JPS6216460Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はトランクを有するエレベータのかご
室の改良構造に関するものである。

トランク付のエレベータは、アパート、マンシ
ヨン等に於て小容量のエレベータでありながら引
越し、葬儀のさいなど一時的に長尺物を載せたい
場合かご室正面壁の下部に設けられた凹所をおお
う扉を開いてかご床奥行寸法の大きなエレベータ
にする事が出来るため、経済的であり近年トラン
ク付エレベータは、住宅用エレベータの大半を占
める迄に普及してきている。

以下、第１〜第５図によつて従来のエレベータ
のかご室を説明する。図中、１はかご室で、２は
これの出入口、３は正面の上部を形成した壁、４
はかご床、５は壁３よりも外方、すなわちかご室
１外へ張り出したトランクで、延長床４ａの上に
設けられた天井板５ａ、側板５ｂにより構成され
ている。６はトランク５の扉、７は長尺の搬送
物、８は側面壁で、９はこれに設けられた扉６の
ストツパ、１０は扉６の上縁に設けられたコーナ
目地、１１は扉６の枢着部の側面壁８に設けられ
たコーナ目地、１２は壁３下部と扉６上縁との間
に形成された隙間、１３は扉６の下縁に設けられ
た幅木である。なおＡはかご室１の間口寸法、Ｂ
は扉６の厚さ、Ｃは側面壁８と開扉した扉６との
隙間、Ｄは壁３と扉６が閉扉したときの目地１０
との隙間である。

すなわち、住宅用エレベータの出入口２は一般
的に第１図〜第２図に示す様に２枚戸片開き戸方
式であり、出入口２の一端は殆ど側面壁８面に一
致させて設けられ、またトランク５の扉６はかご
室１の内側に向つて開く開き戸であつて、錠（図
示せず）を外してトランク５の扉６が開いた場
合、かご室１の有効間口は｛かご室１間口Ａ｝−
｛扉６の厚さＢ×２＋隙間Ｃ×２｝となり、かご
室間口Ａに対し、可成り小さくならざるを得な
い。このためかご室１に搬送物７を載せる際、扉
６を損傷したり、あるいは搬送物７を変形させた
り、損傷したり、さらにはトランク５の扉６の高
さがかご床４から約１ｍ程度であるため、扉６の
開いているのを知らずに、扉６の上端に荷扱者が
ひじ等を打当てるなど危険な場合があつた。ま
た、搬送物７を積載中、扉６が閉じたりしない様
にかご床４にストツパー９を設けてある。しか
し、トランク５不使用時に於ては、このストツパ
ー９がじやまになるなど使いにくさがあつた。ま
た、トランク５の扉６には、上部壁３との隙間１
２をかくすため目地１０が設けられているが、構
造上、上部壁３に目地１０を当接しているため、
Ｄの隙間が生じやすい。また、扉６の開閉のため
には扉６に取付けられた目地１０及び幅木１３を
コーナー目地１１と干渉しない様Ｅだけ短くする
必要があるなど美観が損なわれる不具合があつ
た。

この考案は上記欠点を改良するもので、使いや
すいトランクを備えたエレベータのかご室を提供
する事を目的とする。

以下、第６図〜第８図によつて、この考案の一
実施例を説明する。

図中、第１〜第５図と同符号は相当部分を示
し、５は壁３の下部に設けられたトランク、５ａ
は壁３に接続されて、かご室１の外方へ張出した
トランク５の天井、４ａはかご床４の中央部がか
ご室１の外方へ張出したかご床張出部で、トラン
ク５の床面を形成する。６は一側がかご室１部材
に枢着されてトランク５内方向へ開扉する扉で、
６ａはこれの端面、１４は扉６を枢持したヒン
ジ、９はトランク５の側板５ｂ内面に設けられた
ストツパである。

すなわち、扉６は錠（図示せず）を外しトラン
ク５内方向へ開扉される。このときストツパー９
に当る迄全開すると第７図に鎖線で示すようにか
ご室１のコーナー目地１１と同面、又はヒンジ１
４の設置位置を適宜に選定することにより引込ん
だ位置迄も開ける事ができる。また、扉６がかご
室１内へ出張らないので、かご室間口Ａは有効に
利用出来、搬送物７の積載時でもじやまになら
ず、これが傷ついたり、扉６の上端部角で荷扱者
がひじ等を打当て負傷する事もない。また扉６の
端部６ａがコーナー目地１１より出ていないので
搬送物７を損傷させる事もなくなる。また、第４
図の側板５ｂは荷物等の落下防止上不可欠のもの
であつたが、この実施例ではトランク５の扉６が
開扉時にトランク５の側板５ｂを兼ねるので、省
略することができる。したがつて軽量化ができる
と同時に安価に製造できる。また、搬送物７の積
込の際扉６固定のためのストツパー９が必要であ
つたが、扉６が全開の位置でなくとも積込み出来
るので、必ずしも扉６を固定出来るストツパー９
でなくともよく、かご床張出部４ａから扉６がは
み出ない様に後板３ｃを折曲げてストツパー９と
する程度でよい。このためかご室１内へストツパ
ー９は露出しないのでトランク５非使用時にじや
まになる事もない。また、トランク５の扉６と壁
３との隙間をおおう目地１０は壁３の下端に取付
る事が出来るので、隙間が露出することはなく美
観を損なうことがない。さらに扉６のヒンジ１４
側のコーナー目地１１と扉６の幅木１３との隙間
Ｅも、扉６がかご室１外側へ開く事から構造的に
従来よりも極めて小さくする事ができるので美観
を向上させることができる。

なお、この実施例では１４のヒンジを通常のヒ
ンジを使用したが、バネ尋りの自由蝶番とすれ
ば、トランク５へ搬送物７を積込む際、扉６の錠
（図示せず）を外して搬送物７を押し込むだけで
可となり、またこれをかご室１から降ろす際はト
ランク５から引き出すだけで、扉６は閉じる事に
なるので、一々かご室１内で中腰等になつて扉６
の開閉をする等の面倒な手間を省略する事ができ
る。

この考案は、以上述べたとおり、室壁の高さ方
向中間部を上縁として形成された開口部を介して
室内と通ずるトランクが室外に設けられたかご室
において、一側が開口側部の室外部材に枢着され
た扉を設け、閉扉時には室壁の一部を形成し、ト
ランク側へ回動して開口部の側縁と同面状若しく
は後退した態様で開口部を開くようにしたので、
かご室という限られた空間を狭めることなく開扉
でき、したがつてかご室内での荷の積卸し作業に
支障となることはない。また、扉はトランク側へ
回動して開口部の側縁と同面若しくは側縁よりも
後退した態様で開口部を開くので開口部の間口寸
法を有効に利用できると共に、閉扉時に室壁の一
部を形成する面が開扉時にはトランクの内壁とな
るので、トランク内は突起物がなく、したがつて
積荷を損傷させることなく搬入搬出することが可
能となる。

更に、開口部は上縁が室壁の中間部となるよう
に形成されるため、扉の上縁もほゞ中間部に位置
することとなる。この高さは丁度乗客の腹部若し
くは手に相当するので、扉の上縁や角部によつて
手などを傷つける恐れが充分あるが、この考案で
は扉がトランク内へ収納されることにより、乗客
がそれらに接触して負傷するという不具合がなく
なり、安全上極めて有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエレベータのかご室を示す斜視
図、第２図は第１図の横断平面図、第３図は第２
図の−線断面図、第４図は第２図の部拡大
図、第５図は第４図の−線断面図、第６図は
この考案によるエレベータのかご室の一実施例を
示す第２図相当図、第７図は第６図の部拡大
図、第８図は第７図の−線断面図である。 １……かご室、３……壁、５……トランク、６
……扉。なお、図中同一部分または相当部分は同
一符号により示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 室壁の高さ方向中間部を上縁とする方形の開
   口部が形成され、この開口部を介して室内と通
   ずるトランクが室外に設けられたエレベータか
   ご室において、一側が上記開口側部の室外部材
   に支持され上記室壁の一部を形成する態様で上
   記開口部を閉じ、かつ上記トランク側へ移動し
   て上記開口部の側縁と同面状若しくは後退した
   態様で上記開口部を開く扉を備えたことを特徴
   とするエレベータのかご室。 (2) トランクは後面部材、天井部材及び床部材か
   らなり、側部は開扉された扉により閉塞される
   ように構成されたことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のエレベータのかご
   室。