JPS6219842B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は爪先部および底面部を補強した射出成
形靴の製造法に関するものである。

従来、鉱山保安靴などの様に靴の爪先部に足指
を保護するためにスチール製若しくは硬質材料か
ら成る爪先部を装着することが行なわれていた。
また足裏部を保護するためにスチール製の中底を
装着することも行なわれてはいたが、何れの場合
も爪先と中底とが別個のものであつた。爪先と中
底とが一体化された保護具も提案されたことはあ
るが、その材料が硬質のものであることを必要と
するため製作が仲々困難であり、また足裏部の中
底に屈曲性が無いという欠点があつた。また靴本
体の材料に合成樹脂などを用いて射出成型する靴
に硬質材料製の保護用爪先部を装着する特定され
た方法についての提案がなされてはいるが、その
場合には足裏部に対する保護の点に関しては未だ
配慮されていない欠点が残されているのが現状で
ある。

本発明は従来法における欠点を解消し、靴本体
の爪先部にセイフテイ・トウを装着するだけでは
なく、更に靴本体の底面部に足裏保護のための中
底をも具えた射出成形靴を比較的簡単な大量生産
方式で製造する方法を開発したものである。

以下、図面によつて本発明方法を詳述する。

第１図は本発明方法によつて得られた射出成形
靴の構造を説明する断面図、第２図は本発明に使
用する保護体の一部切断拡大断面図である。

本発明方法を実施する場合の実際手順を実施例
によつて示すと、爪先部と中底部とを有する保護
体と同一形状から出来ている保護体用金型に結合
剤〔例えば、大日本色材工業(株)のエポキシ樹脂、
商品名“プリエポーPE−10”〕および硬化剤（例
えば、商品名“PH−301”）の混合溶液（混合比
＝１：0.4）を塗布し、その上にガラスクロス
（例えばJIS R3416 EPF42処理ガラスクロス）を
積層し、更にその上に上記混合溶液をガラスクロ
ス中へ浸透させ、金型の上に塗布した混合溶液と
結合する様に充分塗布する。次いで必要に応じ上
記の操作を繰返えしてガラスクロスを更に積層
し、その上に再度混合溶液を充分浸透させる様に
塗布する。次に120℃で10分間加熱して混合溶液
を硬化させると共にガラスクロスから成る保護芯
材に被膜層を形成させ保護体を成形させる。

この保護体はガラスクロスと被覆材との積層回
数を変えることによつて靴の種類、外底の模様、
材質に適合したものを得ることが出来る。例えば
長靴タイプの場合には２層に、また短靴で爪先部
を靴材料で被覆しない場合は爪先部を３〜４層と
し中底部を２層とする。

またガラスクロスの織り方、織密度、番手など
の種類も使用目的によつて自由に選択出来るもの
である。更にガラスクロスと金網という様な異種
材料の組合わせも可能である。

保護芯材を被覆する被覆材も剛性だけを要求す
るか、可撓性をも持たせるかによつて熱硬化性樹
脂またはゴムを選択使用することが出来ることは
勿論である。

さて靴を製造するに当つて、内金型に裏布１０
を被ぶせて吊り込み該裏布１０の爪先側に先に準
備した保護体４の爪先部６の内面６ａで裏布１０
の爪先側を覆う如く嵌め込み固定し、続いて中底
部７の内面７ａを裏布１０の底面に貼着固定した
後、以下常法に従い外金型および底金型を内金型
に対して夫々所定位置に固定し、内外金型間の間
隙部にゴムまたは塩化ビニルなどの合成樹脂材料
から成る靴本体材料を射出して胛被部２および底
部３を成形させて靴本体１を形成させる。

以上の様にして製造した靴は爪先側にセイフテ
イ・トウを有しており、且つ底面部に補強中底を
有しているので、以下に説明する如き多くの利点
を有している。

即ち、爪先側は第１〜２図に示した様に靴本体
１の胛被部２と裏布１０との間に保護体４の爪先
部６があり、該保護体４の保護芯材５との間に被
膜層８が設けられているので履用者の足の指先部
が直接保護芯材５に触れることがないので爪先側
の保護を充分に行なうことが出来る。

一方、底面部は第１〜２図に示した様に裏布１
０と靴本体１の底部３との間に保護体４の中底部
７が存在しており該保護体４の保護芯材５の両面
に被膜層８と９とが配設されているので路面に尖
状物が存在している場合でも被膜層９および保護
芯材５によつて靴内部まで侵入して来ることを防
止出来る。

保護体４と裏布１０或いは靴本体１と保護体４
との接着を高めるために保護体４の貼着される裏
布１０の所定個所或いは保護体４の一部若しくは
全面に予め接着剤を塗布しておいもよい。

また保護体４の被膜層８の材料として全面また
は爪先部若しくは中底部のみに130〜200℃で発泡
する様に発泡剤の添加量を調節した未だ発泡させ
る前の未発泡材を爪先部６の内面６ａのみ、また
は中底部７の内面７ａのみ、若しくは内面６ａお
よび７ａの両者に厚さ約１mm程度に塗布するか、
または貼着しておくこと該未発泡材が靴本体材料
を射出する際の温度によつて発泡し、発泡層が内
面６ａ，７ａに設けられるのでクツシヨンの役目
を果たし得ることとなり足の指先側および足の裏
面の保護を更に効果的に発揮できる。

また保護体４の中底部７において、該中底部の
爪先側から不踏部にかけて足裏の屈曲に合わせて
中底部の長さ方向に対してほぼ直角に中底部の内
側から外側に稍々放射状に窪み溝を中底部７の内
面７ａ若しくは外面７ｂの何れかの面に多数設け
ることによつて底部の屈曲も軽く、容易となり歩
行し易くなる利点を有している。

なお本発明法は長靴の場合に限定されるもので
はなく、短靴の場合にも応用可能なことは勿論で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に成る射出成型靴の構造を説明
する断面図、第２図は本発明に使用する保護体の
一部切断拡大断面図である。 図中、１……靴本体、２……胛被部、３……底
部、４……保護体、５……保護芯材、６……爪先
部、６ａ……内面、７……中底部、７ａ……内
面、７ｂ……外面、８……被膜層、９……被膜
層、１０……裏布。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ガラスクロスより成る保護芯材に熱硬化性樹
   脂材若しくは熱硬化性ゴム材を含浸乾燥させて保
   護芯材の両面に合成樹脂若しくはゴムを被覆積層
   せしめた材料で爪先部と中底部とを一体に形成さ
   せた保護体を、裏布を内金型に被ぶせて吊り込ん
   だ内金型の爪先側に保護体の爪先部の内面で覆う
   如くに嵌め込み、続いて中底部の内面を内金型の
   底面部に夫々貼着させた後、以後常法に従い外金
   型で覆い内金型と外金型との間隙部に合成樹脂若
   しくはゴムを用いて靴の胛被部および底部などの
   靴本体を射出成形することによつて爪先側および
   底面側に保護体を具備した射出成形靴の製造法。 ２ 保護体内面の一部ないし全面に130〜200℃で
   発泡する未発泡材料を塗布若しくは貼着した保護
   体を使用する特許請求の範囲第１項記載の射出成
   形靴の製造法。 ３ 保護体の中底部の爪先側から不踏部にかけて
   足裏の屈曲に合わせて中底部の長さ方向に対して
   大略直角方向に中底部の内側から外側に放射状に
   窪み溝を多数設けた保護体を用いる特許請求の範
   囲第１項または第２項記載の射出成形靴の製造
   法。