JPS6215475Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンにおいてシリンダブロツク
にシリンダヘツドを位置決めするシリンダヘツド
位置決め装置に関するものである。

従来より、エンジンのシリンダヘツドはその燃
焼室をシリンダブロツクのシリンダと正確に位置
決めする必要があることから、例えば実開昭52−
4909号に示されるように、シリンダブロツクに複
数の位置決めピン（ノツクピン）を植設し、この
位置決めピンにシリンダヘツドの位置決め穴を嵌
合させてシリンダヘツドをシリンダブロツクに位
置決めするようにしている。

しかるに、従来の位置決め装置では、位置決め
精度を向上することから、複数のピンを対角線上
に配設しピンの設置間隔を大きく設定しているた
めに、熱膨張変形に起因してガス洩れ、冷却水洩
れが生起する恐れがある。すなわち、一般に、エ
ンジンのシリンダヘツドとシリンダブロツクとは
異種金属（例えば、アルミニウム合金と鋳鉄）に
よつて形成され、両者は熱膨張率が相違するため
に、昇温時に上記位置決めピンにて熱膨張変形が
拘束されることにより、熱膨張率の大きいシリン
ダヘツドが湾曲変形してシリンダブロツクとの密
着度が低下し、ガス洩れ等が発生するものであ
る。

本考案はかかる点に鑑み、クロスフロー型エン
ジンにおいては吸気側が排気側に対して温度変化
が少ないことから、複数個の位置決めピンを吸気
ポートの位置する側に配置してなるエンジンのシ
リンダヘツド位置決め装置を提供し、シリンダヘ
ツドの変形を防止してシール性を向上し前記従来
の欠点を解消せんとするものである。

以下、本考案の実施例を図面に沿つて説明す
る。第１図に示すエンジンにおいて、１は燃焼室
３に一端が開口した吸気ポート４および排気ポー
ト５を有するシリンダヘツド、２はピストン６を
摺動自在に収容するシリンダ７を有するシリンダ
ブロツクであり、該シリンダブロツク２上にシリ
ンダヘツド１がガスケツト８を介して位置決め固
定される。

上記シリンダヘツド１は、吸気ポート４の他端
が一側面（吸気側Ａ）に開口し、排気ポート５の
他端が他側面（排気側Ｂ）に開口し、吸気がエン
ジンの一側面から他側面に向つて流れるクロスフ
ロー型に設けられている。尚、９は吸気ポート４
を開閉する吸気弁、１０は排気ポート５を開閉す
る排気弁、１１，１２および１３は動弁機構のカ
ムシヤフト、吸気弁用ロツカアームおよび排気弁
用ロツカアームであり、また、１４はヘツドカバ
ー、１５はシリンダヘツド１内に形成されたウオ
ータジヤケツト（冷却水通路）である。

一方、シリンダブロツク２において、１６はシ
リンダ７の外周に形成されたウオータジヤケツト
であり、排気側Ｂのウオータジヤケツト１６の上
端はガスケツト８の透孔を介してシリンダヘツド
１のウオータジヤケツト１５と連通する一方、吸
気側Ａのウオータジヤケツト１６の上端はガスケ
ツト８にて閉塞されている。

第２図は３気筒エンジンにおけるシリンダブロ
ツク２の平面図を示し、各シリンダ７を囲むウオ
ータジヤケツト１６外周の外壁上面に、吸気側Ａ
および排気側Ｂの各シリンダ間および前後縁部
に、シリンダヘツド１とシリンダブロツク２とを
締結するヘツドボルト１７（第３図参照）螺合用
のボルト穴１８が配設されている。尚、１９はオ
イル通路である。

上記構造において、エンジンの吸気側Ａすなわ
ち吸気ポート４の位置する側に複数個の位置決め
ピン２０を配置するものである。すなわち、第２
図の場合、吸気側における前端縁のボルト穴１８
および第２シリンダ７と第３シリンダ７との間の
ボルト穴１８の２カ所に、このボルト穴１８より
大径の内径を有する円筒形の位置決めピン２０を
同心状に立設するものである。

この位置決めピン２０におけるシリンダヘツド
１とシリンダブロツク２との締結状態は、第３図
に示すように、シリンダブロツク２に立設された
位置決めピン２０と嵌合する位置決め穴２１をシ
リンダヘツド１の下面に形成し、両者を嵌合させ
つつシリンダブロツク２上にガスケツト８を介在
させてシリンダヘツド１を位置決めして載置し、
シリンダヘツド１上面からヘツドボルト１７を挿
通し、ヘツドボルト１７の先端ねじ部１７ａを位
置決めピン２０の内部を通してシリンダブロツク
２のボルト穴１８に螺合し、シリンダヘツド１を
シリンダブロツク２に締結固定するものである。

上記の如き実施例においては、位置決めピン２
０を吸気ポート４の位置する吸気側Ａに所定の間
隔をもつて配置したことにより、エンジン運転時
における温度上昇が少ないことから、シリンダヘ
ツド１の熱膨張に起因する湾曲変形が防止でき
る。すなわち、エンジン特にシリンダヘツド１の
排気側Ｂは排気ポート５内を高温の燃焼ガスが流
下することにより運転時と停止時とで大きな温度
差が発生するのに対し、吸気側Ａにおいてはほぼ
大気温度の吸入混合気が流れることにより、排気
側Ｂに比べて運転時と停止時の温度差は小さいも
のである。また、冷却水はシリンダブロツク２の
ウオータジヤケツト１６を前方から後方に流れ、
排気側Ｂでシリンダヘツド１のウオータジヤケツ
ト１５に流入するものであり、吸気側Ａには上流
側の比較的低温の冷却水が作用するので昇温が抑
制され、温度変化は小さくなる。特に、冷却水の
入口側の前端縁に第１の位置決めピン２０を設
け、これと所定間隔をもつて第２の位置決めピン
２０を設けたことにより、さらに温度変化が少な
い位置に設けてある。さらに、両位置決めピン２
０の配設距離を比較的短く設定していることによ
り、昇温時における位置決めピン２０間のシリン
ダヘツド１の熱膨張量も小さく、その湾曲変形を
防止しているものである。尚、位置決めピン２０
の設置間隔を短くすると、高い位置決め精度を維
持するためには、位置決めピン２０および位置決
め穴２１の高い加工精度を必要とする。

また、本考案における位置決めピン２０の設置
位置は上記実施例のものに限定されることなく、
吸気側Ａであればその設置間隔、設置個数は必要
に応じて適宜設計変更可能である。さらに、位置
決めピン２０の形態についても、上記実施例では
円筒形に形成し、ヘツドボルト１７用のボルト穴
１８と同心状に配設しているが、この位置決めピ
ン２０はボルト穴２１とは別個独立に設置しても
よく、中実ピンを使用してもよい。

従つて、以上の如き本考案位置決め装置によれ
ば、シリンダブロツクにシリンダヘツドを位置決
めする複数の位置決めピンを温度変化の小さい吸
気ポートの位置する側に配置したことにより、位
置決めピンによつて拘束されるシリンダヘツドの
熱膨張変形は少なくなり、昇温時におけるシリン
ダヘツドの湾曲変形が防止できるために、シリン
ダヘツドとシリンダブロツクとの密着度すなわち
シール性は良好に維持され、ガス洩れ、冷却水洩
れが未然に防止できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はエン
ジンの要部断面図、第２図はシリンダブロツクの
平面図、第３図は位置決めピン設置部におけるシ
リンダヘツドとシリンダブロツクとの要部断面図
である。 １……シリンダヘツド、２……シリンダブロツ
ク、３……燃焼室、４……吸気ポート、５……排
気ポート、８……ガスケツト、１５……ウオータ
ジヤケツト、１６……ウオータジヤケツト、１７
……ヘツドボルト、１７ａ……ねじ部、１８……
ボルト穴、２０……位置決めピン、２１……位置
決め穴、Ａ……吸気側、Ｂ……排気側。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクにシリンダヘツドを複数個の
   位置決めピンによつて位置決めするようにしたク
   ロスフロー型エンジンにおいて、上記複数個の位
   置決めピンを吸気ポートの位置する側に配置した
   ことを特徴とするエンジンのシリンダヘツド位置
   決め装置。