JPS6216847A - 溶鉄の保温剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、取鍋、タンディツシュ等の容器内に収容し
た溶鉄の温度降下を防ぐための保温剤に関するものであ
る。

〔従来技術とその問題点〕

取鍋、タンディツシュ等の容器内に収容した溶銑や溶鋼
等の溶鉄を保温するために、樹皮、木粉、稲わら、籾か
ら、製紙スラジ等の有機物を乾燥したままか、あるいは
粘土等で固化したシ、焼成炭化した有機質の保温剤や、
真珠岩、蛭岩、頁岩等を膨張軽量化した無機質の保温剤
が使用されている。

しかし、これら従来の保温剤のうち、有機質の保温剤は
、溶鉄上に投入されると、火炎を発したり発塵すること
が多く、作業環境を著しく悪化する上に、焼失した分量
の補充をしなければならない欠点がある。また、それら
の多くは、灰分が１２００〜１３００℃で溶融し、且つ
、灰分に８１０２分が高いので、容器の内張シやコーテ
ィングの塩基性耐火物が、Ｓｉｎ、、分によって浸蝕さ
れることも無視できなかった。

一方、無機質の保温剤゛は、発塵することはあるが、有
機質の保温剤と異なシ、火炎を発したり、焼失したりす
ることがない。しかし、溶融点はその殆どが１３００〜
１４００℃止まシであるため、約１５００℃を超える溶
銑や溶鋼上では、溶融して発泡ガスを失なうので、その
保温性能は急速に失なわれて永く続かない欠点がある。

また、主成分が５ｉｎ２であるため、容器の塩基性耐火
物に対する浸蝕は大きく、容器の補修を頻繁に行なう必
要を生ずるなどの問題もあった。

〔発明の目的〕

この発明の目的は、上述の現状に鑑み、取鍋等の容器内
に収容された溶銑や溶鋼等の溶鉄上でその保温性能を安
定して発揮することができ、且つ、容器の耐火物を浸蝕
したシ、作業環境を悪化したりすることのない、溶鉄の
保温剤を提供することにある。

〔発明の概要〕

この発明の溶鉄の保温剤、は、ＭｆＯおよびＳｉＯ２を
含有する無機質原料と、ＭｆＯおよび５ｉｎ２を含有す
る製紙スラジとを、必要に応じて水を加えた上、造粒す
ることによって得られた粒状の混合物からなり、前記粒
状の混合物中のＭｆＯの含有量と、前記粒状の混合物中
の８１０２の含有量との重量比が１．０以上であり、そ
して、前記粒状の混合物中の前記ＭｇＯの含有量が、可
燃性物質、押指性物質および水分を除いた前記粒状の混
合物に対して４０重量％以上であることに特徴を有する
ものである。

〔発明の構成〕

以下、この発明の溶鉄の保温剤について詳述する。

この発明は、Ｍｒ、（酸化マグネシウム）の融点が高い
ことを利用し、このＭｔＯを含有する無機質原料に、多
孔質形成素材として製紙スラジを配合することによって
、保温剤粒子の個々に、溶鉄上でＭｈｏを主体するＳｉ
Ｏ□との高融点の多孔質断熱体を形成させしめ得るよう
にして、溶鉄上で保温剤粒子を溶融させることなく、そ
の保温性能を安定して発揮できるようにしたものである
。

この発明において、ＭｈｏおよびＳｉＯ２を含有する無
機質原料とは、ＭｇＯを主成分とし、５ｉｎ２を不純物
または主成分の１つとして含有する、人造または天然の
マグネシア含有無機質材料を言う。例示すれば、電融マ
グネシア、焼成マグネサイト、マグネシア耐火煉瓦屑、
クロームマグネシア煉瓦屑、マグネシアカービン煉瓦屑
および苦土撤攬石（オリビン）等が掲げられる。

この発明において、ＭｇＯおよび５ｉ０２を含有する製
紙スラジとは、製紙工場から排出される生スラジおよび
焼スラジを言う。生スラジば、製紙工程で排出される・
ぐルプ短繊維、リグニン等の有機物および添加鉱物の廃
残物が混シ合ったスラジを、沈殿によって回収して脱水
したケーク状のものである。焼スラジは、製紙工場で廃
滓処理の一還として、生スラジを焼成して得られたもの
である。

この発明においては、以上のような無機質原料と製紙ス
ラジとを、保温剤中のＭｐＯの含有量と８１０２の含有
量との重量比ＭｔＯ／５ｉ０２が１．０以上、且つ、前
記保温剤中のＭ、Ｏの含有量が、保温剤から可燃性物質
、押指性物質および水分を除いた残りの全鉱物分に対し
て４０重量％以上となるような所定割合いで配合し、必
要に応じて水を加えた　　　□上、造粒することによっ
て保温剤を得る。

この発明において、保温剤中のＭｔＯの含有量と５ｉ０
２の含有量との重量比ＭＰＯ／８１０２を１．０以上と
する理由は、次の通シである。すなわち、ＭｇＯとＳｉ
Ｏ□とを主要鉱物成分とする多相平衡において、重量比
（重量比ＭｔＯ／５ｉ０２である。以下同じ）が１．０
のＭ、０は、フォルステライト（２Ｍ９０・Ｓ　ｉ０２
　。

融点１９００℃）の生成範囲に属し、鉱物成分が重量比
１．０以上の関係にあるＭｆＯとＳｉＯ□だけのときに
は、フォルステライトを主体とした融点が約１８００℃
の結晶混合物を生成する。従って、保温剤中のＭｔＯの
含有量とＳｉＯ２の含有量との重量比を１．０以上とし
ておけば、保温剤中の製紙スラジが消失して残存した多
孔質断熱体中のＭｆＯが、溶鉄上で固層反応によって少
なくともフォルステライトを主体とした結晶混合物を生
成するので、溶鉄上で保温剤を溶鉄に溶融しない高融点
の多孔質断熱体とすることができる。その結果、溶鉄上
で保温剤にその保温性能を安定して発揮させることがで
きる。

この発明において、保温剤中のＭｆＯの含有量を保温剤
から可燃性物質、揮撥性物質および水分を除いた残りの
全鉱物分に対して４０重量％以上とする理由は、次の通
りである。すなわち、重量比１．０以上の関係にあるＭ
ｆＯと５ＩＯ２に対して、Ａ！！２０３゜ＣａＯおよび
Ｆｅ２Ｏ３等の他の鉱物成分が増加することによって、
ＭｇＯの含有量が全鉱物分に対して４０重量％未満とな
ると、多くの場合ＭｇＯがフォルステライトを生成する
範囲を外れ、ＭｇＯは溶鉄（溶鋼）の温度よシ充分に高
い融点の結晶を主体とした結晶混合物を生成しなくなる
。従って、Ｍ、Ｏの含有量が４０重量％未満では、溶鉄
上で保温剤から形成される多孔質断熱体を、溶鉄の温度
に耐えて溶融しない高融点のものにすることができない
。

この発明の保温剤は、次のようにして製造される。

すなわち、生スラジに所定割合いの量の無機質原料粉末
を配合し、充分に混合する。フィルターで脱水した生ス
ラジは、ノＲルプ繊維が絡み合っており、また５０〜７
０％の水分を含有している。

このため、生スラジと無機質原料粉末とを充分に混合す
ると、同時に造粒が行なわれ、粉化することなく数Ｕ程
度のフレーク状に固まる。従って、このフレーク状の混
合物をそのまま乾燥するか、更に加圧造粒して乾燥すれ
ば、粒状の保温剤が得られる。

あるいは、生スラジと無機質原料粉末との混合物の水分
を高めて混線を続けると、セルローズ繊維がほぐれて細
工粘土のように塑性に富んだ状態となシ、押出し造粒機
等のダイス分通すことができるようになる。従って、こ
の混線物を押出し造粒機等によって、円柱型、円筒型、
螺旋状等のカサ比重を低下した形状に成形したのち、適
宜の長さで切断して、乾燥すれば、カサ比重を低下した
粒状の保温剤が得られる。

また、生スラジと無機質原料粉末との混合物を、回転炉
、多段炉等の焼成炉で、有機質の一部が炭化して残る程
度に焼成すると、焼成と造粒とが同時に行なわれるので
、この焼成物をそのまま保温剤とすわばよい。

製紙スラジとして焼スラジを使用するときには、焼スラ
ジを粉砕したのち、所定割合いの景の無機質原料粉末を
配合し、水と必要に応じて粘結剤を加えた上、混練する
。そして、この混練物を造粒して、乾燥すれば、粒状の
保温剤が得られる。

以上のような保温剤の製造において、無機質原料と製紙
スラジとは、前述したように、保温剤中のＭｇＯの含有
量と５ｉ０２の含有量との重量比が１．０以上、且つ、
前記保温剤中のＭｇＯの含有量が、保温剤から可燃性物
質、揮撥性物質および水分を除いた残りの全鉱物分に対
して４０重量％以上となるような所定割合いで、配合す
る。

例えば、マグネシアクリンカーの化学分析値が、５１０
２　：　５％２ＭりＯ：９０％、ＬＯＩ（灼熱減量）二
〇％、その他の鉱物弁：５％、そして、生スラジの水分
を除いた化学分析値が、５１０２　：　２０％。

ＭｇＯ：５％、　ＬＯＩ　：　６５．５％、その他の鉱
物弁＝９．５９Ｇ（以上重量％、以下同じ）であるとす
る。

このときマグネシアクリンカ−を１５Ｘ、生スラジを水
分を除いた状態に換算して８５％の割合いで配合すると
、合計で、５１０２　：　１７．８％、　ＭＳＩＯ：１
７．８％、　ＬＯＩ　：　５５．７％、その他の鉱物分
二８．８％となり、ＭＰ、／５ｉｎ２＝　１．０　、且
つ、Ｍ２０／全鉱物分Ｘ　１００　＝　４０．０％とな
る。従って、この場合には、マグネシアクリンカ−を１
５％以上、生スラジを残りとして、配合すればよい。

また、例えば、苦土撤攬岩の化学分析値が、ＳｉＯ２：
３８％、　ＭｆＯ：　４５％、ＬＯＩ＝５ｃ！ｇ、ソの
他の鉱物弁＝１２％、そして、焼スラジの化学分析値が
、５１０２　：　４０％、　Ｍｈｏ　：　８％、ＬＯＩ
：２０％、その他の鉱物弁：３２％であるとする。

このとき苦土撒攬岩を８２．１％、焼スラジを１７．９
％の割合いで配合すると、合計で、５ｉ０２　：　３８
．４％。

ＭｇＯ：　３８，４％、ＬＯＩニア、７％、その他の鉱
物弁：　１５．５％となシ、Ｍｙ　ｏ／Ｓｉ　０２　＝
　１　、０、且つ、Ｍグ０／全鉱物分Ｘ　１００　＝　
４１．６％となる。従って、この場合には、苦土撒攬岩
を８２．１％以上、焼スラジを残りとして、配合すれば
よい。

この発明の保温剤において、多孔質断熱体中に、占める
空洞の割合いは、多孔質形成素材としての製紙フラジ中
の有機質の量によって異なってくる。

生スラジの場合、炭素分は製紙工場によって違いはある
が、おおよそ２０〜３５％の範囲内である。

この炭素分の全部がセルローズ（Ｃ６Ｈ＋□０５）中ノ
炭素であるとすると、炭素以外に炭素の約１．２５倍の
挿接分があり、空洞の占める割合いは倍加する。

従って、この発明の保温剤において、製紙スラリとして
生スラジを用いたときには、その保温力が特に大きくな
る。

この発明の保温剤においては、保温剤粒子が溶鉄上で高
融点の多孔質断熱体粒子を形成して、溶融しないので、
保温剤粒子に付与した形状およびカサ比重をほぼ保つか
ら、１．０程度の保温剤としては比較的大きなカサ比重
であっても、充分な保温力を発揮する。しかし、保温剤
の保温力をより向上するために、保温剤粒子の形状を、
円柱状、螺旋状等のカサ比重を小さくした形状とするこ
とは、好ましいことである。

また、保温剤粒子の大きさは、小さすぎると充−填密度
が大きくなるため、接触した保温剤粒子を伝わって溶鉄
の熱が逃げ易くなる一方、大きすぎると保温剤粒子間の
間隙が大きくなるため、外気との対流により間隙を伝わ
って溶鉄の熱が逃げ易くなる。このようなことから、こ
の発明において、保温剤粒子の大きさは、約１〜２０Ｔ
ＩＩＪＲ程度が適当であり、その間の小粒と大粒とを適
宜組合せることがよい。

この発明の保温剤では、取鍋等の容器内の溶鉄上に保温
剤を投入すると、保温剤粒子中の生スラジに含有されて
いるセルローズあるいは焼スラジに“含有されている炭
化した有機物が、溶鉄の熱を受けて焼失し、保温剤粒子
は、無数の微細な空洞を有する多孔質断熱体粒子となる
。そして、多孔質断熱体粒子中のＭｇＯが、製紙スラリ
の灰分を固相反応の形で吸収して、灰分中のＳｉＯ２と
７オルステライトを主体とした結晶混合物を形成し、多
孔質断熱体粒子が、溶鉄によって溶融されない高融点の
多孔質断熱体粒子となる。従って、溶鉄上で溶鉄の保温
を長時間安定して行なうことができる。

また、遊離した５ＩＯ２がないので、取鍋等の容器の塩
基性耐火物の、５ｉｎ２による浸蝕がなくなる。そして
、保温剤を溶鉄上に投入する際に、発塵等を生じて作業
環境を悪化することもない。

〔実施例〕

次に、この発明の実施例について説明する。

この発明の保温剤を製造して、その保温効果を試験し、
従来の保温剤と比較した。

この発明の保温剤は、無機質原料としてマグネシアクリ
ンカ−粉末４０重量％、製紙スラリとして焼スラジ粉末
６０重量％を配合し、水および粘結剤を加えた上、混練
したのち、１．５［φ×２〜５Ｕ長さの円柱状に造粒し
、乾燥したものである。

従来の保温剤は、焼もみがらおよび市販の粒状無機質保
温剤を用いた。これらの物性を第１表に示試験の方法は
、タンディツシュ内の低炭素鋼の溶鋼上に保温剤を投入
したのち、浸漬ノズルを通ってタンディツシュ内から連
続鋳造用モールド内へ流出する溶鋼の温度と、流出する
溶鋼のタンディツシュ内滞溜時間とを測定し、流出する
溶鋼温度の、タンディツシュ内に装入したときの溶鋼温
度に対する温度低下ΔＴを、タンディツシュ内滞溜時間
に対して比較することにより、行なった。保温剤は、本
発明品、焼もみがら、市販品とも同重量使用した。溶鋼
の温度低下ΔＴをタンディツシュ内滞溜時間に対してプ
ロットしたグラフを、図面に示す。

図面に示されるように、本発明品を用いたときの溶鋼温
度の低下と、市販品を用いたときの溶鋼温度の低下との
間の温度差は、５分間で３℃、８分間で５℃というよう
に、滞溜時間の経過と共に　　　□拡がっておシ、本発
明品の保温性能は、市販品の　　　□保温性能よシ格段
に優れ、焼もみがらと同等であ　　　□った。また、本
発明品を用いた場合、溶鋼上には　　　゛あ、。４４．
１７ｆ’４９Ｖｚ□えい。　　゛：浸蝕も見られなかっ
た。

〔発明の効果〕

以上説明したように、この発明によれば、取鍋等の容器
内に収容された溶銑や溶鋼等の溶鉄上でその保温性能を
安定して発揮することができ、且つ、容器の耐火物を浸
蝕した９、作業環境を悪化したりすることのない、溶鉄
の保温剤が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は、この発明の保温剤および従来の保温剤を用いた
ときの、溶鋼のタンディツシュ内滞溜時間と溶鋼の温度
低下との関係を示すグラフである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. ＭｇＯおよびＳｉＯ＿２を含有する無機質原料と、Ｍｇ
   ＯおよびＳｉＯ＿２を含有する製紙スラジとを、必要に
   応じて水を加えた上、造粒することによつて得られた粒
   状の混合物からなり、前記粒状の混合物中のＭｇＯの含
   有量と、前記粒状の混合物中のＳｉＯ＿２の含有量との
   重量比が１．０以上であり、そして、前記粒状の混合物
   中の前記ＭｇＯの含有量が、可燃性物質、揮撥性物質お
   よび水分を除いた前記粒状の混合物に対して４０重量％
   以上であることを特徴とする、溶鉄の保温剤。