JPS6222169Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、靴における踵の滑り止め構造に関す
る。

一般に皮革靴においては、歩行時に足の踵が抜
けないように、製甲体の踵部内面に滑り止め構造
を施すものである。そして従来では、第１図に示
すように、製甲体１の踵滑り止め部に、バツクス
キンまたは床革などからなる滑り止め革２を設
け、これを製甲体１を構成する裏革３に対して接
着または縫合したものである。このような構造で
は、床革などの安価な素材が利用できる利点はあ
るが、この滑り止め用の革を裏革、３に接着また
は縫着する余分な作業が要求され、かつ、製甲体
の部品点数が多くなるという欠点がある。

更にこの種のものは、滑り止め革２と裏革が別
個なもので形成されるため、両者の接続部に段差
が生じ、履用時に異和感が生じ、特に両者の色が
異ることから、製甲体の足入れ部に形成されるト
ツプラインが同一線上になく、段差、色変りによ
る異和感が生じ、商品価値を損うなどの問題点が
ある。

また第２図に示すように、滑り止め革２として
銀付き裏皮の床面を使用した場合には、この銀面
が外側となり、月形芯（図示略）との接着が悪い
ことから、両者間にズレが生じ、形崩れが生じる
し、また図のように、滑り止め革２と裏革３との
縫合線が甲皮表面に筋状にあらわれることから、
靴の美観を損い、商品価値を低下させる欠点があ
る。またこの第２図の構造も、トツプラインが同
一線上になく、段差，色変りによる異和感が生じ
るという問題点がある。

本考案は、このような実情に鑑みなされたもの
で、簡単な而も合理的手段、詳しくは、滑り止め
部を裏革と一体に形成し、この滑り止めに対応す
る裏革の銀面に、バツフイング加工などにより粗
面を一体形成したことにより、従来技術の問題点
を解消せしめ、トツプラインが同一線上にあり、
かつ、色変りによる異和感及び履用時における異
和感のない靴を提供せんとするものである。

第３，４図について本考案実施例の詳細を説明
する。第３図は本考案製甲体の踵部の横断面図、
第４図は裏革の一部展開正面図である。

１１は製甲体Ａを構成する甲革、１２は銀面を
内面にあらわした裏革である。そしてこの裏革１
２には、滑り止め部１２ａが一体に形成されてい
る。この滑り止め部１２ａは図から明らかなよう
に、裏革１２の銀面に、第４図に示すように、バ
ツフイング加工などにより粗面１２ｂを一体に形
成し、靴の履用時における足踵の抜け止め作用を
なすようにしたものである。

本考案は上述のように、滑り止め部を裏革と一
体に形成し、この滑り止め部に対応する裏革の銀
面に、バツフイング加工などによる滑り止め用の
粗面を一体形成したので、従来技術のように、製
靴工程の釣込みによるミシン切れや接着部の剥離
がなく、製靴効率の向上が計れる。

また一枚革であることから、トツプラインが同
一線上にあらわれ、従来のようなトツプラインの
段違い、色変りが生ぜず、加えて滑り止め革と裏
革との縫合がないことから、縫目が甲革表面にあ
らわれることがなく、美観を向上し、商品価値の
向上が計れる特長がある。また部品点数の減少に
より製甲体の裏まとめ加工が簡略化され、生産効
率がよいなど実用上の効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の靴踵挿入部の横断面
図、第３図は本考案の踵挿入部の横断面図、第４
図は裏革の一部の展開正面図である。 Ａ……製甲体、１１……甲革、１２……裏革、
１２ａ……滑り止め部、１２ｂ……粗面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 製甲体に設ける足踵の滑り止め部を、製甲体を
   構成する裏革と一体に形成し、該滑り止め部に対
   応する裏革の銀面に、バツフイング加工などによ
   り粗面を一体形成したことを特徴とする靴におけ
   る踵の滑り止め構造。