JPS6216258B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は直火式コイル焼鈍装置に係わり、詳し
くは炉壁に設けたバーナからの燃焼ガスによつ
て、レトルト内に入れられたコイルを1000℃以上
の高温にて焼鈍する直火式焼鈍装置に関する。 なお、直火式コイル焼鈍装置とはバーナからの
燃焼ガスを加熱源とするコイル焼鈍装置を云う。 従来の直火式コイル焼鈍装置を第１図により述
べる。図面において、１は炉体、２は前記炉体１
に設けられたバーナである。３は炉床で、この炉
床３にはコイル支持リング４がおかれ、該コイル
支持リング４はコイル台板５を介してコイル６を
支持している。７はレトルト内雰囲気ガス循環装
置例えばベースフアンで、前記炉床３上であつて
コイル支持リング４のほぼ中心部に設置されてい
る。８はレトルトで、その内部におかれた前記コ
イル６を所定の保護雰囲気下にて焼鈍するため
に、前記バーナ２からの燃焼ガスと隔離してい
る。 ところで、前記コイル６はバーナ２の燃焼作用
により加熱されたレトルト８からの輻射により加
熱される。一般に良く知られている様にコイル６
は、その半径方向の熱伝達に比べ、高さ方向の熱
伝達が圧倒的に大きいので、最短時間で効率的に
加熱する為、炉床３とコイル台板５間のコイル支
持リング４内に設けたベースフアン７を作動させ
て、雰囲気ガスを強制的に下部から循環させ、そ
の対流によつてコイル６の加熱を促進していた。 このレトルト内雰囲気ガス循環装置７を有する
コイル焼鈍装置は一般に広く使われているが、そ
の殆んどが加熱温度が600〜900℃程度の低温用コ
イル焼鈍炉である。従つて係るコイル焼鈍炉にて
1000℃以上の高温度の焼鈍を行なう場合は、前記
レトルト内雰囲気ガス循環装置７の耐熱性耐久性
が大きな問題となる。前記雰囲気ガス循環装置の
構成材料として、高級な耐熱鋼或いは特殊な耐火
物を使用するとしても、その耐久性及び整備性が
悪く、工業用実機設備としては成りたたなかつ
た。 また従来の直火式コイル焼鈍装置においては、
炉床３と最下段のコイル台板５の間隔は、ベース
フアン７が設置可能なだけの間隔で通常100〜250
mmであり、かつ前記コイル台板５は、外周部分を
コイル支持リング４により支持されている。この
ため、従来の直火式コイル焼鈍装置で1000℃以上
の高温に加熱した場合には、ベースフアン７が実
用に耐えられないことと相まつて、コイル下部か
ら加熱作用を与えることが難しく、大きな温度偏
差を生じる。 直火式コイル焼鈍装置は、加熱源を電気ヒータ
とするコイル焼鈍装置にくらべ、元来温度偏差が
大きいのであるが、特に加熱温度を1000℃以上の
高温とする場合には、温度偏差は大きくなる傾向
がある。他の従来の直火式コイル焼鈍装置として
は、第２図に示す様にコイル６を下部からも加熱
する為に炉床３とコイル台板５の間に補助ヒータ
ー９を設けたものもあつた。 この様な補助ヒータ９を併用した直火式コイル
焼鈍炉は、この補助ヒータ９で消費する電力が大
きく、熱処理に必要なコストを考えた場合不利で
あり、また、この補助ヒータ９への給電設備が必
要となり、設備が複雑化するとともに設備費もか
さみ問題である。 本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、バ
ーナからの燃焼熱により、レトルト内におかれた
コイルを1000℃以上の高温に温度偏差少なく加熱
し焼鈍する直火式コイル焼鈍装置を提供するもの
である。 即ち本発明の要旨は、炉体にバーナを１段また
は多段に設け、該バーナからの燃焼ガスによりレ
トルト内のコイルを加熱するコイル焼鈍装置にお
いて、コイルを載置したコイル台板の中央下部に
柱状支持具を設け、炉床と前記コイル台板の間に
300mm以上の高さ方向の空間を形成し、少なくと
も一部のバーナを、前記空間の高さの範囲内の前
記炉体に設けて、コイルを1000℃以上の高温にて
加熱するようにしたことを特徴とする直火式コイ
ル焼鈍装置にある。 次に本発明を第３図、第４図を参照して詳細に
説明する。 図面において、１は炉体、２はバーナで、前記
炉体１の下部と中間部にレトルト８の接線方向向
きに設けられている。また下部に設けられたバー
ナ２―１は後述するが、炉床３面とコイル台板５
の間に形成された空間の高さと同じ高さ範囲内の
炉体１に設けられている。 １０は柱状支持具で、コイル６を載置したコイ
ル台板５の下部中央を支持し、該コイル台板５と
炉床３の間に高さ方向の空間１１を形成してい
る。前記炉床３とコイル台板５の間の空間１１に
より、レトルト８の側面からの輻射熱１２が第４
図に示すように、コイル台板５の下面を通り、コ
イル６を下方からも加熱する。この下方からの加
熱を奏するには、前記空間１１の高さを300mm以
上にする必要がある。この高さが低いとコイル６
の下方からの加熱作用が少なくなり、コイル６を
1000℃以上の高温にて焼鈍するさい温度偏差が大
となるので、300mm以上とする。 また本発明においては、前記空間１１の高さと
同じ高さ範囲内に、少なくとも一部のバーナ２―
１を設けているので、該バーナ２―１で加熱され
たレトルト８下側面からの輻射熱１２が、コイル
下方から入熱され、コイル６を高さ方向から効率
的に加熱する。この加熱によりコイル６内の温度
偏差も小さくなる。 さらに前記バーナ２―１から燃焼ガスはレトル
ト８に沿つて、上方に燃焼ガス流として当然流れ
るので、レトルト８の全面をも加熱する。これら
の作用と他のバーナ２の燃焼ガスにより、レトル
ト８内にあるコイル６は1000℃以上の高温、例え
ば1100℃に加熱された場合にも温度偏差は少な
い。 本発明は以上のようであるから、バーナからの
燃焼ガスにより、コイルを1000℃以上の高温に
て、温度偏差も少なく焼鈍することができる。 またレトルト８の裾部はシール溝１３内に入れ
られ、レトルト８内に燃焼ガスが侵入しないよう
にしている。なおレトルト８内には雰囲気ガス供
給管（図示しない）が設けられ雰囲気ガスを供給
するようになつている。 次に実施例を示す。 板厚0.3mm、板巾950mmの珪素鋼帯に焼鈍分離剤
を塗布した後、巻取つて外径1600mmとした珪素鋼
コイルを第１図に示した従来の直火式コイル焼鈍
炉と、本発明による高温用直火式コイル焼鈍炉に
よつて、それぞれ1170℃に加熱した。 従来の焼鈍炉では、炉床３面とコイル台板５の
間隙は220mmで、ベースフアン７は停止させて焼
鈍を行なつた。 本発明による焼鈍炉では炉床３上面に外径550
mm、高さ350mmの耐熱鋼製の柱状支持具１０を置
き、その上に厚さ170mmのコイル台板５とコイル
６を乗せて焼鈍した。 この焼鈍のさい前記両焼鈍炉について、下段コ
イルのコイル外周上部（コイルの最高温部に相当
する箇所）が1170℃に到達してから、各時間後の
該下段コイルのコイル内周中央部（コイルの最低
温部に相当する箇所）との温度偏差を第１表に示
す。 この第１表から本発明によると1170℃と云う高
温の焼鈍であつても、温度偏差が少なく効率的に
加熱でき焼鈍されることがわかる。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の直火式コイル焼鈍装置の説明
図、第２図は従来の他の直火式コイル焼鈍装置の
説明図、第３図は本発明の直火式コイル焼鈍装置
の１例を示す説明図、第４図は本発明の作用の説
明図である。 １：炉体、２：バーナ、３：炉床、５：コイル
台板、１１：高さ方向空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 炉体にバーナを１段または多段に設け、該バ
   ーナからの燃焼ガスによりレトルト内のコイルを
   加熱する焼鈍装置において、コイルを載置したコ
   イル台板の中央下部に柱状支持具を設け、炉床面
   と前記コイル台板の間に300mm以上の高さ方向の
   空間を形成し、少なくとも一部のバーナを前記空
   間の高さの範囲内に設けて、コイルを1000℃以上
   の高温にて加熱するようにしたことを特徴とする
   直火式コイル焼鈍装置。