JPS6221757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は粘性があり固着する成分を含むスラ
リーを移送する立形の水中ポンプの羽根車側板と
その上方に位置するポンプケーシングの形状に関
するものである。

第１図は従来のセミオープンの羽根車を備えた
立形ポンプの一部を示す断面図であつて羽根車１
の側板２とポンプケーシング３の側板２と相対す
る部分は夫々水平になつており、羽根裏とポンプ
ケーシング３の隙間はポンプ作用を生ぜしめてポ
ンプ主軸軸封装置にかゝる流体圧を軽減するため
狭くなつている。

ポンプ使用後、羽根裏とポンプケーシング３間
に入り込んだスラリーはポンプを水中より引上げ
て気中に放置させておくと、乾燥し羽根車側板２
とポンプケーシング３を固着させる。再運転時、
小出力の小形水中ポンプの電動機では起動ができ
ず電動機焼損の原因となつていた。裏羽根を備え
た場合においても、裏羽根上端面とポンプケーシ
ング間の隙間が小さいため同様にスラリーにより
固着し易い傾向にある。

この考案は以上の問題点に鑑みてなされたもの
であつて羽根車側板とポンプケーシングの固着し
ない羽根車を有する立形水中ポンプを提供するこ
とを目的とするものである。

この考案は羽根車がポンプ停止状態において気
中へ引上げられた場合に羽根裏に入つたスラリー
を下方へ流れ落ちる様に羽根車側板を傘状の傾斜
面としたものである。

以下図面に従つてこの考案の実施例について説
明する。第２図は立形水中ポンプのポンプ部分を
ポンプ主軸を含む縦断面図で示す側面図である。

電動機４の下端の図示されない軸封装置により
電動機４側への流体の浸入を阻止されて下方に突
出するポンプ主軸５は電動機４の附勢により回転
するようになつている。ポンプ主軸５端には羽根
車１がキー（図示されない）を介して回転に剛に
嵌入され、ポンプ主軸５の軸端おねじに羽根車ナ
ツト６をねじ込んで軸方向脱出を止められてい
る。

羽根車１を収容したポンプケーシング３はボル
ト７より電動機４のフレームに固定されており、
その間は図示されない密封輪により電動機４側の
水密が保たれている。

ポンプケーシング３には吸入口を備えた吸込カ
バー８がパッキン９を介してポンプケーシング３
下面に当接し、吸込カバー８上にストレーナ１１
が重ねられ、それらを貫通するボルト孔を挿通し
て植込ボルト１２がポンプケーシング３に植設せ
られ、蝶ナツト１３を植込ボルト１２にねじ込
み、吸込カバー８、ストレーナ１１が取付取外し
可能に固定されている。

側板２の断面形状の上面は羽根車ボス側が高く
外周が低くなるように傘状に傾斜しており、この
実施例においては円錐形をなしている。この傾斜
はポンプを水中より引上げた際に側板２上のスラ
リーが外周へ流下する角度となつている。側板２
と相対するポンプケーシング３の内壁面までは羽
根車１が回転するとき側板２とポンプケーシング
３間でポンプ作用により羽根車１の外周に生じた
流体圧がその間において減圧されるように隙間が
選ばれており、側板２に相対するポンプケーシン
グ３の下端面が側板２に平行しており、円錐形凹
面をなしている。

側板２の円錐頂角は従つてスラリーが流下する
際スラリーの粘性、表面張力によつてはポンプケ
ーシング３と接して流下する場合もありスラリー
の性状により羽根裏隙間と共に該円錐頂角は選ば
れる。

この側板２の上面の形状は断面上部が傾斜して
直線であるがこれは又羽根車１のボス側より折線
あるいは外周に向つて次第に下つてくる曲線によ
る回転面としてもよく、ポンプケーシング３の相
対する面と平行させてもよい。

電動機４を附勢すると羽根車１は回転しストレ
ーナ１１、吸込カバー８を通つて流体は吸込まれ
昇圧され吐出される。羽根車１により昇圧された
流体圧は羽根裏隙間より電動機側ポンプ主軸５の
軸封装置へ加わるが羽根裏ポンプ作用により減圧
される。これらの作用はわずかに羽根裏隙間の長
さが増加するとしても通常のポンプと同様であ
る。

ポンプを停止して水中より空気中に引上げる
と、羽根裏と羽根車１のボス部上部空間にあるス
ラリーは重力により側板２の上面を流下して殆ん
ど残らない。従つてポンプを長時間気中に放置し
ても側板２とポンプケーシング３が固着するとい
うことがない。

第３図は羽根車側板に裏羽根を備えた他の実施
例である。図面は第２図と同様に示されている。
羽根車１の側板２′には羽根車１のボスを中心に
放射状突条形の裏羽根２ａが設けられている裏羽
根２ａとポンプケーシング３間は隙間少くなつて
おり、裏羽根２ａの頂部は羽根車１のボスより外
周に向つて傾斜が与えられている。裏羽根２ａの
基部即ち裏羽根２ａ間の谷部は頂部と平行である
が、これは又谷部は平行に限られるものではな
く、あいは又裏羽根２ａは前記実施例の側板上面
形と同様に曲線、折線に形成することもできる。

この実施例の作用は羽根車１の回転時裏羽根２
ａによりポンプ作用を行ない羽根車１のボス上空
間は減圧される。ポンプを停止して水中より空気
中に引上げると、側板２′及び羽根車１のボス上
方の空間のスラリーは裏羽根２ａの頂部、谷部を
とおり外周に流れ出て殆んど残らない。

第４図は更に他の実施例の断面図である。羽根
車１の側板２″は通常のセミオープン羽根車と同
じく上面水平である。上面が水平な側板２″に当
接して羽根車１の上部ボスに嵌入するリング１４
が圧入され固定されている。ポンプケーシング３
の側板２″に相対する面は円形座面が削成され、
リング１５が圧入され固定されている。リング１
４の上面は円錐形をなしており、リング１５の下
面は円錐形凹面をなしていて隙間少く相対してい
る。

この実施例の作用は第１の実施例と同じであ
る。

以上のとおり、この考案の羽根車の側板形状に
よれば出力小さい電動機を備える立形水中ポンプ
は起動トルクも小さいので乾燥するとかたく固着
するスラリーの移送に使用するには不向きであつ
たが、空気中放置してもスラリーは羽根車側板上
に殆んど残らないので固着を生じないし、又羽根
車側板とポンプケーシングの隙間もせまくできる
のでスラリー中の固形物の侵入の防止、ポンプ作
用の増大によりポンプ主軸の軸封装置、就中メカ
ニカルシールの保護という点からも有効なものと
なる。

第３図の実施例に示すように裏羽根付の場合に
も実施でき、又第３の実施例では羽根車、ポンプ
ケーシングにテーパ加工を要しないほか羽根裏と
対面間に別材料を使用できる便がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の縦断面図、第２図はこの考案
の実施例の一部断面図で示す側面図、第３図は他
の実施例を示す断面図、第４図は更に他の実施例
を示す断面図である。 １……羽根車、２，２′……側板、３……ポン
プケーシング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 立形水中ポンプにおいて、羽根車側板上方の
   ポンプケーシングのポンプ主軸側より羽根車側
   板外周上方側に向つて下る回転曲面と隙間をお
   いて羽根車側板上面を羽根車上部ボス部より羽
   根車外周に向つて下る傘状の傾斜面となし、ポ
   ンプを引上時羽根車側板上よりスラリーが流失
   することを特徴とするポンプ。 ２ 羽根車の羽根裏に裏羽根を備えた実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のポンプ。