一
例を示す図である。 1……上板、2……下板、5……液晶、6……
電極、8,9……偏光板、51……液晶表示素
子。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 一般式 〔式中、R1はn−CmH2n+1を表し、R2はn−
    CqH2q+1−Oを表わす(m,qは1〜10の整
    数)〕の化合物の少なくとも一種と (式中rは1〜10の整数)を除く正の誘電率異方
    性を有するネマチツク液晶および/または正の誘
    電率異方性をもつネマチツク液晶の類似物たる化
    合物の少なくとも一種との混合物から成るネマチ
    ツク液晶体を複数の相対向する電極間に挟持して
    なる時分割駆動液晶表示装置。 2 一般式 〔式中、R1はn−CmH2n+1を表わし、R2はn
    −CqH2q+1−Oを表わす(m,qは1〜10の整
    数)〕の化合物の少なくとも一種と (式中rは1〜10の整数)を除く正の誘電率異方
    性を有するネマチツク液晶および/または正の誘
    電率異方性をもつネマチツク液晶の類似物たる化
    合物の少なくとも一種と負の誘電率異方性を有す
    るネマチツク液晶および/または負の誘電率異方
    性を有するネマチツク液晶の類似物たる化合物の
    少なくとも一種から成るネマチツク液晶体を複数
    の相対向する電極間に挟持してなる時分割駆動液
    晶表示装置。
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JP (1) JPS6069188A (ja)

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JPS6069188A (ja) 1985-04-19

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