JPS6214635Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は腕時計や電子計算器等に装着される
電界発光装置に関するもので、省電力化及び長寿
命化を目的とする。

時計や電卓などのコードレス機器や、オーデイ
オ機器などに広く実用化されている電界発光装置
（ELランプ）は一般に第１図に示すような発光素
子１を有する。この発光素子１はSnO₂等の透明
電極２とＡ等の裏面電極３の間にBaTiO₃等の
絶縁層４と電界発光蛍光体層５をサンドイツチ式
に挾んだものである。前記螢光体層５は高誘電率
の樹脂（シアノセルローズなど）の中に電界の付
与で発光する粉末状の螢光体を分散させたもの
で、これは適当な有機溶剤に溶かした状態で塗着
される。尚、第１図の６は発光素子１を密閉する
三弗化エチレン等の透明外皮、７，８は外皮６か
ら導出される２電極２，３のリード線、９は発光
素子１を点灯させる点灯回路である。

上記発光素子１は点灯回路９から２電極２，３
間に交流電圧が印加されると、螢光体層５が印加
電圧の大きさ及び周波数に対応した輝度で発光す
る。この発光の輝度は商用交流電圧の印加では不
十分であるので、点灯回路９の電源に乾電池や蓄
電池を使用し、この電池の直流電圧をインバータ
を介して高周波、高電圧の交流電圧に変換して発
光素子１に印加して点灯させる場合が多い。特に
コードレス機器の時計や電卓には前記電池駆動が
通常である。

ところで、発光素子１の螢光体層５に分散した
螢光体はZnS：Cuなどの透明な螢光体で、電界の
付与で発光し、電界を取り去ると若干の残光性は
あるがすぐに透明に戻る。そのため、仮りに発光
素子１に印加する交流電圧を時分割して、点灯と
消灯を交互に繰り返すと、点灯と消灯の区別が明
確になつてチラつきの原因になり、またチラつき
を無くすためには実点灯時間を消灯時間より十分
に長く設定しなければならず、時分割駆動方式に
よる省電力化が難しかつた。また発光素子１の寿
命は、その実点灯時間で決まるため、発光素子１
の寿命延長化が難しかつた。

本考案はかかる問題点に鑑みてなされたもの
で、発光素子の２電極間に電界発光蛍光体の他
に、この電界発光蛍光体の発光で蓄えられたエネ
ルギーによつて発光する蓄光蛍光体を介在させる
と共に、この発光素子を高周波・高電圧の交流電
圧の時分割駆動で点灯させるようにした電界発光
装置を提供する。以下、本考案を各実施例でもつ
て説明する。

第２図において、１０は発光素子、１１は点灯
回路で、発光素子１０は透明電極１２と裏面電極
１３の間に絶縁層１４と電界発光蛍光体層１５及
び次の蓄光蛍光体層１６をサンドイツチ式に挾ん
だものである。この発光素子１０の蓄光蛍光体層
１６以外のものは、第１図で説明したものと同一
内容のものでよい。前記蓄光蛍光体層１６はシア
ノセルローズ等の樹脂に粉末状の蓄光蛍光体（蓄
光顔料）ａを分散させたもので、螢光体層１５と
透明電極１２の間に介挿される。尚、蓄光蛍光体
ａは昼光や電灯光などで刺激を受けるとその刺激
停止後に、蓄えられたエネルギーによつて発光す
る硫化物を主成分とする物質で、例えばシンロイ
ヒ社の商品番号LC−GIA（Zn−Ｓ系）が用いら
れる。

また上記点灯回路１１の１７は直流電源で例え
ば電池、１８は電源スイツチ、１９はインバータ
である。インバータ１９は第３図に示すように、
直流電圧を高周波、例えば2KHzの交流電圧に変
換して発振する発振回路２０と、時分割パルス発
生回路２１と、発振回路２０の出力信号イを時分
割パルス発生回路２１の出力パルス信号ロで時分
割して出力信号ハを取出すゼロクロススイツチン
グ回路２２とで構成される。

いま時分割パルス発生回路２１の出力パルス信
号ロのパルス幅をt₁、周期をt₂とすると、発光素
子１０は次の点灯動作を行う。即ち、電源スイツ
チ１８を投入して発光素子１０の２電極１２，１
３に時分割された2KHzの交流電圧を印加する
と、螢光体層１５の螢光体ｂが発光して発光素子
１０が点灯する。この点灯時に螢光体ｂから紫外
線が出て蓄光螢光体ａに照射され、蓄光螢光体ａ
にエネルギーが蓄えられる。そして、時間t₁の交
流電圧の印加が停止すると螢光体ｂの発光強度は
急峻に低下して、（t₂−t₁）後の次の交流電圧印加
まで発光しないが、この電圧印加停止時間帯に蓄
光螢光体ａが蓄えたエネルギーを放出して発光す
る。この蓄光螢光体ａの残光時間は螢光体ｂに比
べて大幅に長く、従つて発光素子１０の点灯状態
は第４図の実線の輝度波形ニに示すように連続す
る。実験の結果、2KHzの交流電圧の場合では、
t₁＝0.1秒、t₂＝1.0秒としてもチラつきの無い連
続点灯が得られた。尚、同じ条件で第１図の発光
素子１を点灯させると、第４図の破線の輝度波形
ニ′のように間歇点灯してチラつきが見られ、ま
たこのチラつきを防止するには実点灯時間t₁を約
10倍弱に延ばしてt₂に近付ける必要があり、本考
案の有効性が実証された。また、上記実施例の発
光素子１０のように透明電極１２と螢光体層１５
の間に蓄光螢光体層１６を介挿させると、螢光体
層１５の透明度に影響されることなく蓄光螢光体
層１６の残光が放出される。また、昼間の消灯時
は蓄光螢光体層１６が液晶表示板などの反射板と
して有効に利用できる。

次に本考案の変形例を第５図及び第６図で説明
する。第５図の発光素子１０′は第２図の発光素
子１０の上下の各螢光体層１５，１６の位置を入
れ替えたものである。また第６図の発光素子１
０″は透明電極１２と裏電極１３の間に絶縁層１
４と、上記電界発光螢光体ｂと蓄光蛍光体ａの両
者を混合させて分散した発光層２３を挾み込んだ
ものである。この第５図と第６図の発光素子１
０′，１０″の点灯動作原理は、第２図の場合と同
様である。また第６図の発光素子１０″は第２図
や第５図の発光素子１０，１０′のように螢光体
層を２層に分けたものに比べて積層工数が１つ減
るので製造が容易である。

以上説明したように、本考案によれば時分割駆
動が可能になるので、実点灯時間が従来の約1/10
程度になり、発光素子の大幅な長寿命化が図れ
る。また、電池駆動にした場合は、実点灯時間の
短縮による省電力化によつて電池寿命が延び、製
品的価値の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電界発光装置の一例を示す断面
図、第２図は本考案の一実施例を示す要部断面
図、第３図は第２図のインバータの一例を示すブ
ロツク図、第４図は第２図の電界発光装置の各点
の出力波形及び発光素子の輝度変形の波形図、第
５図及び第６図は本考案の各変形例を示す断面図
である。 １０，１０′，１０″……発光素子、１２，１３
……２電極、ａ……蓄光螢光体、ｂ……電界発光
螢光体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２電極間に電界発光蛍光体及び電界発光蛍光体
   の発光で蓄えられたエネルギーによつて発光する
   蓄光蛍光体を介在させた発光素子と、前記２電極
   間に時分割した交流電圧を印加する点灯回路とを
   具備する電界発光装置。