JPS6223487Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本案は輪血時に於ける血液中の凝固物を高性能
継続的に除去することの出来る輪血用濾過器に係
るものである。 従来、輪血用血液は保存中にマイクロアグリゲ
ートと呼ばれる10μ乃至30μ程度の大きさの凝固
物が生成し、其のまま輪血するに好ましからざる
状態を呈するに至るものである。そこで輪血時に
はこれら凝固物は予め濾過して除去するを理想と
するものである。 然しこの濾過に際しては血液中の有効成分であ
る赤血球、白血球、血小板は破壊又は捕促される
ことなく、しかも多量輪血に充分対応出来るよう
濾過速度を落とさずして引き続き２以上の血液
を濾過できる必要がある。 従つて血液フイルターとして具備すべき要件は
マイクロアグリゲートを完全に捕捉出来ること、
濾過速度を低下せしめず継続して濾過せしめるこ
とである。本考案者はこの要請に応じて先に実願
昭56−140945号を考案出願したものであるが、本
案に於いてはフイルターに関して更に考案を施し
高性能良好な濾過を可能としたもので効果大であ
る。 今、ここに実施の一例を示した添付図面につい
て詳説するに、１，２は高低両密度不織布の重積
層より成るフイルターで、濾過面積は片面１が50
cm²の面積で厚さ３mmとする。中間に内中腔３を介
在して外中腔１６の内面に存し、低密度の内層１
４は３デニールポリエステル繊維を材料とし目付
60ｇ／m²、加重10ｇ／cm²のもので、測定される厚
さに基づき計算されるみかけ密度0.04ｇ／cm³の不
織布より成り、該内層１４の中央部に加熱による
巾７mmの帯状の毛羽伏せ部１５，１５を設ける。
毛羽伏せ部１５，１５は、巾0.5〜１cm程度が適
当である。該毛羽伏せ部１５，１５以外の低密度
の内層１４，１４の相対する内面は相近接して居
り、該毛羽の先端部は相互軽く接触し、絡み合い
加減を呈する程度を適当とするものである。高密
度の外層１３は1.3デニールのポリエステル繊維
を材料とし目付60ｇ／m²、加重10ｇ／cm²下の厚さ
の値と目付より計算されるみかけ密度0.12ｇ／cm³
の不織布より成り、前記低密度の内層１４の外面
に該高密度の外層１３を重積して構成するもので
ある。４は外枠で、中腔の四周面を区画し、上部
に前記内中腔３に流通する血液流入口５を設け、
下部に前記外中腔１６に流通する集合腔１１を存
し、血液流出口９を該集合腔１１に設ける。該外
枠４の内部に内向環状突起を存し内中腔３を中間
に挟んで前記重積層たるフイルター１，２を相対
峙して設ける。該フイルター１，２の外周端は超
音波接着によつて外枠４の内面に設けた内向環状
突起１０に固着し、該固着操作中の振動が、前記
帯状毛羽伏せ部１５以外の部分における内層内面
相互の毛羽端部の絡み合い状態１２を自然に来た
さしめる結果となるものである。８は透明体製側
板で、前記外枠４の両面に外中腔１６を夫々介在
せしめて閉塞するものである。６は堅型突状で、
外中腔１６中、先端フイルター１，２の外面に接
するよう、該側板８の内面に、等間隔平行状に突
設するものである。 本考案は以上のような構成で、血液流入口５よ
り速度50ml／minに設定し、250ml血液を収容し
たパツク10個より順次輪血用の血液を注入する
と、先ず毛羽伏せ部１５，１５の間隙を通り内中
腔３の毛羽の間を下向放射状に拡散しつつ低密度
の内層１４を通過するものである。この際、血液
流入口５より流入する血液は先ず介在物のない毛
羽伏せ部分１５を流下しつつ低密度の内層１４の
内面の毛羽相互が軽く絡み合いを存する部分に分
散し、ここで最大粒の凝固物が引つかかつて該部
に停滞し、次順位に粒度の大きい凝固物は、低密
度の内層１４内に引つかかつて停滞し、更に粒度
の小さい凝固物は高密度の不織布よりなる外層１
４に引つかかつて該外層に停滞するように、順次
重積状のフイルター１，２の各層に分散されて付
着停滞するもので、フイルターの内面のみに厚く
付着停滞することにより、集中的に目詰まりを生
じるおそれがなく、従つてスムースに外腔内に透
出した血液は、堅型突状６間に均等に分散されて
流下し、集合腔１１を通つて、該パツク内の全血
液を輪血する間目詰まり等の支障を来さず継続し
て終始等速度の良好な輪血をすることが出来た。
尚、この場合に於ける濾過性能は赤血球、白血
球、血小板の残存率と凝固物に対応する粒子径範
囲の除去率によつて、コールターエレクトロニツ
ク社製コールターカウンターモデルZBを用いて
測定したところ、血球の残存率は極めて高く、凝
固物の除去率は次表の通りである。

【表】 尚、従来公知のフイルターホルダーに単層のフ
イルターを支持せしめ、径４cmのフイルターを用
いた場合の凝固粒子平均除去率を示せば次表の通
りである。

【表】 以上、両者の比較により、本案装置が如何に顕
著な効果を有するものであるかを知ることが出来
る次第である。 尚、本案実施に当たつては必要に応じて目付の
異なる高密度層を更に添加する場合もあるもので
任意実施し得るものである。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本案実施の一例を示すもので、第１
図は一部切開した本案の正面図、第２図は第１図
Ａ−Ａ線断面図、第３図は第１図Ｂ−Ｂ線断面
図、第４図はフイルターの一部拡大横断面図であ
る。 １，２……フイルター、３……内中腔、４……
外枠、５……血液流入口、６……堅型突条、７…
…血液流下間隙、８……側板、９……流出口、１
０……内向環状突起、１１……血液集合腔、１２
……絡み合い状、１３……外層、１４……内層、
１５……毛羽伏せ部、１６……外中腔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 両面にフイルター１，２を添着し、中間に中
   腔を存する外枠４を設け、該中腔に通ずる血液
   流入口５を設け、前記フイルター１，２の外面
   にフイルター面に接する竪型突条６を存し、該
   突条６に区分される血液流下間隙７を存する透
   明体製側板８を設けて前記外枠４の両面を閉塞
   し、前記血液流下間隙７の下端部外枠に血液集
   合腔１１を設け、該集合腔１１に連通する流出
   口９を設け、前記フイルターを高密度不織布を
   外層１３とし、内面中央部に帯条の毛羽伏せ部
   １５を有する二枚の低密度不織布を内層１４と
   する重積層をもつて構成し、前記内層１４，１
   ４の毛羽伏せ部１５，１５以外の部分の内面毛
   先が相互絡み合い状に接触するようにしたこと
   を特徴とする輸血用濾過器。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の輸血用
   濾過器に於ける高密度不織布より成る外層１
   ３，１３が目付40〜80ｇ／m²、密度0.10〜0.15
   ｇ／cm²であることを特徴とする装置。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の輸血用
   濾過器に於ける低密度不織布より成る内層１
   ４，１４が夫々目付40〜80ｇ／m²、密度0.03〜
   0.06ｇ／cm²であることを特徴とする装置。