JPS62184110A - 新規なポリエチレンフイラメント - Google Patents

新規なポリエチレンフイラメント

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JPS62184110A
JPS62184110A JP2486786A JP2486786A JPS62184110A JP S62184110 A JPS62184110 A JP S62184110A JP 2486786 A JP2486786 A JP 2486786A JP 2486786 A JP2486786 A JP 2486786A JP S62184110 A JPS62184110 A JP S62184110A
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JP
Japan
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filament
polyethylene
yarn
tensile strength
layer
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Application number
JP2486786A
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English (en)
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Yutaka Nishikawa
西河 裕
Takehiko Mitsuyoshi
三吉 威彦
Hidehiro Okamoto
岡本 秀宏
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、極性高分子マトリックス材料に対する高接着
強度を有するポリエチレンフィラメントに関するもので
ある。
(従来の技術) 従来から極性高分子マトリックス材料中に、例えばフィ
ラメント形態の強化材料を埋込むことにより複合強化材
料が製造できることはよく知られている。この強化材料
としてはグラスファイバーなどの無機繊維、炭素繊維、
アラミド繊維等が知られているが、これら上記の繊維は
その比重が高いため、複合強化材料の重量が大きくなり
すぎるという欠点がある。この欠点を解消する方法とし
て比重の低いポリエチレンフィラメントを用いる方法が
考えられる。しかし一般のポリエチレンフィラメントは
引張強度が低いため極性高分子マトリックス材料に対す
る強化材料としての補強効果が小さい。それ故、ポリエ
チレンフィラメントを強化材料として用いるためには高
い引張強度が必要である。
このような高い引張強度を有するポリエチレンフィラメ
ントを製造する方法として、高分子量ポリエチレンの溶
液を紡糸し、冷却して得たゲル状のフィラメントを高倍
率に熱延伸する方法が特開昭55−107506号公報
、特開昭58−5228号公報等に開示されている。し
かしながら上記の方法で得られるポリエチレンフィラメ
ントは高い引張強度を有してはいるが、通常のポリエチ
レンフィラメントと同様に極性高分子マトリックス材料
に対する接着性が著しく低いため複合強化材料として用
いた場合、低荷重で接着破壊すなわちマトリックス材料
と強化材料の剥離が起こりフィラメント自身の持つ高い
引張強度を活しきれない。
このポリエチレンフィラメントの極性高分子マトリック
ス材料に対する著しく低い接着性を改善する方法として
ポリエチレンフィラメントをコロナ放電処理に付する方
法が特開昭60−146078号公報に開示されている
しかしながらこの方法では処理中にフィラメントが高温
となるため結晶の部分融解が起こりフィラメントの引張
強度が低下する。また、コロナ放電ではポリエチレン表
面に官能基を形成させるにはエネルギーが低いため高密
度に官能基を形成させることは困難である。さらにコロ
ナ放電処理では電極に向いた面のみしか処理されないた
めむらなく処理することは困難である。このためこの方
法で得られたポリエチレンフィラメントは極性高分子マ
トリックス材料に対する接着性がある程度改善されるも
のの実用上問題なく使用できるほどには十分な接着強度
を得ることはできない。また、フィラメント自体の引張
強度が低下するため極性高分子マトリックス材料に対す
る強化材料としての補強効果が小さくなる。それ故、当
業界では極性高分子マトリックス材料に対して高接着強
度を有するポリエチレンフィラメントを得ることは困難
であると考えられてきた。
(本発明が解決しようとする問題点) 本発明は極性高分子マトリックス材料に対する強化材料
として利用できるような高い接着強度を有するポリエチ
レンフィラメントを提供することにある。
(問題を解決するための手段) 本発明は、 (1)重量平均分子量が100万以上であり、フィラメ
ント表面における炭素原子数に対する酸素原子数比が0
.05以上、0.20以下であり、40g/d以上の単
糸引張強度、1200g/d以上の単糸初期弾性率を有
し、かつ小角X線散乱測定において長周期構造が認めら
れず、かつまた動的粘弾性測定におけるtanδのγ分
散ピークの高さが0.017以下であり、動的粘弾性率
E′の100°Cての値が600g/d以上であること
を特徴とするポリエチレンフィラメント、(2)単糸繊
度が3d以下であることを特徴とする前記第(1)項に
記載のポリエチレンフィラメント、 (3)ゲル湿式紡糸により得られたことを特徴とする特
許請求の前記第(1)項および第(2)項に記載のポリ
エチレンフィラメント、 を提供するものである、 本発明でいうポリエチレンとは、少量の例えば10モル
%以下のプロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、
4−メチルペンテンなどの他のアルケンあるいはエチレ
ンと共重合しろるビニルモノマー等の1種あるいは2種
以上が共重合されたものであってもよい。
本発明におけるポリエチレンの分子量は重量平均分子量
で100万以上、好ましくは200万以上とする必要が
ある。
一般に重量平均分子量が高いほど繊維内部に分子鎖末端
等の欠陥部が少なくなり、強度が高くなるので、得られ
るフィラメントの単糸引張強度を40g/d以上とする
には重量平均分子量100万以上のポリエチレンを用い
る必要がある。
本発明のポリエチレンフィラメントはX線光電子分光分
析(以下ESCAと略す)により測定した表面の酸素原
子数比(炭素原子数に対する酸素原子数の割合)が0.
05以上、0.20以下、好ましくは0.07以上、0
.20以下である必要がある。
ポリエチレンフィラメントはその表面に酸素原子を含有
する官能基を多く有しているほど極性高分子マトリック
ス材料に対する接着性が良好となる。この接着性を良好
とするには酸素原子数比にして0.05以上であれば十
分である。
ここでいう極性高分子マトリックス材料としては、エポ
キシ、ポリアミド、ポリエステル、フェノール、アクリ
ル、ポリメチルメタクリル等の樹脂が挙げられるが、好
ましくはエポキシ、ポリアミドまたはポリエステル樹脂
である。
ところで表面における酸素原子の濃度があまりに高いと
自触媒効果で酸化劣化を促進することになる。それ故、
酸素原子数比が0.20より大きくなると耐候性が悪く
なったり、熱劣化しやすくなるという不都合が生じる。
本発明におけるポリエチレンフィラメントの単糸引張強
度は40g/d以上、好ましくは50g/d以上が必要
である。
フィラメント自体の引張強度が低いと極性高分子マトリ
ックス材料に対する接着性が良好となっても複合強化材
料として用いた場合、低荷重でフィラメントの破壊が起
こる。それ故、極性高分子マトリックス材料に対する強
化材料としての補強効果が小さい。フィラメントの単糸
引張強度が40g/d以上であれば極性高分子マトリッ
クス材料に対する強化材料として実用上全く問題なく使
用できる。
また、フィラメントの単糸引張強度が40g/d以上で
、かつ表面の酸素原子数比が0.05以上であれば極性
高分子マトリックス材料に対する接着強度(接着長1c
mあたりの引抜き強度)が30g/dというこれまてに
ない著しく高い値を示す。
この極性高分子マトリックス材料に対する接着強度が低
いと複合強化材料として用いた場合、低荷重で接着破壊
を起こすのであるが、30g/d以上であれば実用上全
く問題なく使用できる。
本発明におけるポリエチレンフィラメントの単糸の初期
弾性率は1200g/d以上、好ましくは1500g/
d以上、さらに好ましくは1800g/d以上とする必
要がある。
単糸の初期弾性率が1200g/d未満であると、同一
の性能を有する複合強化材料を製作しようとする場合、
強化材料として大量に使用する必要が生じ、複合強化材
料の重量が大きくなりすぎるため不都合である。
本発明のポリエチレンフィラメントには小角X線散乱測
定において長周期構造が認められてはならない。この小
角X線散乱測定において長周期構造が認められるフィラ
メントは結晶部と非晶部との構造差が大きいことを示す
。即ちフィラメント中で分子鎖が実質的に完全に伸びき
っていないことを示している。それ故、単糸引張強度が
40g/d以上、単糸の初期弾性率が1200g/d以
上とならない。
本発明におけるポリエチレンフィラメントは動的粘弾性
測定におけるtanδのγ分散ピーク(−130℃付近
のピーク)の高さが0.017以下、好ましくは0.0
13以下、さらに好ましくは0.010以下である必要
があり、動的弾性率E′の100℃での値が600g/
d以上、好ましくは1000g/d以上である必要があ
る。
動的粘弾性測定におけるtanδのγ分散ピーク(−1
30℃付近のピーク)の高さは非晶部分の量的割合を反
映しており、このピーク高さが低いものほど非晶部が少
ない。一方動的弾性率E′は低温から高温になるに従っ
て低下するが、結晶化度および配向度が高いほど、すな
わち繊維構造の完全性の高いほど高温においても高い値
を維持する。
従って、動的粘弾性測定におけるtanδのγ分散ピー
ク高さが0.017より大きいかまたは動的弾性率E′
の100℃での値が600g/d未満であるフィラメン
トは結晶化度および配向度が低く、繊維構造が不完全で
ある。それ故、単糸引張強度が40g/d以上、単糸の
初期弾性率が1200g/d以上とならない。
フィラメントの接着強度は表面状態が同じ場合、単位体
積あたりの接着面積、すなわち単位体積あたりのマトリ
ックス材料との界面の面積に関係する。単位体積あたり
の接着面積が大きいほど接着強度が増加する。すなわち
フィラメントを構成する単糸の繊度が小さいほど体積に
対する表面積比が大きくなり接着強度が高くなる。
従って本発明のポリエチレンフィラメントにおいても単
糸繊度が低いほど接着強度が大きい。それ故、単糸繊度
は3d以下が好ましく、2d以下がさらに好ましい。
本発明のかかる新規なポリエチレンフィラメントは、例
えば、次のごとき製造方法により提供される。
まず高分子量のポリエチレン溶液を紡糸するが、その紡
糸方法としてノズルから押出された溶液を上層が冷却剤
で下層が凝固剤からなる紡糸浴に導き、ゲル化した後、
凝固させる紡糸方法−この紡糸方法をゲル湿式紡糸と呼
ぶ−を適用するのが好ましい。なぜならこのゲル湿式紡
糸によフて最も高い単糸引張強度が得やすく、実質的に
単糸間融着のないポリエチレンフィラメントが得られる
からである。ポリエチレンフィラメントに単糸間の融着
が多いとフィラメント自体の引張強度が低下するばかり
か樹脂に埋め込んだ場合に樹脂との界面すなわち接着面
積が相対的に小さくなり接着強度が低下する現象が起こ
る。
上記のゲル湿式紡糸を実施するに際しては、まず高分子
量のポリエチレン溶液をノズルから不活性気体層を通し
て紡糸浴中に押出す。
ポリエチレンの溶液を形成するために使用する溶剤とし
ては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水
素、ハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物が挙げら
れるがこれらに限定されるものではない。通常ポリエチ
レンはこれらの溶剤をもってしても60℃以下では溶解
せず、100℃以上に加熱することが多いため低沸点の
溶剤は好ましくない。好適な溶剤としてはデカリン、キ
シレン、テトラリン、ノナン、デカン、n−パラフィン
、灯油、パラフィンオイルなどが挙げられる。
また、パラフィンワックスおよびナフタレンなどの常温
で固体のものも使用し得る。
ポリエチレン溶液のポリエチレン濃度には特に限定はな
く溶解時の均一性、紡糸時の吐出安定性、曳糸性、糸条
走行性および延伸時の製糸性などの面から適切な溶液粘
度となるように選択されるが、1〜15重量%の範囲が
適当である。
なお、溶液紡糸における紡糸温度は紡糸時の吐出安定性
、曳糸性などの面から適切な溶液粘度となるように選択
される。この温度は溶剤の種類やポリエチレンの分子量
、ポリエチレンの濃度によって異なるが、通常120〜
250℃の範囲が適切である。
また、上記の不活性気体とはノズルから押出されたポリ
エチレンの繊維状溶液を凝固させたり、該繊維状溶液と
化学反応を生じさせたりしない常温で気体の物質を意味
し、空気あるいは窒素が適当である。
この不活性気体層の厚みについては特に限定はないが、
3〜50mmの範囲が適当である。不活性気体層の厚み
が3mm未満であると紡糸浴の液面変動によりノズルに
紡糸浴の液面が接しノズルが冷却されるため、糸切れを
生じることがある。
また、不活性気体層の厚みが50mmよりも大きいと、
ノズルから押し出された繊維状溶液の安定走行が難しく
なり、わずかの糸ゆれによりこの不活性気体層て単糸間
融着が生じることがある。
この不活性気体層において繊維状溶液かられずかに溶剤
が蒸発することもあるが、大半の溶剤は溶液中に残存す
る。
紡糸浴としては上層が低比重で溶剤と非混和性の冷却剤
、下層が高比重で溶剤と混和性のある凝固剤からなり、
上層と下層の2液は相互に非混和性の2層構造の浴を用
いる。この紡糸浴の上層で繊維状溶液は冷却されゲル糸
条が形成され、下層でゲル糸条の凝固および部分的な溶
剤の抽出が行なわれ凝固糸条が形成される。
紡糸浴の上層に冷却層がないと、紡糸浴は凝固層のみと
なるため、繊維状溶液は紡糸浴中で急激な凝固を起こす
。そのため凝固糸の表面構造が粗となり、この凝固糸か
ら得られる延伸糸の物性が低くなる。急激な凝固を起こ
させないためには凝固層に押し出される繊維状溶液をゲ
ル糸条としておくことが一般に有利であり、それ故、上
層部にゲルを形成させるための冷却層をおき、冷却剤と
してはゲルを形成させるために溶剤と非混和性の溶液を
用いる。、 また、紡糸浴の下層に凝固剤からなる凝固層がないと、
紡糸浴は冷却層のみとなり、繊維状液体は紡糸浴中でゲ
ル糸条にしかならない。ところでゲル糸条は表層が柔ら
かいため、これを通常の紡糸方法のように集束すると単
糸どうしが圧着し、単糸間融着が生じる。紡糸浴の下層
部に凝固層があると、糸条が分離走行している凝固層中
て糸条が凝固するため、これを集束しても単糸間融着は
生じない。それ故、下層部に凝固層があると単糸間融着
を避けることができ、凝固剤としては糸条を凝固させる
ために溶剤と混和性のある液体を用いる。
上記のようにゲル湿式紡糸においては紡糸浴として上層
に冷却層を下層に凝固層を有した浴を用いるが、そのた
めに冷却剤は凝固剤よりも低比重とする。冷却剤として
は安全性、経済性などの面から水が最も適当であるが、
上記の特徴を有する液体であれば何でも使用できる。冷
却層の深さおよび温度に限定はなく、紡糸温度、吐出量
などによって異なるが、繊維状溶液がゲル化点以下に冷
却されるに十分な深さおよび温度が好ましい。通常、冷
却層の深さとしては3〜30cmが適切であり、冷却層
の温度としては0〜40℃が適切である。
また、凝固剤としては上記特徴を有する液体であれば何
でも使用でき、炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素お
よびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定される
ものではない。好適な凝固剤としては塩化メチレン、四
塩化炭素、クロロホルム、三塩化三フッ化エタン、四塩
化二フッ化エタンおよびこれらの混合物などであるが、
特に好ましくは塩化メチレン、三塩化三フッ化エタンお
よび塩化メチレンと三塩化三フッ化エタンの共沸混合物
である。また、凝固剤として上記化合物または混合物に
紡糸に使用するポリエチレンの溶剤を混合したものも使
用可能であり、低沸点の上記化合物または混合物を使用
する場合には冷却剤比重よりも大きい比重を保ち、凝固
能が失われない範囲で高沸点溶剤を混合させることが製
糸安定性、コスト面からみて好ましい。凝固層の深さお
よび温度にも限定はなく、紡糸温度、吐出量、凝固剤の
凝固能などによって異なるが、冷却層で形成されたゲル
糸条が分離走行している間に糸条表面層が実質的に凝固
するだけの深さおよび温度が好ましい。なおこの凝固層
で糸条中のすべての溶剤を抽出除去してしまう必要はな
い。
紡糸浴中の凝固剤で凝固した糸条は抽出剤により凝固糸
条中の残存溶剤を抽出除去するのが好ましい。単糸間融
着のない凝固糸条といえども糸条中の残存溶剤を乾燥ま
たは熱延伸等の方法で除去すると、溶剤が蒸発する際に
単糸間融着が生じるからである。抽出剤により凝固糸条
中の残存溶剤を除去すれば乾燥、熱延伸を行なっても単
糸間融着は生じない。
抽出剤としては凝固糸条中の残存溶剤を抽出する能力の
あるものであれば何でもよく、前記した凝固剤と同じも
のが使用できる。また、抽出剤としては2種以上のもの
を使用することが可能であり、例えば、第1抽出剤で抽
出した後、第2抽出剤で抽出することができる。上記方
法で得られた抽出剤を含有した未延伸糸はそのまま熱延
伸工程に供されたり、乾燥後熱延伸工程に供されること
ができろ。
ゲル湿式紡糸されたポリエチレン未延伸糸は引続き熱延
伸に供される。
ポリエチレン未延伸糸は冷延伸でも十分延伸することは
できるが、この場合、単糸引張強度を40g/d以上と
することは困難である。
ポリエチレン未延伸糸の熱延伸における延伸温度には特
に限定はないが、80〜155℃の範囲が好ましく、さ
らに好ましくは100〜155℃である。なお、延伸時
の加熱媒体としては加熱ロール、熱板、加熱気体浴、加
熱液体温および加熱ビンなどが挙げられるがこれらに限
定されるものではない。
熱延伸における延伸倍率はポリエチレンフィラメントの
単糸引張強度が40g/d以上および単糸の初期弾性率
が1200g/d以上となるように設定する。この倍率
はポリエチレンの分子量、溶剤の種類、溶液の温度、溶
液のポリエチレン濃度などによって異なるが、事前に実
験を行なうことによって容易に求めることができる。
なお、延伸は1段でも多段で行ってもよい。
次いて上記の方法で得られたポリエチレンフィラメント
に低温プラズマ処理を施す。
低温プラズマ処理ではフィラメントをアルゴン、ヘリウ
ム、酸素、窒素、二酸化炭素、−酸化炭素等の気体雰囲
気中に設けられた電極およびガイドロール間に発生する
低温プラズマ中に通し、その表面を処理する。
この低温プラズマ処理が弱いと表面における官能基の形
成が少ないため、フィラメント表面の酸素原子数比がわ
ずかしか増加せず、接着性の向上が望めない。また、低
温プラズマ処理があまりに強すぎると処理により表面に
おける官能基の形成は多くなるが、フィラメントが著し
く劣化し、単糸引張強度が低下する。従って低温プラズ
マ処理における雰囲気気体の種類、圧力、印加電圧、処
理時間等の諸条件はフィラメント表面の酸素原子数比が
0.05以上、0.20以下の範囲で選ばれることが必
要である。このような条件は事前にいくつかの実験を行
なうことによって容易に見出せる。
かかる製造方法において特徴的なのは高分子量ポリエチ
レンからゲル湿式紡糸、熱延伸により高強度のポリエチ
レンフィラメントを得ることおよびこの高強度のポリエ
チレンフィラメントに低温プラズマ処理を施すことであ
る。
(実施例) 次に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明
はこれに限定されるものではない。なお、原糸および低
温プラズマ処理系の引張強度、初期弾性率、動的粘弾性
、小角X線散乱、ESCAおよび接着強度は次の条件で
測定した。
、       中゛I″ 測定雰囲気:20℃、相対湿度65% 装置   :東洋ボールドウィン社製 テンシロンUTM−4引張試験機 試料   :単糸250mm 引張速度 : 300 mm/分 初期弾性率二強伸度曲線の原点における傾きから求めた
・       ゝ1 装置   :東洋ボールドウィン■ DDV−n型 振動数  :110t(z 昇温速度 :3℃/分 ハ        −畜パ去 ″[ 装置   :理学電機社製Ru−200型X線源  :
 CuKα線(Niフィルター使用)X線出力 :50
KV、150mA スリット系:0.3mmφ カメラ半径:400mm 露出時間 :120分 フィルム :Kodak  DEF−δ長周期は小角X
線散乱像の子午線上の干渉点くあるいは干渉線)の位置
からBr8gg0式を用いて求めた。子午線上の干渉点
(あるいは干渉線)の現れないものは長周期が認められ
ないとした。
Jl、L立入」1条且 装置   :■島津製作所製ESCA750励起X線 
:Mg−KaH,2線(1253,6eV)出力 8K
V、30mA 真空度  :5X1(15Pa以下 エネルギー 補正   :Ctsメインピークの結合エネルギー値を
284.6eVに補正 測定温度 :室温 なお、酸素原子数比すなわち炭素原子数に対する酸素原
子数の割合はESCAスペクトルにおいておよそ532
eVの電子結合エネルギー位置に現れる酸素原子の18
ビークの面積Aoおよびおよそ285eVの電子結合エ
ネルギー位置に現れる炭素原子のISビークの面積Ac
から次式により求めた。
酸素原子数比=(Ao/Ac)X帆385ここに、0.
385は元素間の補正係数である。
また、ESCASC用サンプルは表面の油分等の付着物
を十分洗浄したものを用いている。
11生産1定条豆 接着強度とは単糸を10mmだけ樹脂に埋込みこれを次
の条件で引抜く強力を繊度で除したものである。なお、
接着強度の測定において単糸の切断が起こった場合はこ
の切断時の強度を接着強度とした。測定は15本のサン
プルを用いて行ない、その平均値を接着強度として示し
た。
測定雰囲気:20℃、相対湿度65% 測定機器 :東洋ボールドウィン社製 テンシロンUTM−4引張試験機 \   。
試料長  、100mm 引張速度 :1mm/分 (実施例1) 重量平均分子量が400万の直鎖状高密度ポリエチレン
を灯油に180℃の温度で溶解し、3゜0重量%溶液を
調整した。この溶液を170°Cで孔径1mm、孔数l
Oのノズルから5mmの距離だけ空気層を通過させた後
、上層が水、下層が三塩化三フッ化エタンで構成された
2層構造の紡糸浴で冷却後、凝固させ集束して凝固糸条
を得た。
紡糸浴の温度は10℃であり、上層(水)の厚さが80
mm、下層(三塩化三フッ化エタン)中を糸が走行する
距離が600mm(このうち単糸が分離して走行する部
分が200 mm)とした。また、凝固した糸条は7.
5m/分て引取った。
前記凝固糸条を引続き5℃の三塩化三フッ化エタンから
なる抽出浴を通し、糸条中に残存する灯油を抽出して、
乾燥後、130℃の熱板を用いて、10倍に延伸してか
らワインダーで巻取った。
この1段延伸糸をさらに140℃の熱板を用いて、6倍
に延伸した結果、単糸繊度0.7d、単糸引張強度56
g/dの延伸糸を得た。
次に得られた延伸糸を1本のガラス被覆電極と接地され
た処理ドラムからなる内部電極方式のプラズマ処理機(
電極、処理ドラム間距離5cm)を用いて次の条件で低
温プラズマ処理を施した。
雰囲気気体 :アルゴンガス 圧力    :0.7Torr 印加電圧  :1.5KV 電流    :0.36A 処理時間  二0.5秒 低温プラズマ処理後の糸の単糸引張強度は55g/dて
あり処理前とほとんど変化がなかなかった。
また、他の糸物性は次のとうりであった。
単糸初期弾性率   :1730g/dtanδのγ分
散 ピーク高さ      :0.009 100°CにおけるE’ : 1240g/d表面酸素
原子数比  :0.09 長周期       :認められず この低温プラズマ処理後の糸の日本油脂■製パーメック
Nを1%添加し、25℃、24時間で硬化させた日本ユ
ビカ■製不飽和ポリエステル樹脂ユピカ4183APT
−2に対する接着強度は46g/dと著しく高い値を示
した。
(比較例1) 溶液のポリマ濃度5重量%、紡糸温度186℃、1段目
の延伸倍率9倍でその他の条件は実施例1と同じ条件で
紡糸、1段延伸した糸条をさらに2段目延伸で5倍延伸
し、単糸繊度1.6d、単糸引張強度55g/dの延伸
糸を得た。
また、他の糸物性は次のとうりであった。
単糸初期弾性率   :1670g/dtanδのγ分
散 ピーク高さ      :0.010 100℃におけるE’ : 1180g/d表面酸素原
子数比  :0.01 長周期       :認められず この糸を用いて日本ユビカ■製ユピカPR−Nを0.5
%、日本油脂■製パーメックNを1%添加し、25°C
124時間で硬化させた日本ユピカ■製エポキシアクリ
レート樹脂ネオボール8250Lに対する接着強度を測
定したところ18g/dと低い値であった。
(実施例2) 比較例1て得られた延伸糸に実施例1に示したと同じ装
置を用いて次の条件で低温プラズマ処理を施した。
雰囲気気体 :アルゴンガス 圧力    :0.7Torr 印加電圧  :2.5KV 電流    :0.36A 処理時間  =0.5秒 低温プラズマ処理処理後の糸の単糸引張強度は53g/
dてあった。また、この糸の比較例1で用いたと同じ樹
脂に対する接着強度は43 g / dであり、低温プ
ラズマ処理を施すことにより接着強度が著しく向上して
いた。
この糸の他の物性は次のとうりであった。
単糸初期弾性率   :1650g/dtanδのγ分
散 ピーク高さ     :0.010 100°CにおけるE’ : 1180g/d表面酸素
原子数比  :0.11 長周期       :認められず (比較例2) 重量平均分子量が15万の直鎖状高密度ポリエチレンを
紡糸温度280℃で溶融紡糸し、40m/分で巻取った
。孔径0.3mm、孔数12のノズルを用い、総吐出量
は10g1分とした。
この未延伸糸を130℃で18倍に延伸して単糸繊度1
0.5d、単糸引張強度12g/dの延伸糸を得た。
次に得られた延伸糸に実施例2と同じ条件で低温プラズ
マ処理を施した。
低温プラズマ処理後の糸の単糸引張強度は11g/dと
あまり低下しなかったが実施例1で用いたと同じ樹脂に
対する接着強度は9g/dと低い値であった。
この糸の他の物性は次のとうりであった。
単糸初期弾性率   :340g/d tanδのγ分散 ピーク高さ      :0.086 100℃におけるE’ :87g/d 表面酸素原子数比  :0.12 長周期       :247人 (本発明の効果) 以上のように本発明のポリエチレンフィラメントは極性
高分子マトリックス材料に対するきわめて高い30g/
d以上という接着強度を有しているので、極性高分子マ
トリックス材料の強化材料として非常に有用である。
特許出願大東し株式会社

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)重量平均分子量が100万以上であり、フィラメ
    ント表面における炭素原子数に対する酸素原子数比が0
    .05以上、0.20以下であり、40g/d以上の単
    糸引張強度、1200g/d以上の単糸初期弾性率を有
    し、かつ小角X線散乱測定において長周期構造が認めら
    れず、かつまた動的粘弾性測定におけるtanδのγ分
    散ピークの高さが0.017以下であり、動的粘弾性率
    E′の100℃での値が600g/d以上であることを
    特徴とするポリエチレンフィラメント。
  2. (2)単糸繊度が3d以下であることを特徴とする特許
    請求の範囲第(1)項に記載のポリエチレンフィラメン
    ト。
  3. (3)ゲル湿式紡糸により得られたことを特徴とする特
    許請求の範囲第(1)項および第(2)項に記載のポリ
    エチレンフィラメント。
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