JPS6225500Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、エレベータ昇降路内に設けられる
レール固定装置に関するものである。

まず、第１図、第２図により従来のエレベータ
のレール固定装置について説明する。

第１図はエレベータの昇降路を横断面して示す
平面図で、図中１はエレベータ昇降路、２はか
ご、３はつり合いおもり、４，４Ａはかご２を案
内するレール、５，５Ａはつり合いおもり３を案
内するレールで、かご２とつり合いおもり３はロ
ープ（図示せず）によつて連結され、かご側レー
ル４，４Ａ、および上記おもり側レール５，５Ａ
に案内されてそれぞれ昇降する。６はかご２の出
入口扉、７は出入口扉６を開閉するための扉開閉
装置である。８はレール４、および５を昇降路内
壁面１Ａに固定するための固定金具であり、８
Ａ，８Ｂも同様にレール４Ａおよびレール５Ａの
固定金具である。上記固定金具８は第２図に拡大
図で示すように、山形鋼製の壁金具９と山形鋼を
平面コ字形に加工したレール金具１０とで構成さ
れ、これらの壁金具９とレール金具１０は製作時
に相互を溶接によつて一体化したものであり、壁
金具９はアンカーボルト１１により昇降路内壁面
１Ａに固定されている。またレール４，５はクリ
ツプ等１２により固定金具８に締結されている。
上記固定金具８は、通常エレベータ昇降路１の全
高に亙つてレール４，５を２〜３ｍ間隔で取付け
るため、エレベータ１台当り数十個使用されてい
る。

一方、昇降路内壁面１Ａの施工誤差は、一般に
鉛直線に対して±20mm程度の傾斜誤差であるた
め、エレベータごとに固定金具８の取付全個所に
ついて昇降路内壁面１Ａから上記おもり側レール
５までのＨ寸法（第２図に示す）を実測した後
に、このＨ寸法により個々に固定金具８を製作し
なければならず、したがつて少量生産となり製作
コストが割高となつている。なお、かご側レール
４とおもり側レール５との相互関係位置はエレベ
ータ機種ごとに異るが同一機種では一定であるの
で、昇降路内壁面１Ａの施工誤差の影響は受けな
い。また、昇降路内壁面１Ａの傾きを補うため
に、従来は昇降路内壁面１Ａと壁金具９の取付面
との間にランナ１３を挿入して微調整を行わねば
ならず、さらに固定金具８は、Ｈ寸法実測後個々
に部品を製作するため、製作時間が長くかかるば
かりでなく、エレベータ据付工事現場での作業順
序が煩雑となつて作業能率を著しく低下させると
いう問題点があつた。

そして、従来のレール固定装置は、第２図から
明らかなように、おもり側レール５が壁金具９の
一端面より内側に位置してレール金具１０が壁金
具９に固定されており、昇降路内壁面１Ａとおも
り側レール５の距離を短くすると、このレール５
が壁金具９に干渉するため、おもり側レール５の
位置調整範囲が狭く、また壁金具９とレール金具
１０の重なり代が短く、このためこれらの溶接固
定が強固にできないという問題点があつた。

この考案は、上記のような問題点を解決して、
レールをレール金具と壁金具によつて能率よく所
定位置に固定できると共に、おもり側レールの位
置調整範囲を拡大して、このレールを壁金具に近
づけることができ、また壁金具の昇降路内壁面か
らの突出長さを長くして壁金具とレール金具の重
なり代を長くし、これを強固に溶接固定できるエ
レベータのレール固定装置を提供することを目的
としている。

すなわち、この考案によるエレベータのレール
固定装置は、レール金具の側面辺に、二つ目座金
を介して上記側面辺外方に位置する壁金具一端面
よりさらに外方におもり側レールを固定したこと
により、壁金具とおもり側レールが干渉せず、こ
のためおもり側レールを昇降路内壁面に近づける
ことができ、おもり側レールの位置調整範囲を拡
大でき、また壁金具の昇降路内壁面から突出する
長さを長くして、溶接用長孔をレール金具に形成
して溶接長さを長くするなどの特殊な加工をしな
くても、壁金具とレール金具の重なり代およびこ
れらの溶接長さを長くして、壁金具とレール金具
を強固に溶接固定できる。

以下、この考案の一実施例を第３図、第４図に
よつて詳細に説明する。

図中、第１図、第２図と同一符号は同一又は相
当部分を示し、１４は壁金具で、昇降路内壁面１
Ａにアンカーボルト１１で固定される垂直な取付
面１４Ａとレール４側に突出した水平面１４Ｂと
を備えたＬ字形をなしている。１５はレール金具
で、山形鋼がコ字状に折曲され、かご側レール４
に接する部分には鉛直な正面辺１５Ａと、壁金具
１４の水平面１４Ｂに支持される側面辺１５Ｃ，
１５Ｄとが一体に形成されている。１６は二つ目
座金である。

すなわち、かご側レール４はクリツプ等１２で
レール金具１５の正面辺１５Ａに固定され、つい
でかご側レール４の芯出しを行い、その後壁金具
１４とレール金具１５側面辺１５Ｃ，１５Ｄの水
平面１５Ｂを溶接１７，１７Ａして一体化する。
おもり側レール５は、上記二つ目座金１６を介し
てクリツプ等１２でレール金具１５の鉛直な側面
辺１５Ｄに固定されて、側面辺１５Ｄより外方に
位置する壁金具１４一端面よりさらに外方に配置
されている。

なお、昇降路内壁面１Ａの施工誤差によるＨ寸
法の調整は、壁金具１４の水平面１４Ｂと、レー
ル金具１５の側面辺１５Ｃ，１５Ｄの水平面１５
Ｂとの重なり代を調整することにより行うもので
ある。この調整によるＨ寸法の最小長さは、上記
重なり代が最大幅となつた時、即ち壁金具１４の
水平面１４Ｂの幅寸法ｈ寸法と等しくなつた時で
あり、Ｈ寸法の最大長さは上記重なり代が最小長
さとなつた時であつて、重なり代の最小長さは地
震などによりレール４，５に加わる荷重に対して
溶接１７，１７Ａ部が耐えられる強度により決定
されるものであり、通常50mm程度である。従つて
壁金具１４の水平面１４Ｂの長さ、即ちｈ寸法の
大きい方がＨ寸法の調整範囲が大きくなる。ま
た、レール５とレール金具１５の側面辺１５Ｄの
間に二つ目座金１６を介在させたことにより、Ｈ
寸法が小さい時、即ちおもり側レール５の端面か
ら昇降路内壁面１Ａまでのh₁寸法が壁金具１４の
水平面１４Ｂの長さ寸法ｈより小さい時でも、お
もり側レール５と水平面１４Ｂとが干渉すること
なく取付けられるので、Ｈ寸法の調整範囲をより
大きくすることができる。さらに、第４図に示し
たように、レール５を二つ目座金を介して取付け
るようにすれば、壁金具１４との間に空間１８が
できるので壁金具１４の水平面１４Ｂと、レール
金具１５の側面辺１５Ｄ側の溶接１７Ｂが可能と
なり壁金具１４とレール金具１５との固定をより
強固にすることができる。

この考案は、以上説明したように、レール金具
１５の側面辺１５Ｄに二つ目座金１６を介してお
もり側レール５を固定し、このレール５を上記側
面辺１５Ｄ外方に位置する壁金具１４一端面より
さらに外方に位置させ、壁金具１４におもり側レ
ール５を干渉しないようにしたので、壁金具１４
の昇降路内壁面１Ａから突出する長さを長くで
き、レール金具１５との重なり代を長くして壁金
具１４とレール金具１５を強固に溶接固定でき、
しかもおもり側レール５の位置調整範囲を拡げ
て、このレール５を昇降路内壁面１Ａに近づける
ことができるので、昇降路内壁面１Ａからレール
までのＨ寸法を実測するための作業が不要とな
り、この作業時間を省略することにより、エレベ
ータの据付工期が短縮できる。また、レール固定
装置を構成する壁金具、およびレール金具を据付
工事の着手以前に多量生産が可能であり、製作費
の低減をはかることができる。さらに従来使用し
たような微調整用のライナーも不要となるので取
付工事が容易となると共に、二つ目座金をおもり
側レールとレール金具の間に介在させることによ
り、昇降路内壁面からおもりレールまでのＨ寸法
の調整範囲をより大きくすることができるという
効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエレベータの昇降路横断面図、
第２図は同じく従来のエレベータのレール固定装
置の取付状態を示す要部拡大平面図、第３図はこ
の考案によるエレベータのレール固定装置の一実
施例を示す取付状態を示す要部拡大平面図、第４
図は第３図の−線に沿う断面図である。 １……昇降路、１Ａ……昇降路内壁面、４，４
Ａ……かご側レール、５，５Ａ……つり合いおも
り側レール、１４……壁金具、１４Ｂ……水平
面、１５……レール金具、１５Ａ……正面辺、１
５Ｄ……側面辺、１６……二つ目座金。なお、図
中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エレベータの昇降路内壁面に固定される壁金具
   に、かご側レールおよびこのレールと直角方向に
   配置されたつり合いおもり側レールを固定する一
   体形のレール金具を溶接固定するエレベータのレ
   ール固定装置において、上記レール金具の正面辺
   にかご側レールを固定し、レール金具の側面辺に
   二つ目座金を介し上記側面辺外方に位置する壁金
   具一端面よりさらに外方に上記おもり側レールを
   固定したことを特徴とするエレベータのレール固
   定装置。