JPS6213365Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 車両用の菱形パンタグラフの集電舟をリンク構
成により水平維持する装置は、構造が簡単で安定
した支持が可能なため高速車両に多く用いられて
いるが、電車線の突起物によつて受ける衝撃力を
吸収緩和する機能がなく、従つて集電舟は衝撃力
によつて大離線を発生し、また場合によつては衝
撃力によつてパンタグラフを破損することすらあ
る。

本考案は、集電舟が電車線から受けるこのよう
な衝撃力を、簡単な構造で且つ容易に吸収緩和
し、安定したパンタグラフの追従性能を得ること
を目的とするもので、以下図面に従つて内容を説
明する。

第１図は従来のこの種のパンタグラフ集電舟の
支持装置の一例を線図的に表した側面図である。
集電舟に構成した水平梁１３の水平片１ａの左端
寄りおよび垂直片１ｂの下端に水平梁１３を支承
する軸受７および９を設け、軸受７はリンク２の
上端と結合し、軸受９はパンタグラフの上枠杆４
上の点A′に一端を固着した腕杆６の上端と連結
してある。一方、前記リンク２の下端に設けた軸
受８は、パンタグラフの上枠杆３上の点Ａに一端
を固着した腕杆５の上端と連結してある。このよ
うに構成されたパンタグラフ集電舟の支持装置に
おいて、上枠杆３，４の頂点Ｂと軸受８，９およ
び７の関係位置を適当に選択しておけば、パンタ
グラフの使用範囲における上枠杆３，４の各開度
において、常に水平梁１３をほとんど水平に保持
することができる。

しかしながら、従来のこの種のパンタグラフ集
電舟の支持装置においては、単に集電舟を水平保
持するのみであつて、電車線から受ける衝撃力を
吸収緩和する何ものもなく、集電舟は衝撃力によ
つて大離線を発生する可能性があり、また、各部
材は衝撃力に耐え得るように強化を必要とするた
めに、重量増となりパンタグラフの追従性能を低
下させるなどの欠点があつた。

本考案は、従来より持つパンタグラフ集電舟の
水平保持機能をくずすことなく、上記のごとき欠
点を除いたもので、以下図面に基づいて詳細に説
明する。

第２図は本考案にかかるパンタグラフ集電舟の
支持装置の一実施例を線図的に表した側面図であ
り、第１図と同一の符号は同一または同一機能を
有する部分を示す。

集電舟に構成した水平梁１は、パンタグラフの
上枠杆３および４上の点ＡおよびA′にそれぞれ
一端を固着された腕杆５および６の他端に設けら
れた軸受８および９にそれぞれ一端を回転可能に
連結された同じ長さのリンク２および１２によつ
て支持されている。リンク２の他端は軸受７によ
つて水平梁１の左端寄りに回転自在に連結されて
いるが、リンク１２の他端には軸１０が固着され
ており、水平梁１の右寄りの点が軸１０の左右回
転に対してねじりばね作用を持つ合成ゴムなどの
弾性体１１を介して軸１０と連結されている。

水平梁１とリンク１２の間に力が加えられない
平常時においては、水平梁１とリンク１２が直角
をなすごとく構成してあり、この両者で第１図で
示した水平梁１３と同等の形状になつている。

上枠杆３，４の頂点Ｂを通る垂直線に対して、
軸受８と９とは常に対称位置にあり、且つパンタ
グラフの使用状態における上枠杆３，４の平均開
度のとき、軸受８，９が頂点Ｂと同じ高さの位置
にくるよう、点Ａ，A′および腕秤５，６の長さ
を決めると共に、パンタグラフの使用状態におけ
る上枠杆３，４の最大または最小開度のときの軸
受８，９間の距離と、前記平均開度のときの軸受
８，９間の距離の平均を、軸受７と軸１０間の距
離としておくことにより、パンタグラフの使用状
態における上枠杆３，４の角度にして40度程度の
開度変化範囲においては、リンク２はほとんど垂
直方向からずれることなく、従つて水平梁１はほ
ぼ水平を保つことができる。

以上、弾性体１１に何らのねじり力もかからな
い場合について説明したが、以下、本考案のパン
タグラフの実際使用状態における動作を説明す
る。

第３図は第２図に示した実施例のパンタグラフ
集電舟の支持装置の作用を示すための拡大側面図
である。列車の進行方向が矢印Ｃに示すごとく左
方向である場合、水平梁１は図示してない電車線
と集電舟がパンタグラフの押し上げ力によつて摺
動しているため、矢印Ｄに示すごとく右方向への
摩擦力を受ける。このため弾性体１１はねじり力
を受けるが、正常な摺動による前記の摩擦力では
ごくわずかしか変形を生じないようなばね定数を
持つように弾性体１１は選定されている。従つ
て、パンタグラフが或る作用高さにおいて正常に
運転中は、各部位は水平梁１、リンク２、リンク
１２、軸１０および弾性体１１と実線で示す位置
関係にある。

前述のごとく電車線の突起物などによつて、こ
の正常な摺動による摩擦力に比べて異常に大きい
衝撃力を矢印Ｄ方向に受けたときには、一点鎖線
で示したように水平梁１′、リンク２′、リンク１
２′、軸１０′および弾性体１１′の位置まで車両
の進行方向に対し後方に移動する。すなわち、水
平梁１はほぼ水平のままで１′の位置まで移動す
るが、同時にリンク２および１２は軸受８および
９を支点に回転し、２′および１２′の位置に移動
する。このとき、水平梁１と結合したリンク２の
上端の軸受７は７′の位置へ移動するが、リンク
１２の上端に固着した軸１０は水平梁１に設けた
軸１０の左右回転に対してねじりばね作用を持つ
弾性体１１により、衝撃力の大きさに対応した角
度だけ回転し１０′位置へ移動する。従つて、こ
の移動距離間において弾性体１１のねじりばね作
用によつて衝撃力を吸収緩和する。

以上、一実施例について説明したごとく、本考
案にかかるパンタグラフ集電舟の支持装置は、リ
ンク構成した支持装置においてコイルばねなどを
使用せずに、電車線から受ける衝撃力を簡単な構
造で容易に吸収緩和することができ、大離線の防
止と重量軽減が図れて安定したパンタグラフの追
従性能を得ることが可能となり、実用上の効果は
大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のこの種のパンタグラフ集電舟の
支持装置の一例を線図的に表した側面図、第２図
は本考案にかかるパンタグラフ集電舟の支持装置
の一実施例を線図的に表した側面図であり、第３
図は第２図に示した実施例のパンタグラフ支持装
置の作用を示すための拡大奈面図である。 １……水平梁、２，１２……リンク、３，４…
…上枠杆、５，６……支持杆、７，８，９……軸
受、１０……軸、１１……弾性体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 集電舟に構成した水平梁１の両端寄りの点と、
   パンタグラフの上枠杆３，４に固着した腕杆５，
   ６の上端とを、それぞれリンク２，１２の両端に
   回転可能に連結したリンク構成において、前記水
   平梁１の一端寄りの点とリンク１２の上端に固着
   した軸１０とを、左右ねじりばね作用を持つ合成
   ゴムなどの弾性体１１を介して結合したことを特
   徴とするパンタグラフ集電舟の支持装置。