JPS622538Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は弱磁性又は非磁性金属部材で構成され
たベーン型圧縮機の回転を検出する回転検出器に
関する。

ベーン型圧縮機は小型である利点を有し、カー
クーラその他の冷房装置に使用されている。一般
にベーン型圧縮機はシリンダと、該シリンダ内に
偏心して配設されシリンダ内周面に摺接すべく入
出自在に摺動嵌挿されたベーンを有するロータ及
び前記シリンダの両端を密閉するサイドブロツク
等により構成され、前記ロータの回転に伴い前記
内周面に摺接して回転するベーンによりシリンダ
内周面とロータ外周面との間に形成される圧縮室
内の冷媒を圧縮するようになされている。かかる
圧縮機は電磁クラツチ等の接続手段により機関に
接続され回転駆動される。

ところで、上記構成のベーン型圧縮機はその構
造上接触回転部分が多く、各接触部分における機
密性を保持しつつ摩耗を少なくすることが必要不
可欠である。一方、電磁クラツチの滑り等により
機関の駆動回転数とロータの実際の回転数とは一
致せず、正確な圧縮機の回転を検出することがで
きず、この結果圧縮機即ち、冷房システムを精度
よく制御することが困難である。また圧縮冷媒の
少ない状態にあるにもかかわらず何らかの原因で
圧縮機が異常に高速回転した場合等には油膜切れ
を起こしロータが焼付を起こす原因となる。しか
も、圧縮機は冷媒を高圧に圧縮する関係上かかる
高圧に対してセンサを十分に保護することが必要
である。

かかる圧縮機の回転数を検出する検出器は例え
ば特開昭56−64183号、特開昭56−64184号、特開
昭56−64185号、特開昭56−167887号、特開昭57
−56759号、特開昭57−59170号、特開昭57−
79288号、実開昭57−139677号、実開昭56−
175589号公報に開示されている。しかしながら、
これらの各検出器は前述の各要件を十分に満足す
ることが困難であり、とくにポンプハウジング及
びロータ等が非鉄金属例えばアルミニウム合金部
材等の非磁性部材、或いは弱磁性部材等で構成さ
れた圧縮機の回転検出器についてはその構造或い
は配設位置等において未だ不十分な点が多い。

本考案は上述の点に鑑みてなされたもので、特
にロータを収納するシリンダサイドブロツクがア
ルミニウム合金部材等の弱磁性体或いは非磁性体
部材で構成した圧縮機の回転を検出することを目
的とし、この目的を達成するために本考案におい
てはポンプハウジング及び当該ポンプハウジング
内に収納されるサイドブロツクとロータとを弱磁
性又は非磁性部材で形成したベーン型圧縮機の前
記ロータの回転を検出するベーン型圧縮機の回転
検出器において、前記ロータの側面所定個所に没
設され当該ロータの軸方向の磁界を有するマグネ
ツトと、前記ポンプハウジングの前記ロータ側面
と対向するサイドブロツクの前記マグネツトと対
向する位置に前記軸方向に沿つて穿設された穴内
に配設され強磁性部材で形成されたピンと、前記
サイドブロツクに前記ピンの表面所定位置に近接
して配設され前記マグネツトと前記ピンとが対向
したときに磁化される当該ピンの磁気を検出する
センサとを備え、前記ロータの回転を検出するよ
うにしたベーン型圧縮機の回転検出器を提供する
ものである。

以下本考案の一実施例を添附図面に基いて詳述
する。

第１図は本考案の回転検出器を適用したベーン
型圧縮機の縦断面図を示し、ケース１内には内周
面が長円形状をなすカム周面２ａに形成されたシ
リンダ２と、当該シリンダ２の両開口端部に夫々
フロントサイドブロツク３、リヤサイドブロツク
４を接合して形成したポンプハウジング５が収納
され、シリンダ２内には周部に複数例えば４個の
図示しないスリツトが周方向に等間隔で半径方向
に形成されたロータ６が回転自在に収納され、前
記各スリツト内には夫々板状のベーン７が出入自
在に嵌挿されている。

このロータ６は略中央部がフロントサイドブロ
ツク３に一体に形成された軸受部３ａに回転自在
に貫通軸支された回転軸８の一端部に固着されて
いる。ロータ６とカム周面２ａとの間に画成され
る２つの圧縮室９（一方のみ図示）の図示しない
各吸入部は吸入孔を介してケース１に装着された
フロントヘツド１ａの内面に形成された吸入室１
０に連通し、吸入室１０には接続用の口金１１が
取付けられている。前記各圧縮室の図示しない吐
出部は吐出弁が装着された吐出孔を介してポンプ
ハウジング５の後端部とケース１との間に形成さ
れた吐出室１２に連通し、ケース１の上部面には
吐出室１２に連通する口金１３が取付けられてい
る。

これらのシリンダ２、各サイドブロツク３，４
ロータ６等は夫々非鉄金属部材例えばアルミニウ
ム合金部材等の非磁性軽合金部材で形成されてい
る。

ロータ６のサイドブロツク３の内面３ｂとの対
向端面６ａには第１図及び第２図に示すようにそ
の周縁部近傍の所定個所に穴６ｂが穿設され、こ
の穴６ｂ内には当該ロータ６の軸方向に磁界を発
生するマグネツト例えばフエライトマグネツト１
５が端面６ａから僅かに没入して圧入嵌合されて
いる。これはアルミニウム合金製のサイドブロツ
ク３より硬いフエライト製マグネツト１５により
ロータ６の回転時にサイドブロツク３の内面３ｂ
を傷付けないためである。

サイドブロツク３の内面３ｂにはロータ６と一
体に回転するマグネツト１５と対応する位置にロ
ータ６の軸方向に穴３ｃが穿設され、更にこのサ
イドブロツク３には一端が穴３ｃの一端部に開口
し、他端がケース１の上部に穿設された孔１ｂに
整合する半径方向の孔３ｄが穿設されている。穴
３ｃ内には強磁性部材例えば鉄で形成されたピン
１６が圧入嵌挿されており、その端面１６ａは第
２図に示すようにサイドブロツク３の内面３ｂよ
りも僅かに没入している。これは前述と同様に、
アルミニウム合金製のロータ６より硬い鉄ピン１
６によりロータ６の回転時に当該ロータ６の側面
６ａに傷を付けないためである。即ち、マグネツ
ト１５と鉄ピン１６の端面とは僅かな空隙で対向
している。

サイドブロツク３の孔３ｄ内にはセンサ収納ケ
ース１７が圧入嵌挿され、第２図に示すように先
端部周面はピン１６の一端面１６ｂに僅かな空隙
で近接している。このケース１７は第２図に示す
ように軸部１７ａと当該軸部１７ａよりも太径の
頭部１７ｂとから成り、これらの軸部１７ａ及び
頭部１７ｂには穴１７ｃが穿設されている。かか
る形状のケース１７は例えばステンレス等の強靭
な非磁性部材で形成されている。尚、ケース１７
は非磁性部材に限らず強磁性部材でもよいが、非
磁性部材で形成する方が好ましい。

ケース１７の穴１７ｃ内には磁気検出センサ例
えばピツクアツプコイル１８が収納され、このコ
イル１８は検出方向即ち軸方向がピン１６の軸方
向と合致し且つ底部１７ｄに当接して配設されて
いる。このコイル１８はピン１６の外部磁界を検
出するもので、線１９，２０を介して図示しない
回転検出回路に接続される。穴１７ｃ内にはモー
ルド部材２１が充填されセンサ１８及び線１９，
２０を穴１７ｃ内に固定すると共にこれらを密封
保護している。

また、ケース１７の頭部１７ｂとケース１の孔
１ｂの周縁部との間には密閉用のシール部材例え
ば０−リング２２が介在されている。

かかる構成においてロータ６が回転し当該ロー
タ６の回転毎にマグネツト１５とピン１６とが対
向したときにピン１６が強力に磁化される。一
方、サイドブロツク３、ロータ６等は非磁性部材
であるためにマグネツト１５及びピン１６とによ
る磁気回路は開磁路となり、ピン１６の外部に軸
方向の磁界が発生する。この磁界はピツクアツプ
コイル１８と鎖交しこのときに当該コイル１８に
電圧が発生する。この発生電圧はパルス状の電圧
である。

ピツクアツプコイル１８に発生する誘起電圧の
大きさ及び周期はロータ６の回転数に比例して変
化する。従つて、コイル１８の出力電圧に基づい
てロータ６の回転数を検出することができる。

しかも、マグネツト１５はロータ６の側面に没
設されているために当該ロータ６の回転による遠
心力によりマグネツト１５がロータ６から逸脱す
ることがない。

ところで、マグネツト、特にフエライトマグネ
ツトは磁束密度、保磁力、透磁率等の磁気特性が
温度に応じて大きく変化する。従つて、これらの
磁気特性のいずれかの変化を検知して温度変化を
検出することができる。従つて、感温フエライト
部材等の感温磁性部材でマグネツト１５を形成す
ることによりピツクアツプコイル１８の出力電圧
に基づいて圧縮機特に冷媒の温度を検出すること
ができ、圧縮機の回転数検出器と温度スイツチと
兼用することができる。

尚、本実施例においては磁気検出センサとして
ピツクアツプコイルを使用した場合について記述
したが、これに限るものではなく他のセンサ例え
ばホール素子等を使用してもよい。

以上説明したように本考案によれば、ポンプハ
ウジング及び当該ポンプハウジング内に収納され
るサイドブロツクとロータとを弱磁性又は非磁性
部材で形成したベーン型圧縮機の前記ロータの回
転を検出するベーン型圧縮機の回転検出器におい
て、前記ロータの側面所定個所に没設され当該ロ
ータの軸方向の磁界を有するマグネツトと、前記
ポンプハウジングの前記ロータ側面と対向するサ
イドブロツクの前記マグネツトと対向する位置に
前記軸方向に沿つて穿設された穴内に配設され強
磁性部材で形成されたピンと、前記サイドブロツ
クに前記ピンの表面所定位置に近接して配設され
前記マグネツトと前記ピンとが対向したときに磁
化される当該ピンの磁気を検出するセンサとを備
えたことにより、圧縮機のロータがアルミニウム
等の軽合金部材で形成されていてもその回転数を
検出することが可能である。また前記マグネツト
を感温フエライト部材で形成することにより回転
数検出器と温度スイツチとを兼用することが可能
である。更に前記センサを冷媒の高圧部に離隔し
て配設することができ、センサの保護が容易であ
ると共に、ロータの側面にマグネツトを没設した
ので当該ロータの回転に伴う遠心力により前記マ
グネツトが逸脱することがなく事故防止を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したベーン型圧縮機の縦
断面図、第２図は本考案に係るベーン型圧縮機の
回転検出器の一実施例を示す断面図である。 １……ケース、２……シリンダ、３，４……サ
イドブロツク、５……ポンプハウジング、６……
ロータ、８……軸、１５……マグネツト、１６…
…ピン、１７……収納ケース、１８……センサ、
１９，２０……線、２１……モールド、２２……
Ｏ−リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポンプハウジング及び当該ポンプハウジング内
   に収納されるサイドブロツクとロータとを弱磁性
   又は非磁性部材で形成したベーン型圧縮機の前記
   ロータの回転を検出するベーン型圧縮機の回転検
   出器において、前記ロータの側面所定個所に没設
   され当該ロータの軸方向の磁界を有するマグネツ
   トと、前記ポンプハウジングの前記ロータ側面と
   対向するサイドブロツクの前記マグネツトと対向
   する位置に前記軸方向に沿つて穿設された穴内に
   配設され強磁性部材で形成されたピンと、前記サ
   イドブロツクに前記ピンの表面所定位置に近接し
   て配設され前記マグネツトと前記ピンとが対向し
   たときに磁化される当該ピンの磁気を検出するセ
   ンサとを備えたことを特徴とするベーン型圧縮機
   の回転検出器。