JPS6215135Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、上箱と底箱とから構成される包装
箱に係り、特に上箱の係止用舌片と、これが嵌入
する底箱の嵌合用孔との嵌合係止を強固にし、上
箱と底箱とを連結一体化させる包装箱に関するも
のである。

一般に、上箱と底箱とからなる包装箱におい
て、両箱を強固に連結一体化するには、プラスチ
ツク等の結束用バンドを用いるか、あるいは上箱
と底箱との重合部に相対応するように嵌合孔を設
け、これらの両嵌合孔にプラスチツク等で形成さ
れた固定具を嵌合させるなどの手段が用いられて
いた。

しかし、前記のプラスチツク等のバンドを用い
る手段では、包装箱の荷役作業時において、積段
された包装箱を引き摺るように移動させることに
よつて、バンドがはずれ易いこと、またコンクリ
ート床面を引き摺ることによつてともすればバン
ドが摺り切れることなどの欠点を有し、またプラ
スチツク等で形成された固定具を用いる手段で
は、荷役作業性については問題がなくとも、プラ
スチツク等で形成された別部品を用いるために、
包装材料部品点数が増え、包装費用がかさむとい
う欠点があつた。

この考案は上記の欠点を改善するためになされ
たもので、底箱の対向する２辺の側面にそれぞれ
嵌合用孔を設けるとともに、上記各嵌合用孔と対
向する上箱の２辺の側面にそれぞれ該側面の先端
部分を箱内側に折曲げて形成される係止用舌片を
設けたものにおいて、上記嵌合用孔の内周縁面お
よび係止用舌片の表裏両面に粗面加工あるいは摩
擦係数の大なる材料を貼合することにより、上箱
と底箱とを強固に連結一体化できる包装箱を得る
ことを目的とするものであり、以下、この考案の
一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図はこの考案を実施した包装箱の組立斜視
図を示し、第２図は分解斜視図、第３図及び第４
図は嵌合係止部分の詳細な断面を示す。即ち、１
は段ボールシートから成る比較的浅い上箱、２は
この上箱１の２辺の側面、３は上記２辺の側面２
の先端部部を箱の内側に折曲げて設けた係止用舌
片、４は上記上箱１の妻面、５は天部緩衝材、６
はカラーテレビ等の20Kg程度以下の被包装物、７
は底部緩衝材、８は段ボールシートから成る被包
装物を収納する比較的深い底箱、９はこの底箱８
の２辺の側面、１０は上記２辺の側面９の上部に
設けた嵌合用孔、１１は底箱８の両妻面である
が、この妻面１１は段ボールシートの使用量を削
減し、省資源政策を推進するために中央部は大幅
に段ボールシートを切り抜き左右一対をなす妻面
として構成している。１２は底箱８の上記２辺の
側面９の上部中央に設けた荷役用の手穴である。
ところで１３は係止用舌片３の嵌合面に粗面加工
あるいは摩擦係数の大なる材料を貼合してなる粗
表面であり、また、１４は底箱の嵌合用孔１０の
上記係止用舌片３との嵌合面つまり内周縁面に粗
面加工あるいは摩擦係数の大なる材料を貼合した
嵌合用孔の粗内面である。

上記のように構成した包装箱においては、被包
装物６を底部緩衝材７と天部緩衝材５とともに底
箱８に収納したのち、上箱１を底箱８に覆い被
せ、上箱１の箱内側に折れ曲がつた係止用舌片３
を底箱８の嵌合用孔１０に嵌挿することにより係
止用舌片３の粗表面１３および嵌合用孔１０の粗
内面１４との間で発生する摩擦力によつて、従来
のようなプラスチツク等の結束用バンドあるいは
プラスチツク等で成形された固定具などの別部品
を一切用いることなく、上箱１と底箱８とを強固
に連結一体化できる。

上記係止用舌片３を嵌合用孔１０に嵌挿するこ
とによつてなる嵌合係止部分の上下方向の引張り
に対する強度は、各々の表面に粗面加工あるいは
摩擦係数の大なる材料を貼合させた係止用舌片３
の粗表面１３および嵌合用孔１０の粗内面１４と
の間で発生する摩擦力、および係止用舌片３が底
箱の側面９の嵌合用孔１０上縁部を側面９の面方
向に圧縮する力とによつて与えられ、その値は該
包装箱全体として被包装物重量の数倍ないし10数
倍の大きさである。

包装箱の荷扱い作業は、通常底箱の側面９の上
部中央に設けた手穴１２を持つて行われるため、
嵌合係止部分には上箱１と底箱８とを上下に分離
させるような力は全く発生しない。万一、上箱の
側面２あるいは妻面４を持つて荷扱い作業が行わ
れたとしても、本考案による包装箱では前述した
ように、嵌合係止部分の引張り強度が該包装箱全
体として被包装物重量の数倍ないし10数倍あるた
め、上箱１と底箱８とを上下に分離させるように
作用する荷重に対して、十分な余裕を持つて耐え
ることができ、該包装箱は上箱１と底箱８とに上
下に分離することは全くない。

また、本考案による包装箱は、上箱１と底箱８
とを連結一体化するために、プラスチツク等の結
束用バンドあるいはプラスチツク等で形成された
固定具などの別部品を一切用いていないため、包
装材料部品点数を少なくすることができ、更に包
装費用および包装材料部品の管理費用を大幅に削
減することが可能となり、更にバンドがはずれた
り、あるいは切断するといつた危惧がない。

なお、該包装箱の上箱と底箱とを連結一体化さ
せるための嵌合係止部分の強度を向上させるに
は、第４図に示すように、底箱８の側面９の嵌合
用孔１０の周囲にプラスチツクあるいは接着剤等
を充填させ、強化部１５を形成し、かつその内周
縁を粗面にすることによつて嵌合用孔１０の周囲
を側面の表面に対して直角方向の圧縮強度を増大
させるとともに係止用舌片３との嵌接係止を確実
強固にすることができる。

この考案は以上説明したとおり、底箱に設けた
嵌合用孔の周縁面および上箱に設けた係止用舌片
の表裏両面をそれぞれ粗面加工するかあるいは摩
擦係数の大なる材料を貼合わせたものであつて、
上下両箱を強固に結合させることができ引張り・
圧縮強度の高い包装箱が得られるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を実施した包装箱の一例を示
す組立斜視図、第２図は第１図の分解斜視図、第
３図はこの考案の要部の一実施例つまり嵌合係止
部分の拡大断面図、第４図は嵌合係止部分の他の
実施例を示す拡大断面図である。 図中、１は上箱、２は上箱の側面、３は係止用
舌片、８は底箱、９は底箱８の側面、１０は嵌合
用孔、１３は係止用舌片３の粗表面、１４は嵌合
用孔１０の粗内面、１５は補強用プラスチツクあ
るいは接着剤を充填した強化部である。尚、図中
同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 底箱の対向する２辺の側面にそれぞれ嵌合用
   孔を設けると共に、上記各嵌合用孔と対向する
   上箱の２辺の側面にそれぞれ該側面の先端部分
   を箱内側に折曲げて形成される係止用舌片を設
   けて、上記上箱の係止用舌片を上記底箱の嵌合
   用孔に嵌挿して連結一体化するようにしたもの
   において、上記嵌合用孔の周囲および係止用舌
   片の表裏両面に粗面加工あるいは摩擦係数の大
   なる材料を貼合させたことを特徴とする包装
   箱。 (2) 嵌合用孔の周囲内縁部にプラスチツクあるい
   は接着剤等を充填させ強化部を形成したことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の包装箱。