JPH051678Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、スラリー用自吸式遠心ポンプに関す
る。

一般に遠心ポンプのケーシングでは、ボリユー
ト部の面積がその出発点から次第に大きくなり、
ちようど一周した所で最大となるが、渦巻の出発
点と吐出ノズル部を分ける壁がボリユートの巻始
めまたは水切りと呼ばれる。このボリユート形吐
出ケーシングの水切りの先端をできるだけ羽根車
の外周に近接させると、高揚程の遠心ポンプの性
能の改善を図ることができ、これが自吸ポンプの
必須要件であることは良く知られている。

一方、羽根数が少なく、かつ羽根幅が広く設計
されたスラリー用遠心ポンプは自吸式遠心ポンプ
を構成し、呼び水を行なつている間吐出ノズルと
ボリユート形吐出ケーシングにある羽根車内で液
体が再循環させて、ボリユート形吐出ケーシング
内にリング状のシール液を形成し、吸込管に液体
が流れ込むように真空をつくり出すことができ
る。しかしながら、液体が吐出ケーシング部分か
ら吐出ノズルへ上昇する際に旋回しながら上昇す
るため、その中心に空気の入つた部分が生じ、呼
び水を行なつている間この空気も吐出ノズルから
吐出ケーシング内へ再循環されて元に戻つてしま
い、羽根車の吸込部から空気を完全に取り除くに
はかなりの時間を要した。

本考案の目的は、ボリユート形吐出ケーシング
の水切りを羽根数の少ない羽根車の外周にできる
だけ近づけて高揚程のポンプ性能を維持すると共
に、呼び水を行なつている間液体から空気を迅速
に分離することができるスラリー用自吸式遠心ポ
ンプを提供することである。

上記の目的を達成するには、本考案によりボリ
ユート形吐出ケーシングの水切りの先端を羽根車
の羽根外周にできるだけ近接させて配置すると共
に、ボリユート形吐出ケーシングの吐出ノズル内
を羽根車軸線に垂直な平面に沿つて下端の水切り
から上方へ延びるリブを設ければ良い。

本考案では、羽根数が少なくかつ羽根幅の広い
自吸式遠心ポンプで、ボリユート形吐出ケーシン
グの水切りの位置を羽根車外周に近づけることに
より高揚程のポンプ性能を図ると共に、同時にボ
リユート形ケーシングの吐出ノズル内を下端の水
切りから上方へ延びるリブを設けることにより、
呼び水を行なつている間旋回しながら上昇して来
る空気を含んだ液体を粉砕して液体からの空気の
分離を促進するので自吸能力の高い自吸式遠心ポ
ンプが得られる。

以下、本考案の実施例について図面により詳細
に説明する。

第１図と第２図に、羽根数が少なくて、羽根幅
の広いスラリー用自吸式ポンプの例として一枚羽
根形遠心ポンプを示す。

この一枚羽根形遠心ポンプのケーシング１１
は、吸込口１２から吐出側に向かつて末広がりに
形成された円錐状内周面を有するポンプケーシン
グ部分１３と、遠心力により流体を吐出するため
のボリユート形吐出ケーシング部分１４とからな
る。吐出ケーシング部分は吐出ノズル１５を有す
る。ポンプケーシング部分１３の円錐状内周面の
母線は、この実施例のような直線でも、または曲
線でも差し支えない。

このケーシング１１内に突出する回転軸１６に
一枚羽根形羽根車１７が固定されている。この羽
根車１７は、円錐状ハブ１８と、この円錐状ハブ
１８の外周面をねじ状に延びた後さらに円錐状ハ
ブの頂点を越えてねじ状にポンプ入口近くまで延
びている一枚の羽根１９とからなる。ねじ羽根１
９の外縁により形成される回転面がポンプケーシ
ング部分１３の円錐状内周面にわずかな間〓をも
つて位置するように円錐状ねじ羽根が形成されて
いる。

第１図から分かるように、羽根車１７の円錐状
ハブ１８の外周には放射状に延びる多数の攪拌羽
根２０が設けられており、これらの攪拌羽根２０
により、ポンプ運転中羽根車の中央付近に集まる
傾向のある空気を攪拌して微細な気泡にし、液体
と共に迅速に吐出することができる。

さらにボリユート形吐出ケーシング部分１１に
は、第１図と第２図から良く分かるように、渦巻
の出発点と吐出ノズル部とを分ける壁、すなわち
水切り２１の先端が羽根車１７の外周にできるだ
け近接して配置されている。羽根数が一枚のた
め、この配置により高揚程のポンプの性能を改善
できる。なお、２２はブラケツト２３に取りつけ
られた軸封装置を示す。

さらに本考案により、ボリユート形吐出ケーシ
ング１４の吐出ノズル１５内を羽根車１７の軸線
に垂直な平面に沿つて下端の水切り２１から上端
開口まで延びるリブ２４が設けられている。

第４図〜第６図は、四枚の少ない羽根を有しか
つ羽根幅の広い羽根車を有するスラリー用自吸式
遠心ポンプの他の例を示す。

この自吸式遠心ポンプのボリユート形吐出ケー
シング３１は、吸込口３２と、吐出ノズル３３と
を有する。駆動側から突出する軸３４には羽根車
３５が固定され、この羽根車は、吸込口３２に面
する側に中心から外周へ若干のテーパーがついた
円板３６と、この円板のテーパー面に設けられた
四枚の羽根３７とからなる。

ボリユート形吐出ケーシング３１には、前の実
施例と同様に水切り３８の先端が羽根車３５の外
周にできるだけ近接して配置されている。さらに
本考案により、ボリユート形吐出ケーシング３１
の吐出ノズル３３内を羽根車３５の軸線に垂直な
平面に沿つて下端の水切り３８から上端開口まで
延びるリブ３９が設けられている。なお、４０は
ブラケツト４１に取りつけられた軸封装置であ
る。

次に、自吸式遠心ポンプの呼び水の作用を第１
図と第２図に示した一枚羽根形遠心ポンプについ
て簡単に説明する。液体が満たされたケーシング
内で羽根車１７を回転させると、截頭円錐形ポン
プケーシング部分１３内をねじ羽根１９が容積形
のポンプ作用により液体を圧送し、ボリユート形
吐出ケーシング部分１４内では液体が遠心力によ
り回転するが、その際液体が上昇して吐出ノズル
１５にいつたん入るが、羽根幅が広いので大部分
が吐出ノズル１５から羽根車１７内へ再循環され
る。これが繰り返されてボリユート形吐出ケーシ
ング部分１４内に液体リングが形成されるが、吸
込管から入つた空気はボリユート形吐出ケーシン
グ部分１４内を回転する液体の中に含まれてお
り、この空気を含んだ液体がボリユート形吐出ケ
ーシング部分１４内を上昇して吐出ノズル１５の
中へ旋回しながら入るので、吐出ノズル１５内を
上方へ延びるリブ２４により粉砕されて空気が液
体からばらばらに分離される。分離された空気は
吐出ノズル１５内を上昇して排出される。このよ
うにして、ボリユート形吐出ケーシング部分１４
内にリング状の液体シールが形成され、吸込管に
液体が流れ込むように真空がつくり出される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるスラリー用自吸式遠心ポ
ンプの一例として示した一枚羽根形遠心ポンプの
縦断面図、第２図は第１図の線−に沿つて切
断した横断面図、第３図は第２図の矢印の方向
より見た部分平面図、第４図は本考案による自吸
式遠心ポンプの他の例として示した縦断面図、第
５図は第４図の線−に沿つて切断した横断面
図、第６図は第５図の矢印の方向より見た部分
平面図である。 １４，３１……ボリユート形吐出ケーシング、
１５，３３……吐出ノズル、１７，３５……羽根
車、２１，３８……水切り、２４，３９……リ
ブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボリユート形吐出ケーシングと、このボリユト
   ート形吐出ケーシング内に回転可能に配置され
   た、羽根数が少なくかつ羽根幅の広い羽根車とを
   備えたスラリー用自吸式遠心ポンプにおいて、ボ
   リユート形吐出ケーシングの水切りの先端を羽根
   車の羽根外周にできるだけ近接させて配置すると
   共に、ボリユート形吐出ケーシングの吐出ノズル
   内を羽根車軸線に垂直な平面に沿つて下端の水切
   りから上方へ延びるリブを設けたことを特徴とす
   るスラリー用自吸式遠心ポンプ。