JPS6216793Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はDC−DCコンバータに関し、特に多
出力電源であつて１の出力が安定化され他の出力
が安定化されていないDC−DCコンバータに係
る。

この種DC−DCコンバータの従来例として第１
図イで示す２出力電源の場合を掲げて説明する。
１次回路はトランスＴの入力巻線n₁、制御トラン
ジスタＱ及び入力電源E₁からなる。２次回路は
トランスＴの１の出力巻線n₁、ダイオードD₁、
チヨークコイルCH₁、コンデンサC₁及び誤差増幅
器Ａ、パルス幅変調器Ｍを介して前記トランジス
タＱに出力変動量を帰還する帰還回路からなる安
定化された１の出力回路と、該回路と共通線
を同じくし並列出力を取り出すようにした回路で
あつて、トランスＴの他の出力巻線n₂、ダイオー
ドD₂、チヨークコイルCH₂及びコンデンサC₂か
らなる安定化されていない他の出力回路とから
なる。前記１の出力回路は電流容量及び電源精
度をかなり要求されるロジツク電源用として他の
出力回路は比較的電流、精度を要求されないメカ
ニカル電源用として一般に使用されている。
L₁，L₂はこれら各回路の負荷である。このよう
に他の出力回路はその用途のため簡易電源とな
つているが、この回路は実用上屡トラブルを生じ
る。これは他の出力回路の出力電圧が自己負荷
電流及び１の出力回路の負荷電流双方の影響を
受けるからである。このことを第１図ロに示す要
部の等価回路図を参照して更に詳しく解析する。
同図においてr₁及びr₂はそれぞれ負荷L₁、L₂を除
いた１の出力回路及び他の出力回路における
巻線、ダイオード、チヨークコイル等の総和実効
抵抗であり、V₁、E₀₁及びE₀₂はそれぞれ１の出
力巻線n₁、１の出力回路及び他の出力回路の
出力電圧I₀₁及び₀₂は各負荷電流である。今、１及
び他の出力巻線の巻回数をn₁及びn₂、ダイオード
D₁及びD₂の順方向電圧をＶ_f１及びＶ_f２とする
と、出力電圧V₁及びE₂は次式で表わされる。

V₁＝Ｖ_f１＋r₁I₀₁＋E₀₁ ……(1) E₀₂＝ｎ_２／ｎ_１V₁−Ｖ_f２−r₃I₀₂……(2) (2)式に(1)式を代入して整理すると E₀₂＝ｎ_２／ｎ_１E₀₁＋ｎ_２／ｎ_１Ｖ_f１−Ｖ_f２ ＋ｎ_２／ｎ_１r₁I₀₁−r₂I₀₂ …(3) となる。

(3)式においてE₀₁（安定化されている）、Ｖ_f
１、Ｖ_f２、r₁及びr₂を一定とすると、最初の３項
は一定となるから、他の出力回路の出力電圧
E₀₂は１の出力回路の負荷電流I₀₁び自己の負荷
電流I₀₂の影響を受けて変動することがわかる。
このことは負荷L₂が比較的小さい場合は問題が
ないが、大きい場合特に問題となる。一般にメカ
ニカル負荷ではその駆動の際大きな過渡電流が流
れ、一時的に負荷が増大することは周知なことで
あり、従つてこのとき出力電圧E₀₂は、(3)式の４
項の変動に加えて、５項における大きな変動が重
畳されることになる。

この総変動は当然にして誤動作を発生し、シス
テムの機能を停止させるという致命的な欠陥につ
ながつていた。

この考案は非安定化出力回路の出力を安定化出
力回路の出力に段積みし重畳出力となすことによ
つて非安定化出力回路の出力電圧が差分係数を有
する非安定化出力回路の負荷電流項を含む式で表
わされることに着目してなされたものであり、上
記段積み構成に加えて上記差分係数が零となるよ
うに各回路定数を設定するという簡単な構成によ
り、非安定化出力回路の出力電圧が当該回路の負
荷電流変動の影響を受けないようにしたDC−DC
コンバータを提供するものである。

以下この考案の実施例を第２図イ，ロを参照し
て説明するが、従来例と同一の箇所は同一符号を
付して説明を省略してある。

第２図イにおいて第１図イと変つた箇所は、他
の出力回路の共通線である他の出力巻線n₂の一
端を１の出力回路の共通線ではなく該回路の
出力に接続し、他の出力回路の出力を１の出力
回路の出力の重畳電圧とした点と、これに加え
て前記１の出力回路の実効抵抗r₁と他の出力巻
線n₂の巻回数を１の出力巻線の巻回数n₁で除し
た値との積が他の出力回路の実効抵抗r₂に等し
くなるように回路定数を設定した点の２点にあ
る。要部の等価回路図であるロに基づいて第２図
イの回路構成における解析を行なうと、の出力
回路及び他の出力回路の各出力電圧E₀₁、E₀₂
は下式で表わされる。

E₀₁＝V₁−Ｖ_f−r₁（I₀₁＋I₀₂） ……(4) E₀₂＝E₀₁＋ｎ_２／ｎ_１V₁−Ｖ_f２−r₂I₀₂ ……(5) (5)式のV₁に(4)式のV₁を代入して整理すると、
出力電圧E₀₂は、 E₀₂＝（１＋ｎ_２／ｎ_１）E₀₁＋ｎ_２／ｎ_１Ｖ_f１−
Ｖ_f２ ＋ｎ_２／ｎ_１r₁I₀₁＋（ｎ_２／ｎ_１r₁−r₂）I₀₂…
…(6) となる。

(6)式において、E₀₁、Ｖ_f１、Ｖ_f２、r₁及びr₂は
一定とすることができるから、最初の３項は一定
となり、４項が負荷電流I₀₁により、また５項が
負荷電流I₀₂により変動することがわかる。こゝ
で５項に着目すると、この項はI₀₂が出力巻線の
巻回数n₂を１の出力巻線の巻回数n₁で徐した値と
１の出力回路の実効抵抗r₁との積及び他の出力
回路の実効抵抗r₂の差分係数を有している。

従つて上述のようにこの差分係数を零、すなわ
ちｎ_２／ｎ_１r₁＝r₂になるように各出力巻線の巻回数及
び 各実効抵抗の値を設定すれば、負荷電流I₀₂は出
力電圧E₀₂に全く寄与しなくなる。たゞ単に１の
出力回路の負荷電流I₀₁の変動の影響を受ける
に止まることになる。このことは、ともすればメ
カニカル負荷が大きく変動し、負荷電流I₀₁に比
して負荷電流I₀₂の変動分が増大した際にも、メ
カニカル負荷の変動による電圧変動が全く出力電
圧E₀₂に表われず、この出力を安定化することが
できることを意味する。

なお、上記構成では１の出力回路及び他の出力
回路の電圧極性について言及しなかつたが、同一
極性でも異なる極性でも全く同一機能が得られ、
また他の出力回路が複数個あつても同様に適用で
きる。またDC−DCコンバータとして、トランジ
スタＱがONしたときに出力電圧が発生するフオ
ワードコンバータ、あるいはトランジスタＱが
OFFしたときに出力電圧が発生するフライバツ
クコンバータその他各種のコンバータに適用する
ことができる。

以上述べたようにこの考案によれば極めて簡単
な構成により、非安定化出力回路の出力電圧を安
定化することができ、この安定化は自己負荷電流
の影響をなくすことによつて達成したので特に負
荷が大きい場合にはその効果が大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図イは従来例のDC−DCコンバータ回路
図、ロはその要部の等価回路図、第２図イはこの
考案の実施例に係るDC−DCコンバータ回路図、
ロはその要部の等価回路図である。 ……１の出力回路、……他の出力回路、n₁
……１の出力巻線、n₂……他の出力巻線、r₁……
１の出力回路の実効抵抗、r₂……２の出力回路の
実効抵抗。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の出力巻線を有し、このうちの１の出力巻
   線を含む１の出力回路が安定化されているDC−
   DCコンバータにおいて、他の出力巻線を含む他
   の出力回路の出力を前記１の出力回路の出力の重
   畳電圧となすように前記１の出力回路の出力に他
   の出力巻線の共通線を接続し、かつ前記１の出力
   回路の実効抵抗と他の出力巻線の巻回数を１の出
   力巻線の巻回数で除した値との積が他の出力回路
   の実効抵抗に等しくなるように回路定数を設定し
   たことを特徴とするDC−DCコンバータ。