JPS6222181B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は磁気記録媒体に係り、磁性層と反対側
のベース面に少なくともLiFとTiOとを含む層を
設けておくことにより、磁気記録媒体の傷つきが
少なくなり、耐久性に富み、又、帯電防止が効果
的に行なわれ、ゴミやホコリ等が付着しにくく、
しかも走行性が良好なものとなり、さらには遮光
性にも富んだものとなる磁気記録媒体を提供する
ことを目的とする。

近年、家庭用ビデオテープレコーダが普及して
きており、その機能及び性能共に優れたものが開
発商品化されている。これらの記録再生装置の中
には、長時間録画用として磁気テープの走行速度
を遅くしているもの、あるいはその大きさが小型
携帯用のものとして小型軽量化が進んだもの、さ
らにはカメラ一体型のものといつたように、種々
の用途に適したものがある。そして、このような
記録再生装置においては、その使用される磁気テ
ープも特別に走行性能及び耐久性能等が要求され
ている。例えば、磁気テープの走行速度が遅いよ
うな記録再生装置で用いられ得る磁気テープは、
例えばテープカセツト、記録再生装置のガイドピ
ン等と接触しながら低速走行する為に、磁性層と
反対側面の摩擦係数が低く、走行安定性に優れた
ものであることが一段と要求されている。又、テ
ープ走行速度の低下及び記録再生装置の小型化の
為に、磁気記録媒体の記録密度の向上、磁性層表
面の平滑性、ベースフイルムの平滑性が一段と要
求されており、走行性がよりきびしくなりつつあ
る。又、長時間記録に伴ない、磁気テープの薄手
化がすすみ、磁気テープの機械的強度低下の傾向
があり、長時間の繰り返し使用に耐え得る耐久性
及び耐摩耗性も一段と要求されている。

そこで、上記要望に対して、磁気記録媒体の支
持体のバツク面に炭酸カルシウム含有層を設ける
ことが提案されているが、いまだ充分満足できる
ものには至つていない。

本発明者は、磁気記録媒体の磁性層と反対側の
支持体面に、TiOとLiFとを含有するバインダー
樹脂層を設けることにより、特にTiOはその平均
粒径が0.01〜５μｍ、望ましくは0.02〜0.5μｍの
ものを用い、しかもその含有量は約10〜70重量％
のものとし、又、LiFはその平均粒径が0.05〜５
μｍ、望ましくは0.05〜1.0μｍのものを用い、
しかもその含有量は10〜70重量％のものとするこ
とによつて、上記したような特別な記録再生装置
でも充分満足できるものとなることを見い出した
のである。

このような、すなわち磁気記録媒体のバツクコ
ート層中に、白色粉末状で、分散性に優れ、バイ
ンダーとの相溶性も良く、さらには滑性効果にも
優れたLiFと、黒色粉末状で、導電性に優れた
TiOとを含む磁気記録媒体は、例えばγ−Fe₂O₃
粉末、Fe₃O₄粉末、Co含有γ−Fe₃O₄粉末、Co含
有Fe₃O₄粉末、合金粉末等の磁性粉、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロー
ス、合成ゴム等のバインダー、トルエン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン、酢酸エチル等バインダーに対して溶
解性に適した溶剤、その他滑剤等の添加剤等を含
む混合物を、三本ロール、ボールミル、サンドラ
イダー、ニーダー等の混練機を用いて充分に混合
分散して磁性塗料を作り、又、LiF、TiO、バイ
ンダー、溶剤等を混練機で混合分散してバツクコ
ート塗料を作り、これら磁性塗料及びバツクコー
ト塗料をそれぞれフイルターに通し、そしてポリ
エステルフイルム等の支持体のそれぞれの面に塗
布乾燥することによつて作られる。

以下、本発明に係る磁気記録媒体の幾つかの具
体的実施例について説明する。

実施例 １ Co含有γ−Fe₂O₃100重量部、塩化ビニル−酢
酸ビニル−ビニルアルコール共重合体10重量部、
ポリウレタンエラストマー10重量部、レシチン１
重量部、トルエン、メチルエチルケトン及びメチ
ルイソブチルケトンの混合溶剤300重量部、高級
脂肪酸エステル１重量部の混合物を、サンドミル
で約20時間混合分散し、これにポリイソシアネー
ト５重量部を加えて磁性塗料を作り、この磁性塗
料を14.5μｍ厚のポリエステルフイルム等の支持
体の一面に塗布し、乾燥後カレンダー処理する。
そして、これを約60℃で24時間保持し、硬化反応
を行なわしめ、支持体の一面に磁性層を構成す
る。

又、ポリウレタンエラストマー70重量部、ニト
ロセルロース30重量部、パルミチン酸0.5重量
部、トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶剤
300重量部、平均粒径約0.2μｍのLiF50重量部、
平均粒径約0.05μｍのTiO50重量部の混合物を、
ボールミルで約40時間混合分散してバツクコート
塗料を作り、このバツクコート塗料を前記支持体
の他面に例えば１μｍ厚塗布し、乾燥する。

その後、このようにしてできたものを例えば1/
２インチ巾にスリツトして、例えばビデオテープ
レコーダ用の磁気テープを得る。

実施例 ２ 実施例１のバツクコート塗料のTiOの平均粒径
が0.2μｍのものを用いて、実施例１と同様にし
て磁気テープを得る。

実施例 ３ 実施例１のバツクコート塗料に、さらに比表面
積240m²／ｇの導電性カーボン20重部を添加し
て、実施例１と同様にして磁気テープを得る。

比較例 １ 実施例１のバツクコート塗料においてTiOを添
加せず、実施例１と同様にして磁気テープを得
る。

比較例 ２ 実施例１のバツクコート塗料においてLiFを添
加せず、実施例１と同様にして磁気テープを得
る。

比較例 ３ 実施例１のバツクコート塗料中のTiOの代りに
導電性カーボン50重量部を用いて、実施例１と同
様にして磁気テープを得る。

比較例 ４ 実施例１のバツクコート塗料中のLiFの代りに
炭酸カルシウム粉末50重量部を用いて、実施例１
と同様にして磁気テープを得る。

比較例 ５ 実施例１のバツクコート塗料中のTiOの代りに
平均粒径0.2μｍのTiO₂50重量部を用いて、実施
例１と同様にして磁気テープを得る。

比較例 ６ 実施例１において、支持体の他面にはバツクコ
ート塗料を塗布しないで、磁気テープを得る。

上記のようにして得られた磁気テープを記録再
生装置に装着し、200回繰り返し走行後における
磁性層と反対側表面の傷つき具合を観察すると、
本実施例の磁気テープはいずれも傷がなく、耐久
性及び耐摩耗性に富んだものであるのに対し、比
較例１のものでは傷つきがやや有り、比較例２及
び３のものでは傷つきが有り、比較例４及び５の
ものでは傷つきがやや有り、比較例６のものでは
傷つきが多いといつたように、バツクコート層中
にLiF及びTiOの両者を含んでいないものは耐久
性、耐摩耗性に劣るものであつた。

又、帯電防止効果について調べると、磁性層と
反対側の面の電気抵抗（Ω／sq.）は、実施例
１、２及び３のものは1.2×10¹⁰、3.6×10¹⁰、7.5
×10⁹といつたように小さく、帯電防止効果に優
れ、ゴミやホコリの付着しにくく、走行性能に優
れたものであるのに対し、比較例１〜６のものは
1.8×10¹¹、5.0×10¹⁰、4.2×10¹⁰、2.6×10¹⁰、2.6
×10¹¹、８×10¹¹といつたように比較例３及び４
のものを除けば極めて大きく、ゴミやホコリの付
着しやすいものであつて、走行性能に劣るもので
あつた。

又、光センサー等によるテープ端検出機構が正
常に作動するものであるか否かを調べる為に8000
Åの波長の光透過率（％）を測定すると、実施例
１〜３のものは0.16、0.25、0.08、比較例１〜６
のものは1.50、0.17、0.15、0.17、1.30、1.70とい
つたものであり、本実施例の磁気テープではテー
プ端検出機構が誤作動することのないものである
のに対し、比較例１、５及び６のものでは光透過
率が大きく、テープ端検出機構に誤作動が生じる
ものであつた。

その他、ビデオＳ／Ｎ等の電磁変換特性等につ
いても、本実施例の磁気テープは優れたものであ
つた。

上述の如く、本発明に係る磁気記録媒体は、支
持体の一面側に磁性層を、他面側に少なくとも
LiFとTiOとを含む層を設けたものであるので、
磁気記録媒体を繰り返し走行させても傷つきの起
きにくい耐久性、耐摩耗性に優れたものであり、
又帯電防止効果にも優れ、ゴミやホコリの付着し
にくいものであつて、走行性に優れたものであ
り、又、遮光性にも優れているので光センサー等
による末端検出機構に誤作動の起きにくいもので
あり、さらには電磁変換特性も優れている等の特
長を有する。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 支持体の一面側に磁性層を、他面側に少なく
   ともLiFとTiOとを含む層を設けたことを特徴と
   する磁気記録媒体。