JPS6225192B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、筆跡が消え難く、且不透明で、し
かも組成が分離し難いペイントマーカーインクに
関するものである。

紙、木、金属、ガラス面などに消し難い不透明
な筆跡を形成するものとして従来ペンキ類が使用
されているが、最近同様な用途のものとしてペイ
ントマーカーが開発され、市販されている。

しかしながら市販されているペイントマーカー
は筆跡を不透明にするために染料の他にチタンホ
ワイトなど白色顔料を数％加えており、このため
に白色顔料が沈降してインク組成が分離し易く、
筆先に白色顔料が詰まり、或いは染料のみで筆跡
が形成され、不透明なはずの筆跡が透明になつて
しまう欠点がある。

またインクタンクに中綿を使用することができ
ないので、プツシユ式の生インクタイプのマーカ
ーしか市販されていない。

この発明は上記実情に鑑み、紙、木、金属、ガ
ラス面などに書くことができ、筆跡が不透明で、
擦ても容易に消すことができない耐水性のあるマ
ーカーインクを提供することを目的とするもので
ある。

この発明に係るペイントマーカーインクは、フ
イルム形成能力のある樹脂と着色料とを、該樹脂
を溶解する低沸点樹脂と該樹脂に対して非溶剤で
ある高沸点溶剤との混合溶剤に溶解し、更に上記
インクの溶剤組成に可溶で、且つ上記高沸点溶剤
に可溶性の樹脂を少量添加するものである。

即ち、この発明によればフイルム形成能力のあ
る樹脂と着色料とを、該樹脂を溶解する低沸点溶
剤と該樹脂に対して非溶剤である高沸点溶剤との
混合溶剤に溶解するため、筆記した場合上記低沸
点溶剤が先に揮発し、非溶剤である高沸点溶剤が
残る結果、フイルム形成能力のある樹脂はゲル化
して多孔体の筆跡を形成する所謂樹脂はブラツシ
ングを起す。したがつてチタンホワイトなどの白
色顔料を特別多量に加えなくても不透明な筆跡を
形成することができる。

また白色顔料を特別多量に、或いは全く加えな
くてもよいため、インク組成の分離を起すことな
く、したがつて筆先の目詰り等がなくなる。

更にこの発明によれば、インク溶剤組成に可溶
で、且インク組成中の高沸点溶剤に可溶性の樹脂
を少量添加するため、紙、木、金属、ガラス面な
どあらゆる被書体上に消え難く、耐水性のある筆
跡を形成することができる。

この発明で使用するフイルム形成能力のある樹
脂としては硝酸セルロース、酢酸セルロース、ア
セチルブチルセルロースなどのセルロース誘導
体、メタノール可溶性ナイロン、６・10ナイロン
共重合体等を挙げることができる。

上記樹脂の添加量はインク溶剤組成に対して１
〜６％、好ましくは３％程度である。なお１％以
下であると筆跡の形成が不十分であり、６％以上
であると粘度が高くなり過ぎて好ましくない。

着色料としては、上記樹脂に対して親和性のあ
る染料、例えばビクトリアブルーＢ、ローダミン
Ｂベース、ポリエステルブルーＴ―Ｓ（日本化学
株式会社製品）、オプラスブルー（オリエンタル
染料株式会社製品）のような水に不溶の塩基性染
料のベースやスピリツト染料、油溶染料を挙げる
ことができる。

また着色料の添加量はインク溶剤組成に対して
0.5〜５％好ましくは３％である。なお５％以上
の場合は溶解し難く、更に0.5％以下であれば薄
くて使用に適さない。

これらの染料は、被書体上に失透状態で凝固す
る樹脂の表面に吸着するのに必要かつ十分な量を
加えることが好ましく、これより少ない場合には
鮮明な筆跡を得難く、またこれより多量に加える
場合には、樹脂の表面に吸着されない染料が生
じ、このため被書体上を汚すという不都合を生ず
る。

更にこの発明に使用するフイルム形成能力のあ
る樹脂を溶解させる低沸点溶剤はアセトン、メチ
ルエチルケトン等の低級ケトン、酢酸メチル等の
低級エステル、メタノール、エタノール等の低級
アルコール、ニトロメタンの一種又は二種以上か
ら選択することができ、非溶剤である高沸点溶剤
としてはｎ―ブタノール、iso―プロピルアルコ
ール、トリオール、キシロール等の低級芳香族化
合物、ｎ―酢酸ブチルの一種又は二種以上から選
択することができる。

また上記高沸点溶剤に可溶である樹脂としては
酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合
体、エチレン―酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニ
ル樹脂の誘導体、澱粉、シアノエチル化澱粉のよ
うな澱粉の誘導体を挙げることができ、上記樹脂
はあまり多く加えると粘度が高くなり、目詰りを
生ずるところから添加量は0.1〜１％好ましくは
0.5％程度とする。

以下、この発明の実施例を示す。

実施例 １ 塗料用硝酸セルロース２ｇを酢酸エチル60ｇと
ｎ―ブタノール37ｇの混合溶剤に溶解せしめ、こ
れにビクトリアブルーB1ｇ、酢酸ビニル樹脂0.5
ｇを溶解せしめペイントマーカーインクを調整し
た。このインクを用いたマーカーで紙、木板上に
筆記したところ、不透明な筆跡を得ることがで
き、この筆跡は擦ても消すことができなかつた。
更に金属板、ガラス板上に筆記した場合にも、不
透明で、擦ても消すことができない筆跡を得るこ
とができた。

実施例 ２ 塗料用酢酸セルロース２ｇをアセトン60ｇとト
リオール37ｇの混合溶剤に溶解せしめ、これにロ
ーダミンB1ｇと塩化ビニル―酢酸ビニル―共重
合体0.5ｇを溶解せしめてペイントマーカーイン
クを調整した。このインクを用いたマーカーで紙
上に筆記したところ、不透明で擦ても消すことが
できない筆跡を得ることができた。

実施例 ３ ナイロン２ｇにメタノール100c.c.を加えて加温
し、ナイロンが充分に溶解するまで撹拌しながら
還流して室温にした。

このように調整したナイロンメタノール10c.c.に
染料としてフクシンメタノール２c.c.を加え、更に
ｎ―ブタノール0.5c.c.を加え、シアノエチル化澱
粉0.1ｇを加えてペイントマーカーインクを調整
した。このインクを用いたマーカーで紙、木板、
金属板、ガラス板上に筆記したところ不透明で、
擦ても消し難い筆跡を得ることができた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ フイルム形成能力のある樹脂と着色料とを、
   該樹脂を溶解する低沸点溶剤と該樹脂に対して非
   溶剤である高沸点溶剤との混合溶剤に溶解させ、
   更に該混合溶剤に可溶で、且つ上記高沸点溶剤に
   可溶性の樹脂を少量添加してなることを特徴とす
   る筆跡が消え難く、且つ不透明なペイントマーカ
   ーインク。