JPS6219151B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、たばこ刻みの一部に代えて用いるい
わゆるたばこ代替物である喫煙用組成物の製造方
法に関し、香喫味と物性の改善された喫煙素材を
提供するものである。 近年喫煙と健康の問題に社会的関心が高まるに
つれて、喫煙者は、どちらかというと喫味の軽い
たばこ製品を好むようになつてきた。また、喫煙
者だけでなく、非喫煙者においても、たばこの煙
を嫌う傾向もある。 たばこの燃焼によつて生じる煙は、喫煙者へ吸
引される主流煙と、たばこから立ちのぼる副流煙
からなる。 したがつて、喫味の軽いたばこで、かつ非喫煙
者への影響の少ないたばことするためには、この
主流煙と副流煙の両煙中の煙成分を低減させるこ
とが必要である。 〔従来技術〕 たばこの主流煙と副流煙を低減させるため様々
な提案がなされているが、そのうちの１つにたば
こ代替物がある。例えばドロマイト、珪藻土、炭
素等の無機充填剤に、カルボキシメチルセルロー
ス等の結合剤、着色剤、保湿剤、香料、等を適宜
配合して、シート状に成形した無機成分を主体と
する喫煙用組成物（特開昭47−3743号、特開昭48
−91299号公報）がある。 しかし、耐水性が弱く、さらに、たばこ刻に大
量に配合すると異味異臭を伴う欠点がある。 〔発明が解決しようとする問題点〕 喫煙用組成物は通常のたばこ製造工程と同一の
工程において、裁刻、加湿、香料添加等の処理が
加えられ、たばこ刻の一部を代替したかたちで製
品たばことなる。従つつて、裁刻時おいては刻み
の形態を維持し、かつくずの生出を少なくするた
めに必要な強度と、加水等の処理時においても、
その形態を維持し、溶解しない耐水性が必要とさ
れる。耐水性を持たせるためには、難水性の結合
剤、たとえばペクチン等を使用すればよいが、結
合剤の多使用は、喫煙用組成物の香喫味悪化を招
く問題があつた。 本発明は耐水性、香喫味の良い喫煙組成物の製
造を目的としたものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは無機成分を主体とする喫煙用組成
物の物性の改善には、柑橘果皮と助剤の併用がよ
いことを見い出し、本発明をなすに至つた。 すなわち、無機充填剤60〜80重量％、結合剤８
〜20重量％、柑橘果皮10〜30重量％、助剤0.5〜
３重量％とを水で混合した後、乾燥することによ
り、物性、香喫味の改善された喫煙用組成物を得
ることができる。 本発明で利用できる柑橘果皮、無機充填剤、結
合剤、及び助剤としては、下記に記載する物質が
例示できる。 喫煙原料のひとつである柑橘果皮の品種は特に
限定されるものでなく、スイートオレンジ系、ミ
カン・タンゴール・タンゼロ系、グレープフルー
ツ系、レモン系などの柑橘類のほか、夏みかん、
八朔、ライム、サワーオレンジ、ベルガモツト、
シトロンなどの雑柑系の果皮が利用できる。果皮
は、フラベド、アルベド、じようの膜、砂のうの
部分に分けて、その一種または二種以上を選択し
て利用することもできる。また柑橘ジユース製造
工場で生果をインライン搾汁機などでジユースを
搾汁した残渣に石灰を添加後、再圧搾してモラツ
セスを採つた残渣でもよく、果皮は風乾または乾
燥機で乾燥後、望ましくは粉砕して100メツシユ
通過の粉末として利用することとが好ましい。 他の喫煙原料のひとつである無機充填剤として
は、無機化合物または、天然鉱物が利用できる
が、たばこ燃焼時に有害物質を生成しない無機充
填剤が好ましく、場合によつては予かじめ数百度
で加熱処理してから利用してもよい。具体的に
は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、
鉄、チタン等の金属群から選択される酸化物、水
酸化物、炭酸塩等の無機化合物、ならびに石灰
石、方解石、大理石、氷晶石、真珠岩（パーライ
ト）、黒曜岩、珪藻土、珪砂等の天然鉱物が利用
できる。これらの無機化合物または天然鉱石は、
望ましくは粉砕して100メツシユ通過の粉末とし
て使用することが好ましい。 さらにもうひとつの喫煙原料となる結合剤とし
ては、カルボキシメチルセルロース、メチルセル
ロース等のセルロース誘導体やローカストビーン
ガム、アラビアガム等のガム類などが利用でき
る。 助剤としては、例えばリン酸、クエン酸、リン
ゴ酸、ヘキサメタリン酸、乳酸等から選択される
一種または二種以上の鉱酸または有機酸や、これ
らとナトリウム、カリウム、アンモニウム等から
なるリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリ
ウム、リン酸カリウム等の塩類などの他、アンモ
ニア水が利用できる。 上記以外に、着色剤、保湿剤、香料等を必要に
より利用してもよい。着色剤としては、カラメル
や色素、保湿剤としては、グリセリンやプロピレ
ングリコール等の多価アルコールまたはソルビト
ールやマルチトール等の糖アルコール、香料とし
ては糖類や果実エスキ等があげられる。 保湿剤を添加する場合、この配合割合は３〜10
重量％程度である。なお、柑橘果皮と無機充填剤
の配合割合は、柑橘果皮の配合割合が増加すれ
ば、可燃物の割合が増加し、煙中タール等の低減
率が悪くなるので、柑橘果皮の配合割合としては
15重量％程度、無機充填剤の配合割合としては70
重量％程度が望ましい。 次に製造方法を示す。 先ず、喫煙原料の合計量の３〜６倍の水を容器
に入れ、これに助剤と必要により保湿剤、香料等
を加えてかきまぜる。次いで、これに所定の割合
に配合された柑橘果皮、無機充填剤、結合剤から
なる喫煙原料を投入する。次いで、これを一定時
間撹拌混合してスラリー状物とする。 このスラリー状物にするための混合時間は、結
合剤が溶解されるまでの時間で充分で、通常10〜
60分を要し、高速のホモジナイザー等を使用すれ
ば、15分程度でも充分スラリー状物を形成でき
る。 この混合の間、結合剤が溶解されるだけでな
く、柑橘果皮中の水溶性物質の溶出も行なわれ、
その結果スラリー状物は、均質で粘性の高いもの
となる。 スラリー状物を乾燥する方法は、公知技術によ
り行うことができる。例えば、２〜３本のロール
を用いて、そのうちの１本のロールにスラリー状
物をのせ、他の１本のロールで所定の厚さにかき
とつたのち、ドクターナイフまたは３本めのロー
ルにより、スラリー状物をエンドレスベルト上に
転移させ、乾燥機で100〜150℃の熱風でほぼ絶乾
になるまで乾燥後、調湿し、ドクターナイフを用
いてエンドレスベルト上から剥離して、シート状
物を得るいわゆるスラリー方式のシート成形機で
喫煙用シート状組成物を製造することができる。 〔実施例 １〕 柑橘果皮として温州みかん搾汁残渣の乾燥粉
末、無機充填剤として炭酸カルシウムとパーライ
ト（各々100メツシユ通過の粉末）、結合剤として
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、助剤
としてリン酸３ナトリウムとアンモニア水、及び
保湿剤としてグリセリンを、表―１の原料配合割
合（重量）で用いた。なお、本発明品と比較する
ため、従来技術による喫煙用組成物を従来品とし
て、表―１の原料配合割合（重量）で用いた。 これら原料と原料合計量の4.5倍量の水とを混
合した後

【表】 高速ホモジナイザーにより、13分間混合処理し
て、スラリー状物を形成した。なお、従来品も本
発明品と同様にして、スラリー状物を形成した。 上記で形成したスラリー状物（無加温）を、ロ
ール型成形装置、エンドレスベルト、トンネル型
熱風乾燥装置、調湿装置、剥離装置などを具備し
た、スラリー方式シート成形機を用いて、シート
状に成形、乾燥（140℃）、調湿、剥離して、本発
明品及び従来品の喫煙用シート状組成物を得た。 前述の方法により製造した喫煙用組成物を、調
和室（22℃、60％R.H.）に一週間蔵置して調和
した後、引張破断応力と、膨潤性を測定した。 シートの強度の代表として求めた、引張破断応
力（ｇ／mm²）は、引張破断強度（ｇ／mm）を厚さ
（mm）で除した値である。引張破断強度は、シー
ト幅10mm、シート長70mmの短冊状シートの70mmの
方向の両端を10mmづつ固定し、10mm／分の一定速
度で本シート片を引つぱつたとき、シートを破断
するのに要した力（ｇ）をロードセンサーにより
測定して求めた。一方厚さは、測定圧550±50
ｇ／cm²で、ダイヤルゲージにより測定して求め
た。この引張破断応力は、通常のたばこ製造工程
と同一の工程に適応するためには、1.5ｇ／mm²以
上必要である（くりかえし10回測定）。 潤滑性は、直径25mmの円形シートを温度25℃の
水槽に５分間浸漬したのちの直径Ｘmmを測定し、
次式により算出した。値が小さい程膨潤せず、即
ち水に溶けないので、耐水性がある。膨潤性は、
通常のたばこ製造工程と同一の工程に適応するた
めには、20％以内であることが必要である（くり
かえし５回測定）。 膨潤性（％） ＝100・（Ｘ−25）／25＝４・（Ｘ−25） 物理的性質の測定結果の平均値を表―２に示し
た。

〔実施例 ２〕

本発明喫煙用組成物を、たばこ用裁刻機で刻幅
0.8mmに裁刻し、「キヤスター」（商品名、日本専
売公社製）用刻上品の40％と代替して混入し、巻
上機により巻長70mm、巻周25mmに巻き上げた。ま
たこのとき従来品40％混入巻きおよび「キヤスタ
ー」用刻上品100％の巻きも同様に巻き上げた。
各巻上品は調和室（22℃，60％R.H.）に一週間
蔵置して調和したのち、１本当りの巻重量830±
40mg、巻きの通気抵抗55±10mmH₂Oのものを各10
本選別し、煙成分を測定した。 煙成分は、副流煙を捕集可能な密閉チヤンバー
内で、定量型自動喫煙器により、標準喫煙条件下
で燃焼させ、粗タールをケンブリツジフイルター
に捕集し、タール（mg／本）とニコチン（mg／
本）は、このケンブリツジフイルターを、イソブ
ロパノールの入つた血清びんに入れ溶解させ、タ
ールの場合はエタノールを、ニコチンの場合はノ
ルマルヘキサデカンをそれぞれ内部標準として用
いて、ガスクロマトグラフイーにより測定した。 煙成分の測定結果を表―３に示した。 表―３より、本発明品入りの巻のニコチン、タ
ール量は、従来品と比べて、ほとんど変わりがな
いことがわかる。

〔実施例 ３〕

喫味評価用のサンプルは、本発明品と従来品の
喫煙用シート状組成物を、煙成分測定用と同様
に、たばこ用裁刻機で刻幅0.8mmに裁刻し、「キヤ
スター」用刻上品の40％を代替して混入し、巻上
機により巻長70mm、巻周25mmに巻き上げた。また
このとき、コントロールとして「キヤスター」用
刻上品100％の巻きも同様に巻き上げた。これら
の巻きは、巻長60mmに切断し、「キヤスター」用
のフイルターを装着し、調和室（22℃，60％R.
H.）に一昼夜以上調和して、調整した。 喫味評価は、特別に訓練された専門パネル20名
による官能検査により２点比較法により行なつ
た。表―４には、その結果と喫味コメントを示し
た。

【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 無機充填剤、結合剤、柑橘果皮および助剤と
   を水と混合し、成形、乾燥することを特徴とする
   喫煙用組成物の製造方法。